オーストラリアでワーキングホリデーをする人は、所得税についても知っておいた方が良いかもしれません。
オーストラリアにも日本のような所得税法があり、働いて賃金を稼ぐ人すべてに、所得税が課されています。今からオーストラリアでワーホリに行く人は、この所得税について知っておかなければ、現地で困ることもあるでしょう。
そこでこの記事では、オーストラリアのワーホリメーカーに関係する所得税制度についてくわしくご紹介します。ワーホリ中に働く予定の人は、こちらを参考に所得税の知識をつけておきましょう。
オーストラリアのワーホリで所得税を払う必要はある?
オーストラリアのワーホリで仕事をする際、所得税の支払い義務があることを知らない人もいるかもしれませんね。
オーストラリアでは、ワーキングホリデービザによる期間限定の滞在であっても、現地で働いた人には全員、所得税の支払い義務が生じます。2022年10月現在のルールでは、たとえ1週間だけなど短期雇用の場合であったとしても、所得税を支払わなければなりません。
オーストラリアでは日本と同様に、所得税が給料から差し引かれます。ですから、自分で面倒な手続きをしたり、計算をしたりといった義務は生じません。
雇用主から給料が支払われるときには、すでに所得税が差し引かれた額になっていますから、うっかり忘れて未払いになる……といったトラブルは起こりませんから、安心してくださいね。
オーストラリアのワーキングホリデービザの所得税率
オーストラリアでワーホリメーカーに課される所得税率については、近年さまざまな変更がありました。2022年10月現在は、現行の所得税率で落ち着いていますが、今後も変化がある可能性があります。
ここでは、オーストラリアのワーホリメーカーたちの所得税率が、どのように変化したのか、そして現行の所得税率をご紹介します。
2015年までは非課税対象の人も多かった
オーストラリアの所得税は、居住者と非居住者では税率が異なり、非居住者の方が税率が高くなっています。
実は2015年までは、ワーホリメーカーは居住者として扱われ、年間の収入が18,200ドル以下なら、非課税となっていました。そのため、現在でもオーストラリアのワーホリでは所得税を支払わなくても良いと思っている人もいるかもしれません。
しかし2016年にワーホリメーカーは非居住者として扱われることになり、非居住者の税率が適用されることとなったのです。
居住者と非居住者ではかなり所得税率が違うのですが、参考までに下記の表を見てみましょう。
所得 | 居住者 | 非居住者 |
18,200ドルまで | 非課税 | 32.5% |
18,201 – 45,000ドル | 18,200ドルを超える金額に対し19% | |
45,001 – 120,000ドル | 5,092ドル+45,000ドルを超える金額に対し32.5% | |
120,001 – 180,000ドル | 29,467ドル+120,000ドルを超える金額に対し37% | 39,000ドル+120,000ドルを超える金額に対し37% |
180,001ドル以上 | 51,667ドル+180,000ドルを超える金額に対し45% | 61,200ドル+180,000ドルを超える金額に対し45% |
45,001ドルを越えてからは、居住者も非居住者も所得税率がほぼ一緒なのですが、45,000ドルまでは、非居住者だと32.5%もの所得税を支払う必要があることになります。
ちなみに45,000ドルというと400万円以上ですが、ワーホリでそれほど稼ぐ人は多くないですから、32.5%という税率は非常に重く感じますよね。
結局、この税率は適用されることはなく、最終的には現在はワーホリメーカーにはワーホリメーカー独自の税率が課されることとなっています。
オーストラリアのワーホリメーカーの所得税率
一旦は32.5%になりそうだったワーホリメーカーたちの所得税率ですが、現在は以下のように定められています。こちらも居住者の税率と比較してみましょう。
所得 | 居住者 | ワーホリメーカー |
18,200ドルまで | 非課税 | 15% |
18,201 – 45,000ドル | 18,200ドルを超える金額に対し19% | |
45,001 – 120,000ドル | 5,092ドル+45,000ドルを超える金額に対し32.5% | 6,750ドル+45,000ドルを超える金額に対し32.5% |
120,001 – 180,000ドル | 29,467ドル+120,000ドルを超える金額に対し37% | 31,125ドル+120,000ドルを超える金額に対し37% |
180,001ドル以上 | 51,667ドル+180,000ドルを超える金額に対し45% | 53,325ドル+180,000ドルを超える金額に対し45% |
2022年10月現在、ワーホリメーカーたちの所得税率は15%スタートとなっています。非居住者の32.5%に比べればぐっと低くなっていますが、ちょっとでも稼げばこの所得税率が適用されるのは、ちょっと痛い気もしますね。
ワーホリメーカーの所得税率が変更された当初は、誰もが15%スタートと発表されていましたが、その後また一悶着あり、現在はワーホリメーカーであっても居住者の条件を満たせば、居住者の税率が適用されるようになっています。
ワーホリメーカーでも居住者として認められる場合がありますので、自分が居住者にあてはまるのでは?と思う方は、ATO(Australian Taxation Office)に問い合わせをしてみましょう。
参考サイト:Australian resident for tax purposes
オーストラリアで所得税を払う時の注意点
オーストラリアでワーホリ中に働けば、所得税が課されるというのは前述のとおりです。ここからは、その所得税を支払う際に、気をつけておきたいこと、知っておきたい知識をご紹介します。
最新の情報を常にチェック!
