イギリス料理はまずいって本当？代表料理や場面別のおすすめ料理などを紹介！

「イギリス料理はまずい」という話を聞いたことがある人も多いかもしれません。実際にヨーロッパの人に聞いてみると、イギリス料理に対する評価はあまりよくないそう。

しかし、なぜイギリス料理に対するイメージがそんなに悪いのでしょうか。そしてイギリス料理がまずいというのは、本当なのでしょうか。

この記事では、イギリス料理がまずいと言われる理由や歴史的背景に迫ります。代表的なイギリス料理も紹介しているので、イギリス留学を検討している人は参考にしてください。

イギリスの食事がまずいと言われる理由とは？

世界各国の人々から「まずい」という悲しい評価をされるイギリス料理。ですが、具体的にイギリス料理のどんなところがまずいのでしょう。

まずはイギリス料理がなぜまずいと言われるのか、その理由を紐解いてみましょう。

味付けがシンプルで薄い

イギリス料理は味付けがシンプルです。塩だけだったり、グレービーソースだけだったりと、あまり凝ったことはされていません。

また、多くの人にとってイギリス料理の味付けは薄いと感じるようです。

ちなみにイギリス人には、濃い味やフレーバーが多すぎる味を苦手とする人も多くいます。これは、イギリス料理がシンプルで薄味だからかもしれませんね。

火を入れすぎる

味付けが薄ければ、自分で食べる時に塩を入れたりして調整が可能です。しかし、どうにもならないのが、イギリス料理の火の入れすぎ問題。蒸す・煮る・焼く、すべての場合において、イギリス料理はかなり火を通してあります。

どのくらい火が通っているかというと、ブロッコリーがまるでマッシュポテトのように簡単に潰れるレベル。また、パスタはアルデンテとはほど遠く、とても柔らかく仕上がっています。

外国人たちにとっては、過度に火が通ったイギリス料理ですが、イギリス人たちはこれに慣れている様子。イタリア人がアルデンテに仕上げた美味しいパスタを「火が通ってない」「固い」なんて言ってしまう人もいるくらいなんですよ。

食に興味がない人が多い

イギリス人でも食べるのが好きな人はもちろんいます。しかし、他の料理が美味しい国々に比べると、食に興味がない人が多いです。

ゆっくり時間をかけて食事をするよりも、ササッと済ませてしまう人も多いですね。また、しっかり時間をかけて料理をする人も少なめです。

食に興味がなければ、食文化は発達しづらいでしょうから、イギリス料理がまずいと言われてしまうのも、なんだかわかる気がしますね。

郷土料理の種類が少ない

イギリス料理というと、フィッシュ＆チップス、シェパーズパイ、ロースト料理。しかしそれ以外でイギリス料理と言われて、パッと思い浮かぶものがない人も多いはず。

イギリスは他の国々に比べると郷土料理の種類が少なめです。バラエティがないのと、代表料理もシンプルな調理法のものが多いことから、「イギリスは料理がまずい」と言われてしまうのでしょう。

見た目が良くない

食に興味がないことにもつながりますが、イギリス料理はあまり見た目にこだわられていません。そのため、パッと見「おいしそう！」となりづらいのも「まずい」というイメージの元凶になっているでしょう。

茶色や黄色っぽい物が多く、彩りはあまり考えられていない感じです。ニンジンで赤が添えられていると、かなり綺麗に見えるレベルではないでしょうか。

イギリスの料理がまずくなった歴史的背景

ここまでご紹介した理由によって、イギリス料理には「まずい」というレッテルが貼られてしまっています。しかし、イギリス料理がこうなってしまったのには、歴史的な理由があります。

ここからは、イギリス料理がまずくなってしまった理由を、歴史的な観点からご説明します。

農作物が育ちにくく野菜の種類が少ない

イギリスは気候に恵まれた土地とは言えません。現代では他の国々からの輸入や栽培技術の発達により、豊富な食材が手に入るようになっていますが、昔はそうではありませんでした。

そのため、イギリスは歴史的に野菜の種類が少なく、さまざまなレパートリーを作れなかったと考えられます。

ちなみに昔のイギリスでは、玉ねぎ、キャベツ、豆類、ほうれん草、アスパラガスなどが栽培されていました。豆類も玉ねぎも、イギリス料理で良く使われる野菜ですが、昔からあるために、イギリス料理に頻繁に登場するのですね。

倹約を美徳とする宗教的な背景

ヨーロッパで料理が美味しい国と言えば、フランス、イタリア、そしてスペインなどが思い浮かぶのではないでしょうか。これらの食文化が発達している国々は、元々キリスト教の中でもカトリックという宗派が強かった地域です。

イギリスの宗教である英国教会はプロテスタント系。そしてプロテスタントは倹約を美徳とする風習のある宗派です。ちなみに、同じくあまり料理で良いイメージのないドイツも、プロテスタントが強い国です。

