「大麻」と聞くと、警察ドラマやリアリティ番組の「警察24時」等が思い浮かびます。また、人によっては洋画のパーティシーンで、大麻を吸っている俳優を見たこともあると思います。これらは、ほとんどが違法的なイメージで描かれていますが、実はタバコよりも身体的影響も依存性も低いという研究結果があります。
今回は、大麻について、またアメリカの大麻の状況についてご紹介します!
大麻とは?
日本人には、大麻は学校で習う「違法ドラッグ」としてのイメージしかありません。なので、まずは、「大麻とは何か」を理解しましょう。
大麻は植物
大麻(たいま)は、カンナビス属の植物の葉、茎、種子から抽出された麻薬物質の総称です。主要な活性成分は、テトラヒドロカンナビノール(THC)です。THCは、中枢神経系に作用し、過度の摂取によっては幻覚や不安、妄想などの精神症状を引き起こすことがあります。
大麻の使用方法
医療目的や嗜好品としての使用も行われています。医療用の大麻は、痛みや吐き気などの症状の軽減に役立つとされています。また、嗜好品としての使用においては、THCの他に、カンナビノイド(CBD)が注目を集めています。CBDは、THCとは異なり、精神作用を引き起こすことがなく、リラックス効果や痛みの緩和に効果があるとされています。
大麻のリスク
大麻には、使用によるリスクもあります。車の運転や機械操作など、注意力や反応時間が必要な活動を行う際には、使用を避けることが推奨されています。また、長期的な使用によって、依存症や記憶力低下、注意力不足などの健康上の問題が引き起こされることもあります。
日本と大麻
日本で大麻が違法となったのは、戦後GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)が占領下の日本において、アメリカの大麻取締り政策を受け入れさせるために制定された「麻薬及び向精神薬取締法」によるものです。このような経緯から、日本ではこの法律によって、大麻の栽培、所持、使用、販売、輸入、輸出などが違法とされています。なお、取締りの強化には、アメリカや国連の圧力もあったとされています。
大麻の世界の現状は?
大麻の使用に対する法的な規制は、国や地域によって異なります。現在、世界の多くの国々で大麻を合法化する動きがありますが、依然として多くの国では違法とされています。
世界のまとめ
世界的に見ると、医療目的の大麻は広く認められるようになっていますが、娯楽目的の大麻については意見が分かれています。一方で、大麻に関する科学的な研究が進んでいるため、今後の法的な規制や考え方が変わる可能性があるとされています。
ヨーロッパ
欧州では、オランダやスペインなど一部の国で大麻の使用が非刑事化されています。(非刑事化=所持は違法だが、使用は現行犯以外は合法になっている。)ドイツやポルトガル、イタリアなどでは医療大麻が合法化されています。また、スイスやオーストリア、ルクセンブルク、フランスなどでも医療大麻の使用が認められています。
アジア
インドでは、ヒンドゥー教の儀式において大麻が使用されており、合法的に使用が認められています。また、タイでは、伝統的な医療において大麻が使用されており、一定の範囲で合法化が進んでいます。
韓国や日本などでは、大麻を所持するだけで重罪に問われることがあり、厳しい罰則が課せられています。これは、アジアの文化や価値観に大麻が馴染んでいないことや、大麻の使用が社会的に受け入れられていないことが背景にあると言われています。
北米(アメリカ)
アメリカでは、一部の州で医療大麻が合法化され、さらにいくつかの州では娯楽目的の大麻も合法化されています。カナダは、2018年に大麻を娯楽目的で合法化した最初のG7の国となりました。
アメリカは大麻合法?
アメリカで大麻が合法化された理由は、複数あります。
医療目的の使用
1つは医療目的での使用が認められたことから始まりました。1996年、カリフォルニア州が医療大麻を合法化したのを皮切りに、他の州でも同様に医療目的での使用が認められるようになりました。その後、大麻が嗜好品として広く使用されている現状を受け、複数の州が大麻の嗜好用途も合法化するようになりました。
刑事司法の観点
大麻使用に関する刑事司法政策が、特に非白人層に対して不公平なものであるという問題意識があります。大麻所持や使用により、アフリカ系アメリカ人やヒスパニック系アメリカ人などの少数派に対して過剰な刑罰が科されることがあるため、この問題に対処するためにも大麻の合法化が求められているとされています。
合法されている州
アメリカで合法化されている州は、多くありますが、それぞれ目的が「嗜好用」と「医療用」と分かれています。
レクリエーショナル(嗜好・娯楽用)で合法化されている州
アラスカ、カリフォルニア、コロラド、イリノイ、メイン、マサチューセッツ、ミシガン、ネバダ、オレゴン、バーモント、ワシントン
医療用の大麻が合法化されている州
アラバマ、アーカンソー、カリフォルニア、コネチカット、デラウェア、フロリダ、ジョージア、ハワイ、アイダホ、イリノイ、インディアナ、アイオワ、カンザス、ケンタッキー、ルイジアナ、メイン、メリーランド、マサチューセッツ、ミシガン、ミネソタ、ミシシッピ、ミズーリ、モンタナ、ネバダ、ニューハンプシャー、ニュージャージー、ニューメキシコ、ニューヨーク、ノースカロライナ、オハイオ、オクラホマ、オレゴン、ペンシルバニア、ロードアイランド、サウスカロライナ、テネシー、テキサス、ユタ、バーモント、バージニア、ワシントン、ウェストバージニア、ウィスコンシン
なぜ大麻が合法化されるのか?
