留学やワーホリで渡航する際、海外留学保険へ加入するかどうかは個人の判断にゆだねられます※。加入するべきかどうかお悩みの方もいるでしょう。
※渡航先や通学予定の学校によっては、加入が義務付けられていることがある点にご注意ください
海外留学保険への加入に悩む原因の一つが「保険料の高さ」。留学やワーホリの滞在期間が長期化するほど、負担が重くなります。大切な留学資金を使うのですから、慎重に判断したいですよね。
ここでは、留学やワーホリのために保険へ加入するかどうかお悩みの方に向けて、海外留学保険の必要性や基本情報をお届けします。記事の後半では、保険に関するよくある疑問をQ&A形式でご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次留学やワーホリで渡航する際、保険に加入するべき?
留学やワーホリで渡航する際、リスク対策の観点から「海外留学保険へ加入するべき」と言えます。日本で生活しているとイメージしにくいと思いますが、海外では入院・治療費が高額になることが珍しくありません。
万が一、渡航先でケガや病気をしてしまった場合、民間の保険に加入していなければ費用をご自身で賄えないリスクがあります。「自分は健康だから大丈夫」と感じる方もいるでしょう。しかし、海外生活は慣れないこと、初めてのことの連続です。健康な方であっても、環境が変わると精神的にも肉体的にも不調を感じるケースがあります。
また、保険と聞くと「ケガや病気のための備え」をイメージする方が多いでしょう。しかし、海外留学保険のプランによっては、盗難や第三者への損害賠償の備えとしても効果的です。
海外留学保険への加入が義務付けられているケースもある
渡航先の国や通学予定の学校によっては、保険への加入が義務付けられているケースがあります。例えば、学生ビザでオーストラリアへ渡航する場合、OSHCという保険へ加入しなければなりません。
ビザの申請をする際は、保険へ加入した証明書である「海外保険証」が必要です。海外留学保険への加入義務があるかどうかについては、早めに確認しておきましょう。
海外留学保険の基礎知識(補償内容や保険料の相場など)
「そもそも海外留学保険って何?」と疑問を抱いている方もいらっしゃるでしょう。なんとなく「留学生が加入するもので、ケガや病気のための備え」と知っていても、具体的にどのような保険なのかイメージしにくいですよね。
保険の名称については、海外留学保険や海外旅行保険、海外旅行総合保険など保険会社によって異なります。ここでは、補償内容や保険料の相場、加入するタイミングについて、順を追って解説しましょう。
1.補償内容
海外留学保険の補償内容は保険会社や加入するプランによって異なりますが、一般的に大きく分けて3つの役割があります。
- ケガや病気をしたときの補償 例:治療費、入院費
- 盗難や偶然の事故で携行品が損害を受けたときの補償 例:スマートフォンが盗まれた、カメラを落として壊した場合の損害保険金
- 他人にケガをさせた、他人の物を壊してしまったときの補償 例:シャワーを出しっぱなしにして、部屋が水浸しになった場合の賠償責任保険金
※上記はあくまでも一例であり、実際に補償されるかどうかはケースバイケースです。詳細は保険会社へご確認ください。
2.保険料の相場
海外留学保険の保険料は、主に以下の要素で変動します。
- 保険期間:長期になるほど保険料が高い
- 補償内容:手厚いほど保険料が高い
ここでは、目安として保険期間が3カ月、6カ月、12カ月の保険料相場をご紹介しましょう。保険の対象となる方(被保険者)が18歳~29歳の場合を想定しています。
- 保険期間3カ月:5万円~8万円
- 保険期間6カ月:11万円~15万円
- 保険期間12カ月:20万円~30万円
保険会社によって相場が大きく異なるため、各社を比較してみてください。
3.加入するタイミング
海外留学保険に加入できるタイミングは渡航の3カ月前からとなり、それ以前は手続きできないケースが一般的です。ただし、手続きが遅くなると保険証券※の送付が間に合わない恐れがあるため、できる限り早めに対応しましょう。
※保険の契約者へ送付される証明書で、保険給付を受ける際に必要な重要書類です
また、日本の損害保険会社が提供する海外留学保険は、自宅を出発してからか帰宅するまでの期間に加入するものです。従って、海外滞在中に加入することはできません。海外留学保険を検討している方は、必ず渡航前に手続きを済ませましょう。
クレジットカードの保険で渡航するのはあり?
