海外の大学進学や専門学校留学を目指しているときに必ず目にする英語力の条件に「IELTS」があります。日本の英語力を証明する試験としてはTOEICや英検が有名ですが、IELTSとは何が違うのでしょうか。
本記事はIELTSをはじめて受験する初心者向けにIELTSとは何か、ということからはじめてのIELTSで目標達成するための対策、勉強法を紹介します。
IELTSとは?
IELTS(アイエルツ)は英語力を測るための英語検定です。
英語検定で有名なものではTOEIC、英検があり、IELTSは日本ではまだマイナーに感じる人もいるかもしれません。
しかし、国際的な認知度はIELTSのほうが高く、海外の大学進学や専門学校入学の基準として使用され、アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、イギリス、アイルランドなど海外の留学主要国のほとんどがIELTSを英語力判定基準としています。
また、IELTSは海外留学で使用する英語検定というイメージがありますが、最近では日本の大学受験の英語検定のひとつにもなっています。
IELTSの2つのタイプ
IELTSは、その目的により2つのタイプに分類されます。
・アカデミック・モジュール・・・高校、大学、専門学校などのアカデミック(学術的)な英語力を測る際に使用する
・ジェネラル・トレーニング・モジュール・・・ワークビザや永住ビザなどの就職や移住の際に使用する
一般的にはジェネラルよりもアカデミックのほうが点数はとりづらいと言われています。
IELTSの4つの出題パート
IELTSは「リスニング」「リーディング」「ライティング」「スピーキング」の4つのパートから出題され、各単元0〜9.0まで0.5単位で点数化。また、すべてのパートの総合評価「オーバーオール・バンド・スコア」も一緒に通知されます。
求められるスコアは学校によっても異なりますが、一般的には海外の専門学校では5.0〜5.5。大学では6.0〜6.5程度のスコアを求められることが多いです。
IELTSのほかの英語検定との違い
TOEICはビジネス英語中心、TOEFLは北米圏の進学でよく使用するためアカデミック色が強く、IELTSは生物、心理学、政治、経済など幅広く専門的な内容を学術的に触れていきます。
幅広い分野で学ぶことができ、多くの国の進学・移住などで使用することができます。
IELTSの問題形式
IELTS対策に入る前に、IELTSの基本となる問題形式は理解しておかなければいけません。以下IELTSの出題パート別の問題形式をご説明します。
リスニング
問題数 :40問
時間 :40分(最後の10分は解答を書き込む時間)
リスニングは40問が以下4つのセクションに分けられています。
・セクション①:日常会話
2〜3人の会話形式。会話から時間や名前などを答えさせる比較的簡易な内容。
・セクション②:日常説明
スピーカーが読む日常生活の説明から設問に答える。
・セクション③:学術的会話
2〜4人の学校や研修で話す内容から設問に答える。
・セクション④:学術的説明
スピーカーがニュース、学校、講義形式で話している説明から設問に答える。
リーディング
問題数 :40問
時間 :60分
リーディングは40問が3つのパートに分かれてます。アカデミックかジェネラルかで出題傾向が違いますので覚えておきましょう。
・アカデミック
書類、雑誌、新聞などから一般教養について出題。
・ジェネラル
書類、雑誌、新聞のほか、広告、チラシ、パンフレットなどから短文及び中~長文で出題。
ライティング
課題数 :2問
時間 :60分
記述式のみで選択式の問題はなし。リーディング同様にアカデミックとジェネラルは出題傾向が異なります。
・アカデミック
1.数学的分析(棒グラフ、円グラフ、折れ線グラフから特徴を説明。)
2.論理的説明(テーマについて、自分の意見・主張を論理的に説明。エッセイ形式。)
・ジェネラル
1.フォーマル文作成(会社、学校宛にお礼、依頼、苦情の手紙を書く)
2.記述式説明(テーマに対して自分の意見、考えを説明。エッセイ形式。)
スピーキング
パート数 :3つ
時間 :15分以内(平均)
スピーキングは面接官との面談形式で行われ、試験とは別日に実施。以下3つのパートが基本となります。
1.自己紹介を質問形式で返答
2.テーマを与えられスピーチ。考える時間は1分、話す時間は2分以内。
3.2のテーマをもとに、自分の考えを面接官と議論。4〜5分程度。
IELTS対策の基本
IELTS対策には覚えておきたい基本の流れがあります。以下その流れを案内します。
まずは語彙力をつける
何はともあれ単語を覚えて語彙力をつけるところからはじめましょう。中学・高校レベルの単語なら大丈夫という人も、IELTSは専用の学術的な単語があり、それだけではカバーできません。
大き目の書店やネットでIELTS専用の単語本を手に入れ、最初はとにかく暗記するしかありません。まずはIELTS用の語彙力をつけるところからはじめましょう。
IELTS公式問題集にトライしてみる
しっかり語彙力をつけたら次は実際に公式問題集を試験と同じ時間配分でやってみましょう。
いきなり試験問題!?と思う人もいるかもしれませんが、IELTS用の語彙力さえつけばあなたの本当の実力=苦手な単元がわかります。
全然できなくても構いませんので受けてみて、採点してみましょう。
苦手分野勉強→公式問題集→苦手分野勉強を繰り返す
