2023年1月時点で、日本人がワーキングホリデーとして滞在できる国は26か国あります。そのうち、英語圏の国は、オーストラリア・ニュージーランド・カナダ・イギリス・アイルランドの5か国です。ワーキングホリデーは、語学留学と異なり、現地で実際に仕事をしながら語学習得ができる若年層向けの制度です。大学生が長期休みを利用してワーキングホリデーに行き、語学を習得したり、社会人がキャリアアップのためにワーキングホリデーに行き、ビジネス英語を磨くケースも見られます。この記事では、英語圏のワーキングホリデー事情に興味がある方に向けて、各国の情報、参加条件、必要な英語力、仕事内容などについて徹底解説していきます。
ワーキングホリデーとは
ワーキングホリデーとは、各国同士(日本と他国)に住む若年層に対して、休暇目的の入国及び滞在期間中の旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度のことです。
一般的にワーキングホリデーは「他国で働ける」と認知されていますが、その国の文化や生活様式を理解する機会を与えることが目的となっています。
異文化を理解するためには、短期間の旅行では難しいということから、生活に必要な最低限の収入を得られるように就労を許可しているということです。
とはいえ、ワーキングホリデーで充実した時間を過ごせていれば、キャリアアップにつながったり、語学力の向上が期待できたり多くのメリットがあります。
そのため、単純な異文化理解のための場として以上の目的でワーキングホリデー制度を活用する若年層が多いです。
日本では、昭和55年(1980)からワーキングホリデー制度を導入していて、現在は26か国・地域と協定を結んでいて、詳しい協定国は、外務省のホームページから確認できます。
26か国・地域の中から、英語圏でワーキングホリデー制度を利用したいと考えるのであれば、次の5か国が対象となります。
- オーストラリア
- ニュージーランド
- カナダ
- イギリス
- アイルランド
コロナウイルスの蔓延によって、一時的にワーキングホリデー制度は停止している国も多く、申請すらできない状態が続いていたりします。
計画的にワーキングホリデーに参加するためにもまずは、現時点での最新情報をチェックすることが大切です。
ワーホリに行ける英語圏5か国を比較
まず、ざっくりとワーキングホリデー協定国である英語圏の5カ国の情報を比較します。
特徴 | |
オーストラリア | 難易度が低いワクチン接種済みであることが条件 |
ニュージーランド | 難易度が低い大使館が要求する入国条件を満たす必要がある |
カナダ | 難易度が高い抽選があるワクチン接種済みであればジョブオファー不要 |
イギリス | 難易度が高い抽選がある |
アイルランド | 難易度が高い条件を満たせばオンライン申請可能 |
※2023年1月時点の情報
より詳しい各国の情報をまとめました。
オーストラリア
オーストラリアは、世界中からワーキングホリデーの受け入れを積極的に行っていて、日本人にも人気な国です。
国土が広く、車の運転をしていれば、カンガルーやエミューなどの日本では見られない野生動物がのびのびと暮らしている様子が楽しめます。
基本情報
オーストラリアの基本的なビザの情報は、次のとおりです。
- 最高12ヶ月まで滞在可能
- ビザ有効期限内は出入国が何度も可能
- 1雇用主の下で最長6ヶ月まで就労可能(コロナ事情で2022年12月31日までは撤廃)
- 就労・トレーニングは最高4ヶ月まで可能
- 条件を満たせば滞在の延長が可能
年齢制限
オーストラリアのワーキングホリデー制度は、18歳〜30歳の日本国籍を保有する者が対象です。
該当する者に対して、12ヶ月間オーストラリアでの休暇と、休暇のための資金を補うための一時的な就労機会が与えられます。
要求される英語力
オーストラリアのワーキングホリデーを申請する際に、具体的な英語力を提示する義務はありませんが、中級以上の英語力があると安心です。
オーストラリアは、人間の数より羊の数が多い国として有名で、日本やアメリカのように大企業があるわけでもないため、全体的にのんびりした国民性が特徴的です。
そのため、多少英語が不自由だとしても、働きながら習得していくのに最適な環境と言えるでしょう。
また、オーストラリアは特に他国からの労働者の受け入れが積極的であるため、同じ職場には英語が母国語ではないという人も多いと予想できます。
ただし、英語力があまりにも足りないと、接客をさせてもらえず、お皿洗いなどの裏方作業に回されてしまう可能性もあるため、準備期間中に英語力を伸ばすことをおすすめします。
