語学力を上げたい、海外で生活してみたい、と考えたときに選択肢の一つとして「ワーキングホリデー(ワーホリ)」があります。しかし、ワーキングホリデーの制度は誰でも利用できるわけではなく、年齢・国・期間に制限があるのです。ワーキングホリデーの利用条件や留学との違い、メリット・デメリットを紹介します。
目次
- ワーキングホリデーとは
- ワーキングホリデー・ビザを取る資格
- ワーキングホリデーと留学の違いは?
- ワーキングホリデーのメリット・デメリット
- ワーキングホリデーにかかる費用
- ワーキングホリデーはどんな人におすすめ?
- まとめ
ワーキングホリデーとは
ワーキングホリデー(ワーホリ)は、1980年に日本とオーストラリア間でワーキングホリデー協定が結ばれたことから始まります。1985年にニュージーランド、1986年にカナダ、1999年に韓国と続き、現在では20の国・地域が加わっています。 現在の協定国は下記のとおりです。
ワーキングホリデー協定国 ※()内は年間発給枠
・オーストラリア:1980年~(無)
・ニュージーランド:1985年~(無)
・カナダ:1986年~(各々6,500)
・韓国:1999年~(各々10,000)
・フランス:2000年~(各々1,500)
・ドイツ:2000年~(無)
・英国:2001年~(各々1,000)
・アイルランド:2007年~(各々400)
・デンマーク:2007年~(無)
・台湾:2009年~(各々5,000)
・香港:2010年~(各々1,500)
・ノルウェー:2013年~(無)
・ポルトガル:2015年~(無)
・ポーランド:2015年~(各々500)
・スロバキア:2016年~(各々400)
・オーストリア:2016年~(各々200)
・ハンガリー:2017年~(各々200)
・スペイン:2017年~(各々500)
・アルゼンチン:2017年~(各々200)
・チリ:2018年~(各々200)
参照:外務省「ワーキングホリデー制度」
ワーキングホリデーの特徴は、現地での1年間の滞在と働くことが認められていることです。(「働く」ことは、あくまで滞在費や旅行費用を補うためです)。もちろん、語学力向上のために語学学校に通うこともできます。
つまり、ワーキングホリデーは「学ぶ」「遊ぶ」「働く」を同時に叶えることのできる制度なのです。その目的は語学力の向上、専門知識の習得、見聞を広める、現地の生活を知る、現地の友達を作る、など人によって様々です。
平成28年(2016年)のワーキングホリデーのビザ発給数は13,958。年間1万人以上がワーキングホリデー制度を利用して海外に渡っているのです。下記は2016年の国別の発給数です。平成28年で発給数の多かった上位5国は、中国・韓国・オーストラリア・フランス・英国です。
平成28年(2016年)国別発給数
・中国(台湾):4977
・大韓民国:3818
・オーストラリア:1118
・フランス:1073
・英国:919
・ドイツ:642
・カナダ:527
・香港SAR:307
・ニュージーランド:228
・デンマーク:125
・ポーランド:85
・アイルランド:58
・ノルウェー:36
・オーストリア:23
・スロバキア:12
・ポルトガル:10
ワーキングホリデーは1つの国に対して1度しか使用することができません。ただし、複数の国での利用は可能です。そのため、18歳から30歳まで1年ごとに国を変えるのであれば最大12か国・地域にワーキングホリデーを利用していくことが可能なのです。
ワーキングホリデー・ビザを取る資格
ワーキングホリデー・ビザを取るためには下記の要件を満たす必要があります。
・年齢が18~30歳であること(オーストラリア、カナダ、韓国は18~25歳)
・独身者または子供を同伴しない既婚者
・現地で当分働かなくても生活していけるだけの資金を所持していること
・一定期間相手国・地域において主として休暇を過ごす意図を持っていること
・以前にその国・地域でワーキングホリデー・ビザを発給されたことがないこと
・健康であること
ワーキングホリデーの本質はあくまで「休暇を過ごすこと」です。現地でのアルバイトは、あくまで旅行費用などを補う程度のものであって生活のためのものではない、ということを覚えておきましょう。
仕事探しは現地で行うことが鉄則です。また、ワーキングホリデーは、導入国それぞれで年間のビザの発給枠が定められています。そのため、現地でのプランや資格を問われる場合もあります。ビザの発給に必要な要件は国・地域で多少の違いがあるので、詳細は相手国・地域の駐日外国公館等に問い合わせましょう。
ワーキングホリデーと留学の違いは?
外国に行きたい、語学力をアップしたい、となったときには留学、ワーキングホリデーが選択肢と挙げられるでしょう。では、ワーキングホリデーと留学は何が違い、どちらが良いのでしょうか?
