「Killing me(キリングミー)」というフレーズを聞いたことがあるでしょうか?「Killing me softly with his song」というとても有名な歌があるため、意味は耳にしたことはあるという人は多いでしょう。
パッと見、ちょっと物騒な表現である「killing me」ですが、実際に自分が殺されるという意味ではなく、スラング的な使い方がされている言葉です。
この記事ではこの「killing me」の本当の意味、そして使い方、使うときの注意点などを解説していきます。キリングミーと聞いて意味がわからないと思った経験がある人や、英語の口語表現の幅を広げたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
【目次】
1.Killing meの意味とは?
「Killing me」は、直訳すると「私を殺している」という感じになりますが、本当に殺されているわけではありません。
Killing meは、スラングや口語表現の一つであり、ある出来事や状況に対して非常につらい思いをしていたり、苦痛を感じていることを表しています。
ですから、まずはkilling meを使っている人がいても、本当に殺されそうなわけではないので安心してくださいね。
とは言え、killing meの言い方や使い方によっては、かなり追い詰められている、つまり精神的に殺されそうな状況である可能性はあります。
カジュアルなスラングですから、ライトに使う人もいますが、killing meと言っている人の中には、本当に追い詰められていたり、疲れ果てていたりする人もいますから、この言葉を口にした人の様子を確認し、ニュアンスを感じ取れるといいですね。
2.Killing me softlyの意味とは?
少し本題からそれますが、冒頭で取り上げた「Killing me softly with his song」というとても有名な歌についても触れてみます。
こちらのタイトルを直訳すると「彼の歌が優しく私を殺している」となりますが、直訳するとちょっとよく意味がわかりませんね。
ではこのタイトルがどういう意味なのかというと、日本語で言うなら「真綿で首を絞められる」という感じでしょうか。ただこの曲はおそらくラブソングなので、じわじわと歌う彼に夢中になっていって、切ない想いを歌っているのでしょう。
実際の会話の中でも、誰かにひどく夢中になってしまって、相手の一挙一動に動揺してしまったり、落ち込んでしまったりするようなときには「He is killing me.」と言うこともあります。
ちょっとkilling meの意味の参考になったでしょうか。
ちなみにこの曲の邦題は「やさしく歌って」だそうですが、英語のタイトルにそんな意味はありません。歌詞の中では「早く歌い終わってと祈った(I prayed that he would finish)」という部分もあるくらいです。
歌に限らず、邦題は英語の意味とは離れていることも多いですから、注意が必要ですよ。
3.Killing meの使い方
Killing meは前述のとおり、つらい状況にあることや、苦痛を感じていることを表す言葉です。
しかし、実際に使われている場面を見なければ、正しい使い方がわからない人もいるでしょう。そこでここからは、例文と解説を用い、killing meの使い方をご紹介していきます。
例文1
John’s behavior is just killing me. He is too rude to everyone.
(ジョンの振る舞いに強くストレスを感じてるよ。彼は誰に対しても失礼すぎるんだ。)
こちらの文章は、ジョンという人物が他人に対して失礼な態度を常にとっているので、それを見ている話者がイライラしていたり、精神的な苦痛を感じていたりすることを表します。
これを使うときには「うんざり」というよりも「本当にイライラ」「許せない」くらいの強い気持ちがあるでしょう。
例文2
Please talk to me! This silence is killing me.
(お願いだから話して!この沈黙には耐えられない!)
沈黙が苦手な人にとっては、沈黙が続くことが精神的に苦痛になることもあるでしょう。そんなときに使えるフレーズです。
上記の例文も現在進行形になっていますが、killing meは動詞のing系のため、進行形の形で使います。また、現在苦痛を感じているその気持ちを発散する感じで使うことが多いため、現在進行形の形で聞くことが多いでしょう。
例文3
What Chris said to me yesterday is still killing me deep inside.
