ワーキングホリデーで海外に長期滞在をする場合、さまざまな手続きのことについて考える必要があるでしょう。渡航手続きもそうですが、日本の住民票や年金など、どうしておくべきか悩んでしまうのではないでしょうか。
基本的に短期間の海外滞在であれば、住民票はそのままにしておくべきなのですが、長期滞在の場合、住民票を置いておくか抜くのかは、個人個人の状況によって検討する余地があります。
そこでこの記事では、ワーキングホリデーをする際に住民票をどうすれば良いのかについて解説していきます。これからワーホリをする人や、将来ワーホリをしたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
【目次】
1.ワーホリに行くときには住民票を抜かなければならない?
ワーホリで長期間日本にいない場合、住民票を抜かなければならないのでは?と心配になる人もいるのではないでしょうか。確かに長期間日本に居住していないのですから、住民票が日本にあるのは不自然ですよね。
これに関しては、ワーホリの期間によります。
原則として、日本を1年以上離れる場合は、住民票を抜くための「海外転出届」というものを役所に提出しなければなりません。ですが多くの場合、ワーホリビザは1年ですから、1年しか滞在しないと決めているなら、抜く必要はないでしょう。
1年以上なので、1年も含まれると思うでしょうが、1年以内に戻ってくるなら問題ありません。また、原則として1年以上日本に居住しない場合は、海外転出届を出すことになっているものの、現状、住民票を抜かなかったことに対する罰則はありません。
ただし、ワーホリ期間が1年を超える人の場合は別です。ワーホリビザが2年であるイギリスや、条件によって延長できるオーストラリアやニュージーランドへのワーホリをする人で、1年を超える滞在を考えている人は、住民票を抜いていく必要があります。
2.ワーホリで住民票を抜くメリット・デメリット
前述のとおり、日本にいない期間が1年を超える場合は、住民票を抜かなければなりません。しかし、多くのワーホリメーカーの海外滞在期間は1年以内となるでしょう。
この場合は、住民票を抜くかどうかを事前にしっかり考えておく必要があります。
ちなみにワーホリビザを使って3ヶ月などの中期滞在をする人もいるかもしれませんが、数ヶ月程度の滞在なら、住民票は抜かない方が良いです。
ここからはワーホリでの滞在が1年近くになる人を対象に、住民票を抜くとどんなメリット・デメリットがあるのかを解説します。
メリット
住民票を抜くことのメリットは、税金や保険料の支払い義務がなくなることです。ワーホリ期間中は日本では無職状態になっている人がほとんどでしょう。その場合、国民健康保険に加入し、国民年金を支払うことになりますが、住民票を抜いておけばそれらの支払い義務がなくなるのです。
国民健康保険料は人によって異なりますが、前年度に働いていた人なら少なくとも毎月10,000円以上の支払いが必要です。年金は令和5年時点で月額16,520円。それに住民税の支払いもあれば、人によっては月に4〜5万円の支出になる可能性も。
住民票を抜いておけば、そうした支払いの義務がなくなるため、金銭的に余裕が生まれます。
ただし、現在学生の人や親の扶養に入っている人などは、国民保険料の支払い義務はそもそもありません。また、前年度に働いていなかった人は住民税が発生していないでしょう。
その辺りも考慮して、考えることをおすすめします。
デメリット
住民票を抜くことに関するデメリットは、渡航時と帰国時に手続きが必要なこと、そして日本の健康保険に未加入状態になることでしょう。
手続きは我慢するしかありませんが、健康保険に未加入だと、一時帰国の際などに病院に行く必要が出た場合、治療費が10割負担になってしまいます。一時帰国をする際には、たとえ短い期間であっても住民票を元に戻した方が良いかもしれません。
また、これまでお仕事をしていた人は、住民票を抜くことで失業手当が受給できなくなることも注意しましょう。
そのほかには、銀行口座やクレジットカードを新しく作ることができないというデメリットもありますが、そもそも住民票を抜いている間は海外にいるため、日本の銀行口座やクレジットカードは必要ないはずです。
こんな人は住民票を抜いておくべき!
