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ドイツの大学は基本的に留学生も含めて学費が無料となっているため、日本からの入学希望者が多くいます。
歴史的にみてもドイツは学術面での専門性が高く、日本とはまったく異なる文化と習慣にドイツ留学を夢見る方も多いでしょう。
多くの大学ではドイツ語をベースに授業を開講していますが、しっかりとリサーチをすれば英語開講の授業があったり、英語基準で入学試験を受けられる大学もあります
そこでこの記事では、ドイツ語が話せないけれどドイツの大学に入学したいと考えている方に向けて、おすすめの留学先や必要な英語力、ドイツ留学の魅力をお伝えします。
1.ドイツ語が話せなくてもドイツに留学できる?
結論からお伝えすると、英語基準で入学できる大学を選べばドイツ語が話せなくても留学すること自体は可能です。
英語が第二ヶ国語である国のランキングでは世界10位、ヨーロッパ35か国のうち9位になるほど英語が話せる人たちが多く住んでいます。
しかし、日常生活ではドイツ語のメニューにドイツ語の看板で溢れていて、ドイツ語のレベルがゼロ〜初級程度では、快適に生活できない可能性があります。
大きな街であれば英語で対応してもらえますが、少し田舎町に行くと英語を話せない方は多くいるので、そこでも不便に感じるでしょう。
例え英語開講の授業が受けれるとしても、大学以外の生活で制限が多ければ小さなストレスが積み重なり、学業にも支障をきたしては本末転倒です。
ドイツの大学に留学を考えているのであれば、英語での入学準備以外に、日常生活やあいさつなど基本的なドイツ語の勉強をしておく必要があります。
2.ドイツの大学ランキングTOP15
まず、2023年度にstudyportalsから発表されたドイツの国内大学のランキング上位15校は、以下のとおりです。
- ミュンヘン工科大学
- ミュンヘン大学
- ハイデルベルク大学
- シャリテ-ベルリン大学医学部
- ベルリンフンボルト大学
- テュービンゲン大学
- ボン大学
- ベルリン自由大学
- アーヘン工科大学
- フライブルク大学
- ゲッティンゲン大学
- ハンブルク大学
- ヴュルツブルク大学
- ケルン大学
- ウルム大学
TOP15のランキングは、「QS」「The Times」「U.S.News」の3つの機関が発表した数値の平均値を元にしています。
評価項目の内訳には「留学生の比率」「外国人教員の比率」「国際性」なども含まれており、上位に入るほどインターナショナルな環境が整っていると推測できます。
日本国内でも、「国際性」や「留学生の比率」を増やすために、「日本語開講」とは別に「英語開講」を設けている大学が増えています。
留学生の在籍数を増やすことで大学の国際性やグローバルへの理解度が評価されるため、積極的に留学生の受け入れをしているのです。
一概に断言することはできないものの、現地の学生枠より留学生枠の方が入学難易度が低いケースが多いです。
とはいえ、日本人にとっては英語も第二ヶ国語になるため、アメリカ人やイギリス人のようなネイティブの学生よりもしっかりと準備しなければ入学はむずかしいでしょう。
3.英語基準で入学できるドイツの大学3選
ドイツ語が堪能でなくても英語力のみで入学できるおすすめの大学は、以下のとおりです。
・ミュンヘン工科大学
・ベルリン自由大学
・カールスルーエ工科大学
それぞれの大学について解説します。
ミュンヘン工科大学
ミュンヘン工科大学は、1868年にバイエルン王ルートヴィヒ2世によって創設された公立大学です。
自然科学に特化した学業を提供し、農業で親しまれていたバイエルン州を産業地域へと発展させました。
大学院では約70種類ほどの英語開講のプログラムを提供しており、中でも「コンピューターサイエンス」「工学」分野のレベルは世界最高峰です。
ドイツ国内に限らずヨーロッパ全土の中でも名門工科大学として認知され、過去には多くのノーベル賞受賞者や科学者を輩出しています。
国内学生はもちろん留学生にも非常に高いレベルのスコア基準が求められますが、入学できれば世界最高峰の研究施設と教育環境が与えられます。
ベルリン自由大学
ベルリン自由大学は、1948年に創設された国立総合大学です。
全学生のうち21%が海外出身者というグローバルに長けた大学であり、ドイツ国内の大学でもトップクラスの国際色豊かな環境が整っています。
過去にはアメリカ大統領選挙に出馬した経験のあるバーニー・サンダースが政治学の授業の一環として公演にきたこともあり、英語開講でも貴重な経験ができるようです。
交換留学生の場合、IELTSとTOEFLのスコア提出が必要ですが、留学が決まればドイツ語もしくは英語の授業をどちらでも選択可能です。
カールスルーエ工科大学
カールスルーエ工科大学は、1825年にバイエルン王ルートヴィヒ1世によって創設されたドイツ最古の工業系大学です。
200年の伝統を誇りながらも常に世界の大学ランキングTOP100入りして高い評価を受けています。
とくに有名な歴史上の人物としては、世界で初めて実用性のあるガソリンで動く車を開発して、ベンツの創始者となったカール・ベンツがいます。
ドイツが長い歴史の中で継承し続けている技術について、ドイツ語が話せなくても英語で学ぶことができます。
4.ドイツの大学に英語基準で入学するのであれば学部選びが重要
ドイツは英語が広く浸透しているとはいえ、基本的には大学の授業はドイツ語でおこなわれているため、自分の学びたい学科が英語で開講されているか確認する必要があります。