(クリスが昨日言ってきたことに、まだ深いところで傷ついているの。)
この例文では、話者がクリスに言われたことがショックで、1日経っても気持ちが落ち着いておらず、未だに苦痛を感じていることを表しています。
Killing meは現在進行形で使われることが多いですが、こちらの場合は、起こった出来事は過去のことで、苦痛を感じているのは現在進行中という時制になっています。
例文4
- Stop that now! You are killing me! Why do you have to do the things I hate?
(もう止めて!いい加減にしてよ!どうして私が嫌なことをしたがるの?) - Stop that now! You are killing me! I can’t stop laughing!
(もう止めて!死んじゃう!笑いが止まらない!)
Killing meは苦痛やつらさを表すスラングですが、実は2番目の例文のように、笑いすぎて死にそうなんてときにも使えます。上記の例文2つはとてもよく似ていますが、シチュエーションが違うことがわかりますよね。
Killing meというフレーズは、言い方や状況、話者の表情などによっても意味が変わることを覚えておきましょう。
4.Killing meについての注意点
Killing meは少し特殊な表現のため、使うときには注意が必要です。ここからは、killing meを使うときの注意点をご紹介していきます。
Killing meは比喩表現である
前述でも触れているとおり、killing meは単語そのままの意味ではなく、比喩表現です。本当に誰かが殺されているわけではないことを覚えておきましょう。
特に英語のドラマや映画を見ているとき、このことを理解していなければ、ストーリーが正しく把握できない可能性もあります。
繰り返しになりますが、killing meは精神的なつらさや苦しみを強調するために使用される表現です。
本当に誰かが今にも銃で撃たれそうになっていたり、刺されそうになっていたりする場面でもない限りは、killing meは比喩表現となりますので、ご注意ください。
使いどころに注意!
「Killing me」はあくまでカジュアルなスラング。下品なスラングとは異なり、カジュアルシーンなら使っても特に問題ありませんが、フォーマルシーンやビジネスシーンには適していません。
使ったからといって大きなトラブルになることはありませんが、ビジネスマナーがわかっていない人だとは認識されるでしょう。
そのため、killing meを使いたい場合は、カジュアルな場面に限るようにしてください。
また使う相手も、親しい人に限るようにするのが無難でしょう。英語は日本語に比べるとカジュアルな言語ではありますが、精神的な距離がある相手には、やはりそれほどくだけた話し方はしません。
ニュアンスをしっかり理解しよう
Killing meを自分で使う場合は、この言葉の持つニュアンスをしっかり理解する必要があります。
精神的に非常に強いストレスを感じていたり、追い詰められていたり、苦しかったりするときに限って使うようにしてください。
ちょっと疲れたときや、ストレスではあるものの叫びたいほどではないときなどには、適していません。そんな時は普通に「I’m stressed out.(ストレスがたまっている)」のような表現を使いましょう。
また、この記事でご紹介した「Killing me softly with his song」のような使い方もおすすめしません。こちらはあくまで歌のため、芸術的な使い方がされているものだからです。
意味だけ捉えて、自分では使わないようにしてくださいね。
他の類似表現もチェック!
Killing meはやや強い意味があるため、頻繁に使うことはおすすめしません。頻繁に使っていると、感情をコントロールできない人、いつも強いストレスを抱えている人だと誤解されてしまうおそれもあります。
また、英語ではあまり同じ表現を繰り返し使わないため、一度の会話の中で何度も使うのは不自然です。
Killing meのほかにも、その気持ちを表現できる類似表現を覚えておけば、表現にも幅ができますし、状況や微妙なニュアンスに応じた使い分けができるようになるでしょう。
5.Killing meは適した文脈で使おう
Killing meは日常の中でそこそこよく使われる一般的なスラングです。しかし文中でも触れているとおり、やや意味の強い表現ですから、使いどころや使い方、頻度などには気を付ける必要があります。
このスラング自体は使ったとしても、失礼だったり、下品すぎたりはしませんから、ネイティブではない日本人が使っても問題ありません。しかし使うときには、そのニュアンスをしっかり掴んだ状態で、適した文脈で使うようにしてくださいね。
ニュアンスを掴むためには、ネイティブがどのようにkilling meを使っているのか、ドラマや映画、小説などで意識してチェックしてみることをおすすめします。