グローバルで英語が母国語のアメリカは、海外留学をしたい方や日本では学べない分野を学びたい方から人気の留学国です。
しかし、近年では世界的な物価高の高騰や円安の影響があるため、アメリカに留学するためには入念な計画と準備が必要です。
もちろん、アメリカ留学が実現すれば日本では絶対に経験できないようなスキルや経験を習得できるチャンスですので、早いうちから検討してみましょう。
本記事では、アメリカのトップ大学のランキング、アメリカを留学先に選ぶメリットとデメリット、金銭的な負担を最小限に減らす方法をお伝えします。
1.アメリカの大学ランキング
イギリスのマガジン「タイムズ」が毎年秋に発行する高等教育向けの情報誌「ザ・タイムズ・ハイアー・エデュケーション」が2024年の世界大学ランキングを発表しました。
108か国の合計1,904校を対象に「教育」「研究環境」「研究成果」「産業」「グローバル」の5つのカテゴリーと18項目の審査基準をもとにランク付けしています。
ランクインしたアメリカの大学20校を選出したリストが、以下のとおりです。
- スタンフォード大学(2位)
- マサチューセッツ工科大学(3位)
- ハーバード大学(4位)
- ケンブリッジ大学(5位)
- プリンストン大学(6位)
- カリフォルニア工科大学(7位)
- カリフォルニア大学バークレー校(9位)
- イェール大学(10位)
- シカゴ大学(13位)
- ジョン・ホプキンス大学(15位)
- ペンシルベニア大学(16位)
- コロンビア大学(17位)
- カリフォルニア大学ロサンゼルス校(18位)
- コーネル大学(20位)
- ミシガン大学(24位)
- ワシントン大学(25位)
- デューク大学(26位)
- ニューヨーク大学(27位)
- ノースウェスタン大学(28位)
- カリフォルニア大学サンディエゴ校(34位)
世界TOP10校のうちアメリカの大学が8校を占めていることから、アメリカの大学の教育と研究の質の高さが評価されているとわかります。
ちなみに日本は東京大学が29位にランクインしていました。
2.アメリカの大学に留学するメリット
アメリカの大学に留学するメリットは、以下のとおりです。
- アメリカ英語を学べる
- 最先端の技術・知識が得られる
- 入学後に自分の専攻を選べる
- 多様性理解が深まる
- 海外就職のチャンスが増える
それぞれのメリットをお伝えします。
アメリカ英語を学べる
英語の語学留学をしたいのであれば、アメリカのほかにイギリス、オーストラリア、ニュージーランド、マルタ、フィリピンなどさまざまな選択肢があります。
英語は世界各国の共通言語として使われているものの、その国独自の表現方法やなまりがあったりする側面があります。
実際に、「アメリカ人のウエイター/ウエイトレスは、イギリス人観光客がいたら逃げ出す(イギリス英語がわからないから)」というジョークがSNSでバズっているほどです。
日本の義務教育ではアメリカ英語を学ぶほか、英語が母国語ではない多くの国がアメリカ英語を基準に学習するのが一般的です。
世界で通用する英語を専門的に学んで深いレベルで習得したいのであれば、アメリカ英語が学べるアメリカに留学するのが最適でしょう。
最先端の技術・知識が得られる
すでに紹介した世界の大学ランキングのリストからわかるとおり、アメリカは経済・政治・ビジネスなどあらゆる面で世界トップクラスです。
ゆえにアメリカの大学では、日本のスケールとは比べものにならないほどの教育・研究費用が費やされており、専門的な勉強をしたい方に向いています。
研究室の環境が優れていたり、ライブラリーに100台ほどのマックブックが設置されていて自由に使えるなど、勉強しやすい環境が用意されています。
トップ大学に入学できれば、ビジネスや政治で成功している人がゲストスピーカーとして登壇するイベントに参加できたり、興味関心の高い学生と出会うチャンスです。
日本の大学は教授の話を聞いてテストを受けたりレポートを提出する授業が一般的ですが、アメリカではテストとレポートに加えてプレゼンとグループワークがあります。
基本的には予習として教科書を読んでわからない部分の理解をしたうえで、授業中に教授と生徒が議論を交わすスタイルが多いです。
