就学と就労が許可され長期滞在できる「ワーキングホリデー」は、語学力の向上、異文化体験、海外ビジネスの経験などの目的で高い人気を集めています。
SNSでは、ワーホリ中に海外の友だちを作ってキラキラとした生活を送る様子が発信されていて、興味を持った方も多いのではないでしょうか。
しかし、実際には多くのワーホリ経験者が「行かなければよかった」「失敗した」と後悔した声を寄せているのが現実です。
なぜ、このようなマイナスな声が多く寄せられている背景には、ワーホリの向けた準備不足が大きく関係しているのです。
本記事では、ワーホリを検討している方、渡航が決まった方に向けて、日本にいるときから準備が必要な理由、具体的な準備期間、準備期間にやるべきことをまとめて紹介します。
有意義なワーホリ生活を送るためにも、ぜひ参考にしてください。
1.ワーホリの渡航前に準備が大切と言われている理由
ワーホリの渡航前に準備が大切と言われている理由は、以下のとおりです。
- 国や地域によっては手続きの申請に時間がかかる
- 語学力が不十分だとスタートダッシュに出遅れる
- 現地の情報を知らないとトラブルに見舞われる
それぞれの理由について解説します。
国や地域によっては手続きの申請に時間がかかる
ワーホリに行くため必ずおこなわなければならないビザ申請は、国によって所要時間が異なる上、予定通りに進まないことが多くあります。
一般的には、オーストラリア・ニュージーランドは2週間、イギリスは1か月間、カナダは2〜3か月間かかるとされます。
ただしフランスなど一部の国では予定よりも大幅に遅れて業務が進められることも少なくないため、年齢制限などがギリギリにならないように余裕を持って準備を始めましょう。
申請手続きの手間を最小限に抑えたいのであれば、応募開始とともにできるだけ早く申請を出すこと、提出書類に不備がないようにすることを意識してください。
提出書類に不備があると審査を後回しにされた上で連絡が来たり、再提出通告をされたり、手続きにかかる時間が伸びてしまいます。
語学力が不十分だとスタートダッシュに出遅れる
ワーホリに渡航する前の語学勉強は非常に大切です。
ワーホリに行こうと考える方の中には「渡航してから語学を向上させたい」と考えている方もいるかもしれませんが、語学力ゼロでの渡航はおすすめしません。
語学学校に通う場合、入学テストによってクラス分けがされますが、英語圏では下のクラスほど日本人が多くいる可能性が高いです。
語学が堪能でない人たちのクラスで日本人がいると、授業中のコミュニケーションで日本語に頼ってしまう場面が増えることが予想されます。
語学を勉強するために海外に来ているにも関わらず、コミュニケーションを日本語でとっていては本来の「語学力向上」の目的が果たせません。
また、インターネットでは語学力ゼロでワーホリを楽しんでいる人たちの声も寄せられていますが、実際に語学が話せなければネイティブの人たちと友達になることは困難です。
職探しにおいても最低限の語学力が求められるうえ、最近ではワーホリに行く人たちが増えているため、少し話せるだけでは採用してもらえない可能性があることを理解しておきましょう。
現地の情報を知らないとトラブルに巻き込まれる
日本は、都会から田舎までどこに行っても同じような治安ですが、海外は1本裏道に入るだけで、ドラッグや売春など犯罪の温床となっているのが現状です。
準備期間中に滞在予定の街の治安状況は必ず確認しておきましょう。
渡航初日に、長いフライトで疲労が溜まっている中、大きな荷物を持っているところをターゲットにされてしまうとモチベーションが下がってしまいます。
トラブルの対処にも追われて良い気分でスタートダッシュがきれなくなる原因にもつながるので、必ず下準備をしてできるだけ多くの情報を得ておきましょう。
Googleマップで周辺エリアのレストラン、図書館、スーパーマーケットなどを調べておくと、生活のイメージが湧きやすく、気分転換になるのでおすすめです。
2.ワーホリの準備期間の目安
ワーホリの準備期間は、手続き面のみを考慮するのであれば半年〜3ヶ月前から始めれば問題なく渡航ができます。
とはいえ、ワーホリに行きたいと思い立ったタイミングである程度の語学力と貯金があるのであれば行動力のみで申請しても良いでしょう。
ただし、語学力が乏しければ語学学校に通いながら語学を習得したうえで、仕事を探すことになるため、一時的に収入が途絶える状況が続きます。
物価高と円安の影響で、日本で生活する以上に費用がかかるとされているので、生活の安全と心の安定感を維持するためには、ある程度の自己資金は必須です。
ワーホリで仕事をする予定であれば、最初の半年間分、ワーホリで仕事をせずに旅行などをしたいのであればすべてを補えるほどの自己資金を準備期間中に貯めましょう。
3.ワーホリの準備期間の具体的なタイムライン
ワーホリの準備期間の具体的なタイムラインは、以下のとおりです。
- 1年前:語学勉強開始・貯金
- 半年前:パスポート取得
- 3ヶ月前:語学学校とビザの申請・航空券購入
- 2ヶ月前:証明書の準備
- 1ヶ月前:滞在先の目星をつける
- 2週間前:荷造り
それぞれの流れについて解説します。
1年前:語学勉強開始・貯金
ワーホリを有意義な時間にするためには、語学力と貯金は必須です。
渡航してから語学力を伸ばしたいと考えている方もいるかもしれませんが、語学学校の授業はすべて現地の言葉で開催されます。
名詞、動詞、形容詞などの副詞を現地の言葉で理解していなければ、語学学校の先生の言葉も理解できずに授業においていかれてしまうことは容易に想像できます。
