日本では普通に水道水の水を飲んだり料理に使いますが、海外では現地の水は飲んではいけないという話をよく聞きます。
留学や海外旅行先の国として人気が高いアメリカでは水道水を飲むことができるのでしょうか。
今回はアメリカの水道水が飲むことができるのか、そしてアメリカの水事情について詳しくお伝えします。
アメリカの水道水は飲めるが、国土交通省基準で飲めるとは認められていない
まず結論からお伝えするとアメリカの水道水は飲むことは可能ですが、国土交通省の基準では注意が必要な国とされています。
ちなみに日本の国土交通省が定める基準での水道水をそのまま飲める国は2022年の報告では日本を含む11ヶ国のみ。
(参照-日本の水資源の現況-国土交通省 P104)
<国土交通省が認める水道水をそのまま飲める国>
日本、ニュージーランド、アイルランド、アイスランド、ノルウェー、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、デンマーク、オランダ、オーストリア
水質がきれいな北欧が中心ですが、この数少ない国の中に日本も入っているのは日本の水資源の安全性を物語っています。
また、国土交通省の発表では「そのまま飲めるが注意が必要な国」が29ヶ国あり、アメリカもその中に含まれています。意外にも水質がきれいなイメージがあるアメリカのお隣カナダは「そのまま飲めない国」に入っています。
では、そのまま飲めるが注意が必要なアメリカの水道水はどの様な管理をされているのでしょうか。また、どの様な点に注意をすれば良いのでしょうか。
アメリカのお水事情
そのまま飲めるが注意が必要な国と言うと何となく安全性を疑ってしまいそうですが、アメリカの水道水は大変厳しい安全基準があり、世界的に見てもトップクラスの安全性を誇ると言っても過言ではありません。
しかし、人体の安全に影響しない程度の以下の物質が微量に含まれていることがあります。
- フッ素(歯を丈夫にする物質。人体に影響はないが、あえて多めに入れている地域もあり)
- ミネラル(天然のものと添加されているもの)
- 塩素・クロラミン(殺菌剤。人体に影響のないごく微量)
- 汚染物質(人体に影響のないごく微量)
フッ素やミネラルは身体に良さそうですが、塩素や汚染物質は人体に影響がない程度のごく微量とは言え、何となく気になってしまいますね。
しかし、アメリカでは「飲料水安全法」という法律があり、300の水質基準を定め、アメリカ国内すべての公共水道システムに適用されています。日本の水質基準は50ですので、その6倍の基準を定めているアメリカで、これらの物質が身体に影響を及ぼすというのはほぼ考えられません。
気になる方は浄水器を使ったり、煮沸消毒をして飲むと良いでしょう。このへんは日本と一緒です。また、料理に水道水を使うのも全く問題ありませんので、気にせず使用してください。
アメリカのお水は美味しいの?
アメリカのお水の味は地域によって大きく変わります。私たちが日本で飲んでいる水は軟水のため、私たち日本人にとっては軟水が飲みやすく、美味しいと感じます。では、アメリカではどの地域が軟水なのでしょうか。
<軟水のエリア>
- 北西部
- 東部
- 南大西洋岸
- ハワイ
数字は1L(リットル)に含まれるミネラル含有量を示しており、数字が大きくなればなるほど硬水になっていきます。
日本の平均的な硬度は48.9mg/Lですので、上記地図の紫色が日本に近い軟水ということになります。
留学先としても人気があるサンフランシスコ、ニューヨーク、ハワイは軟水なので美味しいお水が飲めそうですが、内陸部に入ると含有量が181〜250mg/Lと少なくとも日本の水道水の3倍以上のミネラル含有量の地域もあります。
これらの水は超硬水と言い、私たち日本人の口には合いにくいとされています。
アメリカのペットボトルの種類
アメリカでも水道水をそのまま飲むより、浄水器を使用したりペットボトルの水を飲むのが一般的です。そこでお水の種類を知っておくとアメリカ留学生活でも大変便利ですので、ここで紹介します。
<お水の種類>
タップ・ウォーター(Tap Water)
タップ・ウォーター(Tap Water)
水道水。Waterは物質としての水を指します。Tap Waterは明確に水道水を意味します。
スプリング・ウォーター(Spring Water)
湧き水。山で流れてくる飲めるお水はスプリング・ウォーターです。
ディスティルド・ウォーター(Distilled Water)
蒸留水。飲むこともできますが、味は美味しくなく飲み水には不向きです。主な用途としては、スチームアイロン、車の冷却装置、加湿器、コンタクトレンズの洗浄、医療機器など。
