グレート・ブリテン島の西側にあるアイルランドは、日本人が少ないエリアとして集中して英語を勉強したい学生から人気な国です。
ヨーロッパの中では、比較的治安が良く、フレンドリーな国民性と文学・音楽・ケルトなどの独特な文化が発展しているなど多くの魅力で溢れています。
この記事では、アイルランド留学を控えている方に向けて、渡航前に知っておくべきアイルランドの基本情報、アイルランド人の性格、文化と習慣を紹介します。
最後に、アイルランドの治安や日本人がアイルランドに留学する際に気をつけるべきポイントもまとめました。
ぜひ、繰り返し読んでアイルランド留学のスタートダッシュを完璧にしましょう。
アイルランドの基本情報
アイルランド共和国は、大西洋にあるエメラルド・アイル、ヨーロッパでトップ3に入る大きな島のアイルランド島の大半を占めている国です。
歴史を振り返ると、イギリスの一部だったのですが、1922年から分離がはじまり、1937年になると正式にアイルランド共和国として独立国家となりました。
「エメラルド・アイル」という名称に相応しく、国全体は緑で溢れており、人口の半分が35歳以下の若さで構成されています。
世界中の中でも「住みやすい国」として、親しまれており、留学生の受け入れも積極的に行っています。
正式名称 | Republic of Ireland |
人口 | 約459万人 |
公用語 | 英語、アイルランド語 |
首都 | ダブリン |
通貨 | ユーロ |
宗教 | クリスチャン(ローマ・カトリック系) |
面積 | 70,282km2 |
アイルランドは、年間通して常に雨が降っています。
日本は、雨が降りやすい季節が決まっていますが、アイルランドは予想を立てることも難しく、観光客泣かせなところがあります。
アイルランドでは、国民も雨が降ることを諦めているようで、日本のように雨が降るたびに傘をさすことは、ほとんどありません。
国民の大半がフード付きの上着やレインコートを使って雨を凌いで、雨の多い天候と上手に向き合います。
アイルランド国民の性格
アイルランド人の国民性の特徴は、以下のとおりです。
- おしゃべりでフレンドリー
- お酒と紅茶をよく飲む
- 褒め言葉を素直に受け取らない
それぞれの特徴について解説します。
おしゃべりでフレンドリー
アイルランド人は、世界でトップクラスで友好的な性格をしていると認定されたことがあるほど、フレンドリーでしゃべることが好きな国民性です。
ただ、ダラダラと自分の話をするのではなく、ストーリーの組み立て方が上手な人が多く、話がおもしろいとも言われています。
実際に、アイルランドからは、以下のような小説家が誕生しています。
- ウィリアム・バトラー・イェイツ(『鷹の井戸』『イニスフリー湖の島』)
- ジョージ・バーナード・ショー(『ピグマリオン』『やもめの家』)
- オスカー・ワイルド(『ドリアン・グレイの肖像』『サロメ』)
- ジェイムズ・ジョイス(『ユリシーズ』『若き芸術家の肖像』)
アイルランド人の友達ができれば、きっとたくさん笑わせてくれるでしょう。
話す機会を増やすほど、英語力の向上としゃべりの上達も期待できます。
お酒と紅茶をよく飲む
アイルランドは、イギリスからの影響を強く受けているため、パブ文化が盛んです。
そのため、アイルランド人はとにかくお酒が強くて、たくさんの量を飲む人が多いです。
大型スーパーすらない田舎町でもパブは数件あると言われているほど、どこに行ってもみんなで集まってお酒が飲める場所があるようです。
また、イギリス人同様に紅茶の摂取量も多いと言われています。
アイルランドでは、どんな病や悩みにかかっても紅茶を一杯飲めば万事解決という定説があるほど、アイルランド人と紅茶の繋がりは揺るぎないものです。
アイルランド留学をして、友人宅の家に行くと、ジュースなどの代わりに紅茶が出てくるのは日常茶飯事のようです。
褒め言葉を素直に受け取らない
アイルランドは、イギリス同様に「皮肉を言う」文化が根付いているため、何かに対して褒められたとしても、言葉をそのまま受け取らない人が多いです。
