「イギリス」という国名は日本独自の名称であるということをご存じでしょうか。
そしてイギリスの国名を英語で言うと、「England?」と答える人が多いかもしれませんが、Englandはイギリス全体の一部であって、日本で言えば東京を含む関東地方のことを日本と言っているようなものです。
今回は意外と知られていないイギリスの正式な国名と、複数の国で成り立つ理由について迫ってみたいと思います。
イギリスってどんな国?
まずイギリスがどんな国かということを知っておきましょう。
イギリスは日本の約3分の2にあたる24.3平方キロメートルの面積に、日本の約半分にあたる7,000万人弱の人が住む国です。
日本と同じ島国で、気候は西岸海洋性気候。西岸海洋性気候は日本と同様に四季があり、緯度は北海道より北にありますが、暖流や偏西風の影響で、年間を通して気温、降水量の変化が穏やかです。
そのため、冬は同じくらいの緯度の北海道と比較すると厳しくないですが、東京よりは明らかに寒いです。また、通り雨が多く、天気も曇っている日が多いです。
イギリス留学に関わるビザの特徴にも触れてみよう
留学に関わるビザも、ほかの国と比較すると少し異なった特徴があります。
ワーホリは例年1月と7月に行われる抽選で当選した人がビザ申請の権利を得ることができます。また、ワーホリの滞在期間は1年間までという国が多いなか、イギリスは2年間滞在することが可能です。
6ヶ月未満の留学であれば事前のビザ申請は不要。その代わり、入国時に入学許可証や資金証明を提示する必要があります。
万が一入国できなかったらどうしよう、という人は「Short-term study visa(Up to 6 months)」というビザを事前申請できます。しかし、事前申請には89ポンドのビザ申請料が必要です。(入国時提示した場合は、申請料不要。)
6ヶ月を超えて11ヶ月未満の留学に関しては、「Short-term study visa(Up to 11months)」というビザが必要で、こちらは日本での事前申請が必須です。
12ヶ月以上留学する人は、「Tier4 student visa」の申請が必要で、主に大学進学や専門学校進学の際に必要なビザで、語学留学でこのビザを取得する人はいません。理由としては、申請に英語力の証明が必要だからです。仮にそれをクリアするだけの英語力があるのであれば、11ヶ月未満のShort-term study visaの期間で英語学習は十分です。
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イギリスの正式な国名って知ってる?
さて、本題に入ります。突然ですが、あなたはイギリスの正式な国名を英語で言えますか?
Englandと答えてしまいそうですね。United KingdomやGreat Britainと答えた人は惜しいですが、実際はもっともっと長い国名です。
答え:United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
(グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国)
長い!と思われた人も多いと思いますが、この長い国名になるのには歴史的な背景があります。
イギリスの国名の由来
まず国名の最初にある「United Kingdom」は「Kingdom(王国)」が「United(連合)」したという意味。王国が連合したので、「United Kingdom」です。
その連合した王国はどこなのか?と言いますと「Great Britain(グレートブリテン)」と「 Northern Ireland(北アイルランド)」です。
まず1707年当時のイングランド王国とスコットランド王国が合併し、「Kingdom of Great Britain(グレートブリテン王国)」が誕生しました。
1801年にグレートブリテン王国とアイルランド王国が合併し、「United Kingdom of Great Britain and Ireland(グレートブリテン及びアイルランド連合王国)」が誕生します。
1927年にアイルランド共和国が独立。北アイルランドは連合王国に残ることになり、「United Kingdom of Great Britain and Ireland」の国名にNorth(北)がつき、現在の「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国)」になりました。
歴史上の複雑な事情から現在の国名になっています。この歴史を紐解くと、いくつかの国の連合であることが分かりますが、結局いくつの国が連合しているのでしょうか?
