インターネット上では、「乙(お疲れ様)」「草(笑い)」など独自のネットスラングが発展していますが、実は英語にもたくさんのネットスラングが存在します。
英語は日本語と比べて英単語の文字数によって長文になりやすく、全体的にだらけた印象を与えがちなため、短縮系のネットスラングが豊富です。
そのうちの一つが「eli5」です。
単語を単体でみても意味を予測しようがないですが、どのような意味があるのでしょうか。
この記事では「eli5」の意味と使い方、数字を使った略語、ネットスラングを紹介したうえで、ネットスラングを使うときの注意点をお伝えします。
1.「ELI5」の意味
「ELI5」は「Explain like I’m five.」の略語で、「簡潔に教えてください」を意味します。
直訳すると「わたしを5歳の子どもだと思って説明して」となるため、子どもでもわかるように噛み砕いて説明して欲しいときに使われています。
誕生のルーツを遡ると、英語圏で人気のネット掲示板「Reddit」のスレッドのタイトルとして用いられていることがわかりました。
ユニークな出来事や専門的におもしろい情報をシェアするサイトですが、専門性が高過ぎたり、記事の内容が長すぎるとき、「eli5」が多用されているようです。
つまり、すべての記事の内容を読むのが面倒であったり、読んでみたものの難しい単語ばかりが使われていて理解できなかったときに使えます。
使い方・例文
具体的には、以下のようなスレッドのタイトルとして使われています。
- ELI5:What exactly is dry cleaning?(わかりやすく教えて:「ドライクリーニング」って何?)
- ELI5:Why is polygamy illegal?(わかりやすく教えて:一夫多妻が違法の理由は?)
専門性の高い話題や曖昧になっている問題について「ELI5」をつけるだけで、簡潔に答えを求めることができます。
「ELI5」をつけなければ、長文や専門性の高い文章を使って説明する人がいますが、「ELI5」をつければ理解しやすい表現や言葉を使ってもらえます。
なんとなく納得のいく理解をしたいというのであれば「ELI5」をつけて質問をしましょう。
また、「ELI5」はインターネット上の会話でも使えます。
- Mom, can you ELI5 the theory of relativity?(ママ、相対性理論について簡単に教えてよ)
「ELI5」の「E」は「explain(説明する)」という動詞ですので、「can you ELI5〜」で「わかりやすく〜について説明してくれますか?」となります。
ただし、あくまでネット用語ですので口語でのコミュニケーションで使うことはできません。
2.数字を使った英語の略語
日本語のネットスラングではあまりみられませんが、英語では「ELI5」のように数字を用いた略語が多数存在します。
ここからは実際に数字を用いて表現できる英語の略語を紹介します。
2moro
「2moro」は声に出して読んでみると「トゥーモロ」となる通り「tomorrow(明日)」を意味する言葉です。
see ya 2moro.(また明日ね)
そのほかにも「2MR」「2MRW」なども「tomorrow(明日)」という意味でネットスラングになっています。
2nite
「2nite」は英語のアルファベット基準で読んでみると「トゥーナイト」となる通り「tonight(今夜)」を意味する言葉です。
- are you free 2nite?(今夜は暇?)
さらに略した「2NT」も「tonight(今夜)」という意味でネットスラングになっています。
2BH
「2BH」は「to be honest(正直にいうと…)」を意味する言葉です。
「to」は英数字の「2(トゥー)」で表し、残りは頭文字を用います。
- 2BH,I disliked his meal.(正直にいうと、彼の料理は好きじゃなかった)
数字を用いずに頭文字のアルファベットを使う「TBH」も「To be honest(正直にいうと)」という意味でネットスラングになっています。
HB2U
「HB2U」は「Happy birthday to you(誕生日おめでとう)」を意味する言葉です。
「to」のみ英数字の「2(トゥー)」で表し、残りは頭文字を用います。
「to you」の部分を無くした「HBD」もたびたび使われており、SNSのハッシュタグでも人気です。
2U
「U2」は、「you too(あなたもね)」を意味する言葉です。
「Have a nice day(良い日を過ごしてね)」「You look good(今日いい感じだね)」などポジティブな言葉をもらったときの返答として使えます。
2EZ
「2EZ」は「too easy (簡単すぎる)」を意味する言葉です。
- The Japanese exam was 2EZ for me.(日本語の試験、めっちゃ簡単だった)
「too」は英数字の「2(トゥー)」で表し、残りは頭文字を用います。
3.英数字のみで表現できるネットスラング
ここからは、英数字のみでも意味が通じる不思議なネットスラングの意味をまとめて紹介します。
英数字 | 英語 | 意味 | 解説 |
10 | 10 out of 10 | かっこいい美人完璧素敵 | 「10 out of 10」の「10点満点中の10点」をさらに略した形 |
182 | i hate you | 大嫌い | 「hate」が「8(eight)」に近い |
1337 | elite | (オンラインゲームの)敏腕プレイヤー | 「elite→eleet→leet」と変換され「1=l、ee=3、t=7」 |
101 | lol(laugh out load) | 爆笑 | 「lol」と形が似ている |
24/7 | 24 hours and 7 days a week | 常に | 1日24時間、1週間7日を表している |
303 | mom | ママ | 303を右に90度曲げて読むとmomになる |
404 | error | 頭が悪い人 | インターネット上のエラーは「404」と表示されることが由来 |
411 | information | 情報 | アメリカの電話番号案内サービスが由来 |
420 | marijuana | 大麻 | 昔は4:20に若者たちが大麻を吸っていたため |
831 | i love you | 愛している | 8文字、3単語、1文から由来 |
このように数字のみを使って略語にした英単語はたくさんあります。
丸暗記することはむずかしいですが、説明を読めば理にかなっていて覚えやすいです。
4.「ELI5」のようなネットスラング
続いて英数字は含まれていないものの、知っていて損はない汎用性の高い英語のネットスラングを紹介します。
ASAP
「ASAP」は、「As soon as possible(できるだけ早く)」を意味する言葉です。
- Let me know asap(できるだけ早く教えてね)
日本語でも「なるはやで」という若者言葉がありますが、ほぼ同じようなシチュエーションで同じニュアンスで使われています。
「as soon as possible」は文字数が多いため、タイピングの手間や全体的な文章のボリュームを考えると4文字で表現できる「ASAP」は使いやすいです。
BTW
「BTW」は、「By the way(ところで)」を意味する言葉です。
- btw, are you hungry now?(ところで今お腹空いてる?)
