ハワイは1年を通して多くの日本人や芸能人が訪れることで知られています。
美しいビーチ、ハワイ特有の文化、温暖な気候、リゾート地としての魅力は日本にとどまらず、世界の人々を魅了しています。また、ハワイは留学先としても人気が高まっており、日本語が通じる場所も多いため、海外初心者やハワイが大好きな人にとっては特に魅力的な留学先になります。
また、「ハワイでワーホリができたら行ってみたい!」という人は多くいるかと思いますが、日本とアメリカ間のワーキングホリデー協定が存在しないため、アメリカの州であるハワイでのワーキングホリデーはできません。
しかし、あきらめるのはまだ早いです。実はハワイでワーキングホリデーの様な体験ができるJ-1ビザのことはあまり知られていません。
今回は、そもそもワーキングホリデーとはどの様な制度なのか、そしてワーキングホリデーに近い特徴を持つJ-1ビザとワーキングホリデーとの違いについてお伝えします。
【目次】
1.ワーキングホリデービザとは
J-1ビザについて知る前に、まずは本家本元のワーキングホリデービザについて知ることから始めましょう。
ワーキングホリデー(通称:ワーホリ)は、若者にとって国際交流を深める絶好の機会になる制度です。
この制度では、協定国の若者が他国で長期滞在し、現地で働くことで旅行費用や生活費を稼ぐことができます。この柔軟性がワーホリの最大のメリットであり、1年間という長期滞在の中で働いたり、休暇を楽しんだり、学校に通うことが可能です。
滞在期間は最大で1年間ですが、国によってはより長期間滞在できることもあります。たとえば、イギリスでは2年間、オーストラリアでは特定地域での就労を条件に1年間の滞在期間を延長することが可能です。
費用を抑えながら英語力を向上させたい、異文化を体験しながら長期間海外に滞在したいと考えている若者にとって、ワーホリは理想的と言えるでしょう。
2.なぜハワイではワーホリができないの?
この様な素晴らしいメリットを持つワーホリですが、残念ながら日本とアメリカにワーホリ協定が結ばれていないため、ハワイでワーホリはできません。
日本は1980年にオーストラリアとワーホリ協定を結んだことを皮切りに、ワーホリ協定国をどんどん増やしてきました。2023年から新たにウルグアイ、フィンランド、ラトビアと協定を結び、現在の協定国は29ヶ国です。
※参照:外務省-ワーキング・ホリデー制度
しかし、アメリカと協定を結ぶ気配はなく、今後もアメリカワーホリの実現は難しいと言われています。では、なぜアメリカはワーホリ協定を結ばないのでしょうか。
アメリカにおけるワーキングホリデー制度が許可されていない理由は、複数の要因があると言われていますが、主な理由は、アメリカが増加する移民問題に対して厳しい姿勢を取っていることが挙げられます。
アメリカは、不法滞在や不法就労のリスクを最小限に抑えるために、自由に休暇を楽しんだり、就学や就労ができるような制度設立には消極的です。これは、アメリカ国民の生活や雇用を守るための方針の一環とされています。
また、2001年の同時多発テロ以降、アメリカは海外からの入国者に対してビザ発給のプロセスを厳格化しています。これには、厳正な審査、人数制限、大使館での面接などが含まれており、通常の学生ビザや就労ビザの取得も、ほかの国に比べて厳しいです。
3.ハワイでできるワーホリ?ハワイで働けるJ-1ビザとは
ハワイでワーホリができない理由は分かりました。しかし、それでもハワイで働きたい!という人が働ける方法はあるのでしょうか?
