1.zzzの英語での意味は?
日本語では「zzz」とは睡眠中の音の表現として認識されています。では、英語ではどうかと言うと、これはイビキの擬音語なのです。
「zzz」はアルファベットをそのまま読むなら、アメリカ英語では「ズィーズィーズィー」、イギリス英語では「ゼッドゼッドゼッド」と発音することになりますから、イビキの擬音語としてはちょっとピンと来ないかもしれませんね。
ケンブリッジの英英辞書では「zzz」は下記のように定義されています。
used in a picture or a piece of writing to represent the noise that people make when they are sleeping
(人が寝ているときに出す音を表すために、絵や文章の中で使用される)
引用元:https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/zzz
そして、辞書内の発音を聞いてみると、カタカナで表現するならアメリカ英語・イギリス英語ともに「ズー」という感じです。zを並べたからと言って、「ズィーズィーズィー」と発音するわけではないということですね。
ちなみに、辞書では「絵や文章の中で」となっていますが、zzzを実際に目にするのは漫画が圧倒的に多いです。英語の漫画の中で誰かが眠っていれば、「zzz」と書いてあることが多いので、英語の漫画を持っている人は探してみてもいいかもしれませんね。
なぜイビキの擬音語はzzzなのか
日本語の擬音語でイビキと言えば「グーグー」「ガーガー」のような言葉もよく使われますよね。「ズー」に比べると、「グーグー」の方がイビキの音に近いような気もします。
それにもかかわらず、なぜ英語でのイビキの擬音語は「zzz」なのでしょうか。
これについては、理由ははっきりとしていないのだとか。
わかっているのは、ヘンリー・デイヴィッド・ソローというアメリカの作家が、zzzを擬音語としてはじめて使った人だということです。ですが、ソロー氏がzzzを擬音語として使ったのは、イビキではなくコオロギの羽音だったそうです。
なぜzzzがイビキの擬音語として広まったのかは定かではないものの、1918年にアメリカ方言協会が正式にzzzをイビキの擬音語として定めています。それをきっかけに、zzzと睡眠にまつわるイディオムもできました。
代表的なのが「catching some z’s」という慣用句。これは、「ちょっと寝てくる」というような意味のイディオムです。
ちなみに英語では「Zzzzz」と頭を大文字にして書かれたり、「ZZZ」と大文字だけで書くこともあります。大文字だけで書いた場合は、かなり大きいイビキをかいていること、小文字だけで書いた場合は、小さめのイビキと解釈されるようですよ。
日本語でもzzzが使われる理由とは?
アメリカ発祥と思われる「zzz」ですが、なぜ日本語でも広く浸透しているのでしょうか。しかも、現代ならともかく、少し昔に英語から来た名詞以外の言葉が、日本語で正しく使われているのはちょっと珍しいですよね。
たとえば、日本語で「ナイーブ」と言えば、傷つきやすい人のイメージがありますが、その語源となっている英語の「naive」は、世間知らずというマイナスなイメージがある言葉です。
もう一つ例を出すと、日本語の「クレーム」は、お客さんからの苦情を指しますが、その元となっている英語の「claim」は「主張」「要求」という意味で、苦情というニュアンスはありません。苦情は「complaint」と言います。
このように、英語から来た日本語は、意味がズレることが多いのですが、なぜか「zzz」は割と正確に輸入されています。
これはアメリカンコミックの影響だと考えられます。「zzz」というイビキを表す表現は、アメリカンコミック上で非常によく使われています。
漫画では、寝ているキャラクターのイラストと「zzz」という文字が並んで表示されているため、意味を間違えようがなかったのでしょう。
そういうわけで、アメリカンコミックを見た日本人たちが「zzz」は睡眠を表す表現だとして使い始め、それが日本人の間でも浸透したのでしょう。
漫画という日本人にとっても馴染み深いものを媒体にしているため、意味がほぼ正しく伝わっているのは興味深い点ですね。
2.日常英会話で「zzz」が使われることはある?
zzzは主に漫画やイラストの中で、イビキを表すのに使われる擬音語です。では、日常会話の中で「zzz」が使われることはあるのでしょうか?
