アメリカへの留学を考えた時、多くの人が頭を悩ませるのは「学費問題」ではないでしょうか。
行きたい大学があっても「費用が高くて行けない」と諦めてしまう人もいますが、一体なぜアメリカの大学費用はこれほどまで高い学費が必要なのか気になりますよね。実は、大学の学費が高いのには、アメリカ独自の考え方・理由があるんです。
そこで今回は、少しでも学費を安く納めるためのポイントや、アメリカ内で学費の高い大学・学費の安い大学についてご紹介します。お金のためだけで夢を諦めないように、アメリカの奨学金制度についても解説するので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
アメリカ留学の学費はいくら必要?
よく「アメリカの学費は高い」と言われますが、日本とはどのくらいの差があるのでしょうか。
一般的に外国人留学生が州立大学に入学すると1年間の学費は約27,500ドル、私立大学では約38,000ドル必要と言われています。2022年6月下旬のレート(1ドル134円)で計算すると州立大学で約368万円、私立大学では約509万円となります。
大学の種類によっても金額は異なりますが、日本の大学では1年間の学費が国公立大学なら80~100万円、私立大学でも110~160万円程と言われているので、比較するとかなり高額だと言えます。
大学の種類別学費とは
アメリカの大学の中で人気の州立大学ですが、州内出身か州外出身かどうかで学費に大きな差が出ます。なぜなら、州立大学というのは州の税金で運営されているため、どうしても州内出身者を優遇するようになっているのです。
留学生は州外の学生ということになるので、必然的に州内の学生よりも2倍以上もの高い学費を払わなければなりません。
2021年度の四年制大学1年間の学費の目安はこちらを参考にしてみてください。(レートは2022年6月下旬の1ドル134円で計算しています)
ただし、実際には学費以外にもお小遣いなどの交際費、教材費などは別途必要となります。
州立大学(州内出身者) | 州立大学(州外出身者) | 私立大学 | |
学費 | 10,740ドル(1,439,160円) | 27,560ドル(3,693,040円) | 38,070ドル(5,101,380円) |
寮・食費 | 11,950ドル(1,601,300円) | 11,950ドル(1,601,300円) | 13,620ドル(1,825,080円) |
合計 | 22,690ドル(3,040,460円) | 39,510ドル(5,294,340円) | 51,690ドル(6,926,460円) |
参照:College Board
学費以外にも寮費・食費がかかる
アメリカの大学は寮が定番の滞在先となっています。アメリカでは寮のある大学が多く、学生は基本的には寮生活を送るのですが、その際に寮費・食費がかかります。
平均的に1年間で160万円程かかりますが、それでもアパート暮らしをするよりも費用を安く抑えられます。都市部などでは大学の寮が足りず、仕方なくシェアハウスやアパートを契約する学生もいます。
アメリカの学費が高いと言われる理由
1年間に必要な留学費用を見て驚いた人も多いかもしれませんが、一体なぜこれほどまでに高い費用を支払わないといけないのか不思議ですよね。
アメリカでは一般的に「高額な費用をかけることで質の良い教育が受けられる」と考えられているので、高い学費を払うことが高い水準の教育を受けているというステータスになっているのです。そのため親や親族は子供のために高い学費を払っているというわけです。
ただ、同じアメリカ内でも学費の高い地域・安い地域というのが存在します。物価の高い地域では寮費や食費も高くなるので、学費の心配をしたくないという人は大学の場所に注意して比較的物価の安い州を選ぶと良いでしょう。
学費の高い大学
アメリカの大学で学費が高い大学は、シカゴ大学やコロンビア大学をはじめとする名門私立大学です。世界最高峰の質の良い教育が提供されているため、高額な学費であっても仕方ないと考える学生や親も多いようです。
ニューヨーク州やカリフォルニア州、マサチューセッツ州などの大学はアメリカ内でも特に学費が高いと言われています。
【学費の高い大学5選】
大学名 |
種類 |
州 |
学費 |
---|---|---|---|
シカゴ大学 |
私立 |
イリノイ州 |
70,100ドル (9,393,400円) |
コロンビア大学 |
私立 |
ニューヨーク州 |
69,021ドル (9,248,814円) |
ニューヨーク大学 |
私立 |
ニューヨーク州 |
67,637ドル (9,063,358円) |
スタンフォード大学 |
私立 |
カリフォルニア州 |
55,473ドル (7,433,382円) |
ハーバード大学 |
私立 |
マサチューセッツ州 |
51,904ドル (6,955,136円) |
学費の安い大学
私立大学や名門の州立大学よりも比較的学費の安い大学はキリスト系の大学です。キリスト系の大学なら寄付も集まりやすく、学生が負担する学費は安く抑えられます。
また、都会よりも田舎の大学の方が物価も安い傾向があり、学費が安いという特徴もあります。アメリカ東部や西部よりも中西部や南部のカンザス州・ミズリー州などは物価も学費も安い大学が多いと言えます。
【学費の安い大学5選】
大学名 |
種類 |
州 |
学費 |
アルコーン州立大学 |
州立 |
ミシシッピ州 |
6,556ドル (878,504円) |
シャドロン州立大学 |
州立 |
ネブラスカ州 |