インターネット上で会話をしているときに、話すトピックを変えたくなったら新しくトピックが変わる前の文章の冒頭に使います。
JK
「JK」は、「Just kidding(冗談だよ)」を意味する言葉です。
- jk what i said yesterday.(昨日言ったことは冗談だからね)
対面での会話と比べるとインターネット上での会話は、表情が見えずに誤解を招きやすいです。
ちょっとしたジョークを言ったつもりで、相手が本気で捉えてしまったときは「JK」を使って誤解を解きましょう。
THX
「THX」は、「Thanks(ありがとう)」を意味する言葉です。
- thx for your messages.(メッセージありがとうね)
「Thank you」のカジュアル版として「Thenks」が使われていますが、それをさらに簡略化した言葉で、インターネット上では使いやすいです。
5.英語でネットスラングを使う時の注意点
英語でネットスラングを使うときに注意すべき項目は、以下のとおりです。
- ビジネスシーンでは使うのを控える
- 世代によっては通じない可能性がある
- 文化的背景を知らずに使うとトラブルになる
それぞれの注意点について解説します。
ビジネスシーンでは使うのを控える
日本語のネットスラングをイメージするとわかりやすいですが「草(笑い)」「り(了解)」「乙(お疲れ様)」などの言葉は親しい関係性がなければ使いません。
初対面や関係性の浅い中でネットスラングを使用したり、SNSなどで多用してると、モラルや教養が足りない人という印象を与える可能性が高いです。
英語のスラングは、種類によってはビジネスシーンでも使われているため、英語学習者の間ではどれがOKでどれがNGか判断することは難しいでしょう。
略して失礼になることはあっても、略さなくて失礼になることはありません。
そのため、基本的にはビジネスシーンや関係値の浅い相手に英語のネットスラングを使うことは極力避けるのが賢明です。
世代によっては通じない可能性がある
英語のネットスラングは、日本語のネットスラング同様にトレンドや時代によって常に新しいものが生み出されています。
また、インターネット上でしか用いられていない単語も多く存在するため、目上の人に使っても意味が通じないことはよくあります。
外国に滞在中、ホストファミリーや年齢の離れた友達ができて親しくなったとしても、必ずネットスラングが使えるとは限らない点を理解しておきましょう。
また、一昔前に話題になって現在は死語となっている「激おこぷんぷん丸」のように、英語のネットスラングでも時代とともに使われなくなったものがたくさんあります。
例えば、有名な英語のスラングで「lol(爆笑)」がありますが、最近のティーンたちからは古い表現方法と認識されています。
代わりに、絵文字や「hahaha」などを使っているので、英語のネットスラングを積極的に使いたい方は、トレンドを抑えることを意識しましょう。
文化的背景を知らずに使うとトラブルになる
最後に英語のネットスラングを使ううえで特に注意が必要な点として、人種によって使ってはいけないタブーな言葉があることを理解しておきましょう。
アメリカやヨーロッパでは移民も多く、各人種ごとに表現方法やスラングの文化は異なるベクトルで発展しており、共通部分と独自部分に分かれています。
たとえば、「Nワード」などはラップやヒップホップなどの歌詞にも頻繁に使われていますが、黒人以外の人たちが使うと大問題です。
日本人には理解し難い部分ですが、世界史を見ると白人が黒人を奴隷として扱い迫害した長い歴史があるため、安易に他人種の文化や表現方法を使うことはタブーとされています。
過激な表現のスラングを使うときは、「誰かを不快にする可能性はないか」「アジア人として、日本人として使っても良いか」を確認しておくと安心です。
6.まとめ
この記事では、「ELI5」の意味と使い方、数字の入った英語の略語、英語のネットスラングについてお伝えしました。
「ELI5」は、英語圏の投稿サイトのスレッドタイトルで使われたことがきっかけに浸透したようですが、英語が完璧ではない方は使う機会が多いかもしれません。
また、「ELI5」のように数字を用いた短縮系の英単語はたくさんあるので、ぜひこの機会に覚えて使ってみてください。