世界的にも珍しい!4つで1つの国イギリス
イギリスは4つの国の連合で1つのイギリスという国になっています。以下その4つの国と首都になります。
イギリスの正式名称:United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland
<4つの連合国と首都>
1.England(イングランド) 首都:ロンドン
2.Wales(ウェールズ) 首都:カーディフ
3.Scotland(スコットランド) 首都:エディンバラ
4.Northern Ireland(北アイルランド)首都:ベルファスト
1〜3がGreat Britain、4がNorthern Irelandのことで、その4つの国の連合国がイギリスです。
私たちが普段使っている「イギリス」という国名は、4つの連合国のうちのひとつ「England(イングランド)」からきています。
イングランドにはイギリスを代表する都市ロンドンがあるため、イングランドという4つの国のうちの1つを、イギリス全土を指すように使っていますが、日本で例えると、東京のある関東地方を日本と言っているのと同じ意味になります。
「England(イングランド)」を国全体のことで使ってしまうと、正式に言うとほかの連合国にとって失礼な表現になります。正式な場面でイギリスの略称を使う時は、「Britain(ブリテン)」と使うとイギリス国全体を指しますので覚えておくと良いでしょう。
また、「イギリス人」全体を指す英語もBritainから派生した「Britsh(ブリティッシュ)」を用います。
それぞれの国に合わせたい場合、各国の呼び名は以下の通りです。
・England(イングランド) English(イングリッシュ)
・Wales(ウェールズ) Welsh(ウェルシュ)
・Scotland(スコットランド) Scottish(スコティッシュ)
・Northern Ireland(北アイルランド)Irish(アイリッシュ)
ちなみにアイルランドと北アイルランドは正式には別の国(北アイルランドはイギリスの連合国の一つ)ですが、どちらの国も自国民をIrish(アイリッシュ)と呼びます。
4つの連合国はすべて同じ英語なの?
イギリスが4つの連合国から成り立つことが分かりましたが、4つの国すべてが同じ言語(英語)を話しているのでしょうか?
答えはYES。当然と言えば当然ですが、イギリス全土で話される言語はすべて英語です。
しかし、地域(国)によって独特のなまりがあり、私たちがなまりのない英語と言っているブリティッシュイングリッシュ(英国英語)はその名の通り、ロンドンのあるイングランドの英語になります。
地域ごとに話される英語は以下のように分かれます。
・England(イングランド) English English(イングランド英語)
・Wales(ウェールズ) Welsh English(ウェールズ英語)
・Scotland(スコットランド) Scottish English(スコットランド英語)
・Northern Ireland(北アイルランド)Irish English(アイルランド英語)
言語が違うわけではなく、イントネーションと地域の違いから分けています。日本で言うと東北弁や関西弁みたいな感じですね。
まさに日本の地域のようなものなので、日本で言う標準語のイントネーションを学びたいのであれば、日本では東京にあたるロンドン、地域はイングランドが良いということが分かります。
まとめ
イギリスの正式な国名と歴史に基づく名前の由来、そして4つの国の連合で成り立っていることをお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
大変複雑な内容もありましたので、以下に内容をまとめます。
<イギリスの国名にまつわるお話のまとめ>
・「イギリス」は日本が独自に表現した国名で、実は4つの連合国のうちのひとつ「イングランド」のみを指している
・日本で言うイギリスは、正式には「イングランド」「ウェールズ」「スコットランド」「北アイルランド」の4つの連合国で成り立っている
・「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland(グレート・ブリテン及び北アイルランド連合王国)」がイギリスの正式国名。
<正式国名としてよく間違えられる>
△United Kingdom △UK △Great Britain ×England
※略称としては正しい場合もあるが、Englandは明らかに間違い
・イギリス人全体を指す英語は「British(ブリティッシュ)」
・「北アイルランド」と「アイルランド」は別の国だが、アイルランド人を指す英語は同じ「Irish(アイリッシュ)」
本記事を通してイギリスの正式国名の由来・歴史を知り、よりイギリスという国に興味を持っていただけたらうれしい限りです。