6,540ドル (876,360円) |
カリフォルニア州立大学ロングビーチ校 |
州立 |
カリフォルニア州 |
17,620ドル (2,361,080円) |
アヴィラ大学 |
私立 |
ミズーリ州 |
31,490ドル (4,219,660円) |
エンポリア州立大学 |
州立 |
カンザス州 |
21,222ドル (2,843,748円) |
アメリカの奨学金制度
日本の大学の学費と比べるとアメリカはかなり高く、日本の4年間分の学費がアメリカではたった1年で消えていってしまう程高額なところもあります。高い学費を払えないからと留学を断念する学生もいますが、アメリカの大学は奨学金制度を設けているところが多数あります。
実際にアメリカの多くの学生も奨学金を得ていて、実に7割もの学生が奨学金制度を利用しています。日本の場合は奨学金を借りると返済する義務がありますが、アメリカでは返済義務のない奨学金があります。
アメリカの奨学金は「スカラーシップ」と呼ばれていて、家庭の事情で学費を払えない人が学費免除となる「ニーズ・ベース」と、学力やスポーツなどを推薦してもらい受けられる「メリット・ベース」という2種類のタイプがあります。
ただ、ニーズ・ベースはアメリカ出身者か永住権を持っている人に限られるので、留学生の場合は後者の「メリット・ベース」のみ申請できます。自分は何が得意なのか、何ができるのかを大学にアピールする必要があるので、しっかりと自分の強みを見つけておきましょう。
学費を節約するには
アメリカへの留学には高額なお金が必要となるため、少しでも学費を節約したいと考える人は多いはずです。そこで、実際にアメリカ留学を経験した先輩の意見を基に、節約術をまとめました。
節約のポイントを押さえておくだけで、必要な資金も変わってきますからね。
留学期間の短縮
「留学費用を節約するために留学期間を短縮するなんて!」と驚く人もいると思いますが、実はこの方法で留学費用を節約している人も多いんです。
アメリカの大学は単位制で、4年で卒業するまでに120~130単位程が必要です。2学期制の大学の場合、1学期に15単位を取れば1年間で30単位となり、4年で120単位が取れるという計算になります。
しかし、この15単位という数字は決められているのではなく、あくまで学生にゆだねられる部分なので、もっと頑張って20単位を取れば1年で40単位、つまり3年間で120単位が取れることになります。
この様に、3年や3年半で4年制大学を卒業して学費や生活費を節約する留学生も増えてきているのです。
できる限り寮を選ぶ
留学先の滞在方法は「学生寮」「ホームステイ」「ルームシェア」「アパート」の中から選ぶのが一般的です。その中でも学生寮を選べば交通費も節約でき、食事も食堂で食べれば外食費もかかりません。分からないことがあっても同じ寮の友達やルームメイトがいるので心強いですよね。
ホームステイの場合は短期間なら良いのですが、大学から距離がある場合が多く交通費がかかってしまうという問題のほか、そもそも長期間の受け入れをしていないホストファミリーもいます。
ルームシェアやアパートの場合は自炊すれば食費の節約になりますが、毎日自炊するのは面倒臭くなり外食が増えてしまいます。物価の高いアメリカでは、外食代に1食1,500~2,000円程かかるので出費がかさばってしまいます。
アメリカの大学生は学生寮での生活が基本だと考え、節約を心がけてみてください。
都会よりも田舎の大学を選ぶ
都会にある大学は田舎の大学よりも学費が高く、また生活に必要な物の物価も高いという特徴があります。そのため、「どうしてもこの大学に行きたい!」という強い希望がない場合は、できるだけ都会を避けたちょっと田舎の大学を選ぶと学費や生活費を節約できます。
生活費が安いと言われる州はこちらです。
・ミシシッピ州
・アーカンソー州
・ミズーリ州
・ミシガン州
・テネシー州
もちろん、生活費・物価が安いと言われる州の中でも比較的学費の高い大学はあります。あくまでも参考程にして大学を探してみてくださいね。
日本人に人気のカリフォルニア州やハワイ州、ワシントン州、ニューヨーク州などはアメリカ内でも物価が高いので、生活費や学費が高くなります。
アルバイトをする
アメリカに長期留学する場合はアルバイトをすれば生活費を稼げます。ただ、学生ビザでアメリカに入国する場合は原則としてアルバイトは禁止です。
しかし、ある一定の条件をクリアすればアルバイトは可能です。留学生が働ける仕事とは、大学のキャンパス内で週に20時間までのアシスタント業務という縛りがあります。キャンパス内で図書館のスタッフとして働いたり、教授のアシスタントをしたりするのが一般的です。
1つ注意してほしいのが、誰でもアルバイトができるというわけではないという点です。成績が良く、きちんと授業を受けている学生に限るので、キャンパス内でアルバイトをしたい人は日頃から勉強を怠らず授業にしっかりついていきましょう。
まとめ
アメリカの大学に進学するには日本の大学以上の学費が必要です。
「質の高い教育を受けるためには仕方がないこと」というアメリカならではの考えがあるとはいえ、学費問題は留学生にとって大きな壁となるでしょう。
しかし、超名門大学を選ばず少し田舎の大学を選ぶだけでも学費や生活費は節約できます。また、頑張って単位を取って留学期間を短縮させれば、その分の生活費も不要となります。
「アメリカの大学で勉強したい!」という夢を持っているなら、ぜひ実現させてください!
外国人留学生も利用できる奨学金制度を活用して、たくさんの学生が憧れのキャンパスで勉強に励んでいますからね!