留学の質を高めるためには、渡航までの「準備期間」をどれだけ有意義に過ごすかによって大きく変わります。留学プログラムの内容によって異なりますが、最低でも半年以上は必要と言われています。この記事では、準備期間の必要性、プログラム別の準備期間の流れ、注意点について解説します。ぜひ参考にして有意義な留学生活を送れるように準備をしましょう。
留学に準備期間が必要な理由
留学は、日本を出て海外に滞在するため、「留学をしたい」と思った翌日から渡航できるわけではありません。
留学をする場合、学校への入学申請をしたり、滞在先の契約をしたり、資金調達をしたりする必要があります。
航空券や語学学校は直前に取ると高額になりやすく、前もって予約すると割引特典などがついて安価になりやすいです。
学生の場合、在学している学校を休学するのか、休学せずに長期休暇を利用して留学をするのかによって準備期間でやるべきことが異なってくるでしょう。
また、社会人の場合、有給を使って留学をするのか、休職したり退職して留学をするのかによって、準備期間でやるべきことが異なってくるでしょう。
このように「留学するために必要な準備」だけでも時間が必要です。
さらに、留学する学校や滞在先が決まれば問題ないかというと、そうではありません。
現地についてのリサーチ、現地の生活に少しでも早く溶け込むための語学学習と文化理解など、より充実した留学生活を送るための準備期間が必要です。
留学準備は、「長ければ長いほどよい」かというとそうではなく、適切な準備期間を設けて、有意義な準備をすることが求められます。
留学の準備期間が長すぎるとよくない理由
留学の準備期間を長く設ければ、よりよい留学準備ができるのではないか?と考える方がいますが、その考え方は、危険です。
というのも、1年〜2年以上前から留学準備を始めたところでできることが限られてしまうからです。
例えば、留学するための学校選びをしたくても、多くの海外の学習カリキュラムは、早くて1年切ったタイミングで公開されます。
あまり早くから準備を始めたところで、円安・円高などの影響により、入学金や学費、生活費は、日々大きく変動するため、具体的な計画を立てることができません。
さらに、留学の準備期間を長く設ける方の傾向として、「完璧主義」「不安を抱きやすい」「成績優秀」などの特徴があります。
しかし、準備期間を設けすぎることによって、自分自身にプレッシャーをかけすぎてしまい、結果がついてこない時に、自分を責めてしまうこともあるでしょう。
語学学習や文化理解に関しては、早いうちから力を入れておくことは良いのですが、留学の準備に入るのは、1年を切ったタイミングが適切といえます。
留学の準備期間が短すぎるとよくない理由
留学の準備期間が短すぎるのは、多くの皺寄せが留学生活中に生じる可能性があるため、余裕を持った準備期間を設けてください。
留学の準備期間が長すぎる場合、具体的な計画が立てられなかったり、目標が分からなくなったり、自分へのプレッシャーが大きくなってしまうというものでした。
対して、留学の準備期間が短すぎる場合、単純に準備不足の状態になりますので、留学生活が不完全燃焼で終わってしまう可能性が高いです。
直前になるほど、人気だったり質の高い学校は新規学生の募集を終了していたり、入試が終わっていたりすることがほとんどです。
また、滞在先も治安が良い場所やコスパの良い施設に入居することが困難です。
さらに、準備期間がバタバタとすぎていくことで、語学学習の時間を十分に作ることができずに、現地へと渡航することになります。
留学することがゴールである場合、特に準備期間が短くても問題ありません。
しかし、その後の進路、キャリアなどを見据えての留学の場合、留学前の準備期間が将来の成功を大きく左右することを念頭に置いておきましょう。
留学の準備期間の目安
ここからは、留学の準備を始めるべきタイミングの目安を解説します。
正規の学校(中学・高校・大学・専門学校など)選びを始めるのは、6〜8ヶ月
長期留学を検討している場合、留学の準備を始めるべきタイミングは、6ヶ月〜8ヶ月前からが最適です。
多くの海外の学校は、カリキュラムの詳細が出るのが遅いため、行きたい学校の申し込みが始まったタイミングで徐々に具体的な計画を立てていきましょう。
ただし、レベルの高い学校への入学を検討している場合、入試や最低限必要な語学力の証明が求められる場合があります。
事前に最低限必要な語学力や、成績がわかっているのであれば、6〜8ヶ月よりも前から準備を始めましょう。
語学学校選びを始めるのは、2〜6ヶ月前
語学学校などの短期留学を検討している場合、学校を選ばないのであれば基本的には、直前でもプログラムの申し込みができたりします。
しかし、人気の学校は募集を開始してすぐに定員になる可能性が高いため、早いうちからリサーチを始めて、入学準備を進めましょう。
車調達を始めるのは、1〜2ヶ月前
留学先によっては、公共交通機関が少なく車を調達したほうが良い場合があります。
基本的に、日本から自家用車を持っていくことはできませんので、現地調達となります。
レンタカーを利用するのであれば、オンライン申請が可能です。
