英語圏の学校への留学を考えている人は、Coedという言葉を見たことがないでしょうか。なんだか暗号のような文字の並びですが、パッと見てもなんのことだかわかりづらいですよね。
そこでこの記事ではCoedとは何のことなのかをご紹介しつつ、留学に役立ちそうな海外の学校事情にも少し触れていきます。
特に語学学校以外の留学を考えている人は、出くわす言葉かもしれませんから、覚えておけると良いですね。
【目次】
1.Coedって何のこと?
Coedとは、「Coeducation」の最初の4文字を取った略語です。カタカナにすると「コーエデュ」と発音します。
では「Coed(コーエデュ)」および「Coeducation」とは一体なんのことなのでしょうか。その意味を詳しくご紹介しましょう。
男女共学・男女両用の
Coedは通常、「男女共学の」「男女両用の」という意味で使われており、主に学校や寮の体制について説明するときに用いられます。
つまり、CoedもしくはCoeducationというと、男性も女性もいる学校や寮のことを指しているのです。
日本でもそうなように、海外の学校でも女性のみが入学できる学校というものがありますから、「共学」を意味する言葉が必要なのですね。
ちなみに、Coedは、他にも「Co-education」や「Mixed education」という言い方がありますが、どれも同じ意味です。寮の場合だと「Coed dorm(男女共用寮)」となります。
女性だけが入学できる学校の場合は「women’s college」のように言い表します。こちらはとてもシンプルですから、見てすぐに意味がわかりますね。
男女共学の学校の女子学生
実はCoedにはもう1つ意味があります。
その意味とは「男女共学の学校に通う女子学生」。男女共学の学校も「coed」なのに、さらにそこに通う女子学生まで「coed」と呼ぶとなると、混乱してしまいそうですね。
ただし、現在では女子学生を指す意味の「coed」はほとんど使われることはありません。つまり、ほぼ死語のようになっています。ですから、coedという文字の羅列を見たら、基本的に共学、もしくは男性も女性も入れる寮のことを指していると思って大丈夫です。
ひと昔前には、coedを共学に通う女子学生の意味で使っていたので、昔の資料などを見ると目にすることもあるかもしれませんね。もしそんな機会があれば、混乱してしまわないように注意しましょう。
Coedが使われるその他の場面
基本的にCoedは共学の学校・寮に使う言葉です。しかし、学校や寮だけではなく、たとえば学校のサークル活動のようなものでも、Coedという言葉が使われていることがあります。
どちらにしても、学校周りの表現にくっつけられる言葉ですが、必ずしも学校や寮だけに限定されていないことも覚えておくと良いでしょう。
2.英語圏の大学は共学が主流!
英語圏では、日本と同じように女性のみを対象とした女子大が存在しています。しかし、その数は非常に少なく、英語圏の大学では共学が主流となっています。
ちなみに従来は男性のみを対象とした男子校もたくさん存在していましたが、今ではほぼないに等しいと言っても過言ではないほど、非常に希少な存在です。
これは従来は大学というものは男子大学と女子大学に分かれていることが多かったことに起因しています。時代の変化とともに、男子校はどんどん共学化していった一方で、女子校はまだ女子校として残っている大学もあるんですね。
もちろん、時代の流れとともに共学化していった女子校もあります。
そんな時代の変化の途中で、元男子校だった共学の大学に通う女子学生が珍しかったという背景から、共学に通う女子学生のことも「coed」と呼ぶ時代もあったのかもしれません。
現在は元男子校だった共学の学校は、男子校だったときの名残をほとんど残していないため、元々男子校だと知ると驚く学校もあるかもしれませんね。とても代表的な例を挙げると、アメリカのハーバード大学は昔は男子校でした。
3.英語圏と日本ではどちらの方が女子大学が多い?
