ヒップホップが好きな人は、「wack」という単語を聞いたことがあるでしょう。また、ヒップホップをあまり聞かない人でも、日常会話の中で「wack」を耳にしたことがあるかもしれませんね。
ではこの「wack」という単語、どういう意味かはご存知でしょうか。あまり良い意味ではないことはわかっても、詳しくはよくわからない人もいるはずです。
そこでこの記事では、wackの意味やこの言葉を聞くシーン、そして類似表現をご紹介していきます。英語でカジュアルな会話をする人なら、覚えておいても損はないはずですから、ぜひ参考にしてくださいね。
【目次】
1.wackの意味とは?
wackには実は3つの意味があります。まずこの3つの意味すべてを網羅している「Collins」の英英辞典から、その定義を引用しましたので、日本語訳とともにみてみましょう。
- very bad(とても悪い)※アメリカ英語
- extreme; far-out(極端な、突飛な)※アメリカ英語
- friend; pal: used chiefly as a term of address
(友達、ダチ、主に呼びかけに使われる)
※英国リヴァプールおよびイングランド中部方言
引用元:https://www.collinsdictionary.com/jp/dictionary/english/wack
3番目の使い方は、イギリスの一部の地域で使われる方言なので、イギリスでは、この使い方でwackを聞くことがあるという風に覚えておけば良いでしょう。
もう一つ、ケンブリッジ英英辞典による定義もみてみましょう。
- not good(よくない)
- strange(変な・奇妙な)
引用元:https://dictionary.cambridge.org/ja/dictionary/english/wack
CollinsとCambridgeの辞書を見比べてみると、wackには「よくない」「悪い」と、「変な」「極端な」といった意味があることが感じられますね。
元々のwackの意味
実はwackは元々は「変な」「極端な(変わっている)」という意味で使われ始めた単語でした。名詞としての使い方だと「wacko」となり「変人」「奇人」という意味です。
この使い方は1970年頃にアメリカで広まったようですが、名詞でも形容詞でもスラングの一種とされています。
ただし少し古いスラングのため、現在ではあまりこの意味で用いられることはないでしょう。もしかすると、少し年配の人なら、この使い方でwackを使っているかもしれません。
現代スラングとして使われるwackの意味
最近のヒップホップで使われている「wack」は、上記の「変な」という意味のwackから転じてできたスラングです。意味は、「ダサい」「かっこ悪い」「有害な」という感じで、つまり「よくない」「悪い」ということですね。
基本的には「ダサい」という意味だと捉えておくと、wackが出てきた時に意味を理解しやすいでしょう。
2.現代スラングのwackに関する注意点
今回メインでご紹介する現代スラングのwackは、スラングの中でもちょっと特殊なスラングです。そのため、使うときには注意が必要な場合もあります。
そこでここからは現代スラングのwackに関して注意すべき点を解説していきます。
ヒップホップでよく使われるラフな言葉
wackは前述でも触れているとおり、ヒップホップでよく使われている言葉です。ヒップホップでは、やや乱暴な言葉が使われているイメージがあるかと思いますが、wackもそれにもれず、やや乱暴なラフな感じのする言葉です。
ちなみにアメリカのヒップホップシーンだけではなく、日本のヒップホップシーンでもよく目にする言葉なので、英語が話せない人でもwackという言葉を知っている人はいるかもしれません。
wackはヒップホップ以外でも、日常会話の中で使われることもあるのですが、言葉の印象はちょっと荒っぽい感じですから、ごく親しい人に限定して使うようにしましょう。
また、自分自身があまり荒っぽいキャラではないなら、wackは使うのを控えた方が良いかもしれません。
若者言葉のイメージが強い
以前はwackが「奇妙な」という意味で使われていて、それが「ダサい」という意味を持つようになったという経緯もあり、「ダサい」という意味の「wack」は若者言葉であるイメージが強いです。
ですから、10代・20代以外の人が使うと、ちょっと不自然な感じもするかもしれません。日本語で想像してみると、たとえば「へんふよ(返信不要)」という言葉を40代50代の人が使っているとどうでしょうか。
wackを若者以外が使うと、それと同じようなどこかぎこちないというか、不自然な感じがすることもあります。(人やその人のキャラにもよります)
ですので、ある一定の年代以上の人は、wackの意味だけをおさえておき、自分では使わない方が良いかもしれません。
意味を知らない人も多い
wackはスラングのため、意外と意味を知らない人も多いです。特にネイティブではない英語が流暢な人や、年配のネイティブの人だと、wack=ダサいとは捉えていないかもしれません。
ですから、wackを使うのは、お互いにwackを使い合うことがある相手に限定するか、もしくは理解するだけにとどめて、自分では使わないのがおすすめです。
3.wackの使い方を例文でご紹介!
