ワーホリや海外留学が決まったら、住民税・年金・健康保険といったワーホリ中の税金まわりの手続きを事前に把握しておくことが大切です。
「どうせ海外にいるんだから税金は関係ない」と思っていると、帰国後に税金の滞納トラブルが発生したり、家族に委任状を用意して手続きを代行してもらう羽目になったりするリスクがあります。
海外転出届ひとつで住民税・国民年金・国民健康保険の負担が年間数十万円軽くなるケースもあるため、渡航前にしっかり確認しておきましょう。
本記事では、ワーホリ・海外留学を検討中・準備中の方に向けて、渡航前に知っておくべきワーホリの税金の仕組みと節税のポイントをわかりやすく解説します。
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目次
ワーホリ中の住民税はどうなる?
「ワーホリに行けば住民税はゼロになる」と思っている方は要注意です。
ワーホリ中の住民税は、渡航のタイミングや海外転出届の有無によって大きく変わります。
まずは仕組みを正しく理解しておきましょう。
カウンセラー
まみ
ワーホリ前に出すべき海外転出届とは?税金への影響と手続き方法
海外転出届は、ワーホリや海外留学などで長期移住する際に住民票を抜くための手続きです。
多くの自治体では転出予定日の14日前から申請できます。受付開始のタイミングや必要書類は自治体ごとに違うので、お住まいの市区町村の案内で確認しておくと安心です。マイナポータルからのオンライン申請に対応している自治体もありますよ。
ワーホリの税金対策として最も効果が大きい手続きのひとつです。
海外転出届を出すと止まるワーホリの税金・保険料
海外転出届を提出すると、以下の支払い義務がなくなります。
年間で数十万円単位の節税効果が期待できます。
海外転出届の手続きステップ
手続き自体は難しくありません。
渡航前に以下のステップで済ませておきましょう。
申請可能期間を確認
多くの自治体で転出予定日の14日前から受付。開始日は自治体差があるので、渡航日が決まったら早めに窓口の案内を確認しよう。
市区町村の窓口へ持参するもの
本人確認書類(マイナンバーカード・パスポートなど)。押印は原則不要な自治体が多い。家族がいる場合は全員分まとめて手続きも可能。
国民年金・健康保険・マイナンバーカードの手続き
転出届と同じ窓口で、国民年金(任意加入するかの選択)と国民健康保険の資格喪失手続きができる。マイナンバーカードは窓口で「国外継続利用」の手続きをすれば失効せずに使い続けられるので、あわせて申し出よう。
手続き完了・渡航へ
手続き完了住民票が除票されたことを確認して渡航。帰国時は改めて転入届を提出する必要があります。
ワーホリ中に転出届を出さないと?
日本国内在住扱いとなり、国民年金・健康保険・住民税すべての支払い義務が継続します。「手続きが面倒」で後回しにすると、海外滞在中も毎月引き落としが発生するため要注意。
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ワーホリ中の国民年金はどうする?払う・払わないの判断基準
国民年金は20歳以上60歳未満の方が加入する公的年金制度で、令和8年度(2026年4月改定)の保険料は月17,920円です。
海外転出届を出すと、国民年金は強制加入(第1号被保険者)の資格を喪失し、任意加入するかどうかを自分で選べる状態に変わります(日本年金機構「国民年金の任意加入の手続き」)。つまり「払い続ける」「いったん止める」のどちらも選べるということですね。
選択肢A:任意加入しない場合の手続き
「まずは渡航費と現地の生活費にお金を回したい」という方はこちらですね。難しい手続きはなく、海外転出届と同じ窓口でまとめて済みます。
海外転出届を提出する
市区町村の窓口へ。多くの自治体で転出予定日の14日前から受付。マイナポータルからのオンライン申請に対応している自治体もある。
国民年金の資格喪失手続きをする
転出届と同じ窓口でOK。基礎年金番号がわかるもの(年金手帳・基礎年金番号通知書)とマイナンバーカードを持参する。
前納した分の還付を申し出る
転出日以降の保険料は納付不要。すでに前納している分は還付請求ができるので、窓口で必ず申し出よう。
帰国後に転入届を出す
転入届を提出すれば自動的に第1号被保険者に戻る。就職して厚生年金に入る場合は第2号被保険者になる。
この期間は「合算対象期間(カラ期間)」として扱われ、受給資格期間(10年)にはカウントされます。ただし年金額には反映されないので、そのぶん将来受け取る額は少なくなります。
選択肢B:任意加入して払い続ける場合の手続き