ワーキングホリデーと留学の違いを紹介します。
種別 | ワーキングホリデー | 留学 |
目的 | 様々 | 語学力向上 |
期間 | 18~30歳まで | 制限なし |
就労 | 可能 | 原則不可 |
国 | ワーホリ制度導入国 (20か国※2018年4月現在) |
自由 (ワーホリ制度導入国かどうかは関係ない) |
大きな違いは、年齢制限の有無、行ける国の制限の有無、滞在期間の制限の有無です。留学は、年齢・国・機関に制限がないのに対して、ワーキングホリデーの場合は、年齢は18~30歳、国はワーホリ制度の導入国、期間は1年と限られています
これだけの情報を知ると、「留学のほうが自由で良さそう!」と思うかもしれません。ワーキングホリデーには、働くことができるという強みがあります。そのため、現地での生活では留学よりも行動の幅は広がるでしょう。
ワーキングホリデーと留学、それぞれの違いを理解して、目的に合った形態を選ぶようにしましょう。
ワーキングホリデーのメリット・デメリット
ワーキングホリデーにはメリットもあれば、デメリットもあります。まずはメリット・デメリットをそれぞれ紹介します。
ワーキングホリデーのメリット
自由度が高い
ワーキングホリデーは、「学ぶ」「遊ぶ」「働く」が最大の魅力です。留学は、基本的に就労は認められていません。
それに対してワーキングホリデーの場合は、語学学校に通うことも、現地国内で旅行へ行くことも、アルバイトなどで働くことも可能です。様々な体験を一気にしてしまいたい、という人には最適な制度なのです。
ただし、あくまでワーキングホリデーは「休暇」であるため就労期間や語学学校に通うためには条件があるので注意しましょう。
留学よりも現地の生活が見えやすい
留学ではたいていの場合、語学学校に通います。しかし、語学学校はネイティブの人の学校ではなくあくまで各国の留学生が集まってきているものです。そのため、少しネイティブの雰囲気は味わいにくいものです。
ワーキングホリデーの場合、現地で働くこともできます。働く場所を選べば、ネイティブの人たちの生活の中に飛び込んでいくことができるのです。
ワーキングホリデーのデメリット
年齢制限がある
ワーキングホリデーは18~30歳までの人が使える制度です。年齢に制限があるため、「資金がたまったら」などと準備期間があまりに長すぎると年齢制限にひっかかってしまうことにもなりかねません。何歳になっても使えるものではないので、計画的に準備を行う必要があります。
行ける国が限られている
2018年現在で、ワーキングホリデー制度は20か国・地域と導入しています。留学では、有力候補となりえるアメリカは残念ながらワーキングホリデーは利用できません。
行きたい国があっても、ワーキングホリデー制度を導入していない限り、ワーキングホリデーとして海外に行くことはできません。行ける国・地域の選択肢は留学と比較するとぐっと狭くなります。
目的が明確になっていない場合、就職などに不利に働く場合がある
ワーキングホリデーを利用した人にありがちな失敗例は、「1年行ったのに英語は全く上達しなかった」「結局日本人とばかりつるんでしまった」などと得るものがなく帰国するパターンです。
ワーキングホリデーの目的は千差万別です。語学力向上、専門知識の習得、海外での就職のため、海外に友達を作るため、新しい自分を見つけるため、など人によって異なるでしょう。
目的があれば、自ずと必要な行動が見えてくるはずです。逆に目的がなければ、なんとなく行って、なんとなく帰国するなんてことも…。せっかくワーキングホリデーに行っても、習得するものがなければその後の就職などには不利に働いてしまう場合もあるのです。
ワーキングホリデーの良さはなんといっても「自由度が高いこと」。
ただし、自由度が高いことは、行動次第でメリットにもデメリットにもなります。目的をもって、能動的に動かなければ、せっかく1年滞在できても結局学んだことはなく、ただの「休暇」になってしまう場合もあるでしょう。
ワーキングホリデーを実のあるものにするためには、目的をきちんと明確にすることと、その目的を果たすための行動計画を立てることが大切です。
ワーキングホリデーにかかる費用
やはり気になるのは、費用です。ワーキングホリデーにかかる費用は行く国や期間、目的によって大きく変わります。語学をしっかり学ぶとなると、語学学校に通う必要がありますので、その分費用は高くなります。
必ず必要な費用
・ビザ申請料金
・航空チケット代金
・海外留学保険
・生活費(滞在費/食費/交際費等)
目的によって必要な費用
・学費(8万円~/月※ニュージーランドの場合)
語学学校に通うとなると必要です。授業料に加え入学金も必要になるので注意しましょう。
ワーキングホリデーの場合、旅費や滞在費を補うためとして働くことも認められています。現地でアルバイトをして稼ぐことも加味して、費用の計画を立てると良いでしょう。
ワーキングホリデーはどんな人におすすめ?
ワーキングホリデーが実のあるものになるかどうかは行動次第で決まります。
単純に語学力向上が目的であれば、「留学」という形をとったほうが良いかもしれません。
「現地で働いて稼いでみたい!」「現地での生活を満喫したい!」など、留学の枠の中では実現できないことをしたい人にはとてもおすすめの制度です。
まとめ
ワーキングホリデーは、「学ぶ」「遊ぶ」「働く」を一度に叶えることができるとても魅力的な制度です。一方、きちんと目的が定まっていないとせっかくの海外生活を棒に振ることにもなりかねません。
実のあるものにするために、ワーキングホリデーの目的を定め、目的を果たすためのプランをきちんと立てることをおススメします。年制制限がある制度なので、興味のある方は、早めに一歩踏み出してみてはいかがでしょうか。