一度公式問題集を受けてみると、どこが得意でどこが苦手かがはっきりします。IELTSは「オーバーオール・バンド・スコア」が最終得点となり、総合的にすべての分野でスコアをださないといけません。
得意分野だけで稼ぐということができませんので、苦手分野をつぶしていく必要があります。
IELTSの単元別勉強法の基本
IELTS公式問題集で苦手単元が分かったら、その苦手単元を中心に勉強していきましょう。
リスニング
リスニングは学術的な内容をできるだけ耳にすることをしましょう。
おすすめは『TED』。You Tubeを検索したらいくらでもでてきます。まとめられたサイトはこちらをご覧ください。慣れてきたら速度をやや早めにしておくと、試験の際に楽に感じます。
リスニングのポイントはすべて聞き取ろうとするのではなく、文脈から読み取る意識と癖をつけること。すべてを聞き取るのはよほどリスニング力のある人以外は難しいです。自分が聞きとれた部分から全体の内容を推測して理解できるようにしましょう。
リーディング
リーディングには読解力と速読力の2つの力が必要です。
読解力をつけるのは多読。速読力をつけるには時間制限をつけた読解が有効です。
まず、読解力をつけるためにできるだけ多くの分野の英文に触れるようにしましょう。英字新聞や学術的な内容の論文が読めれば一番良いですが、難しいようであれば最初はハードルを下げて、とにかく数をこなすようにしてください。
また、その際は制限時間とどこまで読むかを決め、タイムウォッチで測るようにしましょう。IELTS本番は長文問題が多いので、あっという間に時間が過ぎます。日々のリーディングから常に短時間で速読できるようにしましょう。
ライティング
スピーキングと並び日本人が特に苦手とされているのがライティングです。
ライティングには正しい文法と語彙力が最低限必要とされますので、その2つにまったく自信がないという人は、文法・語彙力、そしてリスニング・スピーキングの勉強を先に進めたほうが良いです。
そのうえでエッセイの基本構成を理解し、添削を受けるというのがベストです。エッセイの基本構成は以下の通りで、これを理解するだけで流れが分かりやすくなります。
≪基本構成≫
1.導入
2.主張(結論)
3.説明
4.結論
結論を先に述べ、次に具体例を用いた説明、そして結論で締める、というのが基本で、プレゼンテーションではよく使われる手法です。
また、添削に関してはIELTSライティング・アシスタントに申し込むと2つの練習タスクが送られてきて、本番さながらに採点をされ、専門家のレビュー・アドバイスももらえます。
スピーキング
日本人がもっとも苦手としているスピーキングですが、ライティングと同様の構成で話すという基本を覚えておきましょう。
≪基本構成≫
1.導入
2.主張(結論)
3.説明
4.結論
そして聞かれることは大概5W1Hが入っていることが多いです。聞き逃さないように意識してください。
※5W1H
いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、なにを(What)、なぜ(Why)、どのように(How)
また、IELTSの公式YouTubeチャンネルでスピーキングテストのサンプルを公開していますので、スピーキングテストの雰囲気やイメージをつかむためにも見ておきましょう。
思い切って留学もあり?
IELTSの勉強方法についてもっとも短時間で効果が見込めるのが留学です。
オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリスなどIELTS先進国では多くの語学学校でIELTS対策コースを設けています。期間は10〜12週程度が多く、学費は約40〜60万円。
そのほかに現地での滞在費・生活費・航空券代・保険代なども必要ですのでけして安くありませんが、IELTSコースを受ける日本人は少なく、意識の高い学生が多いため、多国籍でモチベーションが上がる環境で勉強に集中できます。
費用的に厳しいという人は、フィリピンのIELTS保証コースというのがあります。たとえばIELTS3.5以上取得している人は12週間で5.5のスコアを保証します。万が一とれなかった場合は、13週目以降の学費を学校が無料提供してくれます。(食費・滞在費は別途必要)
これであれば確実にIELTSスコアはとれ、フィリピンなので費用面も安くできます。
目安としては12週で食費・滞在費・学費すべて込みで約50〜60万。別途航空券代・保険代・現地の生活費は必要ですが、航空券代も現地生活費もほかの国よりは安く、学費に滞在費と3食の食費も含まれているため、トータルの留学費用は半額程度でおさえられます。
まとめ
はじめてのIELTS対策についてお伝えしてきましたがいかがでしたでしょうか。
英検やTOEICを受験したことがある人も、IELTSは似て非なるものですので、最初はとまどうかもしれません。しかし、基本の内容や勉強の流れをつかめば、攻略ができない英語検定ではありません。
苦手分野を徹底強化し、全体的にまんべんなくスコアをとる必要があります。まずはIELTS全体を理解し、語彙力をつけ、公式問題集にトライ。そして、苦手分野を理解したら、基本の勉強法に沿って勉強を日々習慣化しましょう。
いざとなったら海外留学というのもひとつの手段です。
IELTS目標スコアは計画次第。まずは計画し、動くことから始めてみましょう!