オーストラリアの大学に進学したいと考えたとき、最初にぶつかるのが「英語力はどれくらい必要なのか」「総額でいくらかかるのか」「そもそも自分の成績で入れるのか」という3つの疑問です。
結論からいえば、オーストラリアの大学には日本のような入学試験がなく、高校の成績と英語力の証明書類で出願できます。
しかも大学は原則3年制のため、アメリカやカナダより1年分の学費と生活費を抑えられます。
この記事では、進学ルートと費用を1つの表にまとめたうえで、入学条件、大学の選び方、卒業後の進路までを順番に解説します。
専門用語も出てくる順に説明するので、はじめて調べる方でも読み進められる内容です。
まずは、卒業までにいくらかかるのかを確かめてみましょう。
2つの質問に答えるだけで、あなたに近いパターンの総額が出ます。
※シドニー・メルボルンでホームステイをした場合の目安です。学費・生活費・渡航前の初期費用を含みます。地方都市を選ぶと総額は1〜2割ほど下がり、シェアハウスにするとさらに数パーセント抑えられます。大学・専攻・時期・為替レートにより変動します。
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目次
オーストラリアの大学の特徴

オーストラリアには約43の大学があり、その大半が国公立です。
政府が高等教育の質を管理する仕組みが整っているため、どの大学を選んでも一定の水準が保たれています。
日本・アメリカの大学との違い
いちばん大きな違いは修業年限です。
日本もアメリカもカナダも大学は4年制ですが、オーストラリアは一般教養課程を置かず1年次から専攻が始まるため、原則3年で卒業できます。
日本の大学
アメリカ・カナダの大学
オーストラリアの大学
点線の1年分が、オーストラリアの大学にはありません。1年次から専攻が始まるため、同じ学士号を1年早く取得でき、そのぶん早く社会に出られます。
入学方法も根本的に違います。
日本のような一発勝負の学力試験はなく、高校の成績と英語力の証明書類による書類選考です。
ほかの違いもあわせて下の表をご確認ください。
※金額は目安です。大学・専攻・時期・為替レートにより変動します。
オーストラリアの大学に留学する3つのメリット
制度の違いは、留学生にとって具体的なメリットになって返ってきます。
とくに大きいのが次の3つです。
1年短いぶん、費用が軽い
北米の大学より1年短く卒業できます。学費と生活費を1年分まるごと圧縮できるので、同じ英語圏の学位でも総額を抑えられます。
試験一発ではなく、積み重ねが評価される
選考は書類のみ。本番に弱い人でも、高校3年間の成績をコツコツ積み上げてきたなら、それがそのまま評価されます。複数校への同時出願も可能です。
時差が最大2時間しかない
家族との連絡も、日本企業のオンライン選考も無理なく対応できます。帰国して就職するつもりなら、欧米留学との決定的な差になります。
知っておきたい3つのデメリット
もちろん良いことばかりではありません。
渡航してから「思っていたのと違った」とならないよう、先に把握しておきましょう。
日本の大学より学費が高い
年間250万〜330万円は、日本の国公立大学のおよそ5倍。ただしアメリカやイギリスの同水準の大学と比べれば抑えられます。
入るのは易しく、出るのは難しい
授業では発言が求められ、課題量も相当です。単位を落とすとその分の学費が追加でかかるため、入学後こそが本番になります。
都市間の移動に飛行機が必要
国土が広く都市が海岸沿いに点在しています。シドニー・パース間は約5時間。週末に隣町へという気軽さは日本ほどありません。
留学カウンセラー
りょう
オーストラリアの大学とカレッジ・TAFEの違い