本心で相手を褒めていたとしても、「嘘だー」「そんなことないでしょ」とあしらわれてしまうことがあるかもしれませんが、国民性として受け取りましょう。
欧米人は、自信家で褒め上手な印象があるかもしれませんが、それらのイメージのほとんどはアメリカから来ています。
アメリカ人は、褒められると「ありがとう」と返したり、さらに自分の話をしたりしますが、アイルランドでは、まずは否定するのが一般的です。
日本人の「謙遜」で褒め言葉を受け取らないことがありますが、アイルランド人は「卑下」して褒め言葉を受け取らないことがあります。
心から褒めたいとき、褒めている気持ちが伝わって欲しいときは、「これは本心だからね」「卑下しないで」と強調しましょう。
アイルランドの文化・習慣
アイルランドの文化・習慣は、次のとおりです。
- ケルト文化が残っている
- パブ文化が根付いている
- スポーツ観戦が人気
- パブリックでの喫煙は禁止
- レストランではチップやドレスコードをチェックする
それぞれの文化・習慣について解説します。
ケルト文化が残っている
アイルランドには、「ケルト文化」と呼ばれる自然崇拝と多神教の伝統が残っています。
ケルト文化は、自然的なエネルギーが大きく関与しており、世界遺産に登録されている「ジャイアンツ・コーズウェイ」もそのひとつです。
そのほか、パワースポットの「ストーンサークル」「プロリーク・ドルメン」などの巨人の墓も伝説として語り継がれています。
一見、日本人には馴染みのない文化と思われますが、ハロウィンは、収穫期を終えて冬が始まるタイミングで古代ケルト人が行っていたお祭りに由来しています。
また、「ケルト音楽」という独自の音楽ジャンルも確立しており、アイルランドに滞在する機会があれば、観光を一緒にケルト文化を身近に感じることができるでしょう。
パブ文化が根付いている
アイルランドは、イギリスの影響を受けてるためパブ文化が全土に浸透しています。
「アイリッシュパブ」と呼ばれており、ドレスコードがないカジュアルでフレンドリーな雰囲気が特徴的で、誰でもサクッと入れます。
イギリスでは、大規模なパブが多いですが、アイルランドのパブは小規模なものが多く、伝統的なアイルランド音楽が流れていたり、雰囲気の良さが魅力です。
アルコールのみ提供しているパブがある一方で、紅茶や料理を出しているパブもあります。
スポーツ観戦が人気
アイルランドは、スポーツが人気でパブや自宅でスポーツ観戦を趣味にしている方が多いです。
アイルランドには、「ハーリング」と「ゲーリックフットボール」と呼ばれるふたつの国技があるほか、ラグビーやサッカーも人気です。
パブでは、スポーツの中継をテレビで流すことも多く、スポーツ好きの方は熱狂的に応援するアイルランド人たちと盛り上がることができます。
パブリックでの喫煙は禁止
アイルランドは、2004年に世界で初めて「禁煙法」が成立しており、喫煙が厳しく制限されています。
喫煙所では、原則電子タバコのみが許可されており、レストランやパブなどの公共の場所、交通機関での喫煙は全面禁止です。
屋外であれば、喫煙OKですので、街中では歩きタバコをしている人や道路の隅に座り込んでタバコを吸っている方もいます。
ちなみに、アイルランドでタバコを購入するためには1箱1,000円超えが当たり前です。
箱のタバコが高すぎるため、安い巻きタバコを吸う愛煙家も一定数いるようです。
レストランではチップやドレスコードをチェックする
アイルランドでは、サービス料の代わりにチップの支払いが必要であったり、ドレスコードが設けられているレストランが多いです。
料理の料金の中に「サービス料」が含まれていると明記されていれば、とくに追加料金を支払う必要はありません。
しかし、原則チップを支払うのがマナーですので、食事の10〜15%をチップ代として上乗せして支払うようにしてください。
また、アイルランドには日本のファミレスのようなカジュアルなレストランは少ないです。
上品で高級感のあるレストランが多いため、ドレスコードの有無を事前に確認しておきましょう。
スニーカーやジーンズ、TシャツなどがNGな場合もあるため、レストラン用のセミフォーマルな洋服を用意しておくと安心です。
アイルランドは治安が良い?悪い?