大麻産業は急速に成長しており、経済的な影響力を持つようになっています。各国、その経済的影響を社会の成長に組み込もうとする動きが見られ、そのほかにも多くの良い面があります。
雇用の創出
大麻産業は雇用創出に大きく貢献しています。大麻産業には栽培、加工、販売など様々な分野の仕事があり、それらに関連する雇用を生み出しています。また、大麻産業には新しい技術や製品を開発するための研究開発にも多額の投資が行われており、それによって高い専門技術を持つ人材が必要となっています。
税収の増加
大麻産業は税収の増加にもつながっています。大麻の合法化に伴い、大麻から得られる収益には課税されることが多く、その税金は州や国の予算に回されます。例えば、アメリカのカリフォルニア州では、大麻産業によって2020年に3億ドル以上の税収が得られたとされています。
栽培の高騰
一方で、大麻産業には規制やコストがかかることも事実です。大麻の生産や販売には厳しい規制があり、また、施設や機材、人材などを揃えるためのコストも高くなります。そのため、大規模な企業や投資家が参入することが多く、中小企業が立ち上がりにくいという問題もあります。
アメリカの大麻使用時の注意
合法化された州においては、その使用に関してもいくつかの注意点があります。特に日本人の場合は、日本国内では厳しい大麻取締法があるため、アメリカで合法的に使用する場合でも注意が必要です。
使用時の注意
アメリカで大麻が合法化されたとはいえ、大麻使用には注意が必要です。ここからは、アメリカで大麻を使用する際の注意点です。
- 合法州に限定される
アメリカで大麻を使用するには、その州が大麻の使用を合法化している必要があります。また、使用方法によっては合法であっても、年齢制限がある場合があります。
- 量を把握する
アメリカで大麻を使用する場合、各州で許容されている使用量を把握することが重要です。使用量が多すぎると、法律違反になることがあります。
- 運転しない
大麻を使用した後は、運転することは避けるべきです。大麻の使用は、運転能力に悪影響を与えるため、自動車事故の原因になることがあります。
- 他人に迷惑をかけない
公共の場で大麻を使用することは、他人に迷惑をかけることになります。また、吸い殻や捨てたパッケージをきちんと処分することも重要です。
- 健康に注意する
大麻の使用によって健康被害を受けることがあります。特に、肺や心臓に影響を与えることがあるため、使用頻度や使用量には注意が必要です。また、妊娠中や授乳中の女性は、大麻を使用しない方が良いとされています。
購入時の注意
アメリカで大麻が合法されているからといって、どこでも買っていいわけでありません。ここからは、アメリカで大麻を購入する際の注意点です。
- 合法的に購入する
大麻が合法的に販売されている地域であっても、未成年者が購入することは違法です。また、許可を持たない者が販売する場合も違法です。
- 信頼できる販売元を選ぶ
大麻を販売する店舗やディスペンサリーは、許可を持っていることを確認する必要があります。また、口コミやレビューを参考に、信頼できる販売元を選びましょう。
- 品質に注意する
大麻には、THCやCBDなどの有効成分が含まれています。品質の良い大麻を購入するためには、成分量や品種、栽培方法などについて情報を収集し、自分に合ったものを選ぶことが重要です。
- 量に注意する
大麻の使用量は、個人差があります。初めて使用する場合は、少量から始め、徐々に増やしていくことをおすすめします。また、大麻は食べ物に加工される場合があるため、飲食物に紛れ込んでいる場合もあります。不明な飲食物を受け取らないように注意しましょう。
- 運転や危険な作業は避ける
大麻を使用した後は、車の運転や危険な作業を避けることが必要です。大麻の使用により、認知能力や反射神経が鈍ることがあります。他の人々の安全を考慮し、使用後は運転や危険な作業を避けましょう。
まとめ
ここまで「大麻」について多くの事を書いてきましたが、一番大切なのはもちろん「個人の意思」です。絶対に無理に大麻を使用する事は、やめてください。これは、やること以外に「進める事」も含まれています。皆さんがアメリカに行って、新しい体験をする事で人生が豊かになる事は確かですが、後悔の可能性がある体験は気を付けてください。以上を理解して、アメリカを楽しんでください!