「語学学校に通うから勉強しなくていい」と考えずに日本にいるうちから、文法やボキャブラリーを勉強して、現地でスムーズにコミュニケーションが取れるようにしましょう。
また、日本で生活するよりも食費、住居費、光熱費などすべてが高額であることを見越して、滞在先の物価に見合った貯金をしておくことも必要です。
語学勉強と貯金は1年前から始めると決めずに、ワーホリを視野に入れ始めたタイミングでスタートさせましょう。
半年前:パスポート取得
ワーホリに行くのであればパスポートは必須ですので、今までパスポートを持ったことがない方はできるだけ早く申請しましょう。
ここで注意したいのは、すでにパスポートを保有している方です。
ワーホリは一般的な短期旅行とは異なり、海外に長期滞在することになるため、パスポートの有効期限がきれてしまうことがないようにしなければなりません。
パスポートの有効期限が足りなければ、ビザの申請はおりません。
万が一、パスポートの申請が下りたとしても、個人の希望で別の国でワーホリをしたくなったり、旅行を続けたくなった場合に手続きが面倒です。
パスポートの有効期限が十分にあれば、現地から日本以外の渡航もできますが、パスポートの有効期限がなければ帰国しなければなりません。
有効期限が不十分と感じるのであれば、早めに更新することを検討しましょう。
3ヶ月前:語学学校とビザの申請・航空券購入
渡航まで3ヶ月を切ったら、ワーホリを充実させるために必要不可欠な「語学力」をサポートしてくれる語学学校探し、ビザ申請、航空券の購入を始めます。
ワーホリの協定国によっては「ビザ申請から6ヶ月以内に渡航すれば良い」と指定しているケースもあるので、ビザ申請の期限は各国の指示に従ってください。
渡航してから語学学校を探すこともできますが、準備期間に下準備をしたり、複数の学校を比較して行きたいところを選んでおくことで、スムーズにワーホリ生活を始められます。
語学学校が滞在先のサポートをしてくれるケースもあるので、家探しが難しそうと感じているのであれば、サポートつきの学校がおすすめです。
航空券は3ヶ月ほど前に購入すると「早割」が適用されて、通常よりも安価に購入できるチャンスがあるため、定期的にオンラインサイトを確認しましょう。
ただし、早割チケットはチケット内容の変更ができないタイプが多いため、予定がはっきりしていないうちは注意が必要です。
2ヶ月前:証明書の準備
渡航まで2ヶ月を切ったら、証明書の準備を本格的に始めます。
ワーホリで用意した方が良い証明書は、以下のとおりです。
証明書 | 特徴 |
国際免許証 | 海外で運転したい人は必須指定の警察署・運転免許試験場で申請して当日受け取れる有効期限は原則1年間手数料は約3,000円 |
国際青年証(IYTCカード) | 30歳以下であれば誰でも取得可能各種割引が受けられる有効期限は原則1年間ユースホステル協会窓口で発行可能手数料は1,800円 |
国際ユースホステル会員証(YHカード) | 年齢制限なし有効期限は原則1年間ドミトリータイプの宿泊施設が割引になる博物館、美術館、交通機関でも割引価格が適用される手数料は年齢などで異なる |
必ず用意しなければならないパスポートやビザなどの証明書とは別に、取得しておくと現地での生活が豊かになるものが多数あります。
ご自身の判断であったら便利だなというものがあれば、用意しておきましょう。
1ヶ月前:滞在先の目星をつける
渡航まで1ヶ月を切ったら、本格的に滞在先を探し始めます。
滞在先は、「ホームステイ」「シェアハウス」「アパート」などいくつかの方法がありますが、予算や環境に合わせて最適な場所を選びましょう。
費用 | 現地の人との交流 | 安全性 | |
ホームステイ | 高い | ◎ | ⚪︎ |
シェアハウス | 安い | ◎ | △ |
アパート | 高い | △ | ◎ |
滞在方法はそれぞれメリットとデメリットがあるうえ、ホームステイやシェアハウスは、一緒に住む人との相性も重要です。
渡航してから滞在先を探す場合、滞在先が見つかるまではホテルやドミトリーなどから就学・就労に行かなければならないため、負担が大きいです。
日本にいるうちから目星をつけたり、大家さんと話をつけておくことで、滞在先の不安を抱えずに海外生活が始められます。
2週間前:荷造り
渡航まで2週間を切ったら、本格的に荷造りを始めます。
1年間以上の長期滞在をすることを想定すると、何を持っていくべきか悩んでしまうかもしれませんが、できるだけ必要最低限の荷物を用意するようにしてください。
荷物が多くなりそうであれば、キャリーケースのほか、ダンボールで荷物をまとめて滞在先が決まってから家族に国際便で配送してもらう方法もおすすめです。
滞在先が決まっていないうちに大量の荷物があると移動が負担になりかねません。
また、ロストバゲージ(空港で預けた荷物が紛失するトラブル)に遭うリスクがあるため、なくなったら困るものは預け荷物には入れずに分類しましょう。
4.まとめ
本記事では、ワーホリの準備期間の目安と具体的にやるべきことを項目別に解説しました。
ワーホリに行くために必要な手続きは最短3ヶ月あれば完了します。
とはいえ、ワーホリ期間中を有意義に過ごしたいのであれば、語学力向上と貯金のために1年ほど前から準備を始めるのがおすすめです。
実際にワーホリに行くことが決まったのであれば、渡航までのスケジュールを逆算して、計画的に準備を進めるようにしましょう。