日本でも2020年に教育改革があり、幼少期から始める外国語教育としてボーディングスクールという言葉がにわかに注目を集め始めています。
しかし、ボーディングスクールは日本ではまだまだ一般的ではなく、言葉は知っていても、その特徴はあまり知られていません。
今回はボーディングスクールの特徴、メリット、デメリット、そして費用や入学条件などについて詳しくお伝えします。
ボーディングスクールとは?
ボーディングスクールとしてもっともイメージしやすいのは大ヒット映画ハリーポッターです。ハリーポッターの主人公たちも在籍していた全寮制の教育機関はイギリスのボーディングスクールが舞台になっています。
また、イギリスといえばウィリアム皇太子の長男、ジョージ王子も3歳でボーディングスクールに入学しています。
そもそもボーディングスクールとは何かというと、基本的に「全寮制の学校」のことを指しています。
イギリスが起源とされ、スイス・イギリス・ドイツ・アメリカ、最近では日本を含むアジア圏など世界各国で3歳前後から18歳までの子どもたちが学んでいます。
24時間体制で友人や教師達と関わりながら人間性を磨くので、勉強だけではなく、高い教養や社交界で必要な知識なども身につけられるといわれています。
日本でいえばインターナショナルスクールを全寮制にした形がイメージに近いと思います。インターナショナルスクールは会話が英語ですが、それが全寮制になるため、小さな頃から通わせたら必然的にネイティブレベルの英語力になります。
規則や礼儀、道徳心などの生活態度、コミュニケーション能力、社会適応能力などさまざまな能力を身につけられるようにスケジュールやカリキュラムが組まれています。
その分費用は高く、通学している子の家庭はほぼ富裕層になります。
ボーディングスクールの4つのメリット
ボーディングスクールにはメリットとデメリットがあります。まずはボーディングスクールのメリットから見てみましょう。
メリット① 異文化対応力が身につく
ボーディングスクールには世界各国から生徒が集まります。生まれた国も育ってきた環境も肌の色も違う同年代と過ごす時間で、子供たちは飛躍的に異文化対応力を身につけていきます。
メリット② 英語力やプレゼンテーション能力が身につく
ボーディングスクールの普段の会話はすべて英語です。しかも全寮制のため、必然的に英語力がつきます。
また、英語力がつくだけではなく、英語で自分の意見を伝えるプレゼンテーション能力も自然と身に付きます。
日本では周りに合わせる教育を受けることが多いですが、ボーディングスクールではプレゼンテーションの時間もあり、自分の意見を言うのが普通の環境なので、自然と身につく能力のひとつとなります。
メリット③ 多様性に富んだ能力が養われる
ボーディングスクールでは24時間体制で大人である教師が関わり、さまざまな能力を伸ばせるようにスケジュールやプランが組まれてあります。
学年にもよりますが、朝7時には朝食、夜23時には消灯と規則正しい生活をさせ、自主性をもってもらうための自習の時間や、コミュニケーション能力を養うアクティビティの時間やクラブ活動、メンターと呼ばれる上級生のサポートなど管理体制がしっかりしています。
このような環境で養われる能力は非常に多様性に富んでいます。
≪ボーディングスクールで養われる能力≫
- 道徳心
- 礼儀作法
- コミュニケーション力
- 寛容さ
- 忍耐力
- 交渉力
- 創造力など
メリット④ 一生の友人ができる
一生の友人に出会うというのはボーディングスクールに限ったことではないのですが、ボーディングスクールは全寮制のため、ともに過ごす時間も長く、濃い時間を過ごすことになりますので、さらにお互いをよく理解した一生の友人を作ることができます。
ボーディングスクールの3つのデメリット
次にボーディングスクールのデメリットについてお伝えします。
デメリット① 費用が高い
全寮制かつインターナショナルな環境ということもあり、必然的に費用は高くなります。詳しい費用に関してはこの後お伝えしますが、たとえばイギリスでは1年間で500万円以上。
相当に恵まれた家庭でなければボーディングスクールに通わせるというのは容易ではありません。
最近は日本でもボーディングスクールがありますので、海外は厳しいという人は、日本でのボーディングスクール入学を検討してみてもよいかもしれません。
