カナダ留学に行きたいと思った時、ほとんどの人にとって一番大きな悩みがお金のことでしょう。留学は思った以上に費用がかかるもの。行き詰まる人も多いかもしれませんが、カナダ留学には奨学金という手があります。
留学費用を奨学金で賄えたらこれほど助かることはありません。カナダ留学の夢も一気に現実感を帯びてきます。
本記事ではカナダ留学で使える奨学金の種類、条件、内容のほか、カナダ留学の奨学金を申し込む際の注意事項もまとめてお伝えします。
奨学金の2つのタイプ
カナダ留学に使える奨学金は、返済しなくてもよい「給付型」と返済義務のある「貸与型」に分かれます。
①給付型
いただいた留学費用を返済しなくてもよいのが「給付型」の奨学金です。いただいた留学費用を返さなくてよいのであれば、誰もが給付型の奨学金の方が良いと思うはずです。
しかし、給付型の奨学金は倍率が高かったり、審査基準も厳しく設けられているため、簡単に奨学金をもらうことはできません。
給付型奨学金は海外のカレッジや大学への正規留学や専門分野の研究、研修留学で募集されることが多く、語学留学が目的の給付型奨学金はそれほど多くありません。
高校生、大学生であれば文部科学省が行っている「トビタテ!留学JAPAN」であれば語学留学でも給付型の奨学金をもらえるチャンスがあります。
②貸与型
一定の金額を貸し出してもらい、将来的に返済していくタイプ。返済をすることが前提の奨学金のため、給付型と比較するとハードルが一気に下がります。無利子、有利子どちらのタイプもあり、帰国後の収入で返済できる目途がある人向けの奨学金です。
貸与型奨学金は日本学生支援機構(JASSO)が行っている貸与奨学金があります。
ワーホリが目的の場合は貸与が難しいのですが、語学学校に3ヶ月以上通学する場合「留学」と見なされ、留学費用を借りられる場合があります。留学費用を借りられる機関としては日本政策金融公庫が行っている「国の教育ローン」などがあります。
奨学金の提供元
奨学金の提供元は以下の4つに大別されます。
- 日本政府
- 日本の地方自治体
- 日本の民間団体
- カナダ政府
日本の民間団体やカナダ政府が提供しているものは英語力や留学目的などの審査基準が厳しい傾向があり、内容は正規留学や研究など専門的なものが多くなります。日本政府や日本の地方自治体が提供している奨学金の方が審査基準は低いですが、その分倍率は高くなります。
奨学金の審査で見られるもの
奨学金の種類や内容により異なりますが、主に審査で見られるのは以下の項目になります。
<奨学金審査で基準になるもの>
- 学力
- 学歴
- 年齢
- 世帯年収
- 語学力
- 留学目的
在学中の学校での成績、学歴、年齢を見られることが多く、高成績・高学歴・低年齢の方が有利とされています。また、世帯年収が高すぎると基準から外れることが多いです。
正規留学や研究などの分野で奨学金を募集することも多いため、高い語学力も求められます。また、奨学金を支給するに値する留学目的かどうか、エッセーやレポートの提出を求められる場合もあります。
給付型奨学金一覧
審査基準や倍率は高いと言われますが、チャレンジしてみる価値があるのが給付型奨学金です。以下、それぞれの提供元で行っている給付型奨学金について紹介します。
日本政府
日本政府が行う奨学金は審査基準がそれほど高くないものが多いですが、倍率が高いため、提出書類等をしっかり準備する必要があります。
トビタテ!留学JAPAN(文部科学省)
グローバル人材の育成を目標に文部科学省が2013年から官民協働で取り組んできた留学促進キャンペーン。対象者は高校生、大学生。社会人は対象外になります。
カナダ留学では一定額の留学準備金、授業料、生活費としての奨学金が返済不要で支給されます。
審査基準に英語力や学力などの基準はなく、高校生・大学生なら誰でも応募できます。審査のポイントは留学へのやる気と情熱。
14日間の短期留学から1年以内の長期留学まであり、留学目的により応募要項がいくつかあります。
日本学生支援機構/JASSO(文部科学省)
JASSOは貸与型も給付型も行っている文部科学省所管の独立行政法人です。
日本の高校生、大学生が派遣先大学等に8日以上1年以内の期間派遣するプログラム支援をする「協定派遣」、海外の学部・学位取得を支援する「学部学位取得型」、大学院卒業を目指す「大学院学位取得型」の3つの給付型奨学金と返済が必要な「貸与奨学金」があります。
