- 「Lesbian(レズビアン:女性同性愛者)]
- 「Gay(ゲイ:男性同性愛者)」
- 「Bisexual(バイセクシャル:両性愛者)」
- 「Transgender(トランスジェンダー:性同一性障害者)」の頭文字をとり、性的少数 者の人々を指した総称です。
- 「Intersex(インターセックス:男性・女性の区別がつきにくい人)」
- 「Questioning(クェスチョニング:セクシャリティに疑問を持っていて確信が持てな い人)」
- 「Queer(クイア:カテゴライズされる意味に疑問を抱いている人・セクシャルマイノ リティーの総称」
- 「Asexual(アセクシャル:性的欲望を持たない人)」
LGBTの人口:アメリカ
LGBTの先進国とも呼ばれているアメリカ。2018年のアンケート調査によるとアメリカでは人 口の4.5%がセクシャルマイノリティーという結果が出ました。この数字は年々増えていること から「隠れLGBT」が年々カミングアウトしていると捉えることもできます。この「隠れLGBT」が一定数いることから実質人口の10%近くはセクシャルマイノリティーだと考えられ、世の中にいる左利きやAB型の人口と一緒ぐらいだと考えられます。LGBTは私たちが思っているより意外ともっと身近な存在なんです。
LGBT:学校での取り組み
アメリカでは年々LGBTへの理解や認知度が進んできているのに伴って、LGBTに配慮した環境 改善に力を入れている学校や自治体がたくさん増えてきています。学校に通う学生が相談しや すく、安心して学業に専念し、周りの学生にも自然に理解や認識を深めてもらえるよう、色々 な工夫が行われています。2016年の Human Rights Watch(ヒューマン・ライツ・ウォッチ)の被告書にはLGBTの生徒たちが受けた様々なイジメや差別の実態が綴られています。これを受けて、アメリカのジョージ ア州では、Pride School (プライドスクールア・アトランタ)を設立しました。この学校では LGBTも含めたセクシャルマイノリティーの学生、家族、教育者などが安全で楽しく、のびの びと学業に励める環境を提供することを目的にしています。
2017年にはカリフォルニア州教育委員会が、中学校までの教科書にLGBTの歴史に関しての内容を含める事を認めた上で、LGBTの歴史に関した内容を含んでいない教科書の使用を禁止しました。これはアメリカの50ある州の中では初の企みです。
大学などでは2000年代前半からLGBT社会の受け入れ方の一つとしてキャンパス内にGender Free Restroom(ジェンダーフリートイレ)・Gender Neutral Bathroom(ジェンダーニュートラルバスルーム)などが設けられています。トランスジェンダーやXジェンダーの方にとっては自身が望む性別で活動するというのが一番の望みであり、大きな課題でもあるのです。色々とあるハードルの中でトランスジェンダーの方にとって一番の課題とも言えるのが公共トイレ利用。その理由として「周りの視線が気になる」、「誰かがいるととにかく気まずい」、「痴 漢・変質者と思われるのか不安」など、他の利用者との関係性によって不安やストレスを抱え る事が多いのです。
通常トイレとは女性用・男性用と分けられている為、特に問題なのは見た目の性別が典型的な女性・男性に分けられない場合や見た目と心が異なるトランスジェンダーの場合です。学生である以上、金全面や家庭の事情でまだ完全に自治ともに認めるほど、望んでいる性別に移行できていない場合が多い事から、大学などでこういった取り組みが行われている事により、より多くの人が素直に、自分らしく生きれる事に繋がる事が望まれます。
LGBTフレンドリー?unフレンドリー?