英語圏は共学が主流であるというのは、前述のとおりです。では、実際にどのくらい主流となっているのか、数で比較してみましょう。
下記に2022年頃の各国女子大数と大学数をまとめてみたので、まずはこの比較表をご覧ください。
女子大数 | 大学総数 | 女子大比率 | |
日本 | 76校 | 790校 | 9.6% |
アメリカ | 37校 | 3,982校 | 0.92% |
イギリス | 1校 | 106校 | 0.94% |
オーストラリア | 4校 | 40校 | – |
こうして見てもわかるとおり、英語圏では女子大比率がかなり少なく、英語圏に比べると日本は女子大がまだまだ健在といったイメージです。
40年くらい前までは、英語圏にもまだまだ女子大がありましたが、20~30年前くらいには他の共学校と合併したり、共学になったり、大学自体がなくなったりと、その数をどんどん減らしています。
ちなみに上の表のオーストラリアについては、シドニー大学内にウーマンズカレッジがあるといった風に、総合大学の中に女性向けのカレッジがある形の大学ばかりなため、比率は算出していません。
ただし、女性向けのカレッジに通えば、その建物内は女性ばかりなので、女子大に通っている気分になるでしょう。
4.UniversityとCollegeの違いとは?
オーストラリアの大学についての記述で少し触れていますが、英語圏では、Universityの中にCollegeがあるという階層になっています。
「日本語にするとどちらも大学なのでは?」と不思議に思う人もいるでしょう。そこで、UniversityとCollegeの違いについても触れておきます。
この2つの言葉は、アメリカとイギリス英語圏(オーストラリア・ニュージーランドなど)では少し異なるニュアンスを持つため、2つに分けてご説明しましょう。
アメリカでのUniversityとCollege
アメリカでUniversityというと大規模な総合大学のことを指します。たくさん学生がいて、学部数も複数あり、大学院もあれば、それはUniversityと呼ばれます。
日本で「大学」と呼ばれる学校は、そのほとんどがUniversityにあたります。ちなみに日本の大学の公式の英語名を見ると、総合大学ではUniversityとなっており、工業などに特化した大学は他の呼び名がついていることが多いです。これを見比べると、Universityの意味が理解しやすいかもしれません。
アメリカでCollegeというものは、Universityよりも規模の小さな大学のことを言います。大学院などはなく、学部も少なめ。また、アメリカ留学でよく耳にする2年制の学校「コミュニティ・カレッジ」もCollegeですね。
イギリスでのUniversityとCollege
イギリスでのUniversityとCollegeはちょっとややこしいです。
基本的にUniversityだと大規模な総合大学という点はアメリカと共通しています。しかし、イギリスでCollegeと言うと、高校を卒業したあとに通う専門学校などのことを指します。
イギリスの教育システムは日本やアメリカとはかなり異なるため、理解しづらいかもしれませんが、この場合のcollegeは「大学」とは訳されません。
ですが、イギリス英語圏でややこしいのはここからです。
イギリスで大規模総合大学を指す言葉はUniversity。そしてイギリスのUniversityの中には、Collegeがいくつもあったりします。このCollegeは前述の専門学校などとは異なり、総合大学を構成する一部の学校という意味になります。
この場合のCollegeは、たとえば下記のように表記されます。
King’s College London, University of London(ロンドン大学キングス・カレッジ)
このKing’s College Londonは非常に有名な大学ですから、「ロンドン大学」とつかない場合が多いですが、つける時にはこのようになっています。
ちなみに、イギリスでUniversityを構成する学校の呼び名はCollegeだけではありません。
他にも、School、Institute、Academyなどの言葉が使われています。日本の大学もInstituteを英語の正式名称として使っている大学があったりするので、かなりややこしいですよね。
ひとまずイギリスでもUniversityは大規模総合大学で、Collegeというと複数の意味があり、総合大学を構成する大学(学校)には、さまざまな呼び名があると覚えておくと良いでしょう。
5.英語にはCoed以外にもさまざまな大学用語がある
英語圏の大学では、冒頭でご紹介したCoed以外にもさまざまな大学用語があります。日本にはない概念もあるため、理解するのはちょっと難しいかもしれませんが、大学留学を目指すなら覚えておきたいですね。
そして文中でもご紹介したとおり英語圏の大学のほとんどが共学なこと、そして共学はCoedと呼ばれることもお忘れなく。とは言え、年々少なくなっていく女子大の数を見ると、Coedという言葉もそのうち廃れてしまうのかもしれませんね。