さらに「Airbnb(宿泊サービス)」や「Uber(ライドシェアサービス)」など斬新なサービスの発祥の地であるアメリカ。
大学生活以外に、アメリカらしさを感じられるユニークなビジネスアイデアや最先端技術に触れられるのも刺激になること間違いなしです。
入学後に自分の専攻を選べる
日本では大学受験の時点で、自分がどの分野を勉強したいか決めなければなりませんが、アメリカでは入学前に専攻を決める必要はありません。
入学して1年目と2年目は一般教教科目、3年目以降に専門科目の履修がはじまります。
大学進学を考えている方で、明確にやりたいことが決まっておらず、もう少し時間をかけて慎重に考えたいのであればアメリカの大学を検討してみても良いでしょう。
日本では編入や学部変更は厳しいですが、アメリカではどちらも柔軟な考えが認められるため、在学中でも専攻を簡単に変えられます。
多様性理解が深まる
アメリカの大学は、多種多様なバックグラウンドを持つ学生が在籍しており、日本の大学で生活するよりも自然にグローバルな思考が身につきます。
人種の違いのほか、宗教、ジェンダー、食生活などそれぞれが明確な目的や趣味嗜好を持って、オープンにする傾向にあります。
「差別はダメ」「多様性理解」という話を道徳や倫理の授業で学ぶことも大切ですが、日常生活に溶け込んだ多様性に触れることが理解への最短ルートです。
身近に異なる文化や宗教、マイノリティーに当てはまる人がいれば、自然と偏見などを持たない価値観を持てるようになるでしょう。
海外就職のチャンスが増える
アメリカの大学を卒業すると「英語がアカデミックレベルで理解できる」「専門的な知識がある」の2点で就職活動の自己PRができます。
とくに専門性の高い大学で専攻の卒業論文を書いて卒業したのであれば、ほかの就活生とも差をつけられることでしょう。
「海外の大学で4年間がんばった」という行動力や達成感を自己PRとしてアピールすることもできます。
3.アメリカの大学に留学するデメリット
メリットの多いアメリカ留学ですが、実際に留学した人からは以下のような不満の声が寄せられています。
- 入学より卒業がむずかしい
- 現地の学生は忙しくて友達になりずらい
- 学費と生活費が高い
- 人種差別がある
それぞれのデメリットについて解説します。
入学より卒業がむずかしい
アメリカの大学は入学するよりも卒業する方がむずかしいといわれています。
日本では大学受験が最大の山場であり、大学4年間は遊んで過ごしていても卒業できてしまう人がいる状況です。
しかしアメリカの大学ではテスト・レポートのほかに授業中にディスカッション、プレゼンテーション、グループワークが大量にあります。
予習をしなければ授業の内容についていくことができないため、英語が母国語の現地の学生でも四苦八苦といわれているのです。
語学留学でアメリカを選ぶ分には大きな心配は必要ありませんが、アメリカの大学に留学しようと考えているのであれば、準備期間中に英語を磨きましょう。
現地の学生は忙しくて友達になりずらい
「アメリカ人は陽気でフレンドリーだからたくさん友達ができる」と考える方も多いですが、実際のアメリカ人の学生たちはとにかく多忙です。
まずアメリカ人にとってもアメリカの大学費用が高額で「大学ローン危機」という言葉があるほど、何百万人もの20代〜40代の人々が学費の返済に苦しんでいます。
そのため、現役の大学生でも学費のためにアルバイトをしている人たちが大半で、授業が終わると大急ぎでバイト先に向かう光景が頻繁にみられます。
もちろん、パーティーなどをして遊んで過ごす裕福な学生も多くいますが、実際にアメリカの大学で友達を作るのはむずかしいとの声も多く寄せられているのです。
友達がほしいのであれば、授業のグループワークで一緒になった学生や学校内のコミュニティ、学生団体などに所属するとよいでしょう。
学費と生活費が高い
アメリカは日本の大学と比べて学費も生活費も非常に高いです。
アメリカの4年制大学の年間平均授業料は、公立大学で約149万円、私立大学で約536万円というデータがあります。