1〜2ヶ月ほど前から予約をしておくことで、通常価格より少し安価にサービスを利用できるチャンスがあるため、節約するのであれば、早めに手配しましょう。
また、長期留学を検討していて、車を購入しようと考えている場合は、現地についてから調達することもできます。
海外では、日本ほどレンタカーサービスが充実していない傾向にあるため、長期間留学するのであれば、中古車などを購入したほうが安く抑えられる場合もあります。
滞在先選びを始めるのは、4〜6ヶ月前から
留学する学校でホームステイや寮の手配をしてもらえない場合、自分で学校付近の賃貸を借りる必要があります。
日本のアパートで半年〜1年前から契約することは難しいのと同じで、海外の滞在先は、あまり早くから契約することはできません。
留学で渡航するまでの4〜6ヶ月以内に準備を始めましょう。
留学プログラム別の準備期間の目安
留学は、語学学習、外国語での専門分野の習得、ワーキングホリデーなど目的がさまざまです。
目的によって必要な準備期間は異なりますが、最低でも1ヶ月〜半年を目安とし、1年前から入念に準備ができることが理想です。
中学・高校・大学への長期留学(正規学生)
中学・高校・大学など現地の学生と同様の正規学生として留学する場合、約1年ほどの準備期間があると安心です。
語学学校は、言語が堪能でなくても入学できますが、一般の学校に入学する場合、ネイティブの学生と同等レベルの語学力を証明しなくてはなりません。
IELTSやTOEFLなどで入学資格のある最低基準を満たしていることが条件の場合もあります。
最低基準を満たさなければ申込資格すら無くなってしまうため、1年以上前から入念に語学力向上に力を入れて準備しましょう。
また、正規留学をする場合、日本の学校での成績表や学校の先生からの推薦書の提出が求められるケースがあります。
事前に把握していないと、想定以上に書類発行に時間を要する場合があることを覚悟しておくことが重要です。
短期留学やワーキングホリデー
語学向上が目的の短期留学や、言語を学びながら現地で仕事をするワーキングホリデーの場合、半年ほどの準備期間があると安心です。
人気の学校や就職先は、募集開始直後に定員が埋まってしまう可能性があるため、早めに準備を開始しましょう。
前もって学校や就職先の情報を収集しておくことで周りのペースに出遅れる心配がありません。
航空券もまた留学においては大きな出費の割合を占めます。
留学の予定を早期に決めておくことで早割などの得点を利用して航空券が取れるため、節約するのに最適です。
留学の準備期間の流れ
いざ、留学の準備を始めるとなったら、次の手順で準備を進めていきましょう。
- 留学で成し遂げたいこと、なぜ留学するかの目的を明確にする
- 現地の情報を集める
- 学校選び
- 書類集め・手続きを進める
- パッキング
- 最終確認
それぞれの手順の詳細を解説します。
1.留学で成し遂げたいこと、なぜ留学するかの目的を明確にする
まず、留学をすると決めたのであれば、「ゴール」と「目的」を明確にすることで、留学する場所、留学する学校、留学中のモチベーションに繋がります。
例えば、「言語を話せるようになりたい」のであれば、日本人の少ない学校を選んだり、徒歩圏内で遊べるような都会エリアを選択したほうが良いです。
「将来的には海外で就職をするために言語を伸ばしたい」のであれば、大学付属の語学学校を選ぶことで、自由にキャリア関連のイベントに参加できるチャンスがあります。
他にも、「専門知識を深めたい」のであれば、専門性のある学校選びから始まります。
このように、具体的なゴールと目的を掲げることで、自分がどこで勉強するべきなのかはっきりさせられるため、自分自身と向き合うことに時間をかけましょう。
2.現地の情報を集める
明確な「ゴール」と「目的」が定まれば、それらを達成するための環境選びを始めます。
専門的な学業を学びたいのであれば、学部や教授から適切な学校を見つけてください。
語学を学びたいのであれば、国籍を選び、その後に都会か田舎、さらに細かいエリアを選びましょう。
英語を学ぶのであれば、アメリカ・フィリピン・オーストラリアなど、フランス語を学ぶのであれば、フランス・ベルギー・アフリカ圏などさまざまです。
そこから自分の希望するライフスタイルに合わせて、都会、田舎、歴史的な建造物の多い街、ビーチのある街などに絞り、学校選びに進みます。
このタイミングで、複数の留学エージェントから語学学校や専門学校、中学・高校・大学の資料請求をして、イメージを膨らませてみましょう。
学校のある場所の治安やレストラン、スーパーマーケットのある場所まで確認しておくと、より有意義な留学生活を送ることができます。
3.学校選び
続いて、エリアが決まったら実際にいきたい学校を選択します。
専門的な学業を学びたいのであれば、エリアよりも先に学校を基準に留学先を選ぶべきですが、言語を学ぶことが目的なのであれば、エリアを選んだ後に学校を探しましょう。
学校との仲介をしてくれるエージェントに頼むと、日本語で全ての手続きを済ませることができたり、必要な書類などの不足も防げるため安心です。
