カナダで学べる言語と言えば、ほとんどの人が英語を思い浮かべると思います。実際にカナダはきれいなアメリカ英語を学べる国で、日本人が選ぶ留学先として一番人気がある国です。
しかし、カナダで学べる言語は英語だけではなく、フランス語も学べることはあまり知られていません。
本記事では、なぜカナダでフランス語を学ぶことができるのか、フランス語を学ぶのにおすすめの州・都市、そしてフランス語を学ぶメリット・デメリットについてお伝えします。
カナダの公用語は英語とフランス語
カナダは英語とフランス語が公用語の国です。
カナダ=英語というイメージの人が多いと思いますので、意外に思うかもしれませんが、実はカナダと同様に二言語もしくはそれ以上の言語を公用語とする国はベルギーやアイルランドなど世界中に60ヶ国以上あります。
とは言え、カナダでも全国民がフランス語を話せるというわけではなく、地域は限られています。それを知るためには、カナダがフランス語も公用語としている理由を知らなければいけません。
なぜフランス語も公用語なの?
なぜカナダはフランス語も公用語なのか。その疑問を紐解くにはカナダの歴史を見ていく必要があります。
1500年代、現在のケベック州にある北米東海岸の地域はフランスの植民地下にあり、フランスの文化、フランス語が広がっていきました。
17世紀初頭、フランス軍がイギリス軍に敗れ、パリ条約が締結。イギリスの植民地となってからは英語が各州政府の言語となりましたが、ケベック州内の人口はフランス人が占めていました。
そのため多くの移民に配慮し、カナダ政府は英語・フランス語の使用を国として認め、継続してフランス語が使われることになりました。
カナダでフランス語を学ぶならケベック州モントリオールがおすすめ
歴史的な背景からも、フランス語を学びやすい州はケベック州であることが想像できます。
カナダ国内の英語・フランス語のバイリンガル人口は2割弱。約620万人と言われています。しかし、その6割以上にあたる約360万人がケベック州の住民です。
事実、ケベック州は英語ではなくフランス語が第一言語で、街中の標識はすべてフランス語。都市部を離れると英語が通じることが少なくなるくらい、英語とフランス語の使用割合が逆転しています。
ケベック州でフランス語を学ぶのであれば、おすすめの都市はモントリオール。モントリオールはカナダ第2の都市で、住民のほとんどは英語もフランス語も話すことができます。
そのため、英語もフランス語も学ぶことができ、英語さえ話せれば生活に困ることはありません。また、英語とフランス語のバイリンガル教育が進んでいて、多くの語学学校で英語もフランス語も学ぶことができます。
モントリオールは街中にフランス風の建物が多く、北米のパリと言われるほどフランス文化が根付いた都市です。そのため、フランス語だけでなく、フランス文化を肌で感じることができるというのもおすすめできる理由のひとつになります。
フランス語はトロントでも学べる?
カナダの主要都市の中で、モントリオールの次にフランス語を学びやすいのはカナダの第一都市トロントです。トロントの語学学校でもフランス語を学べる学校もあり、フランス語を学ぶことは可能です。また、住民の中にはバイリンガルの人もいます。
しかし、その割合はモントリオールに比べるとかなり少なく、英語がメインとなります。本格的にフランス語を学ぶならモントリオール。英語プラスアルファで、少しフランス語も学んでみたいという人はトロントが良いかもしれません。
カナダ・モントリオールでフランス語を学ぶメリットとデメリット
カナダでフランス語を学ぶのは、メリットとデメリットがあります。ここでは、フランス語を学ぶ場所をケベック州、主にモントリオールと仮定してメリットとデメリットをお伝えします。
メリット①:学習環境
モントリオールはカナダ国内、国外からフランス語を学びに来る人たちが多く、フランス語初心者の受け入れに慣れています。
ほとんどの人は英語とフランス語のバイリンガルのため、生活面でも学習面でも英語とフランス語が使えるため、環境に恵まれています。
もし、フランス語だけに集中したいという場合は、ほぼフランス語しか通じないケベック市でフランス語を学ぶということもでき、フランス語学習者にとってレベルに応じた幅広い選択肢があるというのはカナダでフランス語を学ぶメリットです。
メリット②:物価