おすすめポイント
オーストラリアがおすすめな理由は、雄大な自然と英語力が低い人でも挑戦しやすい点が挙げられます。
日本は緑が多いですが、オーストラリアは国全体で水不足になりがちなほど乾燥地帯で砂漠に近いナチュラルアクティビティが楽しめます。
また、日本同様に島国であることからどこに行っても綺麗なビーチがあり、休日はビーチでまったり過ごすこともできるでしょう。
そして、オーストラリアは語学学校がたくさんあったり、世界中から労働者を募集していることもあり、アジア人を始めとする異国の人たちとの出会いがあります。
英語に自信はないけれどワーホリに挑戦したいという方にもおすすめです。
ニュージーランド
ニュージーランドは、オーストラリアのすぐ近くにある小さな国ですが、オーストラリア同様に日本からワーキングホリデーに行く人が多いです。
国民の大半が移民で占めていて、ヨーロッパ系が70%に続いてアジア系も多くいるため、日本人でも馴染みやすいという魅力があります。
基本情報
ニュージーランドの基本的なビザの情報は、次のとおりです。
- 最高12ヶ月まで滞在可能
- 健康であること
- 犯罪歴がないこと
- ビザ発行期間にニュージーランドを出た場合、延長申請はできない
- 条件を満たせば3ヶ月延長ができる
- ワーホリビザで学校に通えるのは6ヶ月まで
- 同一雇用主の元で働ける期間に制限なし
年齢制限
ニュージーランドのワーキングホリデー制度は、18歳〜30歳の日本国籍を保有する者が対象です。
該当する者に対して、12ヶ月間ニュージーランドでの休暇と、休暇のための資金を補うための一時的な就労機会が与えられます。
要求される英語力
ニュージーランドのワーキングホリデーを申請する際に、具体的な英語力を提示する義務はありませんが、中級以上の英語力があると安心です。
ニュージーランドは、オーストラリア同様にのんびりとした国民性を持つうえ、移民大国ですので、英語が話せない人に対して特別厳しいといった心配はありません。
英語力を伸ばすことが目的であるならば、ニュージーランドに入国した最初の6ヶ月間まで語学学校に通えるので、そこで英語の習得を試みるのも良いでしょう。
おすすめポイント
ニュージーランドのおすすめポイントは、スポーツが人気であることと多民族国家であることが挙げられます。
のんびりしているイメージの強いニュージーランド人は、アウトドアスポーツやスポーツ観戦が大好きである特徴があるため、スポーツ好きな人におすすめです。
英語が苦手でもスポーツを通して仲良くなれることもあるでしょう。
また、日本と違ってさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まっていることからアジア人であること、日本人であることで差別を受ける可能性も低いです。
カナダ
カナダは、英語とフランス語を公用語とする国で、日本人が語学学校に通ったり、ワーキングホリデーに行くエリアとして人気です。
差別が少なく、アメリカに近いけれどアメリカよりも治安が良くて安全というイメージが浸透しています。
基本情報
カナダの基本的なビザの情報は、次のとおりです。
- 最高12ヶ月まで滞在可能
- 年間6,500名の定員あり
- ワーキングホリデービザでは最高6ヶ月まで語学学校に通える
- 申請からビザ許可通知書発行まで2ヶ月かかる
年齢制限
カナダのワーキングホリデー制度は、18歳〜30歳の日本国籍を保有する者が対象です。
該当する者に対して、12ヶ月間カナダでの休暇と、休暇のための資金を補うための一時的な就労機会が与えられます。
要求される英語力
カナダのワーキングホリデーを申請する際に、具体的な英語力を提示する義務はありませんが、中級以上の英語力があると安心です。
カナダは、語学学校もたくさんあり、英語を勉強するために滞在している外国人が多いです。
また、公用語が英語とフランス語であることから、フランス語が堪能で英語が堪能ではない現地の人たちもいるため、英語を話す努力をすれば周りから理解してもらえます。
おすすめポイント
カナダのおすすめポイントは、ウィンタースポーツの充実度と英語に加えてフランス語も習得できる点です。
カナダは、雪山が多いため、冬の期間にスキーやスノーボードなどのウィンタースポーツを楽しめます。
また、公用語が英語に加えてフランス語も含まれているため、英語と一緒にフランス語を習得したい人に最適な国と言えるでしょう。
イギリス
イギリスは、日本からのワーキングホリデー申請数が圧倒的に多く、サーバーダウンしてしまうことがあるほど人気な国です。
