アメリカやヨーロッパの大学に通いたいけど、学費や渡航費、滞在費が高すぎていけない、コロナの影響もあって海外渡航がまだ難しい、アメリカの学位が欲しいけど留学ができない、など問題を抱えている人が多いと思います。
そんな人におすすめしたいのが、完全オンラインの授業で、認可のアメリカ大学学士が取れて、授業料が無料の夢のような大学「university of the people」です。
コロナ禍でオンライン授業の大学はあるけれど、無料と聞くと本当にアメリカの大学学士がもらえるのか不安になりますよね。
そこで、この記事では「世界初となる無料の完全オンライン大学university of the peopleについて徹底解説!」と題し、皆さんが知りたい内容を解説していきます。
最後までお読みください。
university of the peopleとは
通称「UoPeople」と呼ばれており、university of the peopleを略したものとなります。
まずは、この大学ついて見ていきましょう。
創設者と設立の目的
2009年1月にユダヤ系イスラエル人の事業家シャイ・レシェフ(Shai Reshef)によって創始され、所在地はアメリカ合衆国カリフォルニア州パサデナとなっていますが、大学のキャンパスがあるわけでもなく、講師たちが集まるオフィスなどもありません。
設立の目的は、地球上のあらゆる貧困地域の人にも平等な高等教育を受けられるようにすることです。
ホームページによると現在、200を超える国や地域から、117,000人 以上の学生が登録されていて、そのうち10,000人以上が難民だそうです。
インターネットに接続さえしていれば、いつでもどこからでも勉強することができ、完全オンラインの授業であることに加え、授業料が無料としている理由が分かります。
university of the peopleは本当に無料なの?
無料ほど怖いものはないとよく言ったものです。
アメリカの学士が取れるのに完全無料だなんて、おかしい。怪しい。後からいろんな請求があるのかも。など不安を抱く人は多いと思います。
結論から言うと、完全無料ではありません。
これは大学のホームページにもしっかりと記載されています。
「無料オンライン大学」と呼ばれているのは、「授業料が無料」つまり教育や指導は無料という意味になります。
他に、出願費や試験の管理・採点には多少の費用がかかります。
主にかかる費用
出願費60ドル(約7,600円)
学士の場合:1コース修了あたりの試験代120ドル(約15,200円)
修士の場合:1コース修了あたりの試験代240ドル(約30,400円)
※1ドル≒126.7円
また、一部の試験の中では、試験監督システムの「Proctor U」という有料のサービスを使用して試験を受けないといけないので、別途その監督費用(約14ドル)がかかります。
ですが、自身で条件を満たした第三者に監督を依頼した場合は、無料になります。
そのため、学士号を取得するには、大体5,000ドル(約63万円)ほどかかる想定になります。
他のアメリカ大学との比較
それでは、一般的なアメリカの私立大学の学費と比較してみましょう。
一般的な私立大学の学費平均:約38,070ドル(約482万円)
UoPeopleの学費:約5,000ドル(約63万円)
また、一般的な正規留学になると、別に渡航費と4年間の滞在費と食費がかかってきますので、もっと膨大な金額になります。
そのため、university of the peopleはかなりの低コストでアメリカの学士を取れることになります。
奨学金制度
いくら安いとは言え、まとまったお金を用意できない人のためには、奨学金制度を利用することもできますので、驚きです。
university of the peopleはなぜ無料にできるのか?
