学生から社会人まで幅広い世代の方が留学に行くようになりましたが、実際に「留学は必要なのか」と気になっている方も多いのではないでしょうか。
留学は、語学力の向上や異文化理解の面で、多くのメリットがあると言われている反面、行っただけでは何も得られない、行く必要がないと断言している方もいるのが現状です。
この記事では、留学に行くことで多くのメリットがあり、能力や人生経験に大きな向上が期待できるということをお伝えします。
実際、文部科学省は、教育振興基本計画の中の「未来への飛躍を実現する人材の養成」という名目で、外国語教育・国際交流・グローバル人材育成に向けた取り組みに力を入れています。
留学は、海外での就職を希望している方だけではなく、日本国内で就職を希望している方にも、おすすめです。
では、なぜここまで留学に行くことを勧めているのかについて、詳しく解説していきます。
留学のメリットとデメリット
まず、留学の必要性を理解するために、留学することのメリットとデメリットを見ていきましょう。
メリット |
デメリット |
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メリット・デメリットを詳しく解説していきます。
語学力が高められる
留学に行く最大のメリットは、日本国内で勉強するよりもスピーディーに語学を習得できる点が挙げられます。
語学学校に行けば、自分と同じレベルの語学力を持った他国の学生と切磋琢磨しながら勉強できます。
さらに、正規留学やインターンシップをする場合、その国の言語で専門分野を学べたり、ビジネス経験を積める点は強みと言えるでしょう。
日本国内にいると、困ったときに日本語で対処できますが、他国であれば、日本語は通じません。
どんな状況でも語学を使わなければ解決できないという状況に身をおくことで、最大限に語学力向上が見込めます。
他国の文化と習慣への理解が深まる
留学をすることで、日本とは全く異なる文化や習慣を持った人たちと交流する機会が生まれるため、異文化への理解が深まります。
国の数だけ異なるマナーやタブーが存在するため、留学をすることで、その国独自の文化や習慣を知ることができます。
多様な価値観を得られる
留学先には、自国で生まれ育った人たちや、他国から来た留学生たちが集まっているため、多種多様な価値観を持った人たちと交流できます。
日本では馴染みのない「宗教」に関しても、他の国では、政治や人間関係の構築に大きく関与することも少なくありません。
留学中に、できるだけ多くの人たちと交流することで、日本人のコミュニティとは異なるバックグラウンドを持った人たちを理解できます。
違いを受け入れることで、今までには想像したことがなかった新しい感性が身についたり、自身の他者への理解力が一気に高まるでしょう。
海外のコネクションを作れる
近年では、SNSが発達したこともあり、留学先で出会った人たちと帰国してからも繋がりを持ち続けることが可能です。
海外では、日本以上に友達作りが盛んですので、「友達の友達」とつながることも多いでしょう。
実際に、パーティーで知り合った人たちや、街中で知り合った人たちと意気投合して生涯の友達になることもあります。
また、明確な目標がある方は、積極的に学校のサークルや交流イベントなどに参加して、同じ志を持つ人たちとのコネクションを作るのもおすすめです。
帰国してからも、互いのSNSを通じて、意外なところで助け合いができるかもしれません。
自己肯定感・自信につながる
日本人は、謙虚な人間性が高く評価されている一方で、引っ込み思案で過小評価する傾向にあります。
一方、欧米を中心とした海外では、多少自身を過大評価するくらいの勢いで、セルフプロデュースが得意であったり、自分の話をすることが好きな傾向にあります。
街中で、「その服いいね」と声をかけてくれる人がいたり、堂々と自分自身ががんばったことを周りに話している人たちに囲まれることで、心境に大きな変化が起こること間違いなしです。
自己肯定感の高さと自慢は、全く異なるものであることに気づくことができれば、自信にもつながるでしょう。