ハワイで働くための最も近い方法と言われているのがJ-1ビザです。
J-1ビザは、アメリカでの有給インターンシップを可能にするビザで、アメリカの現地企業でインターンシップを行い、実際に給料を得ることができます。
J-1ビザは主に文化交流を目的としており、学生や若い専門家にアメリカの文化や職業生活を体験させることを目指しています。このビザを利用することで、参加者はアメリカの職場環境に身を置き、実務経験を積むとともに、アメリカの社会や文化を深く理解する機会を得ることができます。
働きながら収入を得られる、若者の文化交流が目的という点で非常にワーホリに似ていますが、異なる点もあります。
J-1ビザには一定の要件があり、プログラムによっては資格要件や期間の制限が存在します。例えば、一部のインターンシッププログラムは、特定の学歴、職業経験、英語力を求められる場合があります。
18歳以上30歳以下であればほぼ無条件に申請できるワーホリより、J-1ビザは少し難易度が上がると思った方が良いでしょう。そのため、J-1ビザを取得しようと考える場合は、該当するプログラムの要件を事前に確認し、準備をしっかりと行うことが重要です。
4.J-1ビザのメリット
ワーホリより申請条件が少し厳しめのJ-1ビザですが、ワーホリに勝るとも劣らないメリットもあります。
メリット①:滞在期間
アメリカのJ-1ビザを通じたインターンシッププログラムは、在学中の学生に対して最長12ヶ月、一般の参加者には最長18ヶ月間の滞在が可能とされています。つまり、アメリカでの生活を1年ないし1年半の滞在をすることができるのです。
ワーキングホリデーの滞在期間は国によって異なりますが、多くの場合最長1年です。また、ワーホリで人気のオーストラリアでは同一雇用主のもとでの就労が最長6ヶ月という制限がありますが、J-1ビザにはその規定はありません。
メリット②:日本で現地企業と面接できる
ワーキングホリデーとJ-1ビザとの大きな違いに、就労の前提条件があります。ワーホリでは、参加者が現地に到着してから仕事を探すのが一般的です。
言い換えれば、仕事がすぐに見つからない場合、収入がなく生活費の負担が重くなるリスクがあると言えます。また、仮に見つかったとしても英語を使う仕事とは限らず、ほぼ日本語しか使わない仕事になるケースもあります。
一方、アメリカのJ-1ビザの場合、ビザ申請の前にインターンシップを提供する企業が決定していることが必要です。つまり、申請者がアメリカに行く前に、インターンシップ先が確保されているということになります。
このプロセスには、現地企業との面接が含まれることが多く、J-1ビザのエージェントを通じてインターンシップを提供する企業を紹介してもらったり、ビザ申請のプロセスでサポートを受けることも可能です。
このように、アメリカのJ-1ビザでは、滞在開始時点での職場が確定しているため、到着後すぐに収入を得ることができ、生活費の面での不安を軽減することができます。
メリット③:キャリアアップにつなげやすい
ワーキングホリデーでは、現地に到着してから接客業や農作業などのアルバイトを探します。これらの仕事は、比較的簡単に見つけることができるものの、専門的なキャリア経験を積むのが難しい場合が多いです。
一方で、アメリカのインターンシップでは、ビザ申請の段階で希望する職種や業界の会社を選ぶことが可能です。これにより、参加者は自分のキャリア目標や専門分野に合った実務経験を積むことができます。
また、インターンシップの内容によっては、英語環境に浸かりながらビジネススキルを高めることができます。この様な経験は、帰国後のキャリアアップにつながる可能性が高く、キャリアアップをしたい人にとってはうってつけの制度と言えます。
メリット④:30代以上でもチャレンジできる
ワーホリビザとJ-1ビザの間には、年齢制限に関して大きな違いがあります。多くの国のワーキングホリデービザは、18歳以上30歳以下の若者を対象にしています。
これに対し、J-1ビザは、明確な年齢制限が設けられていません。インターンシップは主に現地企業での研修や就業体験を目的としているため、比較的広い年齢層が参加可能です。一般的には、40歳程度までが申請可能な年齢の目安とされています。
このため、J-1ビザは、若手だけでなく、ある程度のキャリアを積んだ年代の人にも適していると言えます。
5.ワーホリビザとJ-1ビザの違い
以下、ワーホリビザとJ-1ビザの違いをまとめます。
対象国と年齢制限
ワーキングホリデービザ
特定の国々間の協定に基づき、主に18歳から30歳までの若者が対象。
J-1ビザ
アメリカのインターンシップや研修プログラムに参加する国際訪問者向けで、特に厳格な年齢制限は設けられていない。一般的には40歳程度までが申請可能な年齢の目安。
就労の前提条件
ワーキングホリデービザ
ビザ取得後、現地に到着してから仕事を探す。仕事の種類には特に制限がなく、多くはカフェ、レストラン、農業などのアルバイトが一般的。
J-1ビザ
ビザ申請前に特定のインターンシップや研修プログラムが決定している必要がある。専門的な職種や業界での実務経験を積むことが可能。
目的と期間
ワーキングホリデービザ
文化体験や言語学習を主目的とし、国によって異なるが、一般的には1年間の滞在が可能。
J-1ビザ
文化交流を目的としており、インターンシップや研修プログラムによっては最長12ヶ月から18ヶ月の滞在が可能。
6.まとめ
ハワイでワーホリをすることはできませんが、J-1ビザであればワーホリに近い経験をすることが可能であることが分かりました。
しかし、ワーホリとまったく同じ制度というわけではありませんので、その違いを理解し、自分の目的や経験に合っているのかを考える必要があります。
J-1ビザはワーホリより少しだけ難易度は上がりますが、現地での仕事先の心配がなく、キャリアアップにつなげやすいというメリットがあります。また、明確な年齢制限がなく、30代以上の人でもチャレンジすることができるのは、キャリアを積んだ年代の人にとっても大きなチャンスと言えます。
ハワイでワーホリをしてみたいという人は、あきらめる前にぜひJ-1ビザを検討してみてください!