日本人の留学先やワーキングホリデー先として人気なカナダ。雄大な自然と多民族を受け入れる多様性の理解度の高さ、のんびりとした温厚な国民性が魅力です。実際にカナダに行った日本人からは「帰国したくない」「移住したい」との声が寄せられています。この記事ではカナダ文化について深掘りして、魅力や気をつけるべきことを宗教、マナー、習慣別に解説します。留学やワーキングホリデー、旅行前にチェックしておきましょう。
カナダってどんな国?
カナダは国土の広さが998.5万平方キロメートルあり、世界2位を誇る北アメリカ大陸の国です。
日本の総国土が37万8,000km²のため、約27倍の大きさです。
人口3,699万人で、世界屈指の多文化・多民族国家のため、公用語は英語とフランス語となっています。
より詳しくカナダについての理解を深めるために、カナダ文化について解説します。
カナダ文化1:リベラルな思想が強く、マイノリティも安心して暮らせる
カナダは、世界で初めて「多文化主義政策」を採用し、現在ではヨーロッパ系白人が70%、アジア系が20%、先住民が5%、黒人が3%の人種の割合となっています。
見た目や個人の嗜好で判断することなく、マイノリティとの共存を重んじるリベラルな思想が根付いているため、アジア系の日本人も安心して暮らせます。
アメリカやヨーロッパは、人種差別の問題が根深く残っている部分もあるため、それらの国と比較するとカナダはモラルや倫理面で発展している国です。発展している国です。
カナダ文化2:温厚な国民性で、日本と同様に他者へのリスペクトが大切
カナダは、雄大な自然に囲まれていることもあり、自己主張を強くするよりは相手を尊重する姿勢をもつ温厚な国民性が特徴です。
海外渡航をする日本人は、「自己主張が必要だ」「NOと言える強さを持つように」とアドバイスされがちですが、カナダ人と日本人は似ている部分があります。
相手を押しのけてでも自分の意思を押し通すのが苦手な方でも安心して生活できるでしょう。
一方、自己主張をしない代わりに「自分とは違う考えだから分かり合うことはない」と最初のうちから交流を辞めてしまうカナダ人も多いのも事実です。
カナダ文化3:移民大国のため英語とフランス語の2か国語が公用語である
カナダという国は、イギリス系の移民とフランス系の移民が作った国であるため、公用語が英語とフランス語の2か国語に設定されています。
英語留学で有名な国のひとつであるため、フランス語が公用語であることに驚いた方もいるのではないでしょうか。
国民の80%が英語で20%がフランス語を話す割合ですが、カナダ東部ケベック州ではフランス語が公用語であり、英語よりもフランス語が使われています。
ケベック州に行くと、アフリカ系の移民も多く、都市部とは違った雰囲気のカナダを楽しめるでしょう。
カナダ文化4:宗教の自由があり、異なる信仰心を持つ人が共存
カナダに住む国民の信仰する宗教の割合は以下のとおりです。
・キリスト教:53.3%
・(ローマ・カトリック教:29.9%)
・無宗教:34.6%
・その他:12.1%
引用元:外務省
カナダは宗教の自由を認めているため、ヨーロッパから継いでいるキリスト教、無宗教に続く「その他の宗教」を信仰する国民が多数います。
その他の宗教に含まれるのは、イスラム教、ヒンドゥー教、シーク教などです。
移民してきた人たちも安心して自分たちの信仰心を守れる環境がカナダにはあるのです。
カナダ文化5:特定の食文化はないもののバラエティ豊か
カナダは、日本食でいう寿司、イギリスでいうフィッシュ&チップスのような特定の食文化を持っていません。
カナダが移民大国であることも背景に挙げられますが、実際にカナダに行くと多国籍料理をどこででも楽しめます。
強いてカナダ料理として挙げる場合、メープルシロップ、カナダ風ベーコン、プーティンなどがあります。
プーティンは、日本では馴染みがないものの、モントリオールの郷土料理です。
カナダ文化6:LGBTQ先進国である
カナダは、人種や宗教に対する多様性を重んじる国民が多いことから想像がつくかもしれませんが、LGBTQと呼ばれるセクシャルマイノリティーに対する理解が進んでいます。
同性婚の合法化、性的嗜好による差別の禁止、パスポートで性別の記入「×」が可能など、マイノリティーの方々が快適に暮らせるための政策が多いです。
実際に、オンタリオ州ではジェンダーが平等である意味を込めたレインボーフラッグを掲げることが義務化されました。
カナダ文化7:協調性が大切
すでにカナダ人は、相手を尊重して自己主張を強くしないとお伝えしましたが、その分「協調性」を持つことが重視されます。
自分の意見を強く言い続けると、周りから反感を買ったり、あまり良い印象を与えないので注意が必要です。
カナダ文化8:アルコールと喫煙の制限が厳しい
カナダでは、生活の治安を守るため、アルコールと喫煙の制限が日本以上に厳しく設けられています。
アルコール |
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喫煙 |
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日本では、道端で飲酒や喫煙が許されるケースもあるため、カナダで同じことをしないように注意してください。
カナダ文化9:2018年からドラッグは合法になった
カナダでは、2018年より医療目的・娯楽目的共にマリファナが合法化されています。
実際にカナダに行くと、リカーショップ、コンビニなどで簡単にマリファナが含まれたクッキーなどのお菓子が購入できます。
日本ではマリファナは依存性が高く危険なドラッグと認識されていますが、カナダではリラックス目的や鬱、睡眠障害、癌の痛み緩和の目的で使用されることが多いです。