フランス語はフランスで学ぶ、という考えの人がほとんどだと思いますが、カナダはフランスと比較すると物価が安く、留学費用をおさえてフランス語を学びたいという人にとっては隠れた穴場と言えます。
留学都市として人気のトロントやバンクーバーは昨今地価が高騰していて、物価が高くなっていますが、モントリオールやケベック市は、トロントやバンクーバーと比較すると物価が安く、カナダ国内でも留学費用をおさえられる都市になります。
メリット③:治安
留学と言えば治安は気になるところ。カナダは世界的にも治安の良い国として知られていますが、モントリオールやケベック市があるケベック州はカナダの中でも特に治安の良い地域です。
もちろん治安が良いとは言え、スリ、盗難、ひったくりなどは日本より少ない国・地域は、世界を見渡してもほぼありませんので油断は禁物です。
メリット④:2ヶ国語を学べる
モントリオールに住んでいる人のほとんどはフランス語と英語が話せるバイリンガルです。ほぼすべての語学学校でフランス語と英語を学ぶことができ、日常生活でも英語が通じることから、英語・フランス語の2ヶ国語を学ぶことができます。
1つの国で2つの言語、しかも英語+フランス語を学べる国は世界でも珍しく、まさに一石二鳥と言えるでしょう。
メリット⑤:移住しやすい
モントリオールを含むケベック州は、カナダの中でも移民がしやすい国として知られています。
ケベック州の現地カレッジを卒業すれば、その後に永住権の申請がしやすくなるケベック州独自のPNPという移民プログラムがあり、カナダ移住を考えている人にとっては朗報と言えるかもしれません。
フランス語が話せれば、トロントやバンクーバー近郊のカレッジと比べて進学もしやすいため、フランス語が得意な人は、より永住権にチャレンジしやすいと言え、移民を目的とした留学生が世界中から集まっています。
なお、ビザに関しては規定が変更しやすいので、最新のビザ情報は確認するようにしてください。
デメリット①:なまり
モントリオールでは英語もフランス語も学べるということは大きなメリットですが、モントリオールを含むケベック州の住民の英語は、フランス語の発音が混ざったなまりがある英語と言われています。
また、フランス語自体もフランス人が聞くとなまっていると言われ、発音にこだわりたい人にとっては気になるところです。
しかし、語学学校の先生の発音は比較的きれいで、発音の違いは上級者レベルでないと気にならない程度です。世界的にはなまりのある言語を話す人のほうが圧倒的に多いので、それを聞き分けられるようになる、とポジティブに考えることもできます。
デメリット②:フランス語力が仕事探しに影響する
モントリオールはほとんどの人が英語とフランス語が話せます。とは言え、主要言語はフランス語になるため、ワーキングホリデーで現地で仕事を探す場合は、英語に加え、フランス語をある程度話せないと、職場でのローカルの会話についていけない場合があります。
特にケベック市ではフランス語しか話せない人が多く、フランス語が話せないと仕事を見つけるのはかなり厳しいと言えます。
しかし、フランス語に浸かりたいという人にとっては、自分を追い込むことができ、本気でフランス語、もしくは英語とフランス語の2ヶ国語を学びたいという人にとっては良い環境という考え方もできます。
まとめ
カナダとフランス語の関係性についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
カナダでフランス語を学べるというのを知らなかった人にとっては、意外だったかもしれませんが、それはカナダの植民地時代の歴史が影響しているということを知ることができたと思います。
フランス語を学ぶのであれば、英語とフランス語のバイリンガルで、生活も便利なカナダ第2の都市モントリオールがおすすめです。モントリオールであれば、英語もフランス語も学べますので一石二鳥と言えます。
また、フランス語漬けになりたいという人はケベック市も選択肢に入れてみると良いでしょう。
カナダでフランス語を学ぶのにはメリット・デメリットがあります。カナダでフランス語を学んでみたいと思った人は、メリット・デメリットもチェックしたうえで、検討するようにしましょう。
モントリオール、ケベック市があるケベック州では移民のチャンスも広がります。
さまざまな可能性があるカナダで、英語だけでなくフランス語も学んでみませんか?