それでは、どうして授業料を無料にできるのか、解説していきます。
無料の理由1:有名企業や有名大学の支援
超がつくほど、有名企業や有名大学、組織からの支援を受けています。
例えば、国連、Google、Facebook、Microsoftです。
大学であれば、ニューヨーク大学、ハーバードビジネスオンライン大学などがあり、ホームページにも掲載されています。
無料の理由2:授業の講師はボランティア
これも驚きですが、講師陣は業界で一流の学者、教授、そして有名な専門家が揃っていて、university of the peopleの理念に賛同し、ボランティアで教えています。
この講師はInstructor(インストラクター)と呼ばれています。
無料の理由3:課題の評価は学生同士で行う
一般の大学では、課題を提出し、評価するのは教授が行いますが、university of the peopleではDiscussionという、生徒同士が課題を評価するので、教授の負担を軽減し、コストを抑えています。
無料の理由4:動画での授業が一切ない
オンライン授業と聞くと、動画内で講師が話しているイメージを持っている人が多いと思いますが、university of the peopleではインターネット環境が悪い地域の人のためにも動画での授業は一切ありません。
全てテキストベースのやり取りによって進められます。
university of the peopleの授業スタイル
それでは、具体的にどんな授業なのか、見ていきましょう。
授業の流れ
1コース9週間で、最後の週はテストの週となります。
それぞれの週でやらなければいけない課題がタスク化されており、その週の期日までに終わらせます。
課題の中には下記が含まれています。
・Reading Assignment:誰でも閲覧可能なオープンソースの教科書を読む
・Writing Assignments:エッセイ(レポート)を書いて提出する
・Discussion Forum:他の生徒の課題を評価する
・Learning Journal :その週の復習
勉強法
動画での授業ではありませんので、講義もありません。
ですが、シラバスというサイト上に誰もが閲覧可能な教科書があります。
主な勉強法としては、この教科書を読み込んで、理解し、分からないところはリサーチして、書くことです。
そして、Discussionで高評価をもらえるように、なるべく分かりやすい内容を心がけなければいけません。
人によって勉強法や勉強時間は様々ですが、university of the peopleでは、少なくとも週15〜17時間を勉強に充てることが推奨されています。
入学してから最初に、新入生オリエンテーションでオンライン授業の受け方や、進め方などを学べる学習コースがありますので、安心してください。
テスト対策
毎週課題をこなして、最終週にはテストがあります。
どうしても自分の勉強法だけでは心配な場合は、university of the peopleの生徒だけが参加できるFacebookのような「Yammar」というプラットフォームで質問を交換したり、他の生徒とノートを交換したり、教授にダイレクトメッセージすることもできます。
university of the peopleの入学条件
そもそも入学するのに高い壁があるんじゃない?と思われますが、入学条件は至ってシンプルです。
学士、准学士の場合は、16歳以上であること。高校卒業証明書が提出できること。英語力があること。この3つになります。修士の場合だと、多少異なります。
英語力は、TOEFL61以上、IELTS6.0、英検だと準1級以上とされています。
入学試験もなく、英語力に問題がなく、高校を卒業していれば誰でも入ることができます。
また、別の大学からの編入時も、単位の移行が可能なので、今普通の大学に通っているけど、留学費用を節約したいなど考えている人がいれば、検討してもいいと思います。
university of the peopleの日本人
現在、日本人の学生も在学しています。
英語が母国語ではない、日本人にとってはかなり難易度の高い授業が目立ちます。
もう凄い量の資料を読んだり、分からない部分はインストラクターへ質問したり、他の生徒の評価もしなければなりません。
そのため、在学中の日本人のほとんどが海外在住者や、海外の大学留学経験がある人が多い気がします。
university of the people卒業生の就職先
入学すると、自分専用のプログラムアドバイザーという人がつきます。
この人に今後の進路や、在学中の相談なども行うことができます。
卒業条件
1コース2ヶ月(9週間)で授業を進めていますが、在籍期間は50コース100ヶ月をこえてはいけないという条件があります。
その他には、下記があります。
学士の場合
・最低120単位を終わらせること
・最低2.00のCGPA(Cumulative Grade Point Average)を取ること
・最低2.00のGPA(Grade Point Average)を取ること
・11個の試験監督付きのテストを完了すること
※CGPAとは、成績ポイントの平均です。
※GPAとは、成績評価値の平均です。
卒業生の主な就職先
主な就職先としてホームページに掲載されているのが、大手通販サイトのAmazonやApple、DELL、Microsoft、NOKIA、国連、、、と名だたる企業や組織がありますが、university of the peopleでは就職先はあまり重要ではないと思います。
有名企業に就職したからと言って、自分の能力を十分に引き出せるとは限らないですし、university of the peopleでの授業はReadingとWritingはかなり上達すると思いますが、Speakingについては全く使いませんので、別でトレーニングする必要があります。
まとめ
今まで、謎だらけだったuniversity of the peopleのことを知っていただけましたでしょうか?
世界中のあらゆる環境にいる人が、同じプラットフォームで平等に高等教育を受けられることを目的としたこのシステムは、いろんな国の人に夢や希望を与えていると思います。
ですが、入ることは簡単でも卒業することは、とても難しいと言われています。
それは、毎回ものすごい量の資料と課題が出されるので、中途半端にやってしまうとついていけず、挫折してしまう恐れがあるからです。
また、完全オンラインなので自分で勉強し、理解し、リサーチして答えを見つけていく勉強法で、自分のモチベーションを保つことが大変とも言われています。
もし、入学を検討されている人がいれば、まずは誰でも閲覧可能なopen sourceでどんな課題があるのか見てから決めてもいいと思います。