2020年と2021年は、ワーキングホリデーを計画していた人にとって、新型コロナウィルスのパンデミックで、各国の渡航制限やロックダウンなどで、留学そのものの機会を諦めざるを得ない大変辛い時期だったと思います。
ですが、アメリカを筆頭にワクチン接種や新薬の開発が進み、各国の渡航制限も徐々に緩和の方向へ向い、通常通りの国の往来も見え始めてきました。
一時は停止されていたビザの発給も再開していますので、まだ留学を前向きに検討されている人には諦めずに挑戦していただきたいと思います。
結論から言うと、アメリカと日本はワーキングホリデー協定を結んでいないので、ワーキングホリデービザでアメリカ留学することはできません。
そのため、アメリカ留学するには他のビザを選択する必要がありますので、そのご紹介とアメリカ留学の事情を見ていきたいと思います。
そもそもワーキングホリデーとは何か?
ワーキングホリデーとは、二国・地域間で相手国の青少年に対して休暇を目的とし、一定期間の就学、生活費を補う目的の就労が認められた制度のことです。
※国によって一部異なります。
意外にもその歴史は古く、日本は1980年(昭和55年)にオーストラリアとの間からこの制度は始まりました。
その後、ニュージーランドやカナダ、韓国、イギリス、台湾、香港と、現在では26ヵ国にまで増やしています。
目的も多種多様
コロナ前までは、休暇を目的にいろんな都市を旅行をしながら長期滞在する人から、現地の語学や文化を体験するために語学学校へ通いながらホームステイをしたり、より実践的にビジネスレベルの語学を学ぶために一定期間の仕事をしながら資格を取って、今後の人生に生かしていく人までいます。
年齢制限や条件があるので注意
ワーキングホリデービザは、年齢制限が設けられており、国より異なりますが、基本的には18歳〜30歳までの青少年が対象となります。
31歳の誕生日を迎えると申請ができなくなります。
また、ワーキングホリデーに行けるのは1カ国につき生涯で1度きりです。
そのため、2度同じ国へはワーキングホリデーができないのです。
滞在期間は、国によって異なりますが、基本的には1年間。条件を満たせば延長の申請が可能な国もあります。(オーストラリアは最長3年など)
自由に滞在目的が選択できるワーキングホリデー
年齢制限や、就学できる期間、同じ雇用主の元での就労期間など細かい制約は国によってありますが、基本的には自由に休暇・就学・就労を選択することができ、自分の生活スタイルに合わせて、行きたいところに行き、住みたい場所に住むことができます。
また、ビザの申請が比較的簡単なのが、この制度の1番の魅力とも言えます。
アメリカはワーキングホリデーできない?!
冒頭でもお伝えしましたが、残念ながら現時点でワーキングホリデー制度を使ってアメリカ留学することはできません。
その理由としては、アメリカは増え過ぎた移民に対して厳しい措置をとっており、自由に休暇・就学・就労ができる制度では不法滞在や不法就労にもなり兼ねないので、アメリカ国民の生活と雇用を守るために、ワーキングホリデー制度を許可していないと言われています。
また、2001年の同時多発テロ以降、海外からの入国者へのビザの発給には、厳正な審査と人数制限、大使館での面接を設けるなど、通常の学生ビザや就労ビザの取得でも困難な状況が続いています。
そのため、日本でも馴染みのあるアメリカですが、思い立ったらすぐにビザを取得して、自由に学校へ行ったり、働きたい時にアルバイトをして長期滞在するということは難しいのが現状です。
なるべく低予算でアメリカ留学するにはどんなやり方があるのか?
