英語圏のネイティブの会話で「knocked up(ノックド・アップ)」が出てきて、どのような意味を持つのか理解できずに困惑している方も多いでしょう。
「knocked up(ノックド・アップ)」を直訳すると「ドアをノックして起こす」という意味になりますが、現在はまったく異なる意味で使われているのです。
この記事では、「knocked up(ノックド・アップ)」の意味・語源・使い方について解説します。
さらに「knocked up(ノックド・アップ)」というタイトルの映画やネイティブが使うディープな英単語についてもまとめて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.「knocked up(ノックド・アップ)」について
まずは、「knocked up(ノックド・アップ)」について理解を深めましょう。
「knocked up(ノックド・アップ)」の意味
「knocked up(ノックド・アップ)」はイギリスとアメリカで異なる意味を持っています。
- イギリス:ドアをノックして起こす
- アメリカ:女性を妊娠させる
イギリスとアメリカでは、同じ「knocked up(ノックド・アップ)」でもまったく違う意味で使われているのに驚きです。
アメリカで「knocked up(ノックド・アップ)」と言っても「ドアを叩いて起こす」という意味では伝わりませんので気をつけましょう。
また、ただ妊娠したときに使うのではなく、妊娠が想定外で少し困惑している意味合いが含まれており「できちゃった、やばい」のような使われ方をしています。
「knocked up(ノックド・アップ)」の語源
もともとの語源を遡ると、1660年代のイギリスで「knock(動詞)+up(副詞)」が「ドアをノックして起こす」という意味で使われはじめました。
一方、アメリカでは「交尾する」を意味する「knock」が派生して「女性を妊娠させる」という意味で使われています。
実際に1813年にニュージャージーの文脈で使用された形跡があったり、1590年に遡るとknocking shop(売春宿)が俗語として使われていたようです。
アメリカ英語とイギリス英語であまりにもニュアンスが異なるため、どこで英語を話すかによって使い分けをしなければなりません。
「knocked up(ノックド・アップ)」の使い方・例文
「knocked up(ノックド・アップ))」の使い方を例文をとおして理解しましょう。
例文 | 日本語訳 |
Don’t forget to knock him up at six o’clock tomorrow morning. | 明日の朝6時に彼を起こすことを忘れないでね。 |
She’s a knocked up unmarried young woman. | 彼女は妊娠した未婚女性です。 |
My mother told me that Jennie was knocked up. | わたしの母親からジェニーが妊娠したと聞いた。 |
We knocked up restaurants all over the city. | わたしたちは大急ぎで町中にレストランを建てた。 |
最後の例文をみてわかるとおり「knock up」には、文脈によって「大急ぎで作る」を意味する言葉としても用いられることがあります。
2.映画「knocked up(ノックド・アップ)」について
「無ケーカクの命中男 ノックトアップ(原題:Knocked up)」は、2008年にセス・ローゲンとキャサリン・ハイグルのダブル主演で製作された長編映画です。
メガホンを握ったのは『ディック&ジェーン 復讐は最高!』『40歳の童貞男』『エイミー、エイミー、エイミー!こじらせシングルライフの抜け出し方』などラブコメを数多く手がけたジャド・アパトー監督です。
メタボ・ほぼ無職・貯金ゼロ・品格皆無と最低最悪の4拍子揃いの冴えない中年男・ベンは、絶世の美女・キャサリンと一晩を共に過ごすチャンスが訪れます。
彼にとっては人生最大のラッキー、彼女にとっては人生最大の不覚で終わったはずの一夜から2ヶ月後、キャサリンから妊娠報告を受けるのでした。
突然の出来事にベンがどのような道を選ぶのかが描かれるコメディ映画です。
日本ではとくに大きく話題にはならなかったものの、アメリカ本国では大きな話題となり、10年以上前の映画でありながら根強い人気を誇ります。
日本国内の動画配信サービスでも視聴できるので、気になる方はご視聴ください。
3.ネイティブが使うディープな英語スラング(若者言葉)
ここからは、日本の英語教育では学ぶ機会がないものの、実際に英語圏のネイティブたちが使っている英語スラングを紹介します。
GOAT
「GOAT」は、「Greatest of all time(最強)」を意味する言葉で、なにかの分野で優れているときに「オールタイムベストだ!」と褒め称える最上級の英語スラングです。
- Shohei Ohtani is the GOAT. He is the best baseball player!(大谷翔平は最強だ、彼は最高の野球選手だよ。)
ヤギを意味する「goat」と同じスペルになっており、SNS上では「GOAT」の代わりにヤギの絵文字をたくさん並べることもあります。
インターネットが普及してから使われるようになり、とくに自分が1番好きなスポーツ選手に対して「You are the best ever!(君が1番だよ)」と賞賛するときに使います。
lit
「lit」は、「酒で酔っ払っている・麻薬でハイになっている」の意味を持ちますが、英語圏のティーンたちは「最高」という意味で使っています。
- The birthday party was so lit.(誕生日パーティーは最高だった)
- The football match was lit.(サッカーの試合良かった)
類語として「awesome(すごい)」や「exciting(興奮する)」などと言いたいとき、やや誇張したニュアンスの「lit」を使います。
「lit」を使ったからといって、楽しい理由がお酒や麻薬とは限りませんが、酔っ払ったときに使うこともできます。
on fleek
「on fleek」は、「完璧」「キマっている」「イケてる」などのニュアンスを持つ英語スラングです。
- Your dress is on fleek, where did you get it?(あなたのドレス完璧だね、どこで買ったの?)
