文部科学省は「トビタテ!留学JAPAN」として、若者が海外留学に踏み出すような促進キャンペーンを行っています。高校生で留学する学生数も増加してきています。若いうちの留学は、語学力はもちろん価値観など様々な事柄に対する吸収が良く、人として成長するにはとても役に立ちます。高校留学のプランや卒業後の進路、メリットやデメリットを紹介します。
目次
高校留学のプラン
高校生の留学といっても、パターンは様々です。ここでは、夏休みを利用した短期留学、日本の学校に籍を置いたままの交換留学、交換留学ではない1年間の留学、海外の学校を卒業することを目的とした長期留学の4つのパターンを紹介します。留学の目的や、高校卒業後の進路を考えたうえで最適なプランを選びましょう。
夏休みや春休みを利用した短期留学
夏休みなど長期の休みを利用した留学です。休みを利用する留学なので、期間は数日~1か月が一般的。
残念ながら短期間では語学力のアップは期待できませんが、異なる文化を持った人たちと交流することで、異文化を理解し、その後の視野を広げるきっかけになります。
短期留学には、語学研修や、サマースクール、国際交流、グループツアーなど目的に合わせた様々なプログラムがあります。
短期留学は、「旅行感覚」で行ける留学です。「海外の文化に触れてみたい」「長期留学前にまずは体験をしてみたい」「海外の友達を作りたい」という人におすすめです。
日本の学校に在籍したまま交換留学
交換留学は、留学生を日本から海外、海外から日本に派遣するプログラムです。交換留学は、海外で日本の文化を伝え、1年間の留学で得た海外の文化を持ち帰ってくるという文化交流が1番の目的です。誰でも参加ができるプログラムではなく、交換留学プログラムの選考に合格しなければ参加することはできません。
交換留学の滞在方法は通常ホームステイです。受け入れ先のホストファミリーは、ボランティアで参加者を受け入れる形になるため、滞在費は基本的にかかりません。さらに、留学先の学校は基本的には公立高校で、授業料の負担もありません。
滞在費・授業料がともに免除されるため、費用はかなり安くなりますが、その分選択肢が狭いというデメリットもあります。
日本の学校に在籍したまま1年間の留学
私費で留学するプログラムです。多くの場合、日本の学校に在籍したまま留学をします。留学先で取得した単位を日本の学校で認定するかどうかは学校によって異なりますので事前に確認すると良いでしょう。
費用は、滞在費も授業料も自費となりますので、交換留学と比較すると負担は大きくなります。その反面、滞在先や授業料は自分で選ぶことができるので選択の幅は広いことがメリットといえます。
1年間の留学が終了した後、日本の学校に復学するか現地で留学を継続するのかも自由に選ぶことも可能です。ただし、復学する場合には、学校の方針により留年となることもあります。
海外の学校を卒業することを目的とした長期留学
海外の学校に進学をして卒業を目指す留学です。中学卒業後に海外の高校へ進学するパターンと、日本の高校から海外の高校に編入をする2つのパターンがあります。
現地の高校生と一緒に授業を受けることができるレベルの語学力が必要なため、語学力が不十分の場合は事前に高校準備コースを受講する必要があります。
語学力に合わせてプログラムは変わりますが、誰でも海外の学校へ進学することは可能です。ただし、短期留学や1年間の留学と比べると覚悟と努力が必要です。
短期留学 | 交換留学 | 私費留学 | 長期留学 | |
目的 | 異文化体験 | 文化交流 | 語学力アップ 異文化体験など様々 |
海外の学校の卒業 |
語学力アップ | △ | ○ | ○ | ◎ |
期間 | 数日~1か月 | 1年間 | 1年間 | 2年~ |
かかる費用 | 準備費用 滞在費 授業料 |
準備費用 | 準備費用 滞在費 授業料 |
準備費用 滞在費 授業料 |
留年の可能性 | × | × | 〇 | ― |
高校卒業後の進路
高校卒業後の進路は、大きく分けて2パターンです。
日本の大学に進学する
日本の大学に進学する場合、きちんと大学入学資格を持っているかを確認しましょう。短期もしくは日本の学校に籍を置いたまま留学し、日本で卒業した場合には気にする必要はありません。海外の高校を卒業した場合には、日本での高校卒業資格と異なる場合があるので、事前に調べておきましょう。
海外の大学に進学する
海外の大学に進学する場合、授業に参加できるだけの語学力が必要です。高校も海外で、語学力に問題がなければスムーズに海外の大学に進学することができます。語学力が足りない場合は、大学入学前に語学学校に通って語学力を養ってから大学に入学するという流れが一般的です。