デメリット② ホームシックになっても簡単には帰国できない
周りで大人が一緒に生活しているとはいえ、子供が親元を離れて生活するというのは想像以上のストレスがかかっています。海外のボーディングスクールに通わせた場合、仮に子供がホームシックになったとしても、簡単に帰国することはできません。
子供を預けても安心な環境か、子供の気持ちは大丈夫か、強い意思をもって入学させられるか、などしっかり考えたうえで検討する必要があります。
デメリット③ 高い英語力や学力が必要
ボーディングスクールに入ると生活はすべて英語になります。英語がまったく話せない子供が入学することはできません。
そのため、入学時は高い英語力がないと入学することはできません。また、学校や学年によっては、それに加えて高い学力も求められます。
ボーディングスクールの費用
ボーディングスクールは世界中にあり、国によっても費用の相場は変わってきます。とはいえ、一般的な日本の学校と比較すれば、どの国に行ったとしても高額ではあります。
以下、ボーディングスクールの費用目安です。
≪ボーディングスクール費用目安≫(学費、寮費、食費、渡航費、雑費等含む総額)
- イギリス :500~700万円
- スイス :1,000~1,200万円
- アメリカ :500~600万円
- マレーシア :300~450万円
- 日本 :400~500万円
スイスが圧倒的に高く、1,000万円を超えることがざらにあります。日本を含むアジア圏はほかの諸外国に比べると安くなります。アジアだから教育レベルが低いというわけではなく、純粋に物価の差によるものですので、費用的な部分で日本を含むアジア圏を選択肢にいれてもよいでしょう。
安いとはいえ一般的な学校に比べるとかなり高いですので、学校選択に関してはサポート体制等も比較したうえで慎重にご検討ください。
ボーディングスクールの入学条件
ボーディングスクールでは例外なく入学条件に英語力が求められます。
たとえば中学3年生の場合、最低でもTOEFL90点以上。これは英検でいえば1級レベル。TOEICでは800点以上になりますので、相当に高い英語力を求められると思っておいたほうがよいでしょう。
それに加え、学校での学力も求められ、生活態度が問題なかったかもチェックされます。そのため、入学願書以外にも在学していた学校の英文成績証明書、推薦状などを提出し、まずは書類審査をパスする必要があります。
書類審査をパスしたら面接になりますが、当然英語になります。その際に、筆記テストや知能テストが行われる場合もありますので、面接だけと思わずに事前にチェックするようにしましょう。
ボーディングスクール体験でサマーキャンプという選択もあり
ボーディングスクールにはすごく興味があるけれど、いきなり親元を離れさせるのは不安だったり、費用的に厳しいという場合はサマーキャンプという選択肢もあります。
サマーキャンプとは語学学校が夏の短期間で行う全寮制の語学研修プログラムです。世界中から同年代の子供たちが集まり、疑似的なボーディングスクール体験をすることができます。
アメリカ、イギリス、カナダの語学学校が積極的に行っており、5歳〜参加可能です。
期間も1週間〜参加可能で、費用は約20万円〜(学費、寮費、食費込。渡航費除く)。
英語力や学力などの入学条件もありません。
1週間で渡航費含まず20万円は高く感じるかもしれませんが、ボーディングスクールと比較するとかなりお安く、現実的な予算です。ボーディングスクールのお試し留学として検討してみるのもありだと思います。
まとめ
ボーディングスクールの特徴についてお話しましたが、いかがでしたでしょうか。何となく漠然としていたイメージがクリアになったと思います。
ボーディングスクールは日本を含め世界中にあり、費用はけして安くありません。しかし、得られるものは多く、子供たちにとって一生の財産になることは間違いありません。
費用だけでなく、入学条件もあり、そう簡単に入学させられるわけではありませんが、ぜひ本記事を参考に、ボーディングスクールを検討してみてください。
また、サマーキャンプであれば費用面が安いだけでなく、英語力の規定もなく、期間も1週間から参加できるので、お試しとして留学させてみるのもよいかもしれません。
本記事でボーディングスクールに興味をもった人は、ぜひ進学の選択肢にボーディングスクールを加えてみてください!