以上のメリット・デメリットを踏まえると、以下にあてはまり、1年間ワーホリをするつもりの人は、住民票を抜いておくべきだと言えるでしょう。
前年度に働いていた人
親の扶養に入っていない人
もちろん上記に当てはまる人でも、税金や保険料の支払いを継続できる場合は、無理に住民票を抜いて行く必要はありません。ですが、資金面に不安がある人は、住民票は抜いておいた方が良いでしょう。
基本的には、成人している人であれば、住民票を抜いておいた方がメリットは多いです。
3.住民票を抜く=海外転出届を出す手続きについて
これまでに一度も住民票を抜いたことがない人は、どのようにすれば住民票を抜けるのかわからない人もいますよね。
そこでここからは、住民票を抜く、つまり海外転出届を出す手続きについて簡単に解説していきます。
ワーホリ出発前の手続き
手続きは渡航の2週間前から可能です。前日までにしておけば、問題ありませんが、余裕をもって手続きをしておくため、1週間前までには済ましておきましょう。
手続きは引っ越しをするときの転出とあまり変わりませんが「海外転出」と伝えましょう。それで、役所で適切な手続きをしてもらえます。
手続きに必要なのは本人確認書類と印鑑のみですが、役所によって異なる場合もありますから、事前に問い合わせておけるとスムーズです。
海外転出届を出すと、「転出証明書」というものがもらえます。この証明書は帰国時に必要になりますから、なくさないように気をつけてください。
ワーホリから帰国したときの手続き
ワーホリから帰国したら、すぐに住民票を戻します。この手続きはできる限り早めに行ってください。可能なら、帰国の翌日に役所に行って手続きをすることをおすすめします。
手続きは、転出の場合と同じ窓口で行います。
この時に必要なのは、上記で触れた転出証明書と本人確認書類、そして印鑑です。こちらについても、役所に行く前に、必要なものを確認しておくと良いでしょう。
ちなみに一時帰国時にも住民票を戻しておくことができます。その場合も、同じ手続きをすることになりますので、住民票を戻すつもりの人は忘れないようにしましょう。
4.住民票を抜く場合の注意点
ワーホリに限らず、長期間海外に滞在するのであれば、住民票を抜いた方がメリットは大きいです。しかし、住民票を抜く場合には、気をつけておかなければならないこともあります。
そんな住民票を抜く場合の注意点についても詳しくご説明します。住民票を抜く義務がある人も、抜くことを考えている人も、こちらの注意点もしっかりチェックして、リスクを避けるようにしてくださいね。
海外留学ワーホリ保険には絶対加入すること
日本の健康保険は、実は海外で受けた医療に対しても使えます。一定の手続きは必要ですが、この点は、住民票をそのままにしておく場合のメリットとも言えるでしょう。
しかし、住民票を抜いて無保険状態になると、日本の健康保険は使えません。ですから、海外留学・ワーホリ保険には必ず加入しておきましょう。
健康保険もなく、留学・ワーホリ保険もない場合、海外滞在中に病気になったり怪我をしたりした際に、自分で保険料を負担することになってしまいます。海外の医療費は日本以上に高額なことも多いですから、びっくりするような額を請求されてしまうかもしれません。
しかし、留学・ワーホリ保険に加入しておけば、保険会社によってはキャッシュレスで治療が受けられる場合もあり、非常に便利です。
国によっては、その国の健康保険への加入が義務づけられている場合もありますが、その場合でも海外留学・ワーホリ向けの保険には加入しておくことをおすすめします。留学・ワーホリ向けの保険は、病気や怪我の治療費だけではなく、現地で済む住宅への被害などをカバーするものもあるからです。
転出も転入も手続きは迅速に
ワーホリにあたって住民票を抜く場合は、転出時も転入時も手続きは迅速に行いましょう。
ギリギリに転出届をしに役所に行ってしまうと、必要なものが足りていなかったり、何らかの不備があったりした場合に、再度手続きをしに行くことができなくなってしまいます。
逆に転入の手続きを伸ばし伸ばしにしていると、その間無保険状態で日本にいることになってしまいますし、その状態での再就職はできません。
ですから、手続きは早め早めに行うようにしましょう。
扶養に入っている人は特に注意
扶養に入っている人は、住民票を抜くべきかどうか真剣に検討しましょう。これは、住民票を抜くと、本当に扶養対象なのかを証明するものが発行できなくなってしまうからです。
これに関しては、扶養してくれる人の会社の担当部署に問い合わせをすることをおすすめします。
5.長期間ワーホリをするなら住民票は抜くのが吉!
手続きが面倒というデメリットはあるものの、ワーホリで1年近く、もしくはそれ以上海外に滞在する予定の人は、住民票を抜いて行った方がメリットが多いです。
住民税や健康保険、年金などは合計すればなかなか高額になりますし、収入の目処がたたないワーホリ生活で、余計な出費は抑えたいはず。
メリットとデメリットを比較しながら、自分にとってプラスになる方法を選んでくださいね。