クレジットカードの中には、海外旅行傷害保険が付帯しているものがあり、短期留学で利用する方もいらっしゃいます。加入手続きが不要で保険料もかからないため、短期留学であれば利用するのも選択肢の一つです(ただし、保険が適用される条件については必ずクレジットカード会社の公式サイトなどでご確認ください)。
クレジットカードの保険には以下2つのタイプがあるため、ご自身の場合はどちらに該当するかを確認しておきましょう。
- 利用付帯:クレジットカード会社が定める利用条件を満たすことで保険が付与されるタイプ <条件の例>対象のクレジットカードで旅行代金を支払った
- 自動付帯:自動で保険が付与されるタイプ(ただし、条件付きのケース有)
一方、長期留学の場合はクレジットカードでの渡航をおすすめできません。保険の補償期間が3カ月以内のケースが多いためです。先述の通り、日本の海外留学保険は海外から加入することができないため、最初の3カ月のみクレジットカードに付帯されている補償を持ち、残りを民間の保険に加入するということはできません。つまり、クレジットカードのみで補償を持つ場合、残りの期間が無保険になってしまいます。
海外留学保険に関するお悩みQ&A5選
海外留学保険に関する以下5つの疑問をQ&A形式でご紹介します。
- Q1日本の国民健康保険は適用されないの?
- Q2海外留学保険は誰でも加入できるの?
- Q3ケガをしたら必ず保険金が支払われるの?
- Q4病気になった時、補償されないことはあるの?
- Q5どのようなプランを選べば良いの?
Q1.日本の国民健康保険は適用されないの?
A.日本の国民健康保険に加入している方は、海外療養費支給制度を利用できる可能性があります。
ただし、保険給付の手続きは帰国後になるため現地で一度全額自己負担しなければなりません。また、保険の対象となる金額は日本の医療機関で治療した場合を基準に計算されます。従って、実際に支払った金額と保険の給付額に大きな差が生じる可能性があります。海外療養費支給制度の詳細は、各市町村の担当窓口へご確認ください。
なお、ワーホリなど長期滞在のために渡航する方の中には、海外転出届(いわゆる住民票を抜くこと)の手続きをする方もいらっしゃると思います。その場合、国民健康保険から脱退することになるため、海外療養費支給制度は適用されません。
Q2.海外留学保険は誰でも加入できるの?
A.持病をお持ちの方、過去に大きな病気をした方は加入できない、保険金額が制限される、保険料が割増料金となるといった可能性があります。
審査の基準は保険会社によって異なるため、不安な方は事前に保険会社へ相談してみてください。
Q3.ケガをしたら必ず保険金が支払われるの?
A.スカイダイビングやハンググライダーなど、危険度の高いアクティビティによるケガをした場合、保険金が支払われない可能性があります。
それらのアクティビティを行う場合は保険へ加入できない、保険料が割り増しされるといったこともあるため、ご注意ください。
Q4.病気になった時、補償されないことはあるの?
A.虫歯など歯科治療のための治療費は、一般的な海外留学保険では対象外です。また、渡航前にすでに発症している病気の治療費は補償の対象外となります※。
※保険期間が31日までの場合は補償の対象となることがあります
歯科治療のための治療費に関しては、特約(オプション)として付帯できるケースがあるため各保険会社へ確認してみてください。心配な方は、渡航前に歯科治療を済ませておくと良いでしょう。
Q5.どのようなプランを選べば良いの?
A.万が一に備えるのであれば、渡航先の医療水準に適した保険金額のプランを選ぶことが大切です。
保険料の安さだけで選定すると、補償が薄く、リスクをカバーしきれないことがあります。補償内容も併せて確認しましょう。適切なプランについては保険会社のアドバイスを基に選定してください。