できるだけ低予算で、ワーキングホリデーのように観光、就学、就労を叶えられる過ごし方をするにはどのようにしたらいいのか。
この厳しいアメリカでも自由にやりたいことを叶えられるのか。
気になると思いますので、ご紹介していきます。
J-1インターンシップビザ
「アメリカ版のワーキングホリデー」とも呼ばれているビザタイプで、アメリカ大使館のホームページでは「交流訪問者プログラムのJビザは、教育、芸術、科学の分野における人材、知識、技術の交流を促進するためのビザ」と定義されています。
簡単に言えば、日本からアメリカの企業に体験入社(インターンシップ)し、フルタイムでお金をもらいながら働き、アメリカで長期滞在するというものです。
有給で体験入社しますので、事前に用意する資金はそこまで多くなくても大丈夫です。
また、滞在期間も社会実務経験があれば18ヶ月(在学中の学生は12ヶ月まで)と長く、日中は職場で本場の英語を学べる他、夜は語学学校に通うこともできますし、週末や休暇を利用して観光や、違う都市への旅行をすることもできます。
更に、J-1インターンシップビザには年齢制限が特にないので、受け入れの企業さえあれば31歳を過ぎても挑戦することができます。
学生ビザで無給インターンシップに参加する
中には、どうしても語力の問題やタイミングが悪く希望するJ-1インターンシップの求人に出会えない場合もあります。
他の選択としては、多少予算はかかりますが、学生ビザで大学や語学学校へ行きながら、無給インターンシップやボランティアに参加するというものです。
アメリカでは学生ビザでの就労は固く禁じられていますが、無給であれば問題はありません。
アメリカは、世界の中でも高い教育水準を維持しており、日本よりも良い環境で刺激を受けながら、英語を学ぶことができますし、専攻している分野を英語で学ぶことにより、帰国後も有利なグローバルな人材になれます。
そのため、勉強するときは集中して学業に専念し、アメリカの長い夏の休暇を利用して、無給インターンシップやボランティアに参加することで、アメリカで働くことの大変さやビジネスレベルの英語を学ぶ経験もできます。
また、長期休暇を利用して観光や、他の都市へ旅行したり、アメリカから隣国カナダやメキシコに海外旅行することもできるので、休暇・就学・就労を叶えられます。
カナダにワーキングホリデーへいく
更には、アメリカ留学とは異なりますが、隣国カナダでは正真正銘のワーキングホリデーができますので、カナダの語学学校に通いながら、アルバイトをして、休暇を利用してアメリカ旅行する人も多いです。
特に、カナダのトロントからであれば、有名観光地のアメリカ・ニューヨークまでは陸で繋がっており、バスや電車など利用すれば値段も安く、10時間程で行くことができます。
途中、国境沿いには有名なナイアガラの滝もありますので、見所がたくさんあります。
カナダはアメリカと同じ英語圏で、移民や留学生が多く、外国人に対しても寛容な国ですので、初めての留学やワーキングホリデーにとても向いています。
実際のアメリカ留学は思っているより大変?!
ここまでいくつかの留学方法を見てきましたが、アメリカ留学にはワーキングホリデーがないので、予算的にも英語レベル的にも、ハードルが高いのは事実です。
実際にアメリカに住んでみるとわかることもたくさんあります。
物価が高い
世界でも政治・経済の中心にあるアメリカは近年物価の上昇が著しく、とにかくなんでも物価が高いです。
ニューヨークやロサンゼルスなど有名都市になると家賃がびっくりするほど高かったり、レストランでの食事、飲み物など留学生にとっては、贅沢できるような環境ではありません。
いくら有給のJ-1インターンシップビザであっても、贅沢したければ、事前に十分な資金を用意することは必要だと思います。
治安が悪い
日本と比べて、犯罪や事件の件数が多いのもアメリカです。
日本は、日中に一人で歩いてはいけない通りなど、ほとんどありません。
ですが、アメリカでは一歩道を反れると、アジア人というだけで冷たい視線を感じたり、暴力を振われたり、犯罪に巻き込まれる可能性があるエリアがあります。
また、銃社会のため、自分で気をつけていても限界がある場合もありますので、日本にいる時のように、何も怒らないのが普通と思っていると、取り返しがつかないことにもなります。
発言しないとあっという間に取り残される
学校でも仕事でもそうですが、アメリカ人はすぐに意見を求めてきます。
『What do you think?』
あたふたしていると、意見がないのだと思われ、すぐに別の人へと進んでいきます。
最初は、このテンポの早さに日本人はびっくりすると思います。
日本人は、自分の言いたいことも発言しにくい人種と言われているので、積極的にアメリカ人へ意見して議論しなければ、あっという間に取り残されてしまいます。
友人関係を持つ時も同じです。
あなたと友達になりたい!と積極的に話しかけなければ、待っているだけでは仲良くなることはできません。
アメリカ全土の中から住む都市を選ぶことができる
アメリカ留学は、決して悪いことばかりでもありません。
アメリカはとても大きな国で、国内でも都市によって季節や気候が異なりますし、州によって法律や雰囲気が全く違うので、とても面白いです。
都市は大都会で、郊外に出ると大自然があり、アメリカのスケールの大きさを実感します。
また、郊外になると家賃や物の物価も下がってきますので、派手さはありませんが、学校や仕事に専念したい人にとっては郊外を選ぶのも良い選択だと思います。
予算に余裕があれば、ロサンゼルスやサンディエゴ、ハワイなど気候がいい都市を選ぶのも休日にリフレッシュができておすすめです。
まとめ
ワーキングホリデーを知っている人からすれば、アメリカでワーキングホリデーができたら良いのになと思うかもしれません。
ですが、例えアメリカでワーキングホリデーができたとしても、日本よりもはるかに物価が高く、有名都市では治安が悪い場所もあり、仕事を探して働くにもアメリカ人の中で積極的に発言して戦っていくには、厳しい環境です。
もし、どうしてもワーキングホリデーに行きたい人は、カナダやオーストラリア、ニュージーランド、イギリスなど英語圏の渡航先もありますので、そちらを検討してみてはいかがでしょうか。
最後までご覧いただきありがとうございます。