語学の勉強・異文化体験・自己啓発のために海外留学をする人は年々増加していて、学生だけでなく社会人でも会社を退職して留学へ挑戦する人が増えています。
ここ1~2年は新型コロナのため、海外留学者は減少していますが、コロナが落ち着いたら「待ってました!」とばかりに、また留学希望者は増加するはずです。
そんな留学でみなさんが気になることが「留学資金の準備」だと思います。数週間の留学でも数十万円、長期になれば数百万円もの資金が必要になるので、「留学に行きたいけど費用が…」と諦めてしまう人もいるんですよね。
留学資金を事前に準備して留学をスタートできるに越したことはないですが、「タイミングを逃したくない、早く行きたい!」という人には【留学ローン】を利用するという方法もあります。
今回はそんな留学ローンの仕組みや注意点について分かりやすく解説していきます。
奨学金と留学ローンについて
「ローン」と言う言葉は、馴染みがない人からすると「手を出しにくいもの」「怖いもの」というイメージを持っているかもしれません。
しかし、私達の周りには多くの「ローン」が存在します。家を買うときには「住宅ローン」、車を買うときには「カーローン」など、実は利用している人はたくさんいますからね。安心してください。
留学ローンは「教育ローン」の1つで低金利のローンも存在します。
奨学金とは
進学するときには「ローン」という言葉よりも「奨学金」の方をよく耳にするかと思います。奨学金とは、進学にあたって家庭の事情を含む経済的に余裕がない人が、国から一時的にお金を借りられるという制度です。
大学や専門学校へ進学するときに奨学金を利用すると、進学に必要な金銭的サポートを受けられます。奨学金は本人が借りて、社会人になってから本人が返済すというのが特徴です。
奨学金には「給付型」「貸与型」の2種類があり、給付型は返済の義務はありません。お金を返さなくていいなんて、とてもありがたいシステムですよね!
一方の貸与型は返済しなくてはいけないのですが、「無利子」「有利子」の2パターンがあります。
つまり奨学金利用者からすると、①給付型奨学金②貸与型奨学金(無利子)③貸与型奨学金(有利子)の順が負担が軽く済むというわけです。
留学ローンとは
留学ローンは、教育ローンの一種であり「留学に必要な資金をまかなうために国からお金を借りる」という制度です。留学ローンは奨学金と違って、返済の義務が必ずあるのでご注意を。
さらに留学ローンは、お金を借りたら「金利」が発生するので、その金利を含めた金額を返済しなければなりません。借りられる金額や金利率は、金融機関によってもさまざまです。しっかりと各社の条件をチェックして借りるところを決めましょう。
奨学金と違って留学ローンは留学する人の親や親族、保護者名義でお金を借りて、返済します。また、留学ローンには「公的ローン」と「民間ローン」の2種類があるので、それぞれの特徴をみていきましょう。
①公的ローン
日本政策金融公庫による、教育一般貸付:通称【国の教育ローン】という名前でよく知られています。
大きな特徴はこちらの3点です。
- 固定金利(1.65%)
- 無担保
- 長期返済可能
金利は固定金利なので、返済完了まで一定の金利です。金利が変動しないため計画的に返済していけますね。また、母子家庭や父子家庭といった家庭状況に応じて「金利・返済期間・保証料の優遇」を受けられるのも助かります。
融資限度額は、進学・在学する子供1人あたり350万円ですが、一定の要件に該当する場合は最大450万円まで可能です。国内・海外の学校への進学にも幅広く対応しているので、留学目的で融資を受けることもできます。返済期間は最長15年と長いのも特徴です。
②民間ローン
銀行・信用金庫・ろうきん・JA・カードローン会社などの複数の会社が提供しているローンです。
- 融資限度額が大きい
- 留学費用全般に利用できることが多い
- 金利は「固定金利」「変動金利」などから選ぶ
民間ローンは国の教育ローンに比べて融資限度額が大きく、各金融機関によってその額も様々です。また、金利は返済完了まで一定の「固定金利」のほか、そのときによって金利が変わる「変動金利」のところもあり、返済計画をしっかりと立てておかないと、後々苦労することもあります。
また一部の留学ローンは、「学費に利用するのはいいが現地での滞在費や生活費に利用することはできない」という条件を設けているところもあります。しかし民間ローンは留学費全般に利用できることが多くなっています。
ただし、民間ローンは公的ローンよりも金利が高めに設定されているので、トータルの返済金額が高額になる場合もあります。利用の際は数社のローンを検討をしてからにしましょう。
おすすめの留学ローン
それでは、「利用するならここがおすすめ!」という留学ローンを3つご紹介します。
①日本政策金融公庫「国の教育ローン」
【おすすめポイント】
- 低金利(1.65%)
- 一定要件を満たせば最高450万円まで融資可能
- 最長15年という返済期間
- 6ヶ月以上(一部3ヶ月以上)の留学から利用可能
何といっても低金利で安心して利用できます。また固定金利のため、その時によって金利が上がったり下がったりすることがないので、返済計画が立てやすいのも魅力です。
