TOEICを受験する人にとって、受験者全体の平均点はベンチマークの一つとして知っておきたいことではないでしょうか。
TOEICは、Test of English for International Communication(国際的コニュニケーションのための英語テスト)の略。就職や進学の際は資格としてアピール出来るため、受講者は年々増加の傾向にあり、現在数ある英語テストの中でも日本で最も受講者数の多いテストです。
高得点を取るに越したことはありません。しかし、やみくもに勉強を始める前にまずは受験者全体の平均点を元に、現段階の自分のレベルを把握しておきましょう。
まずはTOEICの平均点を知り、その上で自分はどのスコアを目指すべきなのか定めると、試験勉強の戦略を立てやすくなります。
今回の記事は自分の今のレベルを把握し、目的ごとの目指すべきスコアについても知ることができますので、ぜひご覧ください。
TOEICの平均点
ここではTOEICの中でも「リーディング」と「リスニング」で構成される公開テストに限定してお伝えしていきます。
TOEICを実施しているIIBC (国際ビジネスコミュニケーション協会)によると、2021年の学生の受講者数は約41万人で、その平均スコアは586でした。社会人を含めた全体の平均スコア611に比べると学生の平均スコアはやや低い傾向です。
ではもう少し細かく見ていきましょう。
過去3年間の全体の平均点
学生と社会人を合わせた、全体の平均スコアです。
新型感染症コロナウイルスの影響で受験者数が例年に比べて少なかったものの、平均スコアに関しては例年と比べて大きな変化は見られませんでした。
- 2019年 588
- 2020年 620
- 2021年 611
このデータから、テストや年によって多少難易度が上下することがわかります。
一回目のテストで自分の納得できないスコアが出たとしても、次に受けたテストでスコアが変わることもよくあるので、何度か受験してみると良いでしょう。
TOEICを運営するIIBCでは、半年後のテストで割引が受けられる制度を設けています。半年ごとの受験を目安に勉強のプランを立てるのも、勉強を継続するモチベーションにつながるかもしれません。
大学生の学年ごとの平均点
2021年の大学在学の受験者のうち、「学年」に回答されたデータの集計結果です。
学年が上がるにつれてスコアが伸びています。
- 大学1年生 553
- 大学2年生 582
- 大学3年生 594
- 大学4年生 609
受験者の背景や目的などによっても平均スコアは異なるため、これらはあくまで一般的な目安として参考にしてください。
参考URL:
https://www.iibc-global.org/hubfs/library/default/toeic/official_data/pdf/DAA.pdf
目的ごとに求められるスコア
平均スコアを知ったら、自分が何のためにTOEICを受けるのか明確にしましょう。
急に高得点を狙って必要以上な労力を勉強に使うより、現実的にどの程度のスコアを目標としたいのか決めておくと、効率よく勉強できます。
就職活動:700以上
TOEICのスコアを就職活動においてアピールポイントにしたいと考えているなら、目標とするべきスコアは最低でも600です。600未満であればアピールにならないので履歴書には記載しない方が良いでしょう。
また、入社後に海外部門への配属を希望する場合は最低でも700以上を目指しましょう。
「英語活用実態調査【企業・団体/ビジネスパーソン】2019」によると、「新卒採用時にTOEICのスコアを要件・参考としている」と回答した企業は49.1%でした。
また、「今後のビジネスパーソンにとって重要な知識やスキル」の回答に対しては、ITスキル・リーダーシップ・コミュニケーション能力を抜いて、会議ができる程度の英語力が82.6%と一番重要視されていることがわかっています。
- 企業の約半数が、TOEICを採用時の判断材料としている
- 新入社員に期待するスコアは600程度
- 人気業界・海外部門を目指すなら700以上が目標の目安
- 企業が求めているのは、会議ができる程度の英語力
留学:650以上
大学在籍中に交換留学を考えているなら、目標とするスコアは650が目安となります。
留学に必要とされる英語力はTOEICの他にIELTSやTOEFLで求められることもあるので、どの試験を受けるべきなのか各留学先の応募要件を確認しましょう。
ワーキングホリデーや語学留学の場合は、TOEICのスコアは必要ありません。
留学から帰国後、一番英語力が上がっている状態で受験すると良いスコアが取れるのではないでしょうか。
大学進学:600以上
TOEICのスコアを大学入試試験のアドバンテージとして使いたいと考えているなら、目標とするべきスコアは600点です。