今のイギリスでは、あまり宗教色は感じられませんが、昔はプロテスタントの影響を強く受け、倹約を美徳としていたため、食事で贅沢をすることもなかったというわけなのです。

調味料が高級品だった

18世紀頃までのイギリスでは、調味料は高級品でした。前述の倹約を美徳とする文化、そして調味料が高級品だったことが災いし、イギリスの料理はシンプルで薄めの味付けになったのです。

素材の味を大切にしていると言えば、聞こえがいいかもしれませんね。ですがイギリスの場合、素材がぐちゃぐちゃになるまで茹でたり焼いたりしてしまうので、素材の味も消えてしまっているかもしれません。

産業革命の影響も

イギリス料理の茹ですぎ・焼きすぎ問題の背景には、産業革命の影響も。イギリスで18世紀に起こった産業革命では、都市部に労働者たちが集中し、人口が急激に増加しました。

そのため、都市部では地方から食材を輸送する必要があったのですが、当時は現代のように輸送技術が発達していたわけではありません。都市部に食材が届く頃には、腐りかけなんてこともあったのですね。

そして食中毒を避けるため、イギリスでは食材を過度に焼いたり茹でたり煮たりするようになったのだとか。それが定着し、現代でもイギリス人が料理をすると、過度に火が通っている状態になっているのです。

イギリス料理は本当にまずい？美味しいイギリス料理とは

イギリス料理があまり美味しいとは言えないのには、前述のとおり歴史的な背景がかかわっています。

しかし、現代のイギリスではこれらの問題は解決しているはず。食材は国内外から新鮮な状態で輸送できますし、倹約が美徳とされる風潮もそれほどありません。調味料も安価で手に入りますね。

また、海外の文化がどんどん入ってきている影響もあり、昔に比べればイギリス料理は美味しくなっています。確かにイギリスの郷土料理はシンプルな調理法ではありますが、「まずい」と言われるレベルとは言い難いでしょう。

そこでここからは、美味しいイギリス料理をご紹介します。イギリス料理を試してみたくなった人は、ぜひこちらを参考にイギリス料理に挑戦してみてくださいね。

フィッシュ＆チップス

フィッシュ＆チップスは、鱈などの白身魚のフライとフライドポテトが一緒に提供される料理。イギリスには専門店もありますし、パブなどで提供されていることもあります。

塩と胡椒で下味がついた魚が揚げられているだけのシンプルな料理ですが、島国であるイギリスでは、新鮮なお魚が手に入ります。

新鮮な魚を使っているお店のフィッシュ＆チップスはとても美味しいですよ。

これに塩とモルトビネガーをたくさんかけて食べるのがイギリス流。揚げ物の付け合わせが揚げ物というのは、日本人的にはちょっと理解し難いかもしれませんが、フライドポテトと一緒にグリーンピースなどが添えられていることがあります。

ロースト料理（ローストビーフなど）

イギリス料理でおいしいものの代表格が、ローストビーフをはじめとするロースト料理です。イギリスではチキンもポークも、そして野菜もローストして食べることが多いです。

こちらもお肉に塩や胡椒をもみこんで、オーブンで焼くだけなので、調理法としてはとてもシンプル。しかし、ガッツリお肉が食べられるので、きっと好きだという人は多いでしょう。

付け合わせはじゃがいもやニンジン、ブロッコリーなど。ローストできる野菜ならなんでもありです！

イギリスのパブなどでは「サンデー・ロースト」と銘打って、日曜日にロースト料理が提供されています。日本でも英国パブに行けば見ることがあるかもしれませんから、ぜひチェックしてみてくださいね。

シェパーズパイ（コテージパイ）

イギリスにはさまざまなパイ料理がありますが、代表格はこのシェパーズパイ。シェパーズパイはコテージパイとも呼ばれる、ミートパイです。ミートソースを使っているため、ラザなにちょっとだけ似ているかもしれません。

こちらはミートソースの層にマッシュポテトの層を乗せ、オーブンで焼いたもの。簡易版ならおうちでも作れるので、レシピを探して自分で作ってみても良いですね。

イングリッシュ・ブレックファスト

イングリッシュ・ブレックファストは朝食の盛り合わせといった雰囲気のプレート料理。お皿に乗っているのは、トーストに目玉焼き、ベイクドビーンズ、ベーコンやソーセージ、焼いたトマトなどです。

これらの料理がお皿の上に所狭しと盛り付けてあるので、見た目は綺麗とは言い難いかもしれませんが、食べ応えはあるはず。ベイクドビーンズがお好きなら、イングリッシュブレックファストをきっと楽しめるはずです。

《場面別》主なメニューと美味しいとされているイギリス料理

ここからは、主なメニューと美味しいとされているイギリス料理を、場面別に見ていきましょう。

1. パブ・レストラン
2. スーパー
3. ホームステイ
4. 学生寮

１：パブ・レストラン

パブと聞くと、バーのようなお酒をたしなむイメージがありますが、食事を提供しているところも少なくありません。メニューはパブのコンセプトによって若干異なるものの、パブやレストランでの主要メニューと言えば、やはり定番のフィッシュ＆チップスです。日本では見られないような、大きくふっくらとした鱈のフライが人気です。