在学期間は利息のみの返済も可能で、在学中の負担も軽減できます。家庭環境によっても色々な優遇が受けられるので、奨学金が受けられない場合はまず、国の教育ローンを検討してみるのがおすすめです。
②労働金庫(ろうきん)
【おすすめポイント】
- 融資限度額1,000万円
- 固定金利
- 最長20年の返済期間
- 6ヶ月以上の留学の渡航費や滞在費にも利用可能
労働組合・生活協同組合に所属している人は、労金の教育ローンで融資を受けることができます。
ただし労金の場合は、地域によってローン内容が変わるので、申し込む地域の労金で必ず確認してくださいね。
返済期間は20年と長く、大変余裕をもって設定されています。融資金額も最大1,000万円と大きく、金利も固定金利で3%前後なので利用しやすい留学ローンです。
③みずほ銀行
【おすすめポイント】
- 金利は固定金利、変動金利を選べる
- 融資限度額300万円
- 返済期間は最長10年
- 学費以外にも利用可能
金利は固定・変動を選べて、固定なら4.15%・変動なら3.475%(2021年12月時点)となっています。また、学校に納入する学費以外に幅広く利用可能で、渡航費や教材費、留学仲介業者へ支払う費用にも使えます。
参考:日本政策金融公庫
参考:ろうきん
参考:みずほ銀行
留学にかかる費用とは
ひと言で「留学費用」と言っても、学校へ支払う学費だけではありません。現地での滞在費や生活費も必要ですよね。次は留学にかかる費用についてご説明します。
①学費
入学金・授業料・教材費が「学費」と呼ばれます。留学先の学校によってその金額に差があります。ワーホリで海外に行く場合は、必ず学校に通うとは限らないので不要な場合もありますが、学業のために留学する場合は必ず必要な費用です。
②滞在費
家賃(寮・ホームステイ・シェアハウス・アパート)に必要な費用で、滞在方法によっても大きく変わります。
長期留学の場合は自分で滞在先を選べたり、途中で変更することも可能。最初の数ヶ月はホームステイで途中からシェアハウスという学生も多いですよ。
③渡航費
航空券・パスポート・海外保険などの諸手続きにかかる費用で、留学前に必要となるものがメインです。
また、国によっては留学前の健康診断書の提出を求められることもあるので、その際の費用も必要となります。
④生活費
食費・交際費や小遣いにかかる費用です。食費は滞在先によって「滞在費」に含まれることもありますが、シェアハウスやアパート滞在なら別に必要となります。できるだけ自炊して外食を避ければ、食費を抑えることができますが、たまには友人と遊びや旅行を楽しみたいと思いますよね。
あまり節約しすぎると、楽しい留学生活が送れないので、ある程度の交際費は用意しておく必要があります。ケチケチした留学生活では良い思い出もつくれませんからね。
留学ローンを借りるときの注意点!
留学ローンの存在は大変ありがたいのですが、「貸してくれるから借りよう」という軽い気持ちで借りてしまうと、後々返済に追われて大変なことになります。
利息の高いところで借りると、留学中にどんどん返済金が増えてしまいます。留学ローンを借りるときの注意点を理解しておいてくださいね。
◆ローンを返済できる見込みはあるのか
留学が終わって帰国した後は、決められた期間内にローンを返済しないといけないので、返せない金額は借りてはダメ!また、「多分返せるはず」「何とかなるだろう」という考えも危険ですよ。
返済が難しいのなら、頑張って奨学金の給付型を受け取れるように努力するほうが良いでしょう。ただ、奨学金は留学ローンよりも審査が厳しく、優秀な成績を求められることが多いので、努力が必要です。
◆借りた金額で留学費をまかなえるのか
留学ローンという名前ですが、「学費のみ利用OK」という場合もあり、何も考えずにお金を使っていると痛い目をみることになります。
必ず留学ローンの申し込み前に「どの範囲まで利用できるのか」を確認して、借りたお金で留学費用をまかなえるのかを考えましょう。たとえば航空券代や海外保険代には利用できないという規定があると、ローンのお金とは別に自分で資金を貯める必要がでてきてしまいますからね。
◆社会人は退職すると利用が厳しくなる
学生の留学だけではなく、社会人の留学でも留学ローンを組むことができます。会社を休職して留学に行く場合は、帰国後に返済できる見込みがあるのでいいですが、退職して留学に行く場合は返済の見込みがないため、本人名義では借りられません。親や親族にローンを組んでもらうことになるので、その点もしっかり頭に入れておきましょう。
まとめ
留学にかかるお金は数十万~数百万円と、かなりの金額が必要です。多くの人がすぐに貯められる金額ではないので、留学を延期する人も多く、その結果タイミングを逃して留学に行けないということもあります。
そんなチャンスを逃さないように、教育・留学ローンがあるので、本気で留学をしたい人は積極的に利用してみてください。人生は一度きりですからね。
ただ今後のことも考えて、あくまでも返済できる金額に留め、帰国後の返済計画もしっかり立てて借りるようにしましょう。ぜひ留学先で貴重な経験をたくさんしてきてくださいね!