海外旅行ができる
留学中は、休日を使って手軽に旅行ができます。
日本から距離のある国に留学するのであれば、観光客があまり行かないようなマイナースポットを旅行してみるのも良いでしょう。
勉強と旅行でオンとオフを切り替えるきっかけにもなるため、休日は有意義に過ごせるように工夫してみてください。
挑戦意欲・行動力をつけられる
留学は、語学力やコミュニケーション能力の高さに関係なく、必ず何かしらのトラブルが発生するもので、自分でそのトラブルを解決しなくてはなりません。
誰かに助けを求めるにしても、日本語が通じない環境であったり、言語の壁や文化の違いで周りと衝突したりしても、自分の気持ちを伝えるためには歩み寄る必要があります。
日本で生活しているときには起こり得ないトラブルに向き合うことで、人間的に成長することが期待できるでしょう。
就活で有利になる
海外留学をした経歴があれば、「語学力がある」「多様性理解がある」「順応性が高い」など、さまざまな項目で高く評価されます。
もちろん、留学したという事実だけで就職活動が有利になるわけではありません。
実際に留学中、何かを成し遂げたり、目標を達成したという結果があれば、それをしっかりと就職活動でアピールしましょう。
留学に行く前と行った後に、語学テストを受けて、どれだけ成績が伸びたのかを比較して、努力したことを認めてもらうのもおすすめです。
日本の理解が深まる
留学をすることで、当たり前に生まれ育っていた日本について全然知らなかったことに気付かされる日本人が多いです。
近年、日本は世界有数の観光大国として世界中の人たちが「日本を旅行したい」と話しているほど注目されています。
留学先で、日本人であることを伝えると「日本ってどんな国?」「日本のいいところは?」など質問攻めに会うこと間違いなしです。
意外と答えられない自分に驚き、改めて日本について理解を深めようとする人もいます。
日本で生活するよりもお金がかかる
留学は、生活費・食費・学費・交通費など多くの出費が発生するため、経済的な負担を感じる方もいるでしょう。
実際に、日本よりも物価の高い国を留学先として選ぶと、家賃だけで月額20万円以上かかるなんてことも考えられます。
節約しながら留学生活を送るのも良いですが、経済的な余裕があれば、週末や休日の充実度は大きく異なるため、可能な限り貯金することをおすすめします。
さらに、どうしても経済的な理由で留学が難しいと考えている方は、「格安留学」を検討してみてください。
例えば、英語留学であれば、アメリカやイギリス以外に、フィリピンやフィジーなどに行くことで費用を最小限に抑えられます。
ホームシックになる
留学で思うように友達ができなかったり、その国の文化や習慣に順応できなければ、孤独になりホームシックを感じることがあるでしょう。
同じクラスの人たちがどんどん仲良くなっていく中、自分だけ取り残されてしまうとさらに自己嫌悪になってしまうことも考えられます。
コミュニケーションを自分から取ることが難しいと不安な方は、サークルやイベントなどに足を運んでみてください。
自分の好きな分野に関する集まりに参加することで、消極的な性格を理解したうえで、仲良くなれる人も出てくるかもしれません。
ある程度の時間を要する
留学は、ある程度の時間をかけなければ成果を出すことが難しいです。
例えば、1週間〜3ヶ月程度の短期留学となると、語学力の向上には限度があります。
初めての留学で、その国の文化や習慣を知りたい、今まで勉強してきたことがどこまで通用するか試したいという目的なら短期留学でも十分です。
ただし、飛躍的な語学力の向上を期待するのであれば、半年〜数年単位で留学期間を設けることをお勧めします。
学生であれば、休学をしたり、社会人であれば休職や退職を検討して、留学準備に備えましょう。
必ず語学力が伸びるわけではない
留学に行けば語学力が伸びると断言することはできません。
買い物をしたり、簡単な挨拶などの日常生活で最低限必要なコミュニケーションをそつなくこなせるようになるかもしれません。
しかし、生活に必要なコミュニケーションは大体1週間ほどで習得できると言われていて、それ以上を望むのであれば、個人の努力が必要です。