アイルランドは、日本と比べると治安が悪いと言えますが、ほかのヨーロッパの国と比べると犯罪件数が少なく、比較的安心して生活できる国です。
日本人がアイルランドで生活する際は、窃盗に気をつけましょう。
当たり前のように、ズボンのポケットにスマホや財布を入れていると、あっという間にすりにあって盗まれるリスクがあります。
リュックやポーチに貴重品を入れて、荷物は常に肌身離さず生活してください。
また、アイルランドではパブ文化が根付いており、お酒を飲む人たちが多くいます。
酔っ払った人たちから暴力を受けたり、セクハラを受けるリスクがあるため、夜道をひとりで歩いたり、泥酔している人には近寄らないのが賢明です。
夜にパブなどで飲み会をするのであれば、複数人で行動するなどリスクマネジメントをしましょう。
アイルランド留学で気をつけるべきこと
アイルランド留学で気をつけるべきことは、以下のとおりです。
- 自分の荷物は手放さない
- 夜の一人歩きは厳禁
- ブランドものを身につけない
- トラブルに巻き込まれた時の緊急連絡先を把握しておく
それぞれの注意点について解説します。
自分の荷物は手放さない
アイルランドに滞在中は、自分の荷物を常にそばに置いておきましょう。
日本では、フードコートやレストラン、カフェなどで一時的に席を離れるときは、荷物をおきっぱなしにすることが多いです。
しかし、アイルランドでは荷物から少し目を離しただけで窃盗やスリの餌食になるリスクがあるため、非常に危険です。
とくに、「パスポート」「財布」「スマートフォン」の3つは、生活するうえでとくに重要ですので、必ずポーチなどにまとめて入れて、手放さないようにしてください。
夜の一人歩きは厳禁
アイルランドに滞在中は、夜にひとりで出歩くことがないようにしましょう。
アイルランドは、日本と比べて街灯の数が少ないため、夜はあたりが暗く、犯罪に巻き込まれるリスクが高いです。
どうしても外出しなくてはならないのであれば、複数人で移動したり、車やタクシーなどを使うのが安全です。
ブランドものを身につけない
アイルランドに滞在中は、ブランドものなど高価なものを身につけないようにしましょう。
日本では、当たり前のようにブランドのバックを使ったり、高価な時計をつけていても、暴力や窃盗のターゲットになるリスクは低いです。
しかし、アイルランドでは、お金持ちを狙った犯罪もたびたび起こっていたり、一歩裏路地に入るだけで雰囲気がガラリと変わることもあるため、トラブルに巻き込まれかねません。
トラブルに巻き込まれた時の緊急連絡先を把握しておく
アイルランドに滞在中は、万が一トラブルに巻き込まれたときにすぐ対処できるよう緊急連絡先を把握しておきましょう。
ダブリンの警察・消防・救急:「999」もしくは「112」
日本大使館:(+353)1-202-8300
「999」もしくは「112」に電話をかけて、トラブルの内容や状況を説明しましょう。
必要に応じて、警察・消防・救急のどれかを手配してもらうことができます。
まとめ
この記事では、アイルランドの基本情報、国民性、文化と習慣について解説しました。
日本には居酒屋がありますが、アイルランドにはパブがあり、お酒を飲む文化が浸透しています。
また、褒め言葉を素直に受け取らないコミュニケーションスタイルも共通していることがわかりました。
とはいえ、知らない人とでもカジュアルに会話を楽しんだり、レストランではドレスコードやチップ制度があるなど、日本とは異なる文化もあります。
アイルランドに滞在する際は、違いを楽しみつつ、異文化理解を深めましょう。
日本とは治安が異なるため、夜の一人歩きや、身の回りの荷物の管理には気をつけてください。