IIBCが行った「2022年度入試試験におけるTOEIC programの活用状況」の報告によると、実施した全国788校のうち332校がTOEIC programを活用していると回答しています。
大学入試におけるTOEICにおいて注目したいのが、「リスニング」と「リーディング」と合わせて「スピーキング」と「ライティング」のスコアも専攻基準に入れている大学が332校中250校もあるということです。その中の多くが「スピーキング」と「ライティング」のスコアを2.5倍する措置を取っており、アウトプット型の英語を得意とする学生を優遇していることがわかります。
大学入試においてどの程度のスコアが加点対象になるかは、大学や専攻によって異なります。必ず志望大学の入試情報や担当者に確認しましょう。
参考URL:
スコアを上げるための勉強法
TOEICの試験で良いスコアを取るには、実際の英語力に加えてテクニックが必要です。
TOEIC対策の勉強法で試験準備をしましょう。
逆にいうと、TOEICは英語に自信がなくても、テクニックを身につけることで比較的短期間でスコアを伸ばすことができる試験と言えます。
それでは具体的な勉強法を見ていきましょう。
リーディング
リーディングは、印刷された問題を読んで100の設問に75分かけて解答します。
リーディングで良いスコアを取るため集中的に勉強するべきポイントは、以下の3つです。
リーディング
- 単語力をつける
TOEICで頻繁に使われる単語を自分で過去問からリストアップしたり、試験対策用の単語帳を使ったりして、意味が理解できるまで繰り返し確認しましょう。
語彙問題は、準備すれば誰にでも高得点が取りやすい部分です。
- 各パートの特徴を知る
リーディングは「短文穴埋め問題」「長文穴埋め問題」「長文読解問題」で構成されます。
TOEICで頻繁に使われる単語を自分で過去問からリストアップしたり、試験対策用の単語帳を使ったりして、意味が理解できるまで繰り返し確認しましょう。
語彙問題は、準備すれば誰にでも高得点が取りやすい部分です。
リーディングは「短文穴埋め問題」「長文穴埋め問題」「長文読解問題」で構成されます。
長文読解問題でしっかり時間を使うために、他の2つのパートでは一問につき20秒以内で解答できることが望ましいでしょう。
各文章の問題傾向を知っておくと、問題を何度も読まなくても質問の意味がわかるので、解答時間に余裕が持てます。
- リーディングスピードを上げる
リーディングスピードを上げられるよう、普段から英語の文章に触れる習慣をつけておきましょう。
長文読解問題では、新聞の記事・手紙・広告・メールが頻出します。それぞれの文章の特徴を理解していると優先するべき箇所から読めるようになるので、時間短縮につながります。
リスニング
リスニングは、45分間会話やナレーションを聞いて100の設問に解答します。
リスニングで良いスコアを取るために集中的に勉強するべきポイントは、以下の3つです。
- シャドーイングをする
「聞こえてくる英語が早すぎて聞き取りにくい」と感じている人にオススメの勉強法です。
問題集の音源を聞き、同じことを自分でも声に出して繰り返してみてください。何度も口に出すことで、だんだんと聞こえてくる英語がゆっくりに感じてきますよ。
- 質問を先読みする
問題と問題の間に、次の質問の文章に目をとおす練習をしましょう。
時間との勝負なので、質問の最初の言葉とキーワードとなる単語だけを拾い、それを頭に入れつつ問題を聞くと答えが予測できやすくなりますよ。 - 同じ問題に繰り返し取り組む
勉強をしていると、自分の苦手なパートがわかってきます。
特に「会話問題」「説明文問題」に苦手意識を持つ人が多いのではないでしょうか。
間違えた問題を、質問を意識して何度も繰り返し聞きましょう。だんだんと注意して聞くべきところがわかるようになります。
まとめ
今回の記事では、以下の点を見てきました。
- TOEICの平均点
- TOEIC受験の目的に関わらず、まず目標とするスコアは600
- リーディングとリスニングの効率的な勉強法
TOEICのテスト方式は特殊なため、はじめての受験で自分の実力を出し切れる人は多くありません。結果が平均点や自分の目指すスコアに届かなくても、実際の試験の雰囲気の中で受験できたことだけでも十分な収穫です。
肝心なのは、そこから自分の苦手なパートを知って、次の試験に向けて戦略的に勉強することです。浅く広く勉強するよりも、過去問や自分のレベルに合った参考書を絞って、苦手部分と集中的に向き合いましょう。
また、TOEICはほぼ毎月、何回でも受験ができます。まずは当たって砕けろで受験をしてみて要領をつかむというやり方もありです。目標を超えたスコアを取って、TOEICを自分のアピールポイントにしていきましょう!