オーストラリアの進学情報を調べていると、ファウンデーションやディプロマといった聞き慣れない言葉が次々に出てきます。
これらはすべて「大学に入るための助走路」だと考えると理解しやすくなります。
次のセクションで進学ルートを比べる前に、ここで用語を整理しておきましょう。
大学・カレッジ・TAFEの役割
学位を出せるのは大学だけです。カレッジ(大学附属教育機関)とTAFE(州立の職業教育機関)は、大学に入る前の準備や、単位を先取りするための機関という位置づけになります。
なぜ「準備コース」が必要なのか
用語を見ていく前に、そもそもなぜ準備コースというものが存在するのかを押さえておきましょう。
ここが分かると、3つの入り方の違いが一気に理解できます。
理由はオーストラリアの大学に一般教養課程がないことにあります。
1年次からいきなり専攻の授業が始まるため、日本の高校を出たばかりだと、専攻に必要な基礎科目(経済・数学・化学など)も、レポートやプレゼンの作法も習っていない状態でスタートすることになります。
この1年分のギャップを埋めるのが準備コースです。
準備コースを挟まない場合(直接入学)
準備コースを挟む場合(ファウンデーション経由)
ゴールはどちらも同じ「大学1年次」です。違いは、その手前に1年を挟むかどうかだけです。
つまり直接入学は「その準備がもう要らない人」のルートです。
高校の評定が4.0以上あり、英語も英検準1級以上あれば、大学はギャップを埋める必要なしと判断して1年次への入学を認めます。
逆に基準に届かない人が、1年かけて追いつくための道が準備コースというわけです。
ただし、基準を満たしていてもあえて準備コースを選ぶ人もいます。
名門8大学(Go8)が日本の高校卒業資格からの直接入学を認めていないことが多く、Go8を狙うなら準備コース経由がほぼ唯一の道になるためです。
ファウンデーションとは|大学1年次へ進む準備コース

ファウンデーション(Foundation Studies)は、留学生が大学の授業についていけるようにするための大学進学準備コースです。まずは基本情報から押さえましょう。
学ぶ内容は大きく3つに分かれます。英語だけを勉強する語学学校とは、この点が決定的に違います。
アカデミックスキル
レポートの書き方、プレゼンテーション、リサーチの方法。大学の課題をこなすための土台をつくります。
志望専攻の基礎科目
経営学志望なら経済・数学、理系志望なら化学・物理というように、進む分野に必要な科目を先に学びます。
アカデミック英語
日常会話ではなく、講義を聞き、論文を読み書きするための英語。語学学校で学ぶ英語とは目的が異なります。
最大の強みは、3つのルートで入学基準が最も低く、それでいて名門8大学(Go8)を狙えることです。一方で、卒業までの年数と総額は3ルートで最も大きくなります。
向いている人
・高校の成績に自信がない
・名門8大学(Go8)を狙いたい
・文系から理系へ方向転換したい
・英語力にまだ不安がある
注意したい点
・語学研修を含めると卒業まで5年
・総額が3ルートで最も高い
・大学1年次からのスタートになる
ディプロマとは|大学2年次へ編入できる専門課程

ディプロマ(Diploma)は、大学附属カレッジやTAFEで開講される専門課程です。
ファウンデーションが「大学に入る準備」なのに対し、こちらは大学1年次と同じ内容を先に学んでしまうという点が決定的に違います。
授業は大学より少人数で、講師のサポートも手厚いのが特徴です。
そのためいきなり大学1年次に入るより単位を取りやすいという声も少なくありません。
1年分の学費が大学より安く、その1年を編入で取り返せるため、総額は3ルートで最も抑えられます。
向いている人
・学びたい分野が決まっている
・とにかく費用を抑えたい
・少人数で手厚く学びたい
・ビジネス・IT・工学系に進みたい
注意したい点
・看護・教育・国際関係などは開講なし
・認定単位数が成績や編入先で変わる
・提携先以外へは編入できない場合も
とくに注意したいのが開講分野の制約です。
ビジネス・IT・エンジニアリングは選択肢が豊富ですが、看護学・教育学・国際関係学などは開講がなく、ファウンデーション経由を選ぶしかありません。
また、想定より単位が認められず卒業が半年遅れるケースもあるため、出願前に編入条件を必ず確認してください。
直接入学・ファウンデーション・ディプロマの違い
3つの入り方を1つの表にまとめます。
準備コースを挟まない直接入学を基準に、何がどう変わるのかを見比べてください。
※金額はシドニー・メルボルンでホームステイをした場合の目安です(語学研修なし)。評定は5段階での目安であり、大学・専攻により異なります。

