あなたは「オーストラリアの首都はどこですか?」と聞かれたら「シドニーかメルボルンのどっちだろう…」と考えるのではないでしょうか。勘違いされやすいのですが、シドニーとメルボルンは、いずれもオーストラリアの首都ではありません。オーストラリアの首都は「キャンベラ(Canberra)」というところです。
本記事では、オーストラリアの首都「キャンベラ」の特徴や魅力に加えて、「なぜオーストラリアの首都がキャンベラなのか」についても解説します。さらに、おすすめの観光スポットもご紹介するので、オーストラリアに興味のある方は必見です!
目次- オーストラリアの首都キャンベラとは?
- オーストラリアの首都キャンベラの場所とアクセス
- 首都がキャンベラになった経緯
- なぜオーストラリアの首都は間違われやすいのか?
- キャンベラの素敵な魅力
- オーストラリアで大自然を感じられるスポット3選
- まとめ
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オーストラリアの首都キャンベラとは?
キャンベラはオーストラリア南東部、シドニーとメルボルンのちょうど中間地点にあります。「キャンベラ」という首都名の由来は、オーストラリアの先住民族であるアボリジニの言葉からきており「出会いの場」という意味です。
キャンベラの人口は約46万人(2023年時点)で、オーストラリアの三大都市であるシドニー、メルボルン、ブリスベンと比べるとそれぞれ以下の通りです。
オーストラリア主要都市の人口(2023年時点)
都市名 | 人口 | キャンベラとの差 |
---|---|---|
シドニー | 約545万人 | 約12倍 |
メルボルン | 約520万人 | 約11倍 |
ブリスベン | 約270万人 | 約6倍 |
キャンベラ | 約46万人 | ー |
大都市と比べて人口が少ないこともあり、ゆったりとした落ち着いた雰囲気が漂っています。また、内陸部に位置するため、乾燥しやすい、夏は暑く冬は寒いといった気候が特徴です。
南半球にあるオーストラリアの季節は、日本と真逆。観光シーズンは春(9月〜11月)から秋(3月〜5月)にかけてで、ローシーズンは冬(6月〜8月)です。とはいえ、年間を通して満喫できるのがキャンベラの魅力。近隣の観光スポット「オーストラリア・アルプス」では雪が降り、ウィンタースポーツを楽しめます。
キャンベラの特徴
キャンベラの最大の特徴は、オーストラリア首都特別地域(ACT:Australian Capital Territory)と呼ばれる地域であることです。連邦制国家のオーストラリアは、強固な自治権を有する6つの州※と、それに準じた自治権が認められているノーザンテリトリーで構成されています。
※ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州、南オーストラリア州、西オーストラリア州、タスマニア州
これらの地域を統括するのが首都の役割で、キャンベラはどの地域にも属していません。「特別地域」というだけに、国会議事堂、首相官邸、オーストラリア高等裁判所といった重要な政府機関が集結しています。
「首都」と聞いたとき、日本の東京都のような大都会をイメージする方もいるかもしれません。しかし、キャンベラから車で1時間ほど走れば国立公園(ナマジ国立公園、ナショナル・アルボレタム・キャンベラなど)やワインの産地があり、自然と融合しているのも特徴です。都会の雰囲気と自然の両方を堪能したい方に、ぜひ訪れてほしい地域です。
①文化・芸術の中心地
キャンベラにはオーストラリアの文化・芸術を堪能できる施設が複数あり、各種コンサートや展示会が頻繁に開催されています。クラシックやジャズ、ロックといった幅広いジャンルのコンサート、定期的に催されるアート関連の展示会にも注目です。例えば、オーストラリア国立美術館では、先住民族であるアボリジニのアート(アボリジナルアート)をはじめ、世界各国の芸術を楽しめます。過去には、日本人アーティストによる浮世絵の展覧会が開かれていたことも。②政治の中心地
キャンベラは、オーストラリアの政治の中心地です。南部の「キャピタル・ヒル」にそびえ立つ国会議事堂は、キャンベラを訪れたらぜひ見学しておきたい場所です。昼は大理石をふんだんに使った外観を、夜はライトアップした幻想的なムードを味わうことができます。③美しい自然環境
オーストラリアの首都であるキャンベラは、原野を開発して造られました。街の中心にあるバーリー・グリフィン湖は、モロングロ川という川をせき止めて造った人造湖です。バーリー・グリフィン湖の名前の由来は、キャンベラを設計したアメリカの建築家「ウォルター・バーリー」からきています。オーストラリアの首都キャンベラの場所とアクセス