現在のドイツ国内では、学士で400以上、修士で1,800以上の学科が英語開講として用意されています。
数ある専攻の中でも最近急成長を遂げているIT関連の学部は人気が高いです。
日本語でITの勉強をしたことがある方はお気づきかもしれませんが、IT用語は日本語に訳されているものと英語をそのまま使用しているものがあります。
これはドイツも同じで、IT用語は全世界共通で英語をベースに使われており、留学生でも単位が取りやすいです。
ドイツ国内の大学でいえば「ミュンヘン工科大学」「ザールラント大学」「ジェイコブ大学」などでIT関連の学科を専攻できます。
とくにザールラント大学では、就職時に有利になりやすい「サイバーセキュリティ学科」がありおすすめです。
また、IU国際応用科学大学は「データサイエンス」「ロボティックス」「CS」など最先端のテクノロジーを学べるため、こちらも就職で有利になります。
一方、ITとは違うビジネスマネジメントや教育を学びたいのであれば、ザールラント大学の修士やベルリン経済法科大学、プフォルツハイム大学などがあります。
行きたい大学が明確に決まっているのであれば、その大学の中から専攻する科目を選べば良いです。
一方、学びたい科目から大学を選びたい場合は、オンラインサイトを有効活用しましょう。
- 学士として入学希望する方:Bachelor’s degrees in Germany(studyportals)
- 修士として入学希望する方:Master’s degrees in Germany(studyportals)
上記のサイトでは、英語で開講しているコースを一目で確認できます。
大学の授業で何を得たかによって就職先の選択肢は大きく変わってきます。
入学することを目標にするのではなく、入学して卒業してからどのようになりたいかを見据えて大学選びをしましょう。
5.ドイツの大学に入学するために必要な準備
ドイツの大学に入学するためには、以下の3つの準備が必要です。
- 高校の成績
- IELTSもしくはTOEFL
- (学士の場合は)共通テストのスコア
高校の成績は1〜3年すべての成績表をみる大学と2〜3年のみの成績をみる大学がありますが、どちらにせよ高い成績を維持しておくことが大切です。
とはいえ、成績が悪くても出願すること自体は可能ですので、英語力や共通テストのスコアに自信がある方は、積極的に挑戦してみましょう。
英語力は、IELTSもしくはTOEFLが評価に使われます。
TOEICはビジネス英語の実力を判断するものですので、大学進学などでは使えません。
求められるスコアは大学によって異なるものの、IELTSの場合は6.0〜7.0、TOEFLは70〜90ほどが必要です。
英語基準での入学であっても、CEFR B1レベルほどのドイツ語を求める大学もあるため、事前に確認しておきましょう。
ちなみに、ゼロからドイツ語を学ぶのであれば、CEFR B1レベルになるまでは最低1年ほどかかるため、早いうちからの準備が求められます。
学士として進学を希望しているのであれば、100点満点×5科目の共通テストがあります。
こちらの具体的な求められるスコアは大学によって異なるものの、おおよそ500満点中420点以上なければ合格はむずかしいです。
さらに、5科目のうち「大学入学後に専攻する科目2科目は62点以上」など細かい条件がついていることもあります。
6.ドイツ留学の魅力
ドイツ語が話せなくてもドイツに留学するべき魅力は、以下のとおりです。
- 割安で留学できる
- 教育環境が充実している
- 英語力だけでヨーロッパに留学できる
それぞれの魅力について解説します。
割安で留学できる
ドイツでは、一部の例外を除いて、現地学生も留学生も学費が無料です。
学費以外の部分で教材費や管理費などの支払いは必要ですが、欧米圏への留学を考えている人にとっては最小限の予算で留学ができます。
アメリカの大学の相場は150万〜300万円であることを踏まえると、学費を理由に留学を諦めている方にとってドイツ留学は魅力的です。
ドイツで学士をとってから、修士や博士課程のタイミングでアメリカやイギリスなど主要な英語圏の都市に移るプランも良いでしょう。
教育環境が充実している
ドイツは世界の中でもトップクラスの教育環境が整っています。
実際にTimes Higher Educationが発表する世界大学ランキングでは、上位200校のうち1割を占める22校がランクインしています。
歴史を振り返ってみても、医療やテクノロジーの分野で常に世界を牽引する立場であったドイツ。
日本でも質の高い教育を提供している大学はたくさんありますが、世界各国から集まる学生と一緒に専門的な学習ができるのはドイツ留学ならではの魅力です。
英語力だけでヨーロッパに留学できる
ドイツではIELTS6.0〜6.5あれば入学できる大学もあります。
もちろん英語力は高ければ高いほど良いですが、アメリカやイギリスなど主要な英語圏の大学に入学するにはレベルが足りていない方でも挑戦しやすいです。
英語力がギリギリの状態で入学すると、入学してからの授業で苦しむ可能性があるため、常に語学力の向上は必要です。
とはいえ、まずは英語で挑戦したい!という方は、ドイツの大学を調べてみましょう。
7.まとめ
この記事では、ドイツ語が話せなくてもドイツ留学できるのか、おすすめの留学先、求められる英語力について解説しました。
ドイツは割安な費用で専門性の高い勉強ができるため、学ぶために十分な英語力があればドイツ語が話せなくても大学に進学できます。
とはいえ、日常生活ではドイツ語が必須ですので、入学準備のタイミングからドイツ語の勉強も進めておきましょう。