高校留学にかかる費用
高校留学では、学校に支払う費用、現地の生活で必要な費用、海外保険料、渡航費用などがかかります。
学校に支払う費用は、授業料がメインですが公立か私立かで金額は変わってきます。また、現地の生活で必要な費用も、生活スタイルが寮なのかホームステイなのかで大きく差が出てきます。
目安として、1か月程度の短期留学は30~70万円、1年間の私費留学は300~500万、卒業目的の長期留学であれば1年で300~500万なので最短3年間で900~1,500万円程度です。長期留学で、語学学校に通う準備期間が加わるとさらに費用はアップします。
なお、費用は行先の国によって、大きく変わります。かかる費用によって行先を検討してみてはいかがでしょうか。
高校生で留学するメリットとデメリット
高校生での留学は、吸収力がとても高く、語学力アップや自己成長にはとても良いとされています。しかし、その反面やはり不安なこともあるでしょう。
ここでは、高校生で留学するメリットとデメリットを紹介します。国選びや、期間選択、留学前の準備(確認事項)などの参考にしてみてはいかがでしょうか。
海外大学への進学のメリット
語学力の習得が早い
若ければ若いほど、語学力の習得は早いといわれています。もちろん留学先の過ごし方によりますが、高校生は吸収力が早いため、大学に進学してから留学するよりも短期間で語学力が身に付きやすいといわれています。
国際感覚・コミュニケーション力・自立心など語学力以外の能力を身につけやすい
高校生で海外に留学すると、様々な国籍の人と接する機会が多くなります。異文化の中で生活をしていかなければならないため、新たな文化や価値観に触れ、国際感覚やコミュニケーション力が身につきます。
また、親元を離れ、周りには頼る人も少ない状況での生活にならざるを得ないため、自立心も養うことができるでしょう。
進路の選択が広がる
高校時代に海外に興味を持つことで、卒業後の進路の選択肢が広がります。海外の大学に進学することもあれば、海外での就職などもあります。高校生で語学力をマスターしておけば、大学進学もスムーズになるでしょう。大学生になってはじめて海外の選択肢を見つけるよりも早い段階で広がった視野で将来を考えることができるでしょう。
海外大学への進学のデメリット
費用がかかる
留学に関して気になるのは費用でしょう。私費留学の場合、渡航費・生活費・授業料といった費用がかかってくるので、負担は小さくありません。海外留学のための奨学金制度も設けられています。どのような団体・制度があるのかを調べてみて、まずは応募してみると良いでしょう。
治安が心配
場所によっては治安の問題が心配です。日本と同じ感覚で過ごすと、犯罪に巻き込まれてしまう可能性もあるのです。各国・各地域の治安は留学前にきちんと調べることが大切です。さらに留学中は、危機感を持ちながら過ごすことや危険な場所にはいかないなど、日本の治安とは異なることを理解して過ごすことが安全な留学生活を過ごすことにつながります。
卒業資格が異なるため、日本で「高校卒業扱い」とならないケースも
海外で高校卒業をした場合、気になるのは日本では高校卒業資格となっているかということでしょう。
高校を卒業したといっても国によって卒業資格やカリキュラム、システムは異なります。海外の高校の卒業資格・教育プログラムによっては、日本では大学入学資格として認められていない場合も多くあります。
帰国子女枠の利用や、高等学校卒業程度認定試験で合格をすれば、大学・短大・専門学校の受験資格が与えられます。いずれにしても、留学先の教育プログラムをきちんと調べて、卒業後は日本でどのような扱いになるのかを確認しておくことをおススメします。
言わずもがなですが、海外の高校を卒業することができず、途中退学となり帰国をすると、日本の学歴は「中卒」扱いとなります。ネイティブの中で同じ授業を受けることは、日本よりも苦労は多いものです。海外の高校の卒業を目指すのは、苦労することの覚悟も必要です。
まとめ
「高校留学」といっても、短期のものから、高校卒業までなど様々です。目的が海外の生活の体験ならば短期、語学力アップならば1年、将来海外で働くことを見越しているなら卒業留学など、留学で何を得たいのかによって最適な留学の形式は異なります。
文部科学省では「トビタテ!留学JAPAN」キャンペーンとして若い人の留学を推奨しています。留学を支援する奨学金制度も様々ありますので、ぜひこのようなキャンペーンや制度を利用して高校生での留学を検討してみてはいかがでしょうか。