日本の宗教と言うと仏教が思い浮かぶ人が多いでしょう。神道を思い浮かべる人も多いかもしれませんね。
では、アメリカの宗教にはどんなイメージがあるでしょうか?世界には多種多様な宗教が存在していますが、人種のるつぼと言われるアメリカの宗教はどんな分布になっているのでしょう。
この記事では、アメリカの宗教、そして宗教が実際に生活にどう影響しているのかを解説します。これからアメリカに渡航する人は、知識として知っておいて損はないはず。こちらを参考にすれば、アメリカで宗教が絡んだトラブルに巻き込まれずにすむかもしれませんよ。
1.アメリカはキリスト教国家?
日本は世界的に見ると、宗教色が薄めの国。仏教や神道に触れることはあっても、実際には無宗教である人、もしくは信仰を意識していない人が大多数ですよね。
では、アメリカはどうかと言うと、アメリカはキリスト教徒が圧倒的に多いキリスト教国家です。
アメリカは自由の国と言われるほど個人の自由が重んじられる国ですから、国教は定められておらず、宗教の自由が保証されています。日本も同じく宗教の自由が認められていますが、アメリカと日本を比べると、アメリカの方が圧倒的に信仰心の強い人が多いです。
この点は、日本人にとってはちょっと理解が難しい部分かもしれません。
アメリカの宗教分布
では実際にアメリカの宗教分布がどうなっているのか、wikipedia上の情報を引用しつつご紹介します。
2020年の調査では、アメリカの宗教分布は下記のようになっています。
- キリスト教・プロテスタント:42%
- キリスト教・カトリック:21%
- 無宗教(不可知論・無神論を含む):29%
- モルモン教:2%
- ユダヤ教:1%
- イスラム教:1%
- ヒンドゥー教:1%
- 仏教:1%
- その他(未確認を含む):2%
プロテスタントとカトリックを合わせると、キリスト教徒は全体の6割以上にものぼり、どれだけアメリカではキリスト教徒が多いかが感じられますね。
ちなみに無宗教に含まれる人の中には、元々はキリスト教徒だった人も多いです。もしくは、公式的にはキリスト教徒だけど信仰心はほとんどないなんて人もいるでしょう。
少し意外なのは、世界的には信者の多いイスラム教がアメリカではごく少数派であること、あまり馴染みのないモルモン教徒がイスラム教徒や仏教徒よりも多いことでしょうか。
しかしこうして見ると、キリスト教徒と無宗教以外は全体の1%程度しか信者がいないことを考えても、アメリカが圧倒的なキリスト教国家であることがわかるでしょう。
とはいえ、アメリカの人口は3億人以上。たとえ1%であっても、300万人以上は信者がいるということです。つまり、1%しか信者のいない宗教であっても、コミュニティとして成り立つ程度の規模はあるということです。
アメリカの都市部なら、どこに行ってもキリスト教以外の宗教を感じる場面はあるでしょう。たとえばユダヤ教徒やイスラム教徒が食べられる食べ物が売られていたり、キリスト教以外の宗教的な建物があったりなど、アメリカでは他の宗教を信仰する人も一定数存在していることを感じられるはずです。
2.アメリカで宗教に触れる機会とは?
では日本人がアメリカに滞在しているときに、アメリカで信仰されている宗教に触れることはあるのでしょうか。ここからは、アメリカで宗教に触れる機会の可能性についてご紹介します。
ホストファミリーや友人の信仰する宗教
もしもホームステイをする場合は、ホストファミリーの宗教とは無縁ではいられません。あなた自身がその宗教を信仰することを求められることはありませんが、食べ物に制限のある宗教なら、家で出される食事は、その宗教に沿ったものとなります。
また、食事のときにお祈りをする習慣がある家庭もあるでしょう。あなた自身がお祈りの言葉まで言うことを強制されることはなくても、お祈りのポーズを求められることはあるかもしれません。
また、友人ができて、一緒に出かけたり、時間を過ごしたりすることがあれば、その友人の宗教とも関わることがあるでしょう。
前述の食べ物もそうですし、遊んでいる最中に友人がお祈りをはじめたり……なんてこともあるかもしれませんね。
キリスト教徒は信仰を継続しやすい
あなたがキリスト教徒である場合は、アメリカで信仰を継続するのは難しいことではありません。そもそもキリスト教で日曜に行われている礼拝は、信者以外でも参加できますから、たとえキリスト教の宗派が違ったとしても、参加することに問題はありません。
教会の数も多く、田舎でも必ず教会がありますから、ぜひ訪れてみましょう。ただし、信者ではない人が遊び半分に訪れるのは控えておいてくださいね。
クリスマスは大事な宗教行事!
