みなさんもご存知のように、英語には非常にたくさんのスラングが存在しています。そのスラングのすべてを網羅するのは難しいですし、スラングの中には下品すぎるものもあったりするので、すべてを覚えておく必要はないでしょう。
しかし日常的に使える表現で、ノンネイティブが使っても不自然ではない程度のスラングはおさえておきたいですよね。
今回ご紹介する「drive me crazy」という表現も、そんな日常的に使いやすいライトなスラングのひとつ。この記事ではそんな「drive me crazy」の意味や使い方を例文も用いながら解説します。
カジュアルな英会話表現の幅を広げたい人は、ぜひ参考にしてくださいね。
【目次】
1.Drive me crazyの意味とは?
Drive me crazyは直訳すると「私を狂わせる」という意味になります。そして、実際にほぼこの直訳通りの使い方がされています。
ただし、crazyの捉え方に注意が必要です。crazyという英単語は、「狂う」という意味以外にもさまざまな意味で使われているからです。そのため、drive me crazyの意味を理解するためには、まず「crazy」の意味をしっかり捉えることが大切です。
crazyの意味
では、crazyとは一体どんな意味なのでしょうか。crazyにはさまざまな意味があるのですが、ここではケンブリッジ英英辞典の力も借りて、crazyという英単語の意味を紐解いてみましょう。
crazyは名詞にもなるのですが、今回は形容詞のみに限定してみていきます。
ケンブリッジ英英辞典では、crazyを以下のように定義しています。
- stupid or not reasonable
(愚かで合理的ではない) - annoyed or angry
(イライラしたり怒ったりしている様子) - very strange or foolish
(とても奇妙だったり愚かである)
(引用元:Cambridge Dictionary)
こうして見ると、日本人がcrazyという言葉に抱くイメージである「狂う」という感じとは、ちょっと離れたいいもありますね。
crazyという言葉は、イライラと怒っていたり、感情が大きすぎてわけがわからなくなっていたりする状態(合理的にはなれない状態)に使える英単語です。
上記の意味を見ると、ネガティブなニュアンスを持つ言葉のように思えるかもしれませんが、たとえば何かに熱中したり、何かを好きすぎて気持ちのコントロールが効かなかったりするようなときにも使えます。
こうしたcrazyの使い方を掴んでおけば「drive me crazy」の意味や使い方はすぐに掴めるはずですよ。
スラングとしての意味は2通り!
Drive me crazyというスラングは、大きくわけると2通りの意味があります。以下を見比べてみましょう。
- 〇〇のせいで気が狂いそう
- 〇〇に夢中になっておかしくなりそう
「気が狂いそう」の方は、何かイライラするようなことがあって、そのために爆発寸前であることや、本当に嫌だと思っているようなことを表します。
一方で、「夢中になる」という方は、なにかにぞっこんすぎておかしくなっている状態です。
例文を見たほうがわかりやすいので、ここでこの2通りの意味を持つdrive me crazyのシンプルな例文を作成してみました。
- He has a terrible habit of leg shaking. He drives me crazy all the time!
(彼は脚を震わせるひどい癖がある。彼はいつも私をイライラさせるんだ!)
※leg shaking = 脚を震わせる = 貧乏ゆすり - Look at him! He’s so gorgeous! He drives me crazy all the time!
(彼を見て!とてもゴージャスでしょ!彼のせいでおかしくなりそう!)