審査が通りやすいのは「貸与奨学金」ですが、条件がそろえば給付型の奨学金も十分狙えますので、給付型奨学金もチェックしてみましょう。
地方自治体
各地方自治体には自治体独自の留学支援を行っている場合があり、内容、対象、審査基準などはそれぞれの自治体により異なります。
福岡県アンビシャス外国留学支援事業
例えば福岡県では「福岡県アンビシャス外国留学支援事業」という留学支援を行っています。
対象は20歳未満の福岡県の高校生。外国の大学に留学する青少年に奨学金を交付することで、福岡県の将来を担う国際的に活躍する人材の育成を目指しています。
お住まいの都道府県や市区町村で留学奨学金を行っていないか、一度調べてみると良いでしょう。
民間団体、財団
民間団体や民間企業も様々な留学奨学金制度を設けています。主に正規留学や研究留学などを目的としている留学を対象にしている場合が多いため、審査基準は高めになっています。
公益財団法人 平和中島財団
海外の大学等を希望している高校卒業以上の日本人を対象に公益財団法人平和中島財団が設けた奨学金です。高校を卒業していれば年齢や大学在籍などは求められませんので、社会人でも応募することができます。
参照:公益財団法人平和中島財団
民間団体が行っている奨学金は原則給付型になり、大学院留学や看護師などの専門的なスキル取得のための奨学金もあります。
伊藤国際教育交流財団日本人奨学金
海外の大学院の修士課程で学ぶ日本人を対象として奨学金を給付しています。年齢は29歳以下で、社会人でも応募することができます。
カナダ政府
カナダ政府が日本の留学生を対象に設けた奨学金もいくつかあります。
高円宮クィーンズ大学留学奨学金
クィーンズ大学にかつて通われていた高円宮殿下を記念して設立された奨学金です。
対象は日本の大学に在籍していて、オンタリオ州のクィーンズ大学に2年次か3年次に留学する学生というかなり狭い範囲ですが、年間350~400万円程度の支給になり、給付内容はかなり充実しています。
ヴァニエ・カナダ大学院奨学金
カナダ政府が定める大学院に留学している生徒向けの奨学金で年間最大500人のカナダ人、外国人留学生を支援しています。
大学院の社会・人文科学・自然科学・工学などの分野で優れた学術的成果をあげている人が対象になるため、ハードルは高いですが、年間最大約500万円、最長3年間という手厚い奨学金をいただくことができます。
カナダ留学で奨学金を申し込む際の注意点
カナダ留学で奨学金を申し込む際はいくつか注意しておきたい点があります。
注意点①:応募期間
奨学金のほとんどは応募期間が決まっています。応募は年に1〜2回。いつでも応募できるというわけではありませんので、カナダ留学で奨学金を使いたいと思ったら、早め早めに応募期間や応募条件をチェックしましょう。
注意点②:応募条件
奨学金には必ず応募条件があります。英語力の証明スコア、学歴、成績など。また世帯収入が高いと奨学金は不要とみなされます。
応募期間を調べると同時に応募条件に自分の状況が当てはまっているかも確認しましょう。
注意点③:返済期限、条件(貸与型奨学金)
貸与型奨学金は奨学金という名の借金です。留学という目的を達成するためにお金を借りるということを忘れずに、返済計画も立てましょう。
奨学金によっては返済期限や返済額の条件がありますので、現実的に返していける金額なのかもしっかり検討しましょう。
まとめ
奨学金について種類、条件、内容、注意点などをまとめてみましたがいかがでしたでょうか。
奨学金には給付型と貸与型があり、給付型の方が倍率や審査基準のハードルが高いことが分かりました。
しかし、せっかく奨学金を使うのであれば、難しいとは言え給付型の奨学金もチェックしてみましょう。
特に文部科学省が行っている「トビタテ!留学生JAPAN」や地方自治体が行っている奨学金は間口が広いです。高校生や大学生の方がチャンスが多いので、ぜひ条件をチェックしてみてください。
社会人であっても目的意識が高く、英語力があれば民間団体や財団が行っている奨学金やカナダ政府が行っている奨学金にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
奨学金を知っているかいないかで、あなたのカナダ留学の夢が叶うか叶わないかが大きく変わってくるかもしれません。本記事が、あなたのカナダ留学の夢を叶えるきっかけになれたらうれしく思います。