キャンベラは、シドニー(ニューサウスウェールズ州)とメルボルン(ビクトリア州)のちょうど中間地点にあります。地図上で見ると、シドニーやメルボルンとの距離は離れていないように見えるかもしれません。しかし、キャンベラとシドニー間には240km以上の距離があり、車で約3時間かかります。キャンベラとメルボルン間に至っては約660kmの距離、所要時間は車で約7時間ほどです。
日本からキャンベラへのアクセスに関してですが、残念ながら直行便は出ていません。キャンベラへ行くには、シドニーやブリスベンで乗り継ぐ必要があります。所要時間は、13時間~※です。
※上記には乗り継ぎ時間を含んでいますが、実際の所要時間は渡航経路によって異なります。あくまでも目安としてご覧ください。首都がキャンベラになった経緯
オーストラリアの首都が、シドニーやメルボルンといった大都市ではなく「なぜキャンベラなのか」気になる方もいるでしょう。ここでは、キャンベラが首都に選ばれた経緯を解説します。
シドニーとメルボルンの首都争いの妥協案として決まった
1901年、それまでイギリスの植民地支配を受けていたオーストラリアは、連邦制国家として独立しました。新たな国家成立にあたって、二大都市であるシドニーとメルボルンが首都を巡って争うことになったのです。しかし、互いに譲らず、首都が一向に決まりませんでした。
最終的に「シドニーとメルボルンの中間地点に首都を置く」という妥協案が採択されたのは、1908年のこと。キャンベラは原野を開拓して造られた街です。開発事業が完了するまで、メルボルンを臨時首都としていました。その後、1927年に連邦議会がメルボルンからキャンベラへ移転し、はじめて国会が開かれました。「オーストラリアの首都が変わった」と認識している方は、このような経緯が影響しているかもしれません。
ちなみに、キャンベラの都市設計案は、国際コンペによって決められました。オーストラリア人ではなくアメリカの建築家「ウォルター・バーリー・グリフィン」という人物の案が採用されています。川をせき止めて造った人口湖(バーリー・グリフィン湖)が中心となり、大きく2つのエリアに分かれます。北側のシティヒルは生活施設がメイン、南側のキャピタルヒルは政治機能がメインです。
なぜオーストラリアの首都は間違われやすいのか?
オーストラリアの首都と聞いて「キャンベラ」と答える方は多くありません。大都市のシドニーやメルボルンと勘違いされることが多い3つの理由を解説します。
1.人口が他の都市に比べて少ないから
キャンベラの人口数は、国内で8番目。上位のシドニーやメルボルン、ブリスベン、パースと比べると少なめです。大都市に比べて規模が小さいため、印象が薄れてしまっているのかもしれません。
2.有名観光地が他の都市に多いから
オーストラリアの観光地といえば、シドニーのオペラハウスやハーバーブリッジ、ケアンズのグレートバリアリーフ、ブリスベン近郊のサーファーズパラダイスが有名です。キャンベラの観光地をイメージする方は多くないでしょう。後述するように、キャンベラにも観光スポットがたくさんあるものの、他の都市の観光地と比べると見劣りしてしまうのかもしれません。
3.暫定的な首都がメルボルンだったから
先述の通り、キャンベラは原野を開拓して造られました。開発事業の間、オーストラリアの首都は暫定的にメルボルンに置かれていたので、知名度の高いメルボルンの印象が強く残り「メルボルンが首都だ」と勘違いされることがあるのかもしれません。
キャンベラの素敵な魅力
キャンベラは、オーストラリアの歴史や文化を知るために訪れる都市として最適です。オーストラリアの首都キャンベラの魅力をご紹介します。
1年に1回のビックイベント
キャンベラといえば、たくさんの熱気球を空に飛ばすキャンベラ・バルーン・スペクタキュラーが有名です。
毎年3月に、9日間の日程で開催されるこのイベントでは、オーストラリア国内や海外からカラフルな色のバルーンが多く集まり、打ち上げられた気球を観覧できます。予約すれば、乗船体験(45分~60分ほど)をすることも可能です。
早朝の涼しい時間帯に打ち上げられる熱気球と、オーストラリアの澄んだ青空とのコントラストがとても綺麗なので、キャンベラに行くならこの時期が狙い目です。
オーストラリアの歴史を学べる
キャンベラには政府関連の施設だけでなく、オーストラリアの歴史や文化を学ぶために訪れたい施設もたくさんあります。特に有名なおすめ観光スポットをご紹介しましょう。