ここからは日常英会話の中で「zzz」が使われる場面をご紹介します。
会話の中で使われる例
「zzz」に関連する表現としてよく使われるのは、前述でも少し触れた「catching some z’s」というイディオムです。このイディオムの中には「zzz」という表現は入っていませんが「z’s」という部分がそれにあたります。
使い方はとても簡単ですから、「寝てくる」と言いたいときに、sleep以外の表現を使いたくなったらぜひ使ってみてください。
以下にいくつか例文も作成しました。こちらを参考にすれば、文中でどのように「catching some z’s」が使われるかがわかるはずです。
例文
- I binge-watched an anime series last night so I need to catch some z’s now.
(昨夜アニメシリーズを一気見しちゃったから、ちょっと寝ないと) - He went to his bedroom to catch some z’s.
(彼は寝るためにベッドルームに行ったよ) - She’s catching some z’s right now. She must be tired!
(彼女は今寝てるとこだよ。疲れてるんだね)
文字でのやりとりで使われる例
「zzz」という表現は、文字でのやりとりでも使われることがあります。
たとえば、誰かが何か難しい説明をしているときに、難しくて理解できない、もしくは退屈だという気持ちを表すときに、冗談で「zzz」と送ることもあるでしょう。
これは、イビキをかいている擬音語で、相手の話が難しすぎる・退屈だということを示しているのです。
日本語でも、退屈するとあくびの絵文字を送ったりしますから、それと同じノリですね。
ただし、結構失礼にあたりますから、気心がしれている親しい友人以外に使わないように気をつけましょう。
また、特に相手への反応というわけではなく、自分が眠いときや、寝落ちしそうなときなんかに「zzz」と送っても良いかもしれませんね。
「I am falling asleep. Zzz…」とテキストで送れば「寝落ちしそう。スースー」といった感じになります。
3.zzzのような英語の擬音語
今回ご紹介した「zzz」はイビキの音を表す英語の擬音語です。日本語はオノマトペと呼ばれる擬音語が非常に多い言語ですが、英語にもzzz以外にオノマトペがあります。
ちなみに英語でオノマトペは「onomatopoeia」で発音は「オノマトピア」という感じです。こちらも一緒に覚えておくと、話が通じやすいですよ。
ここからは、zzzのような英語の擬音語をいくつかピックアップしてご紹介します。
yada yada yada
これだけ見ると、日本人には「ヤダヤダヤダ」に見えますよね。発音は、ほぼ「ヤダヤダヤダ」に近いこちらの擬音語ですが、これは「なんとかなんとか」を意味する「blah, blah, blah」と同じ意味の擬音語です。
ほとんどの人は「blah, blah, blah」を使いますが、こんな表現もあるのはちょっと面白いですよね。
achoo/atishoo
こちらはくしゃみの擬音語です。「achoo」は「アチュー」「atishoo」は「アティシュー」という感じの発音をします。atishooは主にイギリスで使われています。
zzzに比べると、本当のくしゃみの音に近いですね。
boohoo
こちらは子供のようにうるさく泣いているときに使う擬音語です。発音は見たままで「ブーフー」。そんな風に泣く大人も子供もあまりいませんから、なぜ「boohoo」なのか不思議に思うかもしれませんが、日本語で言うなら「えーん!」と同じようなものです。
「えーん」と泣く人もあまりいないでしょうから、擬音語とはどの言語でもそういうものなのかもしれませんね。
tsk
こちらは舌打ちに使う擬音語です。カタカナにするのは少し難しいですが「トゥスク」や「ティスク」の中間のような感じでしょうか。
日本語で言うなら「ちぇっ」ですね。
こちらの擬音語は、何かに対して嫌だと思っていたりするときに使われます。
4.zzz以外にもたくさんある英語の擬音語
今回はzzzの意味や使われ方、そしてzzzに似たような英語の擬音語をご紹介しましたが、今回ご紹介した物以外にも、英語には擬音語がたくさん存在しています。
その数は日本語ほどではないものの、意外なものや面白いものも多いので、興味があれば調べてみましょう。
特にzzzは非常によく使われているため、文中でご紹介したイディオムなども使えるようになると良いですね。