- Hey, your hair is on fleek today.(へーい、今日の髪型イけてるね)
ドレスを着たとき、ヘアセットをしたとき、フルメイクをしたときなど、プラスアルファで何か手を加えたものを褒めるときに使えます。
もともと「fleek」という英単語は存在していないのですが、2014年ころから「on fleek」という言葉が使われるようになりました。
snatched
「snatch」は、「キマってる」「イけている」などのニュアンスを持つ英語スラングです。
- Her outfit is so snatched.(彼女の服めっちゃいい)
もともとは「ひったくる」を意味する言葉でしたが、ティーンの間ではポジティブな意味で使われており、「on fleek」とほとんど同義語です。
freak out
「freak out」は、感情がネガティブに働いたときを意味する英語のスラングです。
- My teacher was walking towards me, so I freaked out and ran away.(先生がこっちに歩いてくるから、びっくりして逃げてきた)
- It looks like a ghost, so this photo freaks me out.(これがお化けみたいだから、この写真怖すぎる)
洋画や海外ドラマでも多用されている言葉ですが、日本語では明確に表現できる言葉がないため、イメージを掴んで使い分ける必要があります。
「慌ててパニックになったとき」「恐怖を感じたとき」「怒り爆発の時」などが例です。
どのシチュエーションでも感情がネガティブな方向に揺さぶられて、平常心を保てていたい状態を指しています。
とはいえ交通事故や事件に巻き込まれたときなど、本当にシリアスな状態に陥ったときには使わないため、注意が必要です。
hang out
「hangout」は、「遊ぶ」「付き合う」などを意味する英語スラングです。
- Do you wanna hang out with me?(遊びに行く?)
- I hang out with my crush last weekend.(先週末、気になる人と出かけたの)
「go out(出かける)」「date(デートする)」とよく似たニュアンスですが、「hang out」はカジュアルな意味があるので、友達にも恋人にも使えます。
ただしかしこまったデートでは「hang out」は使いません。
また日本人の感覚として「Do you want to hang out with me?」を「あなたはわたしと出かけたいですか?」と直訳すると、上から目線に感じることがあるかもしれません。
実際には「一緒に出かけない?」「遊ばない?」という軽い誘いの意味であり、「want」には深い意味が込められていませんので、気にせず会話を進めましょう。
kick ass
「kick ass」は、直訳すると「ケツを蹴り飛ばす」となりますが、ティーンの間では「最高」という意味で使われている英語スラングです。
- These shoes kick ass.(あのシューズ、イけてるね)
- Did you listen to his new song, it kicked ass.(新曲聴いた?最高だったよ)
「ass」という単語が入っているため、目上の人には絶対に使ってはいけません。
また、人の顔や体に対して使うのも少しおかしなニュアンスになりかねないため、基本的にはモノや音楽に対して使います。
またスポーツをしているときやなにか乗り物に乗っているときに興奮して、感情を爆発させたいときにも用いることができます。
salty
「salty」は、「不機嫌」「感じ悪い」「悲しい」を意味する英語スラングです。
- My brother always gets salty when he loses.(わたしの弟は負けるといつも不機嫌になる)
- I got salty because I needed to cancel my trip to Japan.(日本旅行をキャンセルしなければならなくて悲しかった)
日本ではリアクションが薄かったり、冷たい態度をとる人のことを「塩対応」といいますが、英語の「salty」とは若干異なるニュアンスで使われています。
4.まとめ
この記事では、「knocked up(ノックド・アップ)」の意味・語源・使い方について解説しました。
「knocked up(ノックド・アップ)」は、アメリカ英語とイギリス英語で異なる意味があり、アメリカでは「女性を妊娠させる」というスラングで浸透しています。
一方、イギリスでは直訳と同じ「ドアを叩いて起こす」という意味です。
同じ英語を母国語とする国でも、場所によってまったく異なる意味を持っているのは興味深い発見ですが、同時に使い分けが必要なため気をつけましょう。
また、英語圏のネイティブが実際に使っている英語スラングをまとめて紹介したので、気になるものがあれば、ぜひ使ってみてください。
ただし、英語スラングの中には目上の人やフォーマルな場面で使うには不適切なものもあります。
使う場面には十分に気をつけて、気の知れた友達同士で英語スラングを用いたコミュニケーションを楽しみましょう。