英語を学習している人は、「chill」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。すでに意味を理解して使いこなしている人もいれば、よく意味がわからないという人もいるでしょう。
ですが、chillは英語で本当によく使われる表現。さらにchillを使ったさまざまな表現があるため、chillおよびchillを使った表現は、できるだけ覚えておくと、スムーズな会話につながります。
この記事では、そんなchillを使った表現の中でも「zero chill」というスラングにスポットライトを当ててご紹介していきます。自然な英語表現やちょっとしたスラングをマスターしたい人は、ぜひこちらを参考にしてださいね。
1.Zero chillとは?
まずzero chillとは一体なんなのかをご紹介しましょう。
Chillの意味
「Zero chill」の意味を知る前に、chillの意味をおさえておきましょう。なぜなら「zero chill」という言葉は、chillの意味を踏まえた上で成り立っているからです。
Chillにはいくつかの意味がありますが、下記にその意味をリストアップしてみました。
- 冷たい、寒い
- リラックスした、冷静な
- クールな(かっこいい)
- ストレスから解放された
冷たい・寒いという気温や温度を表す意味以外は、ちょっと雰囲気が似ていますよね。Zero chillという表現は、特に「クールな」「かっこいい」という意味のchillと深く関係があります。
Zero chillの意味
ではzero chillとは一体どういう意味なのでしょうか。
「クールな」「かっこいい」という意味のchillがzeroというところから、察しがつく人もいるかもしれませんね。
Zero chillとは、つまりかっこよさがゼロの人のこと。また、「冷静な」という意味のchillとかけあわせて「冷静さがない人」「落ち着かない人」という意味にもなります。
感情的な人や興奮しすぎて怒っている人に対して、揶揄したり皮肉ったりする意味でも使われます。
どちらにしても、あまり良い意味を持つ言葉ではありません。
ちなみにzero chillというのは、若者の間でよく使われるスラングです。ですから、年代によっては、全く使わない人もいるでしょう。
2.Zero chillを使うときの注意点
若者の間でよく使われるということで、zero chillを使うときには、注意すべき点がたくさんあります。もしもzero chillの使い方やニュアンスを正しく理解せずに使ってしまうと、人間関係に亀裂が入ってしまうかもしれません。
ここからはzero chillを使うときの注意点を解説していきます。
とてもカジュアルな表現であることに注意!
Zero chillは下品なスラングではありません。しかし、とてもカジュアルな表現であることは覚えておきましょう。カジュアルな表現ですから、もちろんビジネスシーンやフォーマルシーン、初対面の人や目上の人との会話では使えません。
また、若者言葉であることから、それなりに歳を重ねた大人が使うと、ちょっと不自然です。もしもすでに若者とは言えない年齢に達している人は、こういう表現があることを覚えておくにとどめ、自分では使わないようにすると良いでしょう。
若者同士であっても、あまり親密ではない人には使わないのが無難です。特にzero chillのニュアンスが正確に掴めてるとは言えない場合は、使うのは控えてくださいね。
意味を知らない人も少なくない
Zero chillは若者同士で使われるスラングであるということもあり、意味を正確に把握していない人も少なくありません。特にネイティブスピーカーではない人は、たとえ英語が流暢であってもこの言葉の意味を知らないかもしれません。
ですから、この言葉が使いたくなったら、同じくこの言葉を使うことのある相手に限るのがおすすめ。その方が、スムーズなコミュニケーションにつながります。
皮肉の意味が強め
Zero chillは侮蔑的なスラングではないものの、皮肉の意味が強いです。「かっこ悪い奴」「興奮しすぎ」「怒りっぽい」などを皮肉的に言い表すのによく使われるため、特に皮肉の意味がない場合は使うのを控えましょう。
たとえば、何かに慌てすぎてイライラしている人を心配している場合は「zero chill」という表現を使うのには適していません。心配なら、心配であることをストレートに伝えましょう。
もしそんな場面でzero chillを使うと、皮肉られていると思われてしまうでしょう。