授業終わりの復習や現地の人たちと積極的にコミュニケーションを取るなど意識的に生活するようにしてください。
人種差別を受ける可能性がある
留学に行くと、日本人・アジア人という立場からマイノリティーになる可能性が高いです。
周りに、白人、黒人、ヒスパニック系など異なる人種が集まっていると、見た目や人種を理由に、心ない言葉を投げかけられたり、故意に差別されることがあります。
世界的に、人種差別撲滅に声をあげている人たちがいる一方で、昔ながらのステレオタイプや偏見が根強く残っている人たちがいることを知っておくことが重要です。
嫌なことをされたときに、しっかりと嫌だという旨を伝える強さを持ったり、自分を理解してくれる善良な人と友達になるなど工夫しましょう。
日本国内にも、在日外国人や外国人観光客に対する差別は残っているため、自分自身の他人との関わり方を見直すきっかけにもなるかもしれません。
留学で得られること
留学の必要性を理解するうえで、留学に行くことで得られることについて見ていきましょう。
- 語学力
- 原動力
- 主体性
- アイデンティティ
それぞれの項目について詳しく解説します。
語学力
まず、留学に行くメリットでもお伝えした通り、留学をして現地で言語を学ぶことで、日本国内にいるよりも実践的な言語学習ができます。
日本国内でも、外国人の友達を使ったり、イベントに参加することで、外国語を話す機会を作れますが、相手が日本語を話せるシチュエーションがほとんどです。
留学をすることで、すべて外国語でやりとりをしなくてはならないという点において、語学力が伸びやすい環境が生まれます。
原動力
留学に行くと決めたのであれば、それはひとつ大きな決断をしたことになります。
何かに挑戦したいと思っても、考えているだけで行動に移せない人が多い中、留学に行くという決断をするだけでも、強い意志がある証拠です。
限られた留学生活だからこそ、日本にいるときよりも積極的に何かに挑戦したり、誰かに話しかけたりする原動力が生まれやすいです。
留学したからこそ引き出された原動力は、自然に身につくものでもあるので、帰国してからもいろいろなことに挑戦する活力になることでしょう。
主体性
留学先では、他国の人たちとの交流が盛んになるため、自分の意見を持つことや、はっきりとYESかNOを答えなくてはならない場面にたくさん遭遇するでしょう。
日本では、曖昧な返事でもコミュニケーションが取れているのに対して、海外では、日本のコミュニケーションが通用しないケースが多いです。
自分の意見を持つことの重要性を理解することで、主体的に何かをする能力が身につき、帰国してからも役立つこと間違いなしです。
アイデンティティ
日本は、単一民族国家であるため、「日本人」であることに対する誇りが薄かったり、個性を出すことに関心が薄い傾向にあります。
アメリカや移民の受け入れが盛んなヨーロッパに留学をすると、自分のルーツがどこにあるのか、どこの宗教を信仰しているのか、生きるうえでのこだわりがあるのか、というのが重要になります。
ここでいう「生きるうえでのこだわり」というのは、ミニマリストやヴィーガンなど、宗教とは別の思想のことを指します。
自分が何者であるかを明確に理解しようとする人たちに囲まれることで、日本人としてのアイデンティティが目覚めることでしょう。
自分自身を理解して、相手に認められることで、自己肯定感が高まり、自分と違う他者を受け入れることで、より豊かな感性を持てるようになるのです。
さまざまなバックグラウンドを持つ人たちと出会えるチャンスでもあるため、自身のアイデンティティを再確認するという意味でも、留学は有効です。
まとめ
この記事では、留学の必要性について、メリット・デメリット、得られることを紹介しながらお伝えしました。
留学をしただけでは何かが有利に働くわけではありませんが、有意義な留学生活を送ることができれば、多くのメリットがついてきます。
これから留学を検討している方は、自分の理想や目標を明確にしたうえで、計画的に準備を進めてください。