日本の4年生大学の4年間の平均授業料は、国立大学で約243万円、公立大学で約255万円、私立大学は文系が約398万円・理系が約542万円です。
アメリカの私立大学に通うとなれば、日本の大学4年間の学費に匹敵するため、経済力がなければそもそも入学できません。
人種差別がある
たびたびニュースでも流れていますが、アメリカは多国籍国家ゆえに差別の問題も根強く残っています。
とくにコロナ禍では多くのアジア人が差別の対象となり、暴力や窃盗の被害に遭うニュースが連続して報道されました。
「差別はだめ」という共通認識はありつつも、十分な教育を受ける機会がなかったり、偏見を持って生活をしている人がいるのが現状です。
差別を受けたときは状況に応じて、事態を悪化させないための対処法を理解しておく必要があるでしょう。
4.金銭的な負担が少ない留学手段
アメリカの大学留学は、現実問題として費用面を理由に諦めなければならない方も出てくるでしょう。
「4年間大学に通うのはむずかしいけど、留学の夢を諦めたくない」という方は、金銭的な負担が少ない以下の留学手段を検討しましょう。
- アメリカの大学が提供する語学学校に通う
- アメリカの会社にインターンシップを申し込む
- アメリカの専門学校に入学する
- 英語圏のワーキングホリデーに行く
それぞれの留学手段について紹介します。
アメリカの大学が提供する語学学校に通う
アメリカの総合大学では正規学生や留学生のほか、英語学習者向けの語学学校を開校しているケースが多いです。
語学学校に在籍していても大学のイベントやコミュニティに参加することができるので、自分の行動力次第では人脈づくりや経験につながります。
気になる大学に入学が厳しいのであれば、英語クラスが開講されているか確認してみましょう。
アメリカの会社にインターンシップを申し込む
専門的な学習や経験をしたいものの、アメリカの大学に進学するのがむずかしい場合、インターンシップの申し込みを検討しましょう。
アメリカでは日本でいう「新卒採用」がないため、学生や大学卒業後の社会人はインターンシップに参加して経験を積むのが一般的です。
英語力や即戦力になる能力が必要ですが、日本の大学で専門的な知識を身につけたうえで、アメリカの会社で挑戦してみるのも良いのではないでしょうか。
アメリカの専門学校に入学する
アメリカにはニューヨークやロサンゼルス、シカゴ、ワシントンなどの大都市を中心に多種多様な専門学校があります。
ダンス、演技、アートなど文化的な学びもできるので、アメリカの大学進学が難しいのであれば、数週間〜3年ほどの短期間で専門学校に行く選択肢もあります。
大学ほど費用が高くないほか、入学基準が低く設定されている場合もあるので、英語力に自信がなくても挑戦しやすい点が魅力です。
英語圏のワーキングホリデーに行く
「英語を習得したい」「英語での経験を身に付けたい」という目的があるのであれば、アメリカ以外の英語圏にワーキングホリデーをする選択肢があります。
ワーキングホリデーで英語が使える国は、以下のとおりです。
- イギリス
- カナダ
- ニュージーランド
- オーストラリア
アメリカの隣国・カナダは、多民族国家でアジア系の国民も多くいて、アメリカとよく似た雰囲気を感じられます。
国によっては人数制限や語学力の最低基準が設けられているため、各国の情報をリサーチしたうえで申し込みをしてみてください。
5.まとめ
この記事では、アメリカのトップ大学のランキング、アメリカを留学先に選ぶメリットとデメリット、金銭的な負担を最小限に減らす方法をお伝えしました。
アメリカの大学は世界的にみても教育や研究の質が高く、グローバルな価値観も根付いているため、ご自身のステップアップや経験のために留学するには最適です。
しかし日本の大学と比べて学費や生活費が高額なため、「アメリカに留学したい!」と思ってすぐ行動に移せるほど容易でないのが現状です。
もしもアメリカの大学に留学できるのであれば、入学よりも卒業がむずかしいという現状を理解して、しっかりと授業に挑みましょう。
また経済的な理由でアメリカの大学への進学が困難な場合、アメリカの大学進学よりも安価に経験やスキルを身に付けられる手段を検討してみてください。