友達相手でも使い方に気をつけること
Zero chillは若者同士かつ友達相手に使えるスラングです。しかし、皮肉の意味を持つことから、たとえ信頼している友達相手でも、使い方には気をつけなければなりません。
もしも相手に何か本当に大変なことが起こっていたり、相手が真剣な気持ちでいたりする場合は、zero chillを使うと怒らせてしまうかもしれません。また、場合によっては相手を傷つけてしまうことも。
こうしたことを考えると、正確にzero chillの意味や使い方が掴めたと自信を持って言えるようになるまでは、使うのを控えた方が良いでしょう。
あくまでも冗談として通じる範囲で使う
上記につながる話ですが、zero chillと言うときには、確かに相手のことを皮肉ってはいるのですが、それはあくまで冗談の範囲。日本語で言うなら、冗談でちょっといじってるといった雰囲気に近いです。
つまり、zero chillが使えるのは、あくまでも冗談として通じる範囲ということです。冗談にならないようなシチュエーションでは使わないように気をつけてくださいね。
そして冗談ということを踏まえ、この言葉を使うときには優しめのトーンや明るくふざけた調子で言うことをおすすめします。普段と同じトーンで言うと、冗談なのか本気なのか、相手を混乱させてしまうからです。
Zero chillと言われても本気で怒らない
Zero chillの意味を知っていると、相手から「zero chill」と言われた場合に、傷ついてしまうかもしれません。ですがこの言葉は冗談の範囲で使われるということを忘れずに。
もしも誰かがあなたにzero chillと言ってきたなら、冗談の通じる相手として認識されているということです。それだけ仲良くなった証でもあるかもしれません。
ただし、中には本当にバカにしてこの言葉を使う人もいます。日本語でも他人を愛を持っていじるときと、本当に見下していじるときは、雰囲気が少々違いますよね。
ですから、相手がどんなトーンでこの言葉を使っているかにも注目したいですね。
3.Zero chillを使った例文
ここからは、zero chillを使った例文を日本語訳とともにいくつかご紹介します。
例文1
Hey, calm down! You’ve got zero chill right now.
(ちょっと落ち着いて!冷静さを失ってるよ。)
Zero chilはこのように、「get」や「have」などと一緒に使うことが多いです。主語+have/get+zero chillで、「冷静さがない」「落ち着かない」「ダサい」というような意味になります。
例文2
A: What is she upset about?
B: No idea. She has zero chill all the time, anyway.
(日本語)
A:彼女は何に怒っているんだ?
B: さあ。どうせ彼女はいつも冷静さゼロじゃん。
こちらは例文1の派生とも言える表現で、haveを使ったフレーズですね。常にzero chillな人には、こんなフレーズがぴったりです。
例文3
A: Do you mean you are not coming to my farewell party?
B: Yeah, sorry mate.
A: No way, dude! That’s zero chill.
(日本語)
A:オレの送別会に来ないってこと?
B:ああ、ごめんよ。
A: うそだろ!そりゃあり得ないよ。
こちらの例文は1や2の例文とは違い、「冷静さがない」「落ち着かない」という意味は持ちません。日本語に訳すのは難しいのですが、「あり得ない」「ダサい」に近い意味になります。
上記の例文では、相手が送別会にこれないのに憤慨している気持ちと、残念な気持ちを表現しています。
4.Zero chillは上手に使えば相手との距離を縮めることも
今回ご紹介した通り、zero chillという表現は若者の間で好んで使われるカジュアルなスラングです。ちょっと皮肉っぽい意味が込められているため、使い方には注意が必要ですが、上手に使えば、相手と皮肉っぽい冗談を言い合える中になれるでしょう。
英語では結構皮肉を言い合ったりするため、こうした皮肉的な表現が使えるようになれば、相手との距離が縮まることもあります。使い方や使いどころには注意が必要ではありますが、上手に使えば英語でのコミュニケーションをさらに楽しめるようになるでしょう。
ネイティブたちがどんなテンションで使っているかを観察しつつ、自分でも使えるようになると良いですね。