前述のとおり、ここ数年でオーストラリアではワーホリメーカーの所得税に変更がありました。変更が発表された当時から、実際に制度が施行されるまでにも、税率が変更されています。
これから当面は変わることがないかもしれませんが、こうした制度には変更があることを加味して、常に最新情報をチェックしておきましょう。
所得税率や物価のことを知っておけば、オーストラリアにワーホリするべきなのかどうか、どの都市に住むべきかなどを考える参考になるでしょう。
時給から所得税が引かれることを忘れずに
オーストラリアの時給は、日本よりもずっと高いです。最低賃金は2022年7月の時点で時給21.38オーストラリアドル。これは2022年10月時点の為替レートだと、約2,000円の計算になります。
これを見れば、オーストラリアの時給がかなり高いことがわかるでしょう。
ただし、この時給から所得税が引かれることを忘れてはいけません。単純計算すれば、ワーホリメーカーが稼ぐ2,000円のうち、300円は所得税として差し引かれることになるのです。
そして実は、さらにそこから年金も天引きされます。これは積み立てですから、オーストラリア出国時に申請をすれば返してもらえますが、ワーホリ期間中は給料の10.5%が天引きされることを覚えておきましょう。時給が2,000円なら、210円くらいが年金として天引きされます。
ということは、手取り時給は1,500円くらいですね。それでも高いように感じるかもしれませんが、オーストラリアは物価も高めなことに要注意。物価が特に高いシドニーなどだと、この時給では生活をしていけない人もいるかもしれません。
ですから、仕事を探す時には、実際に手元に入ってくる金額のことを考えて、仕事を選んだり住むところを探したりすると良いでしょう。
ローカルジョブなら土日祝は給料2倍!
実はローカルジョブで働くことができれば、土日祝は給料が2倍になります。これは法律で定められていることですから、地場のレストランやカフェ、ショップなどで働くことができれば、土日祝は率先してシフトに入ると良いでしょう。
ただしこれは飽くまでローカルジョブの場合。たとえオーストラリアに法人として登録をしていたとしても、日本食レストランやショップだと、土日祝でも給料が2倍にならないこともあります。
土日祝の給料を2倍にするなら、しっかり法律を守ってくれる職場を探しましょう。英語が日常会話以上のレベルでできれば、そういった仕事が探しやすくなりますよ。
タックスリターンの申請をしよう
多くのワーホリメーカーは、オーストラリアの居住者として認められません。しかし、居住者として認められる人もいますから、自分が居住者として認められるのでは?と思った場合は、ATO(Australian Taxation Office)で確認をしつつ、タックスリターンの申請をしましょう。
たとえ居住者として認められたとしても、給料自体からはワーホリメーカー向けの所得税率が適用されます。しかし、あとからタックスリターンの申請をすることで、居住者として認められた人は、払いすぎている所得税が戻ってくるのです。
もちろん、居住者に当てはまる人でも、タックスリターンの手続きが面倒であれば、しなくても特に問題はありません。返して欲しいと思う人だけ、タックスリターンの申請について調べてみましょう。
所得税を支払ってもオーストラリアでお金を貯めることはできる
オーストラリアではワーホリメーカーに対し、居住者よりも高い所得税率が定められています。しかし、所得税を支払ったとしても、オーストラリアの時給は日本に比べればずっと高め。上手に暮らせば、ワーホリメーカー向けの所得税を払っていても、お金を貯めることだってできるんです。
非課税範囲がないのはデメリットに感じるかもしれませんが、オーストラリアに住ませてもらえる手数料だと割り切って、オーストラリアでの就業経験を楽しんでくださいね。