オーストラリア大学留学の3つのルートと費用
ここがこの記事の中心です。
オーストラリアの大学への入り方は3通りあり、どれを選ぶかで卒業までの年数も総額も500万円前後変わります。
年数・費用・難易度を1つの表にまとめたので、まずここで全体像をつかんでください。
※総額は「語学研修1年あり・都市部・ホームステイ」を想定した目安です。学校・専攻・都市・滞在方法・為替レートにより大きく変動します。都市や滞在方法による増減は冒頭の早見表をご覧ください。
ルート1|大学へ直接入学する
高校の成績とIELTSスコアが基準を満たしていれば、準備コースを挟まずに大学1年次へ入学できます。
3ルートで最短、かつ余分な学費がかからない点が最大の利点です。
ただし、一般教養を経ずにいきなり専門科目へ入るため、渡航後の学習負荷は最も高くなります。
大学によってはファウンデーションを免除する制度を設けているので、高校の成績が良い方は志望校の免除条件を確認してみてください。
ルート2|ファウンデーション経由で1年次へ
約1年かけて一般教養とアカデミックスキルを身につけ、その成績をもって大学1年次に進学するルートです。
入学基準が3ルートで最も低く、高校の成績に不安がある方でも道が開けます。
見逃せないのは、Group of Eight(Go8)と呼ばれる名門8大学を狙うなら、このルートがほぼ必須だという点です。
費用と年数は増えますが、上位校を目指すなら現実的な選択肢になります。
短期集中型の約6〜9か月コースや、英語基準が低めの約15〜18か月コースを設ける学校もあります。
ルート3|ディプロマ経由で2年次へ編入
カレッジやTAFEで専門課程を1年学び、取得した単位を移行して大学2年次へ編入するルートです。
ファウンデーション経由より1年短く、総額も最も安く済みます。
注意点は2つあります。1つは前述のとおり開講分野が限られること、もう1つは認定される単位数が編入先や成績によって変わることです。
想定より単位が認められず、卒業が半年遅れるケースもあります。出願前に編入条件を必ず確認してください。
留学カウンセラー
りょう

オーストラリアの大学に必要な英語力と成績
ルートの見当がついたら、次は出願条件です。オーストラリアの大学が見るのは高校卒業資格・高校の成績・英語力の3点だけで、これらが基準を満たしていれば合格通知(Offer Letter)が届きます。
ルート別に必要なスコアと成績
準備コースを経由するほど基準は下がります。いまの自分の位置と照らし合わせてみてください。
※基準は大学・専攻により異なります。医学・看護・教育などはIELTS7.0以上を求められることもあります。志望校の最新の募集要項を必ずご確認ください。
英検・TOEICのスコアは、あくまで自分の位置を測るための換算目安です。試験の性質が異なるため誤差があり、オーストラリアの大学への出願そのものにTOEICや英検のスコアは使えないのが一般的です。出願にはIELTSなど大学が指定する試験のスコアが必要になるので、「英検準1級を持っているから大丈夫」ではなく、実際にIELTSを受験してください。
スコアが足りないときの進め方
基準に届いていない場合は、現地の語学学校で必要なレベルまで引き上げます。期間の目安は、スコアを0.5上げるのにおよそ10〜12週間です。英検2級(IELTS5.0前後)からファウンデーションの基準を目指すなら3か月前後、直接入学の基準なら1年程度を見込んでおくと計画が立てやすくなります。
ただし前述のとおり、語学研修の1年は360万〜460万円の追加負担になります。日本にいるうちにスコアを上げておくことが、最も確実で効果の大きい費用対策です。
出願に必要な書類
提出物は3点です。いずれも英文での発行が必要で、準備に時間がかかるため早めに動きましょう。
オーストラリアの大学の選び方
ルートと条件が固まったら、いよいよ大学選びです。
ここで世界大学ランキングだけを頼りにすると、卒業後に後悔することがあります。
優先すべき順に3つの視点を示します。
最優先は「学びたい分野に強いか」
オーストラリアの大学は、地の利や前身校の特色を活かした強み分野を持っています。
総合ランキングが少し下でも、志望分野では国内トップという大学は珍しくありません。
日本人に人気の分野と、その分野で知られる大学を挙げます。
※開講状況や入学条件は年度により変わります。最新情報は各大学の公式サイトでご確認ください。
Group of Eight(Go8)を狙うべきか
オーストラリアには研究力に優れた名門8大学のグループ「Group of Eight(Go8)」があります。
オーストラリア国立大学、メルボルン大学、シドニー大学、ニューサウスウェールズ大学、モナッシュ大学、クイーンズランド大学、西オーストラリア大学、アデレード大学の8校で、世界大学ランキングでも上位に位置しています。
ただし、Go8への進学はファウンデーション経由がほぼ前提となり、年数も費用も増えます。
研究職や大学院進学を視野に入れるなら価値がありますが、学部卒で就職するつもりなら、分野別の強さを優先したほうが満足度は高くなります。
都市部と地方で変わる生活費
学費は大学が決めるので動かせませんが、生活費は住む都市で大きく変わります。
3年以上滞在することを考えると、この差は総額に無視できない影響を与えます。
シドニー・メルボルン
生活費:月 約17万〜22万円
利点:大学の選択肢が多く、アルバイト先も豊富
難点:家賃が高く、日本語を使う機会も増える
ブリスベン・アデレード・パース
生活費:月 約13万〜18万円
利点:家賃が安く、日本人が少ないので英語に集中できる
難点:アルバイトや娯楽の選択肢は限られる
月4万円の差でも、4年間では約190万円になります。加えて、地方の大学に進学する留学生を対象とした政府系の奨学金も用意されています。
学びたい分野が地方の大学にあるなら、そちらを選ぶ判断は十分に合理的です。

