みなさんは「dork」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
ネイティブなら誰でも知っている「dork」という言葉ですが、スラングのため、英語が流暢に話せる人でも馴染みがないかもしれませんね。
また、ネイティブが使っているところを見て、どういう意味なのか混乱してしまうこともあるでしょう。
そこでこの記事では、dorkの意味や注意点、そして似た表現についてご紹介していきます。英語のスラングに興味がある人は、ぜひ参考にしてくださいね。
1.dorkの意味とは?
dorkを英和辞典で引いてみると、「ばか」「あほ」「のろま」「ダサい人」「まぬけ」などという、ちょっと穏やかではないワードが並びます。
これだけを見ると、罵り言葉のように見えますね。
では、英英辞典ではどうでしょうか。ケンブリッジ英英辞典では、dorkを下記のように定義づけています。
a person who is physically or socially awkward or not fashionable
(身体的または社会的に不器用な人、またはファッショナブルではない人)
a stupid, awkward person
(バカ、ヤボったい人)
引用元:Cambridge Dictionary
こちらもあまり良いことは書かれていません。
つまりdorkとは、なんとなくダサい感じがする人や、おバカさん、とろくさい人などを指すスラングということです。
dorkは完全に悪い意味というわけではない
dorkは上記のとおり、おバカさんやとろい人、ダサい人などを指すスラングですが、実際にネイティブが使っているのを見ると、それほど相手を罵っているようには感じないかもしれません。
むしろ仲良し同士が言っていたり、愛のある言い方だったりと、その使い方に混乱してしまうかもしれませんね。
もちろん誰かが、罵るような言い方で誰かのことをdorkと言っていれば、それは相手を侮辱している発言です。
ですが、もしも柔らかい・優しいトーンで使っていた場合は、相手を罵るようなつもりはなく、ちょっといじっているようなイメージです。
また、その場合のdorkは、確かに「おバカさん」「とろい」のような意味があるのですが、完全に悪い意味というわけではなく、「愛すべきおバカさん」というようなニュアンスです。
つまり、dorkというスラングは、完全に悪い意味というわけではないんですね。
少し例文を見てみましょう。
・How can I not love you when you are such a dork!
(そんなおバカさんなあなたを、どうして愛さずにいられるでしょう!)
・I love him being a dork. It’s somehow cute!
(ダサい彼が大好きなんだよね。なんだか可愛いから!)
なんとなく、ニュアンスが伝わるでしょうか。
dorkが使われるシチュエーションで、必ずしもこうした好意的な使い方がされているわけではありませんが、言い方・使い方次第で、ちょっとプラスのニュアンスが出てくることを覚えておきましょう。
adorkableなんて造語も……
英語のスラングには、このdorkと関連する「adorkable」というものもあります。これは、愛らしい・かわいいを意味する「adorable」と「dork」をくっつけた造語です。
このスラングが使われるときは、「野暮ったいけど、かわいい」という意味となり、完全にプラスの意味となります。
日本語で言うなら「ダサかわいい」という感じでしょう。
なんだかおどおどしていたり、イモっぽかったりするけど、なんとなく可愛くて憎めないような、そんな人物に使えます。
dork単体で使うよりも、さらに「愛すべき」というニュアンスが乗っかっているので、完全にプラスの意味で使いたいときには、こちらのadorkableを使うのがおすすめです。
全く逆の意味を持つ場合も!
