日本国内ではかつて英語力の基準を測る方法としては「英検」が主流でした。
しかし時を経てグローバル化が進んだ今はTOEICやTOEFL、そしてIELTSと様々なグローバルな英語検定を耳にするようになってきました。
今回はその中でも「IELTS」を詳しくご紹介していきます!
留学に向けてIELTS試験を受けようとしている人のために、試験の詳細やバンドスコアについても説明しているので、目次から必要な所をピックアップして読んでください。
IELTSとは
IELTSが出来た背景
IELTSが出来た背景
約30年前頃から英語圏の大学で留学生が増え始め、講義やキャンパスライフなど大学生活を円滑に送るために十分な英語力があるかどうかの判断基準が必要になってきました。
そしてイギリス政府はイギリスの公的な国際文化交流機関「ブリティッシュ・カウンシル」へその判断基準の作成を依頼し、ケンブリッジ大学英語検定機構と提携してIELTSが開発されました。
グローバルスタンダードな英語検定
IELTSは世界140 か国、合計11,000以上の機関が認定している国際的な英語能力検定で、リーディング、スピーキング、ライティング、リスニングの4つの英語スキルとその総合力を測定します。
正式名称はInternational English Language Testing Systemといい、留学や移住、海外赴任の際の英語力証明に多く使用されています。
イギリス発祥の英語試験ですが、今ではアメリカの主要な有名大学でも入学基準の際の英語力を判断するために使用されるようになりました。
ごく稀にアメリカの一部の大学や大学院で採用されていないことがあるので、注意が必要です。
TOEFLやTOEIC、英検との違い
TOEFLとは
TOEFLとは
TOEFL®とは、米国非営利教育団体ETSが英語を母国語としない人向けに1964年に開発した英語能力検定です。
正式名称はTest of English as a Foreign Language。
今まで述べ3500万人以上が受験している英語能力測定試験で、日本でも2000年以降、100万人を越える人が受験しています。
受験の形式はペーパー版(TOEFL®PBT)、コンピューター版(TOEFL®CBT)、インターネット版(TOEFL iBT®)、そして団体向け(TOEFL®ITP)の4種類ありましたが、現在はiBTとITPの2つのみ実施されています。
IELTSと同じく、リーディング、スピーキング、ライティング、リスニングの4つの英語スキルを測定します。
アメリカ発祥のTOEFLは、アメリカの大学が求める大まかな理解を重視する考えを元に試験が構成されていることが多いです。文脈の意味を大まかに掴んで選択肢から答えをひとつ選ぶ選択式の問題が多く出題される傾向にあります。
IELTSよりTOEFLのほうが受験日も受験会場も多く、受験しやすいです。
IELTSとの大きな違いは3つあります。
①TOEFLを個人で受ける場合はパソコンでの受験のみになること
IELTSはペーパー版かパソコン版か選択可能です。
②アメリカ英語を使用している
IELTSはイギリス英語を主としています。
③スピーキング試験はPCに向かって録音形式
IELTSは試験官とのインタビュー形式です。
以前はイギリスに留学するならIELTS、アメリカに留学するならTOEFLと分けて考えられていましたが、今はどちらも通用する場合が多いので、留学先の大学がどちらも可能なら受験内容の得意な方を選択するのもアリですね。
(参考サイト:TOEFL®テスト日本事務局)
TOEICとは
TOEICとはTest Of English for International Communicationの略です。
日本経済が急速に発展した1970年代にビジネス上のコミュニケーション能力を高めることを目的に、日本人が発案し、アメリカの非営利テスト開発機関ETSの協力の元に完成しました。
英語を母国語としない人の英語能力を測定するために利用されています。
今では世界160か国で年間700万人が受験していると言われていますが、その6割強が日本と韓国での受験者です。
TOEICは細かく分類すると5種類あり、総受験者の9割がTOEIC Listening & Reading(L&R)でリスニング能力とリーディング能力を測定します。
IELTSとの大きな違いは、IELTSは海外の大学などへの留学や海外赴任や移住のために対して、TOEICは企業へ就職や転職する際などに有益です。
尚、TOEICの成績には有効期限がありません。
詳しくは【公式】TOEIC Program|IIBC (iibc-global.org)
英検とは
日本国内でのみ有効の英語検定能力試験です。
IELTSとの大きな違いは級があり、受験する級によって出題内容や難しさのレベルがちがうことです。
高校や大学受験の際に英語能力を判断する基準によく使用されるので、日本国内で進学の際には有効といえます。
詳しくは英検(実用英語技能検定)|公益財団法人 日本英語検定協会 (eiken.or.jp)
IELTSの試験内容
研究や知識を重視する傾向のあるイギリスの大学の考え方を元に出題される傾向があるため、問題をしっかり読み解き、その内容からまずは知識を得ることがポイントになります。
穴埋め形式が多く出題されることが多いです。
リーディング
アカデミックだけでなく新聞や雑誌などから900語程度の英文が出題されるため、読むスピード力も必要です。穴埋めや並び替えなどがあります。
さらに大問から出題されることが多いため、文章の中から必要な情報を探し出す能力が試されます。
スピーキング
対面のインタビュー形式で行われます。
問題内容も年に3回入れ替わる中から出題されるので、TOEFLとくらべると予想しやすいです。
ライティング
出題は大きく2つあります。
1つは、提示されるグラフや表から情報を要約し、自分の言葉で説明するように求められる問題です。
もうひとつは、課題に対する考えと、その考えを自分自身の経験などを交えて説明する内容のものです。
リスニング
聞きながら問題を解くスタイルなので、同時にこなすスキルを磨く必要があります。
試験内容は、日常生活に関わることも含まれていて難易度は低めですが、単語の聞き取り問題やひっかけ問題もあるため油断禁物です。
4つの技能試験についての詳細はinformation_for_candidates_jp.pdf (eiken.or.jp)
IELTSの主な試験の種類は2つ
アカデミック・モジュール
アカデミック・モジュール
留学を目的とした人向けのIELTSです。
英語力が英語で授業を行う大学のレベルに達しているかを判断するものです。
イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、カナダなどの大学や大学院では、このアカデミック・モジュールのバンドスコアが入学可否の基準のひとつになっています。
ジェネラル・トレーニング・モジュール
海外赴任や移住を目的とした人向けのIELTSです。
オーストラリア、カナダ、ニュージーランドへの移住申請の際に必要で、その他の諸条件とも基準を満たせば、永住申請が可能になります。
日常生活や職場でのやり取りを想定した内容の試験内容になっていることが多いです。
参考サイト:IELTSには2種類ある!アカデミックとジェネラルの違いを徹底解説|英語検定・試験のIELTS公式サイト (ieltsjp.com)
留学に必要なIELTSスコアは?