また、ハンバーガーもイギリスのパブやレストランでよく見られます。ハンバーガーと言うとアメリカのイメージがありますが、肉厚で具がたくさん入った本格的なハンバーガーを楽しめます。ナイフとフォークを使うイギリス流の食べ方で、一度挑戦してみるとよいでしょう。

他には、シェパーズ・パイも定番メニューです。羊の肉で作ったミートソースを、パイ生地を使わずにマッシュポテトをかぶせて焼いた料理です。とは言え、中に含まれる肉や具材は、特に決まりがありません。パブやレストランごとに異なるシェパーズ・パイを試すのも、イギリスでの1つの楽しみ方です。

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２：スーパー

イギリスでは冷凍食品が充実しています。「アイスランド」という冷凍食品に特化したスーパーがあるほどで、パイ料理や冷凍ピザなどは種類が豊富です。

• パイ料理
• ピザ
• パスタ
• キッシュ
• フィッシュ＆チップス
• ステーキパイ

このように冷凍食品が豊富なのは、食に興味がない人が多いイギリスの特徴と関係があるのかもしれません。しかし外食費が高いイギリスでは、手軽にリーズナブルな価格で手に入れられる冷凍食品は魅力的でしょう。

３：ホームステイ

もちろん家庭によりますが、イギリスの定番料理を用意してもらえたり、冷凍食品であったりすることが多いです。

朝食であれば、ベイクドビーンズやソーセージ、ベーコン、トマトなどをワンプレートで食べるイングリッシュ・ブレックファストが一般的です。他には、コーンフレークやヨーグルト、果物もよく食べられています。

夜ご飯は、先ほど「パブ・レストラン」の場面でご紹介した、シェパーズ・パイを作っていただける家庭もあります。お肉のグレービーソースがけやパスタも一般的です。グレービーソースとは、肉を焼いた後の肉汁をベースにして作られるソースで、バターや小麦粉を加えて煮詰め、コンソメやワインなどで味を整えたものです。

冷凍食品の場合は、冷凍ピザや冷凍ポテト、冷凍チャーハンが定番のようです。

４：学生寮

学生寮の食事メニューも、ホームステイと同じようなイギリスの定番メニューが多く出てきます。ただ、ベジタリアン向けのメニューもあるため、選択肢は豊富です。

朝食は、主にイングリッシュ・ブレックファストで、トマトやソーセージ、ベーコン、卵、パンなどが一般的でしょう。ホームステイ同様に、シリアルやヨーグルト、フルーツもあります。

夜ご飯になると、チキン、ラザニア、パスタ、カレーなどがメインとして提供されることが多いです。サイドメニューとして、サラダバーも用意されています。ビュッフェ形式であるため、メインもサラダも複数の選択肢から選べるのがポイントです。

【番外編】挑戦してみたい独特なイギリス料理

最後は、一風変わった独特なイギリス料理を3つご紹介します。

• ウナギのゼリー寄せ
• トード・イン・ザ・ホール
• ハギス

1つずつ見ていきましょう。

ウナギのゼリー寄せ

名前の通り、ぶつ切りのうなぎを煮込んでゼリー状に固めた料理です。お世辞にも美味しそうという見た目ではありません。また味に関しても、日本人からするとあまりよくないようです。風味が豊かなわけではなく、どちらかと言うと生臭さが捨てきれない味です。興味のある人は、一度挑戦してみるのはいかがでしょうか。

トード・イン・ザ・ホール

直訳すると、「穴の中のヒキガエル」です。怪しい名前ではありますが、カエルが入った料理ではありません。ソーセージとヨークシャープディングの生地をオーブンで焼いたもので、グレービーソースをかけて食べるのがおすすめです。

ハギス

ハギスとは、羊の内臓と玉ねぎ、オート麦を羊の胃袋に詰めてゆでる、スコットランドの伝統料理です。見た目が独特で味の癖も強いため、好んで食べる人は少ないかもしれません。ただウィスキーとの相性はよいと言われているので、お酒が好きな人や癖の強い味が好きな人は試してみるとよいでしょう。

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まとめ

今回は、イギリスの料理事情について解説しました。イギリス料理に対してマイナスのイメージを持っていた人もいるかもしれません。しかし、今回ご紹介した料理以外にも、現代のイギリスには美味しい料理がたくさんあります。

イギリス料理がまずいと言われる背景には、土地や歴史的な影響があります。しかし、最近ではその評価も変わりつつあります。現地で美味しいイギリス料理を試してみると、一般的なイメージとは異なる美味しい料理に出会えるかもしれません。ぜひ、そのサプライズを楽しんでくださいね。