ここからは、wackを使って「ダサい」を表現する方法を、いくつか例文と日本語訳を用いてご紹介していきます。
例文1
A: Did you see how he dances?
B: Yeah, it was totally wack!
(日本語)
A: 彼のダンスを見た?
B: うん、マジダサかった!
日本語訳は、wackのニュアンスを出せるように極力荒っぽい感じにしています。意外とwackの使い方はシンプルですよね。使いどころや使う相手が合っていれば使いやすいでしょう。
ただ、誰かのことについてwackと言えば、確実に悪口なので、気をつけてくださいね。
例文2
The party was wack. You were lucky you didn’t come.
(あのパーティーはつまんなかったよ。来なくて正解だったね。)
この文章だと、「ダサい」というよりは「つまらない」という感じですね。
パーティーがダサいということは、なんとなく盛り上がりにかける、ノリきれない感じがするので、「つまらない」という意味だとつながるでしょう。
例文3
A: I hate being so wack!
B: C’mon, don’t say that about yourself.
(日本語)
A: こんなにダサい自分が嫌だ!
B: いやいや、自分のことについてそんな風に言うなよ。
自分に対してwackを使うと、自虐っぽい感じがします。
日本人に比べると、こうした自虐的な言葉を言う人は英語圏では少ないですが、ありえないわけではないことも覚えておきましょう。
4.wack以外の「ダサい」にあたる英語表現
wack以外にも「ダサい」や「つまらない」を意味する英語表現はたくさんあります。ここでは、代表的かつ使いやすい単語をご紹介します。
lame
lameは「ダサい」にぴったりな英単語です。元々は「足が不自由な」「説得力のない」「体が凝って痛い」という意味の言葉なのですが、アメリカのスラングとして「ダサい」「時代遅れの」という意味を持ちます。
軽めの侮蔑的な表現なので、誰かを「ダサい」と笑い物にするようなときに使われることが多いです。
ちなみに、キラキラの「ラメ」もlameと書きますが、スペルが同じなだけで全く違う言葉なことも覚えておくと良いでしょう。
例文
He is so lame. He hasn’t got a taste for fashion.
(彼はかなりダサいね。ファッションセンスがないよ。)
tacky
tackはlameに比べると使われる頻度は低めですが、「ダサい」「趣味が悪い」を意味するスラングとして使われています。そのほかにも「安っぽい」「だらしない」という意味もあるため、安っぽくてダサいみたいなときに使うとぴったりですね。
ちなみに元々の意味は「ねばつく」なのですが、なんとなくねばねばしている感じと「ダサい」という言葉の印象は近い気がします。
例文
I don’t wanna go to that motel! It looks tacky.
(あのモーテルには行きたくないよ!安っぽい感じがする)
shitty
shittyは「とても悪い」「不愉快な」「つまらない」といった侮蔑的なスラングです。あまり人に対して使わない方が良いですが、wackの言い換え表現としてはかなりぴったりなのではないでしょうか。
例文
I had a shitty day. I don’t wanna remember about it.
(最悪な1日だったよ。思い出したくもない。)
I hate that song! The lyrics are really shitty.
(あの曲大嫌いだ!歌詞がかなり良くないんだ。)
5.wackはやや乱暴なスラング!使いどころには気をつけよう
今回メインでご紹介したwackは、結構乱暴な響きのあるスラングですから、使うときには注意が必要です。むしろ自分では使わない方が良いかもしれませんが、英語圏の若い人と話す人や、ヒップホップが好きな人なら、知っておいた方が良いでしょう。
もしも自分で使いたい場合は、使いどころやニュアンスを正確に掴んでから使うようにしてくださいね。