IELTSのスコアは下記の表「バンドスコア」というもので表されます。
(出典:公益財団法人 日本英語検定協会)
海外主要大学へ留学する際に必要なIELTSスコア
Oxford University 7.0以上
(参考サイト:ビザと英語の要件|オックスフォード大学 (ox.ac.uk))
Cambridge University 7.5以上
(参考サイト:英語|の能力大学院入試 (cam.ac.uk))
Massachusetts Institute of Technology 7.0以上
(参考サイト:テストとスコア |MITの入学許可 (mitadmissions.org))
日本人の平均スコアは?
IELTSの公式データによる日本人の平均スコアは、
・リーディング6.1
・スピーキング5.6
・ライティング5.9
・リスニング5.4
総合点(オーバーオール)は5.8となっていますが、実際には0.5刻みでスコアが付与されるため、日本人の平均総合スコアは6.0となります。
日本の英語教育はリーディングやライティングに重きを置いていることや日常的に英語を使う場面が少ないことから、スピーキングやリスニングなどのコミュニケーション英語力が弱いのが分かります。
総合点をあげるためにはその2点を強化する必要があると言えそうです。
IELTSは何点満点?
IELTSに点数での判断基準はありません。
今まで説明してきたようにIELTSは点数による合否ではなく、レベルを示すスコアで表されます。
つまり、上記の表にあるバンドスコア9がIELTSの満点だと認識しておいてください。
IELTS難易度
IELTSの満点を取るのはネイティブでも非常にハードルが高いとされています。
決して満点を目指す必要はなく、自身の目的にあったスコアを取れれば問題ありません。
留学や赴任などで海外で仕事や勉強が必要になるならば、日本人が苦手なスピーキングやリスニングを伸ばしていくことがポイントになってきます。
IELTSの試験方法はペーパーとコンピューターから選択可能!
ペーパー版IELTS
ペーパー版IELTS
全国15都道府県で開催されていて、紙とペンでの試験のため普段の環境に近い状況で試験が出来ます。
【試験実施地】札幌・仙台・東京・横浜(川崎)・長野(松本)・金沢・静岡・名古屋・京都・大阪・神戸・岡山・広島・福岡・熊本
コンピューター版IELTS
です。
試験実施地は東京と大阪のみで、会場の区切られた個別空間で集中して試験を受けることができます。
受験後、3〜5日後にネットで試験結果を確認できるのもメリットのひとつと言えるでしょう。
試験時間と受験料
どちらの場合も試験時間は3時間弱、受験料はペーパー版が25,380円、コンピューター版が26,400円で、キャンセルや日程の変更は6,050円かかります。
試験会場の詳細は試験会場 | 英語検定・試験のIELTS公式サイト (ieltsjp.com)
(参考サイト:IELTS受験料・諸費用|英語検定・試験のIELTS公式サイト (ieltsjp.com)
取得したIELTSスコアの有効期限に注意!
IELTSの試験で取得したスコアには2年の有効期限があります。
2年経過した成績証明書は有効な証明書として提出することができません。
(参考サイト:試験結果―IELTSのスコアについて | IELTS(アイエルツ) | ブリティッシュ・カウンシル (britishcouncil.jp))
まとめ
IELTSは海外で学習する人や仕事を希望する人にとって必須の英語能力検定です。
目的に合わせてアカデミックかジェネラルを選択し、リーディング、スピーキング、ライティング、リスニングのうち自分の苦手な技能を強化していきましょう。
留学先の大学や就職先などによって求められるレベルは違いますが、バンドスコアの最低ラインは7.0であることが多いです。
もしIELTSの内容で苦手な分野があるならば、TOEFLも検討してみましょう!
今はどちらも有効な海外企業や大学も増えています。