ピュリファイド・ウォーター(Purified Water)
水道水をろ過したお水。スーパーでよく安く売られていますが、元は水道水のため、ありがたみはありません。そして、味もすごく美味しいというわけではなく、普通のお水です。
ミネラル・ウォーター(Mineral Water)
自然なままのミネラルたっぷりの天然水。身体にも良く、味も美味しいですが、値段が高いため、毎日の飲料水にするには少しお高いかもしれません。
ピュリファイド・ウォーターの様な水道水をろ過しただけのお水は日本ではあまり売られていませんので、アメリカのスーパーで安いお水を見つけた!と得した気でいたら、すべて水道水なので家に浄水器をつけた方が安かったということにもなりかねません。
アメリカのお水で気をつけたいこと
次に普段の生活で気をつけたいことをお伝えします。
アメリカのお水の8割以上は硬水
まず覚えておきたいのがアメリカのお水の8割以上は硬水だということです。アメリカは国土が広く、その地域によって水の硬度が異なります。自分が滞在する地域がたまたま軟水だったとしても、長いアメリカ生活の中でアメリカ国内旅行をする時もあるでしょう。
そのため、たとえ滞在地域が軟水だったとしても知っておいた方が良いのが硬水の特徴と対策です。
硬水の特徴と対策
硬水には以下の様な特徴があります。
<硬水の特徴>
- シャンプーや食器洗剤の泡立ちが悪い
- 髪がきしみやすい
- パイプが詰まりやすい
- 水の流れが悪くなりやすい
- 家電製品に使うと寿命が短くなる
こうして見ると、やはりお水は硬水より軟水が良いですね。とは言え硬水の地域に行ったらその水を使用する必要があります。旅行で行く程度であれば我慢できるレベルですが、日常生活で使用する場合はシャワーヘッドを思い切って交換してしまうという手があります。
浄水タイプのシャワーヘッドがあれば、だいぶ髪のきしみは気にならなくなるはずです。浄水タイプのシャワーヘッドはインターネットや現地のショッピングモールなどでも5,000〜10,000円程度で購入できますので探してみると良いでしょう。
また、費用をできるだけかけず、気軽に浄水できるのがブリタの浄水器。取替え式のフィルターが中に入っていて、自分で水道水を注ぐだけ。水を入れたらそのまま冷蔵庫にも入れられ、アメリカの家庭用浄水器でもっとも人気があります。
レストランの水はほぼ水道水
外食の際に気をつけたいのがレストランで出てくるお水です。アメリカのレストランで出される水はほぼ水道水。安全性が高いとは言え、多くの地域が硬水であるアメリカでは、私たち日本人が飲み慣れていない硬水が出てくる確率は高く、飲み慣れないとお腹を壊してしまうこともあります。
水あたりを起こした時の対処法
生水でお腹を壊してしまうと色々不安に思うかもしれませんが、こういった時は冷静に対処する必要があります。まずは下痢止めや胃腸薬を服用しましょう。現地の薬は日本人に効きすぎることが多いため、この様な常備薬は日本から持参することをおすすめします。
また、水あたりで頻繁に下痢をすると脱水症状になってしまう可能性もあります。適度な水分補給が必要ですが、ここで水道水を飲むのは当然ですが本末転倒。ミネラルウォーターでも良いのですが、塩分を含むスポーツドリンクがおすすめです。
それでも良くならない場合は病院へ行きましょう。ちなみにアメリカは医療費が高額で、さらに救急車を呼ぶのにもお金がかかりますので状況によっては水あたりだけで数十万円がふっとんでしまうことも考えられます。
海外旅行保険に入っておけば、こういう時もすべて保険でカバーできますので、海外旅行保険は日本出発前に必ず加入する様にしましょう。
まとめ
アメリカの水道水について詳しくお伝えしましたがいかがでしたでしょうか。
アメリカの水道水は、日本の国土交通省の基準では飲むのに注意が必要な国とされていますが、世界的に見ると安全基準が厳しく、飲料水としての安全性は問題ないということが分かりました。
アメリカの8割以上が硬水のため、私たち日本人の口には合わない場合が多いでしょう。アメリカでもペットボトルを購入するのは一般的ですので、状況に合わせてペットボトルのお水を購入しても良いですね。
ペットボトルは天然水だけでなく、水道水をろ過しただけのお水や飲料水としてはあまり向いていない蒸留水も販売されていますので、用途に合わせて購入する様にしましょう。
普段の生活で硬水を使用する場合は、シャワーヘッドを換えたり、浄水器を使用するなどして上手に硬水と付き合っていきましょうね。
また、万が一水あたりを起こしてしまっても良い様に、日本出発前に常備薬として下痢止め、胃腸薬の準備と海外旅行保険の加入はお忘れなく。