・オーストラリア国立博物館
オーストラリア国立博物館には、先住民族アボリジニが残した遺産、植民地時代や2000年シドニーオリンピックの記録といったオーストラリアが歩んできた歴史に関する展示品がたくさん収蔵されています。
入場料は無料、所要時間は2時間ほどなので、誰でも気軽に入ることができます。また、有料にはなりますが、ガイド付きで見学すると、さらに深く理解できるのでおすすめです。
・オーストラリア国立美術館
オーストラリア国立美術館では、オーストラリアはもちろん、世界各国の絵画や彫刻を堪能できます。先住民族アボリジニのアボリジナルアートをはじめ、アジア、アフリカ、パシフィックのさまざまなアートや工芸品が数多く展示されており、展示数はオーストラリア最大級です。無料で見学できるため、キャンベラに行くならぜひ訪れてほしい場所です。
・オーストラリア戦争記念館
オーストラリア戦争記念館には、オーストラリアが参戦した戦争で亡くなった兵士のお墓や、軍事品の展示エリア、資料の記録室などがあります。旧日本軍の特殊潜航艇も展示されているため、日本とオーストラリアの深い関わりも知ることができます。
全てを見て回るには展示数も多く大変なので、90分の無料ガイドツアーで記念館のハイライトを見て回るのもおすすめです。
・オーストラリア国立図書館
オーストラリア国立図書館には、国内最大級1041万点の資料や書籍が所蔵されています。数の多さに圧倒される方もいるかもしれません。また、図書館の内観や外観が美しいので、周辺を散歩するだけでもゆったりとした時間を過ごすことができるでしょう。
Wi-Fiが無料で利用できて、カフェも併設されています。誰でも気軽に使えるので、留学やワーホリで長期滞在する方にとってもおすすめです。
・クエスタコン(国立科学技術センター)
クエスタコン(国立科学技術センター)は、日豪友好記念事業の一環として作られました。愛称であるクエスタコンは、クエスト(“探求する”を意味する動詞)とコン(“学ぶ”を意味する接頭辞)を合わせた造語です。
施設内は、6つの展示ホールと2つのショー用劇場及びワークショップ室から成り、見るだけでなく、実際に手で触るなど科学の原理・原則を「体験」する200以上の展示を楽しむことができます。竜巻が出来る様子を観察できたり、無重力を体験できたりと、子供だけでなく大人も一緒に楽しめるスポットです。
オーストラリアで大自然を感じられるスポット3選
オーストラリアといえば、広大な国土に自然が多く残り、のんびりとした時間を感じることができる国です。郊外に出ればコアラやカンガルー、ワラビーといったオーストラリアらしい動物にも出会えるチャンスが広がっています。
キャンベラにもオーストラリアらしい観光スポットがたくさんあるので、ぜひチェックしてみてください。
・バーリー・グリフィン湖
キャンベラの中心にある人工湖です。湖畔を散歩したり、サイクリングやカヤック、ボートで景色を堪能したり、湖畔にあるカフェでのんびり過ごしたりすることができます。
バーリー・グリフィン湖の周りには、オーストラリア国会議事堂をはじめ、博物館、美術館、図書館などがあるので、観光がてらに寄ってみるのもよいでしょう。
・ナマジ国立公園
キャンベラから車で約40分のところにあるナマジ国立公園の中には、ティドビンビーラ自然保護区があり、オーストラリア特有の動物、コアラ、カンガルー、ワラビー、エミューのほか、鳥や爬虫類が野生の状態で保護されています。ハイキングや自転車をレンタルして走っていると、野生動物に遭遇できるかもしれません。
また、3700年前まで先住民族のアボリジニが描いていたとされる動物の壁画を見られるスポットもあります。キャンベラから日帰り旅行するのがおすすめです。
・エインズリー山
キャンベラ市内から車で10分のところにあるエインズリー山は標高843mの小高い山です。頂上からは国会議事堂やバーリー・グリフィン湖など、キャンベラ市内を一望できます。歩いて登るトレッキングルートもあるので、体力に自信がある人はぜひ挑戦してみてください。
まとめ
オーストラリアの首都はシドニーでもメルボルンでもなく、キャンベラです。首都が選ばれた経緯が特徴的で、「妥協案として選ばれた」だけに知名度が高くありません。とはいえ、オーストラリアにとって重要な政府機関や施設が集まっており、歴史・文化を学ぶのに最適です。オーストラリアらしい自然を味わえる観光スポットも複数あるので、キャンベラを訪れたらぜひ行ってみてください。
これからは「オーストラリアの首都はどこ?」と聞かれたら「キャンベラ!」と答えてくださいね!