「短期留学」は一般的にビザを必要としない期間で行くことができる留学形態です。期間が短いため、語学力の劇的な向上は難しいですが、メリットも多くあります。短期留学にかかる費用や、メリット・デメリット、どのような人におすすめなのかを紹介します。
目次
「短期留学」とは?
短期留学は、母国で所属する教育機関に在籍したまま、他国で一定期間教育を受けるというものです。目的は、必ずしも学位の取得というわけではなく、異文化の体験、語学や専門知識の習得など様々です。
「短期留学」といっても、期間は明確に定められているわけではありません。一般的には学生ビザを必要としない期間内のものを指すことが多いです(留学エージェントそれぞれで定義している期間が異なります)。
学生ビザが必要かどうかは各国で異なります。各国、学生ビザが必要となる条件は下記のとおりです。
- アメリカ:滞在期間が90日以下で、授業が週18時間以上⇒F-1ビザ(フルタイムの学生)が必要
- カナダ:滞在期間が6か月以上
- イギリス:滞在期間が6か月以上
- ニュージーランド:滞在期間が3か月以上
- オーストラリア:滞在期間が3か月以上
※学生ビザを取得するには期間以外にも条件があります。
このように各国で規定の期間以上滞在するには学生ビザ(就学ビザ)が必要となります。既定の期間より短い場合や、授業の時間数が少なければ「観光」とみなすことができ、学生ビザ(就学ビザ)は不要です。
つまり、3か月未満の留学の場合は、目的が異文化体験や語学の習得であっても、「観光」として滞在することになるのです。
短期留学のメリットとデメリット
短期留学は、期間が短いことが特徴です。長期留学と比較するとメリット・デメリットがそれぞれあります。
短期留学のメリット
復職や復学がしやすいのでリスクが少ない
非常に短期であれば1週間からでも可能な短期留学。大学生であれば夏休みや春休みを利用することも可能ですので、時期を考慮すれば休学をする必要もありません。
社会人であっても長期休みや有休などを使えば2週間程度の超短期の留学も可能なので休職をとる必要もありません。現在の生活を変えるというリスクが少ないため、長期と比較すると気軽にできる留学といえます。
長期に比べると期間が短いので費用が安い
期間が短いので、費用も安くなります。「留学はしたいけれど費用を準備するのが難しい…!」という方にはおすすめです。
ただし、渡航費は期間に関わらず変わりません。そのため、費用に占める渡航費の割合を考えると、割高感を感じてしまうかもしれません。
留学後の語学力アップにつながりやすい
短期留学では、残念ながら大幅な語学力の向上は望めません。しかし、英語しか通じない環境に身を置くことになるので、日常的に現地の言葉を使うことができます。
間違っていても言葉を発さなければ生活を送ることが難しくなるため、自分から言葉を発することに対する抵抗も少なくなるでしょう。
「うまく伝わらない…」「もっと現地の人とスムーズに話せるようになりたい…」という気持ちから、帰国後の語学力アップにつながりやすくなります。
異文化体験ができる
短期留学は、学生ビザを必要とする長期留学と比べて縛りがありません。そのため、自分のペースに合わせて内容を調整することができます。観光を中心とする形にすれば、異文化に触れる機会も増やすことが可能です。
短期留学のデメリット
留学期間中での語学力アップが難しい
短期留学は、期間が短いため語学力の大幅な向上は望めません。「やっと聞き取れるようになってきた」「やっと日常会話ができるようになってきた」というタイミングで帰国ということも多いものです。
語学力を向上させるためには、留学前にしっかり勉強し、現地で語学力を試すという意気込みで行くと良いでしょう。
日本人どうしでつるみがちになる
滞在先などによっては日本人が多く、現地でも日本人どうしで交流し、日本語で会話をしてしまうというケースも。そのようなことになると、お金と時間をかけて留学に行った意味がありません。
貴重な留学の機会を最大限有意義な時間にするためには、なるべく日本人が少ない留学先を選ぶことをおすすめします。
短期留学にかかる費用
行先(国)、距離、期間によって異なりますが、かかる費用は大きく分けて下記の通りです。
航空運賃 | 8~17万円 |
保険料 | 2~5万円 |
諸手続き費用 | 1~2万円 |
留学エージェント費用(※夢カナ留学の場合) | 14.9万円 |
授業料 | 4.5~16万/月 |
滞在費 | 7~15万/月 |
食費 | 3~5万/月 |
教材費 | 0.6~1.1万/月 |
交通費・その他費用 | 0.9~1.7万/月 |
通信費 | 0.6~1万/月 |
1か月 | 42.5~78.7万 |
2か月 | 59.1~118.5万 |
食費3か月 | 75.7~158.3万 |
短期留学の場合、期間が短いので留学先でかかる授業料や滞在費などの占める比率は低くなります。
渡航費は、アメリカやヨーロッパだと距離が遠いため高額になりますが、アジア圏であれば距離が近いため比較的安く抑えやすくなります。
短期留学はどんな人におすすめ?
短期留学は「語学力が身につかないから意味がない」と言われることもあります。しかし、きちんと目的があればとても意義のあるものとなります。短期留学は下記のような人にはおすすめです。
- 夏休みや長期休暇を利用して留学をしたい人
- 他国の生活を体験してみたい人
- 予算があまりない人
- まずは英語に慣れたい人
- 長期留学のための下見と情報収集をしたい人
期間にもよりますが、長期留学と比較すると、短期留学は「体験」のような要素が強くなります。まずは初めの一歩として「短期留学」で海外に踏み出してみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
短期留学といっても、人によって目的は様々です。短期留学は、語学力向上よりもその国の雰囲気や生活を肌で感じるための「体験」的な側面が強いものです。
一般的には語学力の劇的な向上は望めませんが、人によっては滞在中に英語が通じなくて悔しかったという想いから、帰国後の学習のモチベーションアップになるかもしれません。帰国後の選択の幅を広めるきっかけにはなるでしょう。
大切なのは、目的を明確にして行くことです。目的が語学力アップであれば留学前にしっかり勉強をする、異文化に多く触れることであれば事前に行きたい場所やイベント・行事を調査しておく、など短い滞在期間を最大限に使うように準備をしましょう。目的をもって、きちんと準備をしておけば、短期であっても満足のいく留学になることでしょう。