「将来の年金を減らしたくない」「障害基礎年金の保障を切らしたくない」という方はこちらです。前納の割引が使えるので、まとめて払うほどお得になりますよ。
出国前に市区町村の窓口で申し出る
「国民年金被保険者関係届書(申出書)」を提出する。海外転出届と同じタイミングで済ませるのがいちばんラク。
出国後に手続きする場合の窓口を確認する
国内協力者がいれば日本での最後の住所地の市区町村窓口、いなければ年金事務所。日本在住歴がない場合は千代田年金事務所が窓口になる。
納付方法を決める
日本国内の口座からの口座振替か、国内協力者(親族など)による代理納付のどちらかを選ぶ。海外の口座からは納められない。
前納を使うか決める
まとめて納めるほど割引が大きくなる。下の表で比べてみよう。
付加保険料を申し込む(任意)
月400円を上乗せして納めると、将来受け取る年金額を増やせる。
帰国したら資格喪失の手続きをする
住民票を入れると任意加入の資格を失い、強制加入に戻る。一時帰国で住民票を入れた場合も同じ扱いになる点に注意。
| 前納の方法 | 割引額(令和8年度) |
|---|---|
| 2年前納(口座振替) | 17,370円お得(納付額417,150円) |
| 1年前納(口座振替) | 4,510円お得 |
| 1年前納(納付書・クレジットカード) | 3,820円お得 |
| 6か月前納 | 割引あり(金額は年金事務所で確認) |
長期の一時帰国を予定している方は、資格を失うタイミングや必要書類を、事前にお住まいの市区町村か年金事務所へ確認しておくと安心です。
カウンセラー
まみ
ワーホリ渡航後の税金手続き|在留届の提出も忘れずに
日本のパスポートで3か月以上海外に滞在する場合、旅券法第16条により在留届の提出が義務付けられています(外務省オンライン在留届(ORRnet))。
ワーホリでは滞在期間が長くなるため、渡航後のなるべく早い段階で済ませておきましょう。
提出先
現地の日本大使館または総領事館
提出方法
オンライン(ORRネット)・郵送・FAX・窓口に対応
提出するメリット
現地の災害・テロ・事件発生時に大使館から日本語で緊急情報を受け取れる
ワーホリ渡航先で払う税金|納税者番号と源泉徴収のしくみ
ここまでは日本側の手続きを見てきましたが、実際につまずきやすいのは渡航先の税金です。現地で働けばその国の所得税を納めることになります。カウンセリングでも「給料から引かれている税金は戻ってくるんですか?」というご質問をとてもよくいただくので、しくみを一緒に見ていきましょう。
働く前に取っておく「納税者番号」
オーストラリアならTFN(タックスファイルナンバー)、カナダならSIN(ソーシャルインシュアランスナンバー)が必要です。番号を伝えないまま働くと本来より高い税率で源泉徴収されてしまうので、仕事が決まったらすぐに申請しておきましょう。給与から先に天引きして、年度末の申告で精算するのが基本の流れです。
オーストラリアのワーホリ税率は1ドル目から15%
日本と大きく違うのが、ワーホリビザ(サブクラス417・462)には非課税枠(tax-free threshold)がないという点です。2025-26年度の税率をまとめました。
| 課税所得(豪ドル) | かかる税額 |
|---|---|
| $0〜$45,000 | 1ドルにつき15セント(15%) |
| $45,001〜$135,000 | $6,750+$45,000を超えた分の30% |
| $135,001〜$190,000 | $33,750+$135,000を超えた分の37% |
| $190,001以上 | $54,100+$190,000を超えた分の45% |
出典:ATO「Tax rates – working holiday maker」(2025-26年度)。※こちらは2026年8月時点の情報です。税率は国と年度によって変わるので、渡航先の税務当局のページで最新をご確認ください。
タックスリターン(現地の確定申告)で払いすぎた税金を取り戻す
源泉徴収は「多めに引かれている」ことがよくあります。年度末に申告すれば差額が戻ってくるので、帰国前にぜひ済ませておきたい手続きです。
申告できる期間と期限
オーストラリアの会計年度は7月1日から翌年6月30日まで。申告は7月1日から受付が始まり、自分で申告する場合の期限は10月31日です(ATO「How to lodge your tax return」)。現地の登録税理士(Tax Agent)を通す場合は、期限が翌年5月ごろまで延びることもあります。年度の途中で帰国する方は早期申告もできますよ。
スーパーアニュエーション(年金)の払い戻しは65%が引かれる