上記の例文では、どちらの意味でも全く同じ文章で「drive me crazy」を使用しています。しかしシチュエーションが違うため、ニュアンスが違うことが読み取れるのではないでしょうか。
このように、drive me crazyには大きくわけると2通りの意味があるのですが、文章自体は同じ作り方をするため、どちらの意味になるのかは文脈を読み取ることが必要です。
2.なぜMake me crazyではないのか
ある程度英語がわかる人だと、なぜ「make me crazy」ではなく「drive me crazy」なのかと不思議に思うかもしれませんね。
ちなみに「私をクレイジーにさせる」という意味で「make me crazy」を使うこと自体は、文法的にも英語的にも間違いではありません。実際に耳にすることもあるでしょう。
しかし「drive me crazy」の方がもう少し勢いがあるというか、どうしようもない感が出ます。これは「drive」という動詞が、「駆り立てる」というような意味を持つからです。
Makeを使う場合だと、うちから湧き上がる感じではなく、単純に「〜にさせられる」という感じですが、駆り立てるというニュアンスを持つ「drive」を使うことで、自分では抗えないような感じで、そうさせられているという感じが出てくるのです。
ですから、make me crazyとdrive me crazyでは、日本語にしたときには同じ文章になってしまうかもしれませんが、ニュアンスが異なるわけです。
例えば穏やかにロマンティックな感じで「He makes me crazy」と言えば、なんだか恋愛のドキドキ感やそわそわ感が伝わってきます。ですが「He drives me crazy」とすると、どうしようもないくらい心が掻き乱されているような感じです。
これを知っておけば、make me crazyとdrive me crazyの使いわけができるはず。文脈や自分の気持ちによっては、drive me crazyがそぐわない場合もあるでしょうから、そんなときにはmake me crazyの方を使うことを検討してみましょう。
3.Drive me crazyの使い方を例文で覚えよう
Drive me crazyは文法的にはシンプルなため、文章を作る際に混乱することはないでしょう。しかし、ニュアンスが若干掴みづらいと感じる人も多いはず。
そこでここからは、drive me crazyを使った例文を日本語訳とともにどんどんご紹介していきます。できるだけニュアンスが感じ取れるような日本語訳をつけているので、こちらを参考にdrive me crazyという表現を掴んでくださいね。
例文1
Could you stop singing so loud? It’s driving me crazy.
(大声で歌うのはやめてくれないか?気が狂いそうだよ。)
現在進行形を使ったパターンです。このパターンだと、イライラのボルテージが上がっている感じが表れます。
例文2
Just thinking about the deadline drives me crazy.
(締め切りを考えるだけで気が狂いそうになる。)
こちらの文章は、動名詞を主語に持ってきているパターンです。
It drives me crazy to just think about the deadline.と言い換えることもできますが、動名詞を前に持ってくると、「締切のことを考える」という動作の方に焦点が偏っている感じになります。
気が狂いそうなことを主張したいのか、締切が嫌だということを主張したいのかで、語順を入れ替えると良いでしょう。
例文3
I think she shouldn’t be in love anymore. It always drives her so crazy that she can’t think about anything else.
(彼女はもう恋をするべきじゃないと思う。いつも夢中になりすぎて(クレイジーになりすぎて)、他のことが考えられなくなるんだ。)
こちらの文章は「夢中になる」とも「気が狂う」とも取れる文章です。日本語に訳した場合は、「夢中になる」「気が狂う」と2通りの訳し方ができるのですが、そもそも英語の場合はdrive me crazyという言い方しかなく、意味も共通しています。
ですから、drive me crazyはdrive me crazyとして覚えるのがおすすめ。日本語に直す必要があるときだけ、シチュエーションに合わせた訳し方をしましょう。
例文4
My mother has been driving me crazy lately. She really wants to control me on everything!
(最近、母にイライラさせられてるんだ。何においても私をコントロールしたがるの!)
何かにイライラさせられたり、気が狂いそうになっていたりする状況が一定期間続いているときは、このように現在完了進行形を使うこともできます。
こちらの場合、英文に「最近」とは入っていませんが、このように言っている人がいたら、ここ最近の一定の期間を指していることになります。
例文5
His argument at the meeting drove me crazy.
(ミーティングでの彼の主張にイライラした。)
こちらは過去形パターンです。これを言っているときの話者は、まだイライラを引きずっている可能性はあるものの、もうdrive me crazyを現在のこととして使うほどに興奮はしていないでしょう。
4.Drive me crazyは使いやすいスラング!
今回ご紹介したdrive me crazyは何かにイライラして気が狂いそうなとき、夢中になりすぎておかしくなりそうなときなどにパッと使える便利なスラングです。
フォーマルな場面で使うには適していませんが、フォーマルな場面だと、crazyを使うこと自体があまりないでしょう。
ビジネスシーンだと、たとえばよく知る相手との会話なら、相手が上司でも同僚であっても使ってしまって問題ありません。ただし、「You drive me crazy(あなたは私をクレイジーにさせる)」とは言ってしまわないように、気をつけてくださいね。