dorkはダサい・おバカさんといったような意味を持つスラングですが、使い方によっては、全く逆の意味を持つ場合もあります。
もしも女性が男性のことをdorkと呼ぶ場合、それは「魅力的」を意味することもあるのです。
恋仲にある相手や、いい感じの相手に対して使われるもので、単なる友人同士だとそう言う意味にはならないでしょう。
そんな意味で使われることもあるので、一応こちらも覚えておきましょう。
2.dorkにまつわる注意点
dorkという言葉は、ネガティブな意味を持ちつつも、ポジティブな意味でも使われるちょっと難しいスラングです。
そのため、使うときには注意が必要。また、自分がdorkと言われたときにも、気をつけた方が良いことがあります。
ここからは、そんなdorkにまつわる注意点について解説していきます。
カジュアルシーンのみに限る
dorkはスラングですから、使うのはカジュアルシーンに限りましょう。
また、フォーマル・ビジネスシーンだけではなく、あまり慣れていない場では使わない方が良いでしょう。意図が正しく伝わらないこともあるからです。
親しく冗談が通じる相手に使う
dorkはポジティブにもネガティブにも使われるスラングですが、ポジティブに使う場合にも注意が必要です。
たとえ悪口のつもりではなくても、dorkという言葉には「バカ」「野暮ったい」「ダサい」といった意味があるため、相手を傷つけてしまうこともあるからです。
ですから、もしも誰かにdorkを使うなら、人を選ぶことが肝心です。冗談が通じる相手で、そういういじり方をしても怒らない人以外には、使わないようにしましょう。
信頼関係のない相手に使ってしまうと、関係がギクシャクしてしまったり、相手を傷つけてしまったりするかもしれません。
dorkと言われても落ち込まない
また、dorkと誰かから言われても落ち込まないことも重要です。
たとえポジティブな意味で言われているとわかっていても、「ダサい」なんて言われたらやっぱり悲しいですよね。でも、相手からすると「ちょっとトロいなー」「ちょっとおまぬけさんだよね」くらいのノリであることがほとんどです。
dorkには、「天然ボケ」といった意味はありませんが、イメージ的には、天然ボケの人をいじっているような感じかもしれません。
ですから、誰かからdorkと言われても、その言い方が優しかった場合は、気にしないことが重要です。むしろ相手からは「ちょっと可愛い」と好意的に思われているので、喜ばしいことかもしれませんよ。
3.dorkに似た表現
ここからはdorkに似た表現も一緒にご紹介していきます。dorkでは表現がしっくりこないときや、別の言い方をしたいときには、こちらを使ってみてくださいね。
geek
geekというのは、いわゆる「オタク」のことです。ですが、日本で言うアニメや漫画オタクのことではなく、コンピュータなどに詳しい人がgeekと言われます。
また、コンピュータに限らず、何かについて卓越した知識がある、つまり本当の意味でのオタクにも使えます。
英和辞典では「ダサい」「さえない」「変わり者」といった意味もあるとされていますが、コンピュータに詳しい人が結果的にダサかったり変わっていたりすることが多いだけで、geek自体には、あまりそういう意味はありません。
ただ、やたらとコンピュータやゲームに詳しく、さまざまなガジェットを持っていたりすると、「You are such a geek!(ほんとオタクだね)」なんて愛情を込めて言われるところは、dorkにちょっと似ていますね。
nerd
geekはコンピュータに限らず、さまざまなジャンルのオタクに使える言葉ですが、こちらのnerdはコンピュータに関する知識がすごい人に主に用いられます。
日本語に訳すとこちらも「オタク」となります。
また、内向的な人に対しても使われますが、「ダサい」というニュアンスはありません。
ただしgeekと同様に、nerdな人は結果的にちょっとダサかったりするため、nerdも、ダサいようなイメージがある言葉となっています。
geekとnerdは、dorkと似ている言葉として、しばしばその意味の違いが議論されていますが、割としっかり違いがあるため、使い分けできるようになると良いですね。
lame
dorkとよく意味が似ているのは、こちらのlameでしょう。スラングで使われるlameには、「ダサい」「かっこよくない」「つまらない」なんて意味があります。
ただdorkと違って、あまり「愛すべき」のような使われ方はせず、単なる侮辱の言葉です。
間違いなくネガティブな意味で「ダサい」と言いたいときには、こちらのlameを使うのがおすすめです。
dumb
dumbは、「ばかな」「間抜けな」「常識のない」という意味のスラングです。
こちらも完全なる侮辱の言葉です。
dorkはあまり「ばか」というニュアンスを感じさせない言葉ですが、そこを強調したいときにはdumbを使うと良いでしょう。
awkward
awkwardは「ぎこちない」「自信がない」「不器用」などの意味を持つ言葉です。
なんだかおどおどしていたり、ちょっと不思議な感じがしたりする相手には、awkwardを使うと良いでしょう。
ちなみに、「気まずい状況」など、人以外を表す場合にもよく使われる言葉です。
4.使いどころや言い方に注意してdorkを使おう!
dorkは完全に悪い意味で使われるスラングではありませんが、やはり「ダサい」「野暮ったい」「おバカ」なんてマイナスの意味を持つ言葉です。
使いどころや言い方に注意しなければ、相手を傷つけてしまうこともありますから、ニュアンスに慣れるまでは使わないのも得策です。
使いこなせる自信がついたら、ぜひ適した状況で使ってみてくださいね。