オーストラリアの大学を卒業した後の進路

数年と2,000万円前後をかける以上、卒業した先に何があるのかは最も大切な判断材料です。
進路は現地就職・大学院進学・日本での就職の3つに大きく分かれます。
卒業ビザで現地に残る
オーストラリアには、卒業後も一定期間滞在して働ける「Temporary Graduate visa(subclass 485)」という制度があります。
学士号以上を取得し、規定の就学期間などの条件を満たすことで申請でき、学位のレベルに応じて滞在できる期間が変わります。
※卒業ビザには年齢・英語力・就学期間などの要件があり、制度改定も頻繁に行われています。数値は目安であり、申請時点の要件は必ずオーストラリア移民局の公式サイトでご確認ください。
現地就職や将来的な永住を視野に入れるなら、政府が公表する人材不足の職業リストに関連する分野が有利です。
IT・エンジニアリング、看護・医療、会計、幼児教育などが代表格にあたります。
ただしリストは経済状況に応じて見直されるため、「今リストにあるから」だけで専攻を決めるのは危険です。
日本に帰国して就職する
日本での就職も、以前ほど不利ではなくなっています。
近年は大手人材会社が海外大学の日本人学生向けにオーストラリア現地で採用イベントを開催しており、グローバル人材の採用に積極的な企業も増えました。
注意すべきは卒業時期のずれです。オーストラリアの大学は11月〜12月卒業が一般的で、日本の新卒採用スケジュールとは合いません。
通年採用や既卒可の枠を狙う、在学中にオンラインで選考を受けるといった動き方が必要になります。
時差が最大2時間しかない点は、この場面で大きな強みになります。

オーストラリア大学留学のよくある質問
最後に、留学相談で実際によくいただく質問をまとめました。
判断に迷いやすいポイントを補足します。
※ビザの要件や就労時間の上限は改定されることがあります。最新情報はオーストラリア移民局の公式サイトでご確認ください。
オーストラリア大学留学のまとめと準備スケジュール
オーストラリアの大学は、コース開始の9〜12か月前から翌年度の出願受付を始めます。
渡航の1年半前から動き出すのが理想です。最後に、やるべきことを時系列で整理します。
1年半〜1年前|分野を決めてスコアを取る
1年次から専門が始まるため、学びたい分野を先に決めます。同時にIELTSの学習を始めてください。渡航前に基準を満たせば語学研修の1年、約360万〜460万円を省けます。
1年〜6か月前|出願して学費を払う
成績証明書・卒業(見込)証明書・公式スコアを揃えて出願します。複数校に並行して出せます。合格通知が届いたら学費を支払い、入学許可書を受け取ります。
6か月前〜直前|ビザ申請と渡航準備
入学許可書をもとに学生ビザを申請します。あわせて航空券、留学生保険、到着直後の滞在先を手配し、荷物を準備します。
この記事のまとめ
オーストラリアの大学進学は、決して手の届かない選択肢ではありません。
ただしルート選びとスコア次第で総額が数百万円変わるのも事実です。
自分の成績と予算でどのルートが現実的なのか、まずは一度整理してみてください。
夢カナ留学では、志望分野とご予算から逆算したオーダーメイドのプランを無料で作成しています。