オーストラリアで働くと雇用主が積み立ててくれるスーパーアニュエーションは、帰国後にDASPとして請求できます。ただしワーホリビザ(417・462)は一律65%が源泉徴収されるため、手元に戻るのは約35%です(ATO「Departing Australia superannuation payment (DASP)」)。ビザが失効して6か月以上たつと、積立金は基金からATOへ移されます。
カウンセラー まみ
私も帰国前にタックスリターンとスーパーの請求をしましたが、スーパーは6割以上が税金で引かれて驚きました。「全額戻る」と思って生活費の計画を立てると危ないので、はじめから約35%が戻る前提で考えておくと安心ですよ。
二重課税になる?租税条約と外国税額控除、帰国後の確定申告
「日本と現地の両方で税金を取られるのでは」と心配される方も多いのですが、ここは住民票を抜いたかどうかで扱いが変わります。
日本で確定申告が必要になるケース
海外転出届を出して非居住者になっていれば、現地で得た給与に日本の所得税はかかりません。一方、住民票を抜かずに居住者のままだと、海外の所得も日本の申告対象になります。また年の途中で退職して渡航した方は年末調整が行われていないので、還付申告をすると所得税が戻ってくるケースが多いですよ。
外国税額控除で二重課税を調整する
居住者として日本と現地の両方で課税されてしまった場合は、外国税額控除で日本の所得税から差し引いて調整できます(国税庁「No.1240 居住者に係る外国税額控除」)。控除には限度額があり、超えた分は3年間繰り越せます。判断が難しいところなので、金額が大きいときは税務署か税理士に相談するのが安心です。
まとめ|ワーホリ渡航前に済ませるべき税金・手続き一覧
ワーホリ中の住民税・年金・健康保険など税金まわりの手続きは、事前に流れを把握しておくことで出費を大幅に抑えられます。
特に海外転出届は負担を軽くする効果がいちばん大きい手続きなので、渡航前に忘れず済ませておきましょう。
任意支払いをしないことで生じるデメリットもあるため、ご自身の状況と将来を見据えてどちらが適しているかを選択しましょう。
ワーホリや留学の税金・手続きに関して不安なことがあれば、お気軽にご相談ください。
ワーホリの税金についてよくある質問
カウンセリングで実際によくいただくご質問をまとめました。気になるところから読んでみてください。
ワーホリ中の住民税は本当にゼロになりますか?
住民税はその年の1月1日時点で日本に住民票があるかどうかで決まります。海外転出届を出して1月1日を海外で迎えれば、その年度の住民税はかかりません。ただし前年の所得に対する住民税は転出後も支払い義務が残りますので、渡航前に金額を確認しておきましょう。
海外転出届を出すと、日本の銀行口座やクレジットカードはどうなりますか?
非居住者になると扱いが変わります。ネット銀行は非居住者の口座維持を認めていないことがあり、メガバンクは非居住者向けサービスに切り替えれば継続できる場合があります。クレジットカードも「日本国内居住者向け」の規約が多いため、渡航前に各金融機関へ確認しておくのが安心です。証券口座やNISAも継続できるかが分かれるので、あわせて確認してください。
国民年金を払わないと、将来の年金はもらえなくなりますか?
もらえなくなるわけではありません。海外に住んでいて任意加入しなかった期間は「合算対象期間(カラ期間)」として扱われ、受給資格期間(10年)にはカウントされます。ただし年金額そのものには反映されないため、受け取る金額は少なくなります。
ワーホリでも国民年金の「免除」は使えますか?
免除や納付猶予は日本国内に住む第1号被保険者向けの制度なので、海外転出届を出した方は対象外です。海外転出後の選択肢は「任意加入して払い続ける」か「任意加入しない」の2つになります。令和8年度の保険料は月17,920円です。
マイナンバーカードは海外転出すると失効しますか?
以前は失効しましたが、現在は転出届の手続きとあわせて申し出れば「国外継続利用」ができます(マイナンバーカード総合サイト「マイナンバーカードを国外で利用する」)。窓口で忘れずに伝えておきましょう。
帰国後に日本で確定申告は必要ですか?
非居住者だった期間の海外所得については、日本で申告する必要はありません。ただし年の途中で退職して渡航した方は年末調整が行われていないため、還付申告で所得税が戻ってくるケースが多いです。帰国後に日本で働き始めた分は、翌年から通常どおり課税されます。
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