ただし、無闇にマリファナを服用することはおすすめできませんので、パーティーなどの場で誘われたときは断ってください。
カナダ文化10:コーヒーを飲む習慣がある
カナダは、ヨーロッパ系の文化が強く影響していることと、寒い地域であることを背景に、コーヒー好きな国民が多く、町中にコーヒーショップがあります。
日本のMサイズほどのコーヒー1杯が150〜250円ほどで購入できるため、カナダのコーヒー文化を楽しんでみてください。
カナダ文化11:一度購入したものは90日間返品できる
カナダでは購入した物品のレシートを保管しておけば、購入後90日以内の返品が可能なため、とりあえず購入して後から返品する人が多いです。
返品文化が根付いているワンシーンとして、カナダではプレゼントを送る際に、値段の記載されていない「ギフトレシート」を同封します。
ギフトレシートがあることで、プレゼントをもらった人が貰ったものを気に入らなくても、他の商品やギフトカードと交換してもらえるのです。
日本人からすると、「貰ったものを交換するなんて失礼じゃ…?」と心配になりますが、カナダ特有の文化となっていて、失礼には当たりません。
カナダ文化12:キャッシュレスが進んでいる
カナダではカードによる支払いが一般的であり、現金の代わりにクレジットカードを用意しておくと不自由なくカナダ生活が送れます。
現金で10ドル以上の買い物をする場合、硬貨のみで支払ってはいけない法則があるため、大量の硬貨を出すと拒否されるケースがあるため要注意です。
カナダ文化13:バスは決まったルートを走らない
カナダのバスは、交通渋滞や運転手のトイレや水分補給の休憩を理由に、いつもとは異なるルートを走ることがあります。
日本ではいつも同じルートを走るのが当然とされているため、初めのうちは驚いてしまうかもしれないため、事前に知っておくと安心です。
カナダではよくあることですので、行先の正しいバスに乗っていれば、問題なく目的地にたどり着きます。
カナダ文化14:時間や約束事は守らないことが多い
カナダ人は、おおらかな性格をしている一方で、時間にルーズであったり、約束事をしっかりと守れない人も一定数います。
日本人は、時間や約束に厳格な人が多いため、現地の人と交流をしていて国民性の違いを痛感する瞬間があるかもしれません。
多少のルーズさは受け入れつつも、これからも良好な関係を築きたいと考える相手には自分の気持ちを伝えてみると改善してもらえるかもしれません。
ちなみに友人同士の待ち合わせは、15分ほどの遅刻は許容範囲ですが、ビジネス面では時間厳守が基本という認識でいましょう。
カナダ文化15:アイスホッケーとラクロスが人気
カナダの国技は「アイスホッケー」と「ラクロス」で、どちらもカナダ国内でトップクラスの人気を誇ります。
どちらも1〜4月がオンシーズンのため、メディアや学校では毎年大きな賑わいを見せています。
さらに、アイスホッケーとラクロスに続いて、サッカー、野球、クリケットのスポーツ観戦も人気です。
日本でもサッカーと野球の人気度はトップクラスですので、スポーツを通してカナダ人と交流を深められるでしょう。
カナダ文化16:家族を最優先に考える
カナダでは家族の優先度が非常に高く、週末や祝日、めでたいことがあったときは親戚中が集まって一緒の時間を過ごします。
大人数でのホームパーティーも頻繁に行われていて、日本の文化とは異なりますが、誘われたパーティーには積極的に参加してみても良いでしょう。
また、カナダで国際恋愛をしたとき、パートナーとその家族の距離感に戸惑う日本人は多いですが、家族を大切にしていることをポジティブに捉えると良好な関係を築けます。
日本では、社会人になると仕事優先になりがちですが、カナダでは夕食は家族みんなで過ごすなど家族を大切にする文化が根付いています。
カナダ文化17:日本で流行りの「裏ピース」はやったらいけないジェスチャー
カナダでは「裏ピース」のように手の甲を相手に向けてピースをする行為は侮辱を意味するため、気をつけてください。
日本では「かわいい」と認識されたり、平和を意味するポジティブな意味合いがありますが、カナダでは挑発的で卑猥だと認識されます。
さらに、裏ピースを顎に持ってきて舌出しするポージングも流行っていましたが、普通の裏ピース以上に下品で卑猥な意味を持っているため厳禁です。
特に性的な意味も含まれているため、馬鹿にされたり、相手から呆れられたり、場合によっては相手を怒らせて暴力につながるリスクがあるため控えましょう。
カナダ文化18:自主性を重んじた教育方針
カナダでは、隣国・アメリカの影響もあり、授業中には積極的に自分の考えを伝えるディスカッション形式の教育が一般的です。
また、日本以上に宿題や課題が多くあるため、1日学校を休むだけで次の授業についていけなくなることも多いです。
日本の学校は、ただ座っていてもテストで点を取れれば進級できたりしますが、カナダは自分の分析や考えを発表する実践型で進級が決まります。
生徒ごとに学習ペースを自由に組めるため、飛び級する生徒も少なくありません。
まとめ
この記事では、18個のカナダ文化をまとめました。
日本と似ている部分がありつつ、文化面や倫理面では世界有数の先進国として誰でも移住しやすい環境が整っている点が魅力です。
さらに、バスのルールが運転手任せであったり、ドラッグが合法化されていたり、貰ったものを返品できたり日本では信じられない文化が根付いていておもしろいですよね。
実際にカナダで生活してみると、今回ご紹介したカナダの文化を肌で体感できます。
渡航前に知っておくと安心な情報もお伝えしましたので、ぜひ参考にしてみてください。