日本ではクリスマスといえば恋人同士、もしくは家族のイベントですが、アメリカではキリスト教の大事な宗教行事として扱われています。
ですから、もしもホストファミリーや身近な友人がキリスト教徒である場合は、クリスマスを大事な宗教行事として体感できるでしょう。
ちなみにアメリカの無宗教の人にとっては、クリスマスは実家で家族と集まる日という位置付けであることが多いようです。日本で年末年始に実家に帰るようなイメージですね。
3.アメリカでの宗教にまつわる注意点
アメリカに長く滞在していれば、きっと宗教に関わることがあるはずです。日本に比べると、宗教が生き方を左右するほど大事なものとして扱われることの多いアメリカ。宗教に関わるときには、注意しなければならないこともあります。
ここからは、アメリカでの宗教にまつわる注意点を解説していきます。
他宗教批判は絶対にしないこと
あなたが無宗教だったとしても、何らかの宗教を信仰していたとしても、他の宗教の批判はしないようにしましょう。そもそも、その宗教を信仰していない限り、その宗教に関する知識は浅いはず。あまり知らないのに、外側から見たものだけで批判するのは非常に危険ですし、その宗教を信仰している人の心を深く傷つけてしまいます。
アメリカでは様々な宗教を信仰する人がいるため、特に要注意ですが、そもそも他宗教に関する批判は、どんな時でもすべきではありません。
宗教的な行動に口を出さない
アメリカで信者が一定数いる宗教では、その宗教独特の教え・ルールがあることが多いです。そして信者は、基本的にはその教えに則って日々を暮らしています。
その教えの中には、あなたが納得できないこと、理解できないこともあるでしょう。ですが、たとえ「おかしい」と思ったとしても、他人の宗教的な行動には口を出さないようにしてください。
そもそもアメリカでは、個人の自由が非常に尊重されていますから、誰かに迷惑をかけていない限り、他人の行動に口は出さない方が無難です。
宗教を怖がる必要はない
日本では宗教を怖いものだと捉えている人もいますよね。
ですが、宗教を怖がる必要はありません。アメリカに行き、さまざまな宗教の信者と触れ合えばわかりますが、信仰のある人は、教えやルールを守って生活している以外は、私たちとあまり変わりません。
宗教自体は何も怖いことはないのです。何らかの宗教を信仰している人が危険ということもありませんから、安心してくださいね。
気になることは質問してOK
人の宗教に口を出すのはタブーですが、気になることは質問しても大丈夫です。
たとえば、どんな食べ物が食べられないのか、どんな戒律があるのかといったことは、その人と親しくするためには、必要な知識です。
お祈りの仕方などについても、聞いてみると良いでしょう。
あなたが相手のことを知ろうとして、好意的に行う質問には、かなり詳しく答えてくれる人が多いです。
他宗教の人の食べ物には気をつけよう
イスラム教やユダヤ教、そしてヒンドゥー教では、食べてはいけないとされている食べ物が決められています。ですから、アメリカで誰かと親しくなった場合は、その人が信仰する宗教で、何か禁止されている食べ物がないかを確認しておきましょう。そして、うっかりその食べ物を渡してしまわないように気をつけてください。
たとえばスナック菓子の中には、豚肉のエキスが使われているものもありますが、そうしたスナックが食べられない宗教の人もいます。しかし、日本人は基本的に豚肉を食べますから、スナック菓子に豚肉のエキスが潜んでいるなんて思いもしないでしょう。
うっかりそうした食べ物を渡してしまわないよう、特定の宗教を信仰している人に食べ物をあげるときには、くれぐれも気をつけてくださいね。
自分の宗教について説明できるようにしておくとベター
何か宗教を信仰している人も、全くの無宗教である人も、自分の宗教・信仰について説明できるようにしておくこともおすすめします。
無宗教な人は、自分の信仰に対する意見を言えるといいですね。(ただし、宗教を信仰すること自体を否定することは控えましょう)
特定の宗教を信仰している人にとって、宗教信仰は自然なことです。そのため、「あなたの宗教は?」なんて聞かれることも全くないわけではありませんから、いざ質問されたときに対応できるように、準備をしておくと良いでしょう。
宗教の勧誘には要注意!
アメリカ生活で心細いときに、他人に優しくされると、ついついその人のことを信頼してしまうかもしれませんね。
しかし、もしもその人が全く知らない相手、かかわりの薄い相手である場合は、少し気をつけましょう。なぜならアメリカでは、宗教に勧誘されることもあるからです。
これは日本でもよくあることですが、あまり知らない人が親切にされ、その後宗教に勧誘されるというパターンは、アメリカでも珍しくありません。
あまりにも親切な人がいた場合は、少し警戒した方が良いかもしれませんね。
4.アメリカではさまざまな宗教が信仰されている!
アメリカは人種のるつぼでもありますが、宗教のるつぼでもあります。キリスト教徒が圧倒的に多いとは言え、宗教の自由が認められており、さまざまな宗教の信者がいます。
アメリカに滞在する際には、くれぐれも宗教を信仰する人たちの心を傷つけて終わないように気をつけつつ、そんな宗教的な環境も楽しめると良いですね。