アメリカ英語と並んでイギリス英語が世界的に認知されているため、本場の英語を学びたいというこだわりのある人が志望する傾向にあります。
基本情報
イギリスのワーキングホリデーは、もともと先着順であったのに対して、2012年からイギリスビザセンターに48時間以内にメールを送った人の中から抽選で1,000名が申請できる仕組みに変わりました。
そのため、どんなに英語が流暢に話せても、そのほかの条件を満たしていたとしても申し込みをする権利をもらうことができなければ、スタート地点に立てません。
正確な数字はわからないものの、毎年1万〜2万人ほどの応募者がいるとの噂があり、それ以上の応募者が殺到している可能性もあります。
つまり、イギリスのワーキングホリデーに申し込みができる権利を得るには、宝くじを当てるくらいの難しい確率であることが推測されています。
この難易度を理由に、悪徳業者が「ビザの取得できる方法を紹介」「100%取得可能」などの文言でサービスをしていることが見受けられます。
実際に、お金を払えば有利になるということはありませんので注意してください。
年齢制限
イギリスのワーキングホリデー制度は、18歳〜30歳の日本国籍を保有する者が対象です。
該当する者に対して、12ヶ月間イギリスでの休暇と、休暇のための資金を補うための一時的な就労機会が与えられます。
要求される英語力
イギリスのワーキングホリデーを申請する際に、具体的な英語力を提示する義務はありませんが、中級〜上級以上の英語力があると安心です。
日本では、アメリカ英語を習うため、発音やイントネーションが異なるイギリス英語は、聞き取りづらい可能性があるため、準備期間に、イギリス英語を聞いて馴染んでおくことをおすすめします。
おすすめポイント
イギリスのおすすめポイントは、本場の英語を習得できる点が挙げられます。
イギリスは、ブリティッシュイングリッシュと呼ばれる英国式の英語を話す国ですが、自国の言語に誇りを持っている人がほとんどです。
また、ロイヤルファミリーや英国ドラマを見ていても、アメリカ英語とは違った上品さが高く評価されていたりするため、そこにこだわりを持っている人におすすめします。
アイルランド
アイルランドは、あまり馴染みのない国かもしれませんが、国民が英語を話す国で、日本からの語学留学生も多くいます。
基本情報
アイルランドの基本的なビザ情報は、次のとおりです。
- 最高12ヶ月の滞在可能
- 申請時に日本に在住していること
- アイルランド滞在中、最低50万円以上の預金があること
- 犯罪歴がないこと
- 滞在期間をカバーする医療保険に加入すること
- 申請費用は13,800円(税込)
以前まではアイルランドのワーキングホリデービザを取得できる人数が400名だったのですが、2020年からは800名に増員されました。
その結果、以前よりは申請に通過する確率が高くなっています。
年齢制限
アイルランドのワーキングホリデー制度は、18歳〜30歳の日本国籍を保有する者が対象です。
該当する者に対して、12ヶ月間アイルランドでの休暇と、休暇のための資金を補うための一時的な就労機会が与えられます。
要求される英語力
アイルランドのワーキングホリデーを申請する際に、具体的な英語力を提示する義務はありませんが、中級〜上級以上の英語力があると安心です。
アイルランドで使われている英語は、イギリス英語力でこもっているような発音をするのが特徴です。
また、アイルランド人は、ネイティブ同士の会話でも聞き返すことがあるほど、話すスピードが速いことで知られています。
英語のレベルが高くても現地の人との交流で苦労する可能性があるため、準備期間にできるだけ語学に力を入れておくことをおすすめします。
おすすめポイント
アイルランドのおすすめポイントは、古代遺跡がきれいであることとホスピタリティの良さが挙げられます。
ヨーロッパの国は、日本以上に歴史的な建造物が多く残っていますが、アイルランドも芸術、文化、アートが盛んで、街中を歩いているだけで美術館に迷い込んだような気分を楽しめます。
また、ヨーロッパの国の中でも穏やかな人が多く、どこのお店に行ってもホスピタリティの高い接客を受けられるため、仕事をするにもお客さんとしてお店に行くにも日本と近い感覚でいられるでしょう。
まとめ
この記事では、日本とワーキングホリデー制度の協定をしている英語圏5か国について解説しました。
一部の国は、ビザの発行数を制限していることから申し込みをする権利を得るための抽選に参加しなくてはならないことがわかりました。
ワーキングホリデー制度には年齢制限が設けられていますので、少しでも興味のある人は、積極的に挑戦してみてください。