ただし、エージェントを利用した場合は、仲介料が発生するため、費用がかかる点がデメリットとして挙げられます。
一方、語学学校を自分で探して自分で申し込みをすると、仲介料が発生しないため、最低限の費用で学校に入学できます。
さらに、日本のエージェントが関与していない学校を選べば、日本人の在籍率が一気に低くなるため、より語学学習に専念しやすい点が魅力です。
ただし、ある程度の語学力がなければ、申し込みができなかったり、書類や持ち物に不備があると通常通りに入学できないなどのトラブルに見舞われる可能性があります。
心配な方は、エージェントの利用をおすすめします。
4.書類集め・手続きを進める
学校選びが決まったら、留学中に必要な書類を集めたり、事務的な手続きを進めていきます。
【留学の準備期間で用意するもの】
- パスポート申請
- 航空券の購入
- ビザ申請
- 海外健康保険
- 国際免許証
- クレジットカード
- 海外転出届
- 住民税の停止
上記で記載したものは、必ず必要なわけではありませんので、自分が留学をする際に、やっておくべきことのみ必ず手続きを進めてください。
役所を通して手続きが必要なものなどは、申請してから数日〜数週間かかる場合もあるため、余裕を持って進めておきましょう。
また、コロナウイルス関連の書類提出が求められる国も多いため、通常の留学手続きに加えて、必要な書類がないかもしっかりと確認しておくと安心です。
こういった事務的手続きに関しても、エージェントと契約することで、必要なものを代理で揃えてくれたり、書類の確認をしてくれるため、ミスを防ぐことができます。
5.パッキング
実際に渡航予定日が近づいてきたら、荷物をまとめていきます。
最低限必要な書類や証明書だけは忘れることのないようにわかりやすい場所に用意しておきましょう。
また、渡航先の気温や天候に合わせた衣類、日用品、勉強に必要な文房具、レトルトなどで日本食など必要なものをパッキングします。
国によっては、持ち込みが禁止されている食べ物があるため、食材を持ち込む場合は、事前に確認しておきましょう。
また、現地に着くまでに乗り換えがある場合、ロストバゲージ(空港で預けた荷物が紛失すること)のリスクもあるため、できるだけ重要なものは、手荷物にまとめます。
6.最終確認
渡航日数日前になったら、最終確認をしていきます。
留学の準備期間は長いので、どんなに確認しても忘れてしまっていることもあるかもしれません。
全ての準備が整った上で、荷物の忘れ物がないか、用意するべき書類が揃っているかを確認して、出国しましょう。
留学の準備期間で注意すべきこと
留学の準備期間で注意すべきことは、次の通りです
- 他人を頼りすぎず、できるだけ自分で準備を進める
- 難しいと感じたら専門的な知識を持ったエージェントに頼る
- 実際に海外留学のイベントなどに参加して生の声を聞くことが大切
それぞれの注意点について解説します。
他人を頼りすぎず、できるだけ自分で準備を進める
海外留学をするのであれば、自主性・自立性は、何より大切な要素となってきます。
数ある選択肢の中から、自分と向き合って最適なものを選ぶ作業は、根気が必要ですが、そこで時間をかけることで留学にかける思いも大きく変わってくるでしょう。
初めからエージェントや周りに助けを求めるのではなく、できるところまでは自分の力で進めてみることをおすすめします。
難しいと感じたら専門的な知識を持ったエージェントに頼る
「できる限り自分の力で進めるべき」とお伝えしましたが、言語の壁やタイムリミットなどで限度を感じた時は、エージェントを利用してください。
ただし、日本にはたくさんの留学エージェントがあるため、どれを利用するべきか悩んでしまう方もいるでしょう。
安いからという安易な理由でエージェントを選ぶと、トラブルに発展するリスクがあるため、「J-CROSS」の認証を受けているサービスを利用すると安心です。
J-CROSSとは、消費者庁・文部科学省・経済産業省・観光庁のアドバイスを受けた上で、第三者機関が認めた留学事業者のみが取得できる認証です。
エージェント選びのひとつの判断基準としてチェックしてみてください。
実際に海外留学のイベントなどに参加して生の声を聞くことが大切
留学のイメージがはっきりとしない時は、実際に留学をした人たちからの経験談やアドバイスを聞けるイベントに参加してみてください。
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)では、定期的に海外留学に関するイベントや説明会を実施しています。
JASSOの公式サイトから詳細が確認できるので、ぜひ一度足を運んでみると良いでしょう。
まとめ
この記事では、留学の準備期間について解説しました。
短期留学、長期留学問わず、適切な留学期間を設けることで、より充実した留学生活を送ることができます。
あまりにも早くから準備を始めてしまうと、具体的な計画が進まなかったり、目的がわからなくなってしまうこともあるため、大体半年〜1年間が目安となります。
入念な留学準備期間を経て、有意義な留学生活を送ってください。