オバマ前大統領のもとで同性婚が認められ、メディアでも数多くのLGBTが活躍するように なってきたアメリカですが、全米がLGBTをウェルカムしているとは言い難い。「自然ではな い」、「キリスト教の教えに反する」、「同性愛は感染する」など様々な理由で反対する意見 を持った方はまだ存在します。そんな中で今回はニューヨークタイムズや調査会社ギャラップ によるアンケート調査のもと、LGBTの方が最も住みやすいアメリカの州を取り上げていきた いと思います。1. California(カリフォルニア州)
言わずと知れたLGBTの聖地!北はサンフランシスコから南はロサンゼルスまで、アメリカ国内でも比較的リベラルな考え方を持った方が多くいます。サンフランシスコはアメリカでLGBTの人口が最も多い歴史的な地区です。昔から行動主義の拠点として知られており、LGBTコミュニティーが安心して交流し、暮らせる聖域です。ロサンゼルスではLGBTに特化したアートミュージアムや歴史博物館などがありLGBTに関しての貴重な歴史や文化の資料が集結されています。その他にも、1974年から毎年6月に行われているLA! Pride Music Festival and Parade(LA!プライド・ミュージックアンドパレード)もあります。LGBTの方が楽しめて、街をあげてダイバーシティを祝福できるよう、様々な取り組みが行われているのです。2. Oregon, Portlan(オレゴン州・ポートランド)
サンフランシスコに次いで2番目にLGBTの移住者が多いポートランド! ポートランドでは全米屈指のプライドパレードが開催されており、 フレンドリーで寛容なポートランド市民も参加し、皆で盛大にお祝いするお祭りです。その他にもたくさんのゲイ・レズビアンのクラブやLGBTの方がオー プンに働いてるショップやレストランなどもたくさんあり、LGBTが過ごしやすく、働 きやすい環境となっています。3. New York(ニューヨーク州)
The Stonewall Riot (ストーンウォールの反乱)の暴動をご存知でしょうか? 1969年にニューヨークにある「ストーンウォール・イン」でセクシャルマイノリティーの人達が 警察に不当に強制捜査を受けた暴動の事を指します。 この暴動はアメリカのセクシャルマイノリティの解放運動に繋がらる最も重要な事件と みなされ、LGBTの権利確立の助けとなったと言われています。この事件をきっかけに 「Heritage of Pride (ヘリテージ・オブ・プライド)」活動が始まり、LGBTが権利を 主張する運動としてゲイパレードが開催されるようになりました。LGBTアンフレンドリー
上記の通りアメリカといえどもLGBTに対してネガティブな考え方を持った国民もまだ存在し ます。そこで、LGBTの方が最も住みにくいと感じる、保守的な考えを持った方が多い州を取 り上げていきたいと思います。1. Mississippi (ミシシッピ州)
2016年に「反LGBT法」が成立したミシシッピ州はアメリカ屈指の保守主義な 州として知られています。この法案により、ミシシッピ州内の事業者がLGBTへの サービスの提供を拒否できるようになりました。フィル・ブライアント 氏(ミシシッピ州知事)によると、この法案は個人の宗教的考えや、道徳的信条を差別 から守る為の法律として成立したものと語っております。しかし、この法案により差別 が合法化されたとの考えもあり、アメリカ国内では賛否両論となっています。2. Alabama(アラバマ州)
ミシシッピに次”No Promo Homo”を掲げているアラバマ州。 ”No Promo Homo”(ノープロモ・ホモ)とはLGBTの方を明示的に保護するいじめ や差別禁止法などは存在しないという法案です。これによってアラバマなどの州ではあ からさまないじめや、先生による差別的発言などが許され、頻繁に学校内や社内のいじ めに加えレストランやショップなどでもサービスの拒否などが行なわれたりします。こ れにより、LGBTの方は孤立し、排除されたという認識の下、居場所がなくなったと感 じている事がよくあります。3. Texas(テキサス州)
テキサス州もまたLGBTに対しての差別禁止法などが存在しません。そのため、性的指向や性同一性障害といったことに基づき、LGBTを理由に雇用契約を結ばなかったり、契約解除する事も法律上認められています。雇用契約問題以外にも、同性愛カップルの赤ちゃんに対しての差別など、LGBTへの逆風は強いです。LGBT先進国のアメリカでもなお、LGBTを含むセクシャルマイノリティーに対する差別や偏見は存在します。宗教や文化といった乗り越えないといけない壁が立ちはだる中、セクシャルマイノリティーの方が世界のどこへ行っても平等で安心・安全に過ごせる世の中になるにはまだ 時間がかかりそうです。
しかし、LGBTに対しての認識が広がり、理解が進みつつあると言うのも現状です。州によっては同性結婚や盛大なLGBTパレードなどでLGBTを認め、祝福する機会も増えてきています。人々の性的指向や考え方に関わらず、一人一人が